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標的タンパク質のノックダウンを行えます! Piranha Targeted Protein Degradation System

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:68094

TRIM21をベースとしたPiranhaタンパク質と標的タンパク質に対する抗体を組み合わせることにより、細胞内において標的タンパク質を特異的にノックダウンさせるシステムです。
Piranha遺伝子をmRNAとして細胞導入する製品、レンチウイルスベクターで細胞に組み込む製品、およびPiranha遺伝子をあらかじめ組み込み済みの細胞株の3つの製品群があります。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


ルシフェラーゼによる確認

図1:本システムによるプロテイン・ノックダウンのルシフェラーゼによる確認
Piranha mRNAと抗IκBα抗体をエレクトロポレーションで同時にMDA-MB-231乳がん由来細胞へ導入した後、IκBα活性をNFκBルシフェラーゼレポーターアッセイで測定した。IκBα活性が低くなるとNFκBレポーターの活性が高くなる。
IκBαをsiRNAで抑制した場合(暗灰色)にレポーター活性のピークが2日目となるのに対して、IκBαを本システムでノックダウンした場合(青色)ではレポーター活性のピークは1日目となる。明灰色はネガティブコントロール。


細胞内におけるタンパク質発現レベルの調節法について

遺伝学的手法による細胞内におけるタンパク質発現レベルの調節は、遺伝子および遺伝子ネットワークの理解において極めて重要な役割を果たし、健常・疾患細胞の双方で生理学的に重要な多くの事象の理解に寄与しました。CRISPR/Cas9(ゲノムレベル)およびRNAi(転写物レベル)は、in vivoin vitroの両面で幅広く用いられてきました。しかしながら、これらの手法は強力ですが、タンパク質発現レベルの調節は間接的で、発現調節をタンパク質発現における下流のステップに依存しています。その結果、真の表現型が隠されることや、望ましくない/予想外の表現型(オフターゲット効果)を引き起こすこともあります。そのため、遺伝学的手法を用いる研究者は、得られた結果が真の表現型であるかどうかを疑う必要があります。

本システムは、ほとんどの真核細胞に存在するTRIM21ベースのタンパク質分解システム(TRIM21経路)により、細胞中の標的タンパク質の発現レベルを強力かつシンプルに直接調節できる初めての市販製品です1)

■ 原著文献

  1. Clift, D., et al., Cell. 171 (7), 1692~1706 (2017).
    "A Method for the Acute and Rapid Degradation of Endogenous Proteins."

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原理

原理
  1. 標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで細胞へ導入する。
  2. 抗体が標的タンパク質に結合し、さらにPiranhaタンパク質が抗体の共通領域に結合する。
  3. Piranhaタンパク質-標的タンパク質複合体が、プロテアソームにより分解される。

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操作方法概略

いずれの手法でも標的タンパク質に対する抗体およびエレクトロポレーション装置が必要です。

Piranha mRNAを用いる場合

レンチウイルスベクターを用いる場合

樹立済みPiranha発現細胞株を用いる場合

お手持ちの細胞にPiranha Pre-Packed Lentivirusを添加する。
Piranha安定発現細胞株を樹立する。
お手持ちの細胞を培養する。Piranha発現細胞を培養する。Piranha発現細胞を培養する。
Piranha mRNA標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで同時に導入する。標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで導入する。標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで導入する。
ウエスタンブロッティングなどにより表現型解析を行う。ウエスタンブロッティングなどにより表現型解析を行う。ウエスタンブロッティングなどにより表現型解析を行う。

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特長

  • 標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで細胞に導入後約1時間で標的タンパク質の分解が行われ、ほどなく表現型解析を行えます
  • リン酸化タンパク質などに特異的な抗体の使用により、遺伝学的手法では行えなかった特定の翻訳後修飾物のみのノックダウンを行えます。
  • 非分裂の初代培養細胞など、遺伝学的手法でのノックアウトが困難な細胞に対する実験に特に有用です。

標的タンパク質の分解速度、およびその結果として表現型が現れる速度は、標的タンパク質の種類・代謝回転の速度・その他の代償メカニズムにより異なります。測定を行う最適な時間の検討をお勧めします。


