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<特集>ゲノム編集ツール CRISPR-Cas9 システム

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:8508

System Biosciences社のCRISPR-Cas9システムによるゲノム編集ツールをご紹介します。

CRISPR-Cas9システムとは

CRISPR-Cas9 システムは,ゲノム中で任意の領域を切断できる遺伝子改変ツールです。切断したい標的塩基配列に相補的な配列を含むguide RNA(crRNA:tracrRNA) とDNA 切断酵素Cas9 タンパク質により,ゲノム上の任意の配列を切断します。標的配列のデザインの簡便さや実験手法の容易さから,本システムはZinc Finger NucleaseやTALE Nuclease と並び,注目されるゲノム編集技術です。

CRISPR-Cas9システムとは

guide RNA(crRNA:tracrRNA)により,標的配列へCas9タンパク質が誘導され,PAM(protospacer adapter motif)配列(NGG)近傍にあるguide RNAと相同な配列で効率的にDNAが切断されます。
crRNA: CRISPR RNA
tracrRNA: trans-activating CRISPR RNA

CRISPR-Cas9システムによる遺伝子のノックアウト/ノックインの原理

CRISPR-Cas9 システムでのゲノムの切断後NHEJ による修復が起こり,塩基の置換や欠損が誘引され,これにより遺伝子のノックアウトができます。また,切断した部位に特定の配列をノックインしたい場合には,その目的配列を含むドナーベクターを一緒にトランスフェクションすると,相同組換え(HDR)によりその配列をノックインすることができます。

配列のデザイン方法

標的配列は,末端に「GG」が配置されている領域を選択し,NGG の上流20 塩基で設計します。切断したい標的配列を含むgRNA およびその相補鎖をオリゴ合成等で作成していただきます。

標的領域         5’ NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGG 3’
デザインする配列の例5’TGTATGAGACCACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN 3’
   3’ACTCTGGTGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCAAA 5’

ラインナップにより,標的配列の両端に付加する配列は変わります。
ウェブ上で公開されているguide RNA 設計用のソフトウェア⇒ CHOPCHOP, CRISPRdirect

ゲノム編集ワークフロー

ゲノム編集ワークフロー デザインデザイン:ノックアウト,ノックイン,編集,タグの挿入などを行う標的配列に対して,guide RNAと相同組換えドナープラスミド(HR donor plasmid)を設計する。

ゲノム編集ワークフロー プラスミドの構築プラスミドの構築:guide RNAをall-in-one Cas9 vectorにクローニングする。5’および 3’側のホモロジーアームをHR donor plasmidにクローニングする。遺伝子をノックインする場合は目的遺伝子もクローニングする。

ゲノム編集ワークフロー 細胞への導入細胞への導入:Cas9, guide RNA, HR Donorsを目的の細胞へトランスフェクションまたはインジェクションにより導入する。

ゲノム編集ワークフロー 細胞の選択細胞の選択:ゲノム編集された細胞を選択する。

ゲノム編集ワークフロー ゲノム編集された細胞のバリデーションバリデーション:片方または両方のアレルがゲノム編集された細胞について,標的遺伝子の配列を確認する。

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Cas9 Nickase(Cas9(D10))について

Cas9 の変異体D10A は,Nickase として機能することが報告されています* 1。Cas9(D10A)は,野生型Cas9 のようにDNA 二本鎖を切断せず,一本鎖のみを切断しニックを入れます。そのため相同組換えによるゲノム編集において,二本鎖切断により引き起こされるDNA 修復機構NHEJ(非相同末端再結合)が起こらず,望ましくない領域での遺伝子欠失・挿入やオフターゲット効果を抑制することができます* 2。また,最近では2種類のguide RNA を用いて2か所にニックを入れることで,二本鎖切断によるノックアウトで細胞株におけるオフターゲット効果を50 ~ 1,500 倍まで減少できた例が報告されています* 3

*1 Jinek, M., et al., Science, 17, 337(6096), 816 ~ 821 (2012).
*2 Cong, L., et al., Science, 15, 339(6121), 819 ~ 823 (2013).
*3 Ran, F. A., et al., Cell, 12, 154(6), 1380 ~ 1389 (2013).

>Cas9 Nickase(Cas9(D10))について

標的部位のセンス鎖に対するguide RNA 1 とアンチセンス鎖に対するguide RNA 2 を作製し,Cas9 (D10A) を用いて2か所でニックを入れ,オフターゲット効果を抑制する。


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Cas9 Double Mutant について

Cas9 のDouble Mutant (D10A, H840A) はヌクレアーゼ活性およびNickase 活性を有していませんが,guide RNA 標的配列への結合能を有しています。オフターゲット効果の少ない転写リプレッサーとして機能すると考えられており* 4,部位特異的な転写制御の研究への応用が期待されています。

*4 Qi LS., et al., Cell, 152 (5): 1173-83 (2013).


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CRISPR-Cas9システム製品ラインナップ

All-in-one Vector System

All-in-one Vector System

guide RNA とCas9 タンパク質を1つのベクターから発現できます。細胞株でのゲノム編集に有用です。

RNA System

RNA System

ES 細胞やin vivo実験での使用に最適です。

  • そのまま細胞にトランスフェクション可能な野生型Cas9 mRNA
  • そのまま細胞にトランスフェクション可能なCas9 Nickase mRNA
  • guide RNA 作製キット

Lentiviral System

Lentiviral System

Cas9 安定発現細胞株の構築などに有用です。

  • Cas9 とguide RNA を同時に発現するレンチウイルスベクター(野生型またはNickase)
  • Cas9 発現用レンチウイルスベクター(野生型またはNickase)
  • Cas9 発現用レンチウイルス粒子(野生型またはNickase)
  • guide RNA 発現用レンチウイルスベクター

Multiplex gRNA Cloning Kit

直線化したgRNA ベクターまたはCas9 All-in-one ベクターに,複数のguide RNA をクローニングできるキットです。

HR Targeting Vector

相同組換えを利用したゲノム編集用ドナーベクターです。

  • ノックアウト・修復用ドナーベクター
  • ノックイン用ドナーベクター
  • GFP・RFPタグ導入用ベクター

各種受託サービス

ゲノム編集関連の各種受託サービスです。

  • CRISPR-Cas9/guide RNA発現ベクター作製サービス
  • HRドナーベクター作製サービス
  • ゲノム編集済み細胞株作製サービス

Cas9の検出

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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