遺伝子機能解析の研究に！ 遺伝子発現抑制（ノックダウン）特集

Morpholinoオリゴの構造

アンチセンスは、標的とする遺伝子のmRNAに相補的な配列を有するオリゴ鎖で、標的mRNAにハイブリダイズすることで、タンパク質翻訳の阻害や、pre-mRNAのスプライシングの阻害に使用されます。

Morpholino（モルフォリノ）アンチセンスオリゴは、従来使用されているS-Oligoなどのアンチセンスの問題点（特異性、安定性、配列決定の難しさなど）を克服した、細胞毒性のない、第三世代のアンチセンスです。

ベクターを用いてRNA干渉（RNAi）による遺伝子発現抑制を行う場合、shRNAを使用します。shRNAはセンス鎖部分、ループ部分、アンチセンス鎖部分より構成されており、RNAに転写されるとヘアピン構造を形成します。その後、細胞由来のDicerにより切断され、siRNAとなります。

microRNA（miRNA）は19～23塩基の非コードRNAで全生物種に存在します。RISC（RNA Induced Silencing Complex）に取り込まれたmiRNAは、mRNAの相補領域に結合して標的mRNAを分解し、翻訳を制御する重要な役割を担っています。miRNAの産生過程では、初めにRNAポリメラーゼⅡによりポリアデニル化されたキャップ構造を有する転写産物（Primary-miRNA；Pri-miRNA）が生じます。次にPri-miRNAはDroshaで切断されステムループ配列を有するmiRNA前駆体（Pre-miRNA）を生じ、さらにDicerで切断されることにより成熟miRNAが生じます。

CRISPRaとCRISPRiの作用概念図

CRISPRa（CRISPR activation）およびCRISPRi（CRISPR interference）は、 CRISPR/Cas9から派生した新しい遺伝子発現調節技術で、それぞれ遺伝子発現の活性化と、発現の抑制を行います。共にDNAの切断活性を欠失させた変異体Cas9（dCas9）を利用します。dCas9はDNA切断能力を欠失していますが、gRNA（ガイドRNA）と結合し、特定のDNA部位を標的にすることができます。転写因子とdCas9を融合発現することで、 gRNAが認識する部位の遺伝子発現を調節することができます。遺伝子制御を調節するために、gRNAは通常、プロモーター領域と転写開始部位（TSS）（+1）の周囲をターゲットとして設計されます。