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製品一覧

商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

手 法品 名包 装商品コード
Piranha mRNAPiranha Electroporation-ready mRNA10μgPTPD500A-1
Piranha Electroporation-ready RFP-tagged mRNA10μgPTPD510A-1
Piranha Electroporation-ready GFP-tagged mRNA10μgPTPD520A-1
Piranha組み込み用レンチウイルスベクターpCDH-CMV-Piranha-EF1-GFP-T2A-Puro Virus2 vials
(>1×106 IFUs)
PTPD513VA-1
pCDH-EF1a-Piranha-T2A-Puro Virus2 vials
(>1×106 IFUs)
PTPD527VA-1
樹立済みPiranha発現細胞株Piranha HEK293T GFP/Puromycin Stable Cell Line1 vial
(>1×106 cells/vial)
PTPD600A-1

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使用例

細胞導入後発現

図2:Piranha mRNAの純度および細胞導入後の迅速な発現
(A) 3種類のPiranha mRNA(RFPタグ融合、タグなし、GFPタグ融合)を変性RNAゲルで電気泳動した。適切なサイズの高純度な転写物であることが分かる。
(B) RFPタグ融合Piranha mRNAをエレクトロポレーションで導入したHEK293T細胞のイメージング像。mRNAが細胞に導入され、発現していることが分かる。


ウエスタンブロッティングによる確認

図3:本システムによるプロテイン・ノックダウンのウエスタンブロッティングによる確認
Piranhaタンパク質を安定的に発現しているHEK293T細胞に、Neon Transfection System(Thermo Fisher Scientific社)を用いて2種類のエレクトロポレーション条件で抗IKKα抗体を導入した(A:1400V、2p、B:1150V、2p)。
導入の1、2日後に、IKKαの発現レベルをウエスタンブロッティングで解析した。
導入から1日以内に、条件Aでは内因性IKKαの完全な除去が、条件Bでは大部分の除去が観察され、本システムによる標的タンパク質の効率的なノックダウンが示された。


siRNAと比較

図4:本システムおよびsiRNAによる標的タンパク質のノックダウンの効率および速度の比較
Piranha mRNAと抗IκBα抗体をエレクトロポレーションで同時にHeLa細胞へ導入した後、記載した時間におけるIκBαの発現レベルをウエスタンブロッティングで解析した。
本システムではIκBαの除去が8時間以内に見られる一方、siRNAを用いたノックアウトでは24時間を要した。


リン酸化タンパク質のノックダウン

図5:本システムによるリン酸化タンパク質(AKT pSer473)の特異的なノックダウン
Piranhaタンパク質を安定的に発現しているHEK293T細胞に、抗AKT pSer473抗体、非特異的IgGコントロール、バッファーのみ(ネガティブコントロール)をそれぞれエレクトロポレーションで導入した。総AKTおよびリン酸化AKTの発現量を評価したところ、導入5時間後に総AKT・リン酸化AKT双方の発現レベル低下が見られた。このことは、HEK293T細胞におけるAKTの大部分がリン酸化型であるという知見と一致する。


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価格

■Piranha mRNA

[在庫・価格 :2024年03月29日 18時15分現在]

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Piranha Electroporation-ready mRNA
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TRIM21をベースとしたPiranhaタンパク質のmRNA。本製品と標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで同時に細胞導入することにより,標的タンパク質を特異的にノックダウンすることができる。
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Piranha Electroporation-ready mRNA

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■Piranha組み込み用レンチウイルスベクター

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pCDH-CMV-Piranha-EF1-GFP-T2A-Puro virus
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。 TRIM21をベースとしたPiranhaタンパク質の遺伝子がパッケージングされた組換えレンチウイルス粒子。Piranha安定発現細胞株を樹立し,標的タンパク質に対する抗体をエレクトロポレーションで細胞導入することにより,標的タンパク質を特異的にノックダウンすることができる。
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pCDH-CMV-Piranha-EF1-GFP-T2A-Puro virus

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■樹立済みPiranha発現細胞株

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Piranha HEK293T GFP/Puromycin Stable Cell Line

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保存条件 液体窒素中での保存 法規備考
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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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