HOME > 試薬 > 遺伝子工学 > 遺伝子発現抑制 > shRNA/siRNA > HuSH shRNA Vector(Retro Vector)

プレデザインされたshRNA発現レトロウイルスプラスミド HuSH shRNA Vector(Retro Vector)

掲載日情報:2023/04/13 現在Webページ番号:4284

最適化された設計条件によってデザインされた29 merのshRNA 配列が組み込まれたレトロウイルスプラスミドです。ヒトまたはマウス、ラットの目的遺伝子に対するshRNA 配列のプラスミドコンストラクトとネガティブコントロールベクターがセットになっています。精製済みのプラスミドなので、構築する手間がかからず、低コストかつReady-to-useで使いやすい製品です。
OriGene社のRNAi研究関連製品のまとめについてはこちらをご覧下さい。
HuSH shRNA発現レンチウイルスプラスミドはこちらをご覧下さい。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

特長

  • 以下の条件を満たすようにデザインされています。
    • GC含量は、50% を理想値(目標値)として、30~70%の範囲で設計されています。
    • GC含量が3' 側よりも 5' 側で高くなるように設計されています。
    • 配列同士が相補鎖となってしまうような、パリンドローム配列は含まれません。
    • 配列は目的とする遺伝子座に特異的であり、その遺伝子座に含まれる転写バリアントをターゲットとしています。
  • U6プロモーターにより、shRNAが転写されます。
  • ヒトおよびマウスの両方とマッチングしている配列の製品もあります。
  • 一過性および安定的遺伝子抑制のどちらにも使用可能です。また、複数組み合わせて使用することもできます。
ベクター名 蛍光マーカー E. coli
選択マーカー
哺乳動物細胞
選択マーカー
ウイルス
パッケージング
pRS
プレデザインされたshRNA発現プラスミド HuSH 29
アンピシリン ピューロマイシン レトロウイルス
pGFP-V-RS
プレデザインされたshRNA発現プラスミド HuSH 29
GFP カナマイシン ピューロマイシン
pRFP-C-RS
プレデザインされたshRNA発現プラスミド HuSH 29
RFP クロラムフェニコール ピューロマイシン



目次に戻る

本製品を用いたダブルノックダウン実験

プレデザインされたshRNA発現プラスミド HuSH 29

Scrambled shRNA (GFP Vector)
+ Scrambled shRNA (RFP Vector)

プレデザインされたshRNA発現プラスミド HuSH 29

shRNA against RFP (GFP Vector)
+ shRNA against GFP (RFP Vector)

目次に戻る

納品物

HuSH shRNA Vector
  • 精製済みプラスミド(4種類)
  • スクランブルネガティブコントロール(1種類)

目次に戻る

HuSH shRNA Vector(Retro)のFAQ

クリックで展開します

Q-1. 各プラスミドベクターは何が違うのですか?

A-1. 以下の表をご覧下さい。

ベクター名 pRS pGFP-V-RS pRFP-C-RS pGFP-C-shLenti
商品コード TRxxxxxx TGxxxxxx TFxxxxxx TLxxxxxx
バクテリアでの選択マーカー アンピシリン
(100 μg/ml)
カナマイシン
(25 μg/ml)
クロラムフェニコール
(34 μg/ml)
クロラムフェニコール
(34 μg/ml)
パッケージ化されるウイルスの種類 レトロウイルス レンチウイルス
哺乳動物細胞での選択マーカー ピューロマイシン
スクランブルコントロールベクターの商品コード TR30012 TR30013 TR30015 TR30021
空ベクターの商品コード TR20003 TR30007 TR30014 TR30023
プラスミドのトランスフェクション時のレポーター なし GFP RFP GFP
ウイルスベクター感染時のレポーター なし GFP


Q-2. パッケージングで作成した組換えレトロウイルスを目的細胞へ感染させました。感染した細胞はtGFPやtRFPを発現するのでしょうか?

A-2. いいえ。CMV-tGFPとCMV-tRFPは、レトロウイルスによってパッケージ化される領域の外にあります。したがって、tGFPやtRFPの発現を利用してトランスダクションをモニターすることはできませんが、ピューロマイシン選択を利用して安定した細胞株を作成することは可能です。



Q-3. HuSH製品は遺伝子座特異的であると記載されています。標的遺伝子の変異体やアイソフォームの発現をノックダウンすることをどうやって確認すればよいですか?

A-3. 特に断りのない限り、shRNAコンストラクトはある遺伝子座のほとんどの転写バリアントに対して有効であるように設計されています。特定の転写バリアントに対するノックダウンコンストラクトをご希望の場合、OriGene社では特定のバリアントのみを選択的にノックダウンするカスタムHuSHプロダクトを作成することができます。



Q-4. 目的細胞への導入前に、HEK293細胞を用いて最も効果的なコンストラクトのスクリーニングを行うことはできますか?

A-4. 最も効果的なコンストラクトを特定するためには、すべてのコンストラクトを個別にスクリーニングすることをお勧めします。HEK293細胞は、すべてのヒトshRNAコンストラクトをスクリーニングするのに便利で、簡単にトランスフェクションできる細胞です。マウスshRNAにはNIH3T3、ラットshRNAコンストラクトにはOLN-93を使用して下さい。
また、pRS、pGFP-V-RS、pRFP-C-RSベクターを高いトランスフェクション効率(一過性トランスフェクションで80%以上)で導入できる細胞株であれば、スクリーニングに使用できます。
得られた有効なコンストラクトは、目的細胞へ、レトロウイルス感染による導入や、プラスミドベクターの直接のトランスフェクションに使用することができます。



Q-5. HEK293細胞で標的遺伝子が発現しておらず、かつ目的細胞のトランスフェクション効率が80%未満の場合、shRNAコンストラクトをスクリーニングして、最も効果的なものを選ぶにはどうすればよいですか?

A-5. HEK293細胞で標的遺伝子が発現していない場合、標的遺伝子の発現コンストラクトとshRNAコンストラクトを1:1の割合でHEK293細胞に一過性でコトランスフェクションすることによる確認が可能です。
また、目的細胞から安定細胞株を選択することもできます。なお、よく知られているとおり、ある細胞の成長に不可欠な遺伝子をサイレンシングした場合、そこから安定細胞株を得ることは困難です。



Q-6. ある遺伝子に特異的なshRNAコンストラクトのノックダウン効率を評価するために、どのような方法を推奨しますか?

A-6. トランスフェクション後72時間のshRNAコンストラクトのサイレンシング効果を評価するには、qPCRよりもウエスタンブロットを推奨します。ノックダウンを適切に評価するためには、標的特異的shRNAを導入した細胞と、付属のスクランブルコントロールベクターを導入した細胞で、遺伝子発現レベルを比較する必要があります。



Q-7. ヒト、マウス、ラット以外の生物種に対するHuSHコンストラクトを入手することはできますか?

A-7. OriGene社では、あらゆる生物種についてカスタムHuSHの設計・構築を行うことができます。必要な情報は、ターゲットとしたい配列のアクセッションナンバーのみです。



Q-8. レトロウイルス用のHuSH製品は、どのパッケージング細胞株でも使用できるのでしょうか?

A-8. OriGene社のpRS、pGFP-V-RSおよびpRFP-C-RSベクターは、市販のほとんどのパッケージング細胞株でウイルスパッケージングできるように設計されています。用いるパッケージング細胞が、以前にピューロマイシン耐性カセットを含むプラスミドでトランスフェクトされていないことを確認して下さい。
また、一部のパッケージング細胞株は、作成したウイルス粒子の種特異性が制限されているため、目的細胞株に感染できることを確認する必要があります。
ヒトやマウスの細胞株に感染させるためには、PT67細胞(Clontech)やPhoenix細胞などのパッケージング細胞を使用することをお勧めします。



Q-9. 製品はどのように使用すればよいでしょうか?

A-9. 5 μgのshRNA発現プラスミドを直接トランスフェクションして、遺伝子ノックダウン研究に使用することができます。
トランスフェクション後、細胞ライセートを得て、標的タンパク質に対する抗体を用いたウエスタンブロットでshRNAベクターの機能を確認することができます。また、トランスフェクトした細胞からRNAを抽出し、定量RT-PCRで遺伝子発現の消失を決定することができます。
必要であれば、shRNAプラスミドを大腸菌に導入して、増幅することもできます。



Q-10. プラスミドを導入した細胞を選択することはできますか?

A-10. はい、できます。トランスフェクションの1日後から、培地に0.5~1.0 μg/mlのピューロマイシンを添加することで細胞の選択を行えます。



Q-11. 機能するshRNAコンストラクトが組み込まれた安定細胞株を作るにはどうすればよいですか?

A-11. 安定細胞株の樹立には、以下の2つの方法があります。

一つ目の手法は、shRNA発現プラスミドの目的細胞へのトランスフェクションです。トランスフェクションの1日後から1~2週間の間、培地に0.5~1.0 μg/mlのピューロマイシンを添加することで細胞の選択を行えます。その間、必要に応じて継代を行って下さい。

二つ目の手法は、レトロウイルスパッケージング細胞株を用いて組換えレトロウイルス(ウイルスベクター)を作成し、これを用いた安定細胞株の樹立です。例えば、プラスミドをPhoenix helper-free amphotropic packaging cells lineに一過性でトランスフェクションします。トランスフェクションの2日後、細胞培養上清からレトロウイルスを回収・ろ過して、これを目的細胞株の感染に使用します。薬剤選択後、安定した細胞株を樹立することができます。



Q-12. 空のベクターはどのような用途に使われるのでしょうか?

A-12. 外来DNAを細胞に導入する実験では、空のベクターをネガティブコントロールとして使用して、非特異的な影響を排除することが重要です。また、このベクターは、お客様が作成したshRNAコンストラクトのクローニングにも使用できます。



Q-13. 遺伝子ノックダウンを示さないスクランブル配列が組み込まれたプラスミドはどのような用途に使われるのでしょうか?

A-13. HuSH製品の発現による非特異的な影響を排除するために、OriGene社では、各種プラスミドに下記のスクランブル配列を組み込んだネガティブコントロールを用意しています(製品ラインナップはA-1.の表をご覧下さい)。これらのプラスミドは、遺伝子特異的なノックダウン実験のネガティブコントロールとして機能し、インターフェロン反応の可能性の排除に使用できます。

組み込んだスクランブル配列:5' GCACTACCAGAGCTAACTCAGATAGTACT 3'



Q-14. コントロールコンストラクトの配列を教えて下さい。

標的遺伝子 組み込まれた
ベクター
商品コード 組み込んだ
29 mer配列
ホタル
ルシフェラーゼ
pRS TR30002 5' GGATTTCAGTCGATGTACACGTTCGTCAC 3'
eGFP TR30001 5' CACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCA 3'
tGFP TR30009 5' GCTACGGCTTCTACCACTTCGGCACCTAC 3'
pRFP-C-RS TR30016
tRFP pRS TR30017 5' CTTCAAGACCACATACAGATCCAAGAAAC 3'
スクランブル
(non-effective)
5' GCACTACCAGAGCTAACTCAGATAGTACT 3'



Q-15. HuSHコンストラクトを増幅するためには、特別な菌株の大腸菌を使用する必要があるのでしょうか?

A-15. HuSH増幅に特別な菌株は必要ありませんが、JM109の使用は推奨しません。OriGene社では、New England Biolabs社のDH5αを日常的に使用しています。



Q-16. HuSHプラスミドは高コピー数ですか、低コピー数ですか?

A-16. プラスミドは、高コピー数のOriを有していますが、ヘアピン構造(配列)により複製速度が遅くなるため、低コピー数プラスミドの増幅法を用いることをお勧めします。



Q-17. 安定細胞株の樹立には、組換えレトロウイルス(ウイルスベクター)へのパッケージングと、感染を利用しなければならないのでしょうか?

A-17. 目的細胞へのトランスフェクションの効率が非常に高い場合(例:80%以上)、レトロウイルスパッケージングを使用する必要はありません。トランスフェクション後24時間後に細胞を継代し、新しい培地にピューロマイシン(0.5~1 μg/ml)を添加するだけです。



Q-18. ピューロマイシンの最適な濃度はどのように決定すると良いですか?

A-18. 最適なピューロマイシン濃度を決定するために、各バッチの細胞についてキルカーブ検討の実施を強くお勧めします。



Q-19. pGFP-V-RS ベクター(#TGxxxxxx)のshRNAを購入した場合、どのポジティブコントロールshRNAベクターを選べばよいですか?

A-19. tGFPに対するHuSH 29-merが組み込まれたpRSベクター(#TR30009)が最適です。



Q-20. HuSHプラスミドの配列決定には、どのようなプライマーを使用すればよいですか?

A-20. shRNAコンストラクトはヘアピン構造のため、シークエンシングすることが非常に困難です。ご参考までに、シークエンス反応には、終濃度0.83MのBetaineや1×PCRx Enhancer(ThermoFisher Scientific社、#11495017)などのDNA緩和剤を添加することができます。

シークエンシングプライマーは、クローニング部位の3'末端に対応しており、以下の配列を有しています。
5' TTGAGATGCATGCTTTGCATAC 3'



Q-21. OriGene社では、遺伝子ノックダウンの検証のための製品を取り扱っていますか?

A-21. はい、OriGene社では、ノックダウン評価に使用できる以下の製品を、多数の因子について取り扱っています。

qPCRアッセイ(プライマーペアおよびqPCRスタンダード)
・タンパク質検出用のモノクローナル/ポリクローナル抗体



Q-22. shRNA発現プラスミドについて、OriGene社の保証はどのようになっていますか?

A-22. OriGene社は、shRNA発現カセットの配列が標的遺伝子と100%同一であることを保証します。

トランスフェクション効率が80%以上の場合、4つのコンストラクトのうち最低1つは70%以上の遺伝子発現をノックダウンすることが保証されています。トランスフェクション後72時間のshRNAコンストラクトのサイレンシング効果を評価するには、qPCRよりもウエスタンブロットデータを推奨します。ノックダウンを適切に評価するためには、標的特異的なshRNAをトランスフェクションした試料と比較して、含まれるスクランブルコントロールベクターの遺伝子発現レベルを使用する必要があります。

不適合なshRNAについては、shRNAキットの納品日から90日以内に交換品の依頼をしていただく必要があります。新しく設計されたコンストラクトとの無料交換をご希望の場合は、フナコシ(株)テクニカルサポートまでご連絡下さい。その際に、トランスフェクションの効率と、スクランブルshRNAコントロールと比較した遺伝子発現のノックダウンの測定データを提供して下さい(ウエスタンブロットデータを推奨します)。


目次に戻る

関連した特集記事

ノックダウン特集へのリンク

目次に戻る

ご注文方法

OriGene 社ウェブサイトにアクセスし、上部にある検索ボックスに遺伝子やAccession No. などを入力して下さい。



「Category」から「shRNA Plasmids」を選択して下さい。



「Format」が「Retroviral plasmids」が対象の製品です。
商品コードをお知らせ下さい。



目次に戻る

使用文献について

OriGene社shRNA(Retro Vector)の使用文献については、以下の2種類の方法でご確認いただくことができます。
厳選されたOriGene社製品の、代表的な使用文献のみを掲載しています。


① 使用文献一覧

OriGene社shRNA(Retro Vector)の使用文献一覧はこちらからご確認いただくことができます。


② 各製品の使用文献

OriGene社ホームページのSearchボックスで目的shRNAの検索を行い、検索結果を表示させると、文献掲載実績がある製品の場合、使用文献数が表示されます(下図参照)。
さらに製品名をクリックし、製品詳細のページへ移行すると、文献情報をご確認いただけます。

検索結果に文献が表示される例

使用文献の例

使用した製品:MMP9 Human shRNA(#TF311436)

  1. Yang, M., et al., Front. Oncol., 11, 779748 (2021). [PMID: 34926291]

目次に戻る

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。