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非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の研究に!! NAFLD / NASH研究用試薬

掲載日情報:2024/09/25 現在Webページ番号:69743

NAFLD / NASHの研究に有用な測定キット、染色試薬、化合物、NASHモデルなどをご紹介します。

本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
Cayman Chemical社のNASH研究関連製品はこちらをご覧下さい。
Cayman Chemical社の脂肪肝研究関連製品はこちらをご覧下さい。
Mercodia社のNAFLD/NASHと代謝調節異常研究関連製品はこちらをご覧下さい。

NAFLD / NASHとは

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、Non-alcoholic fatty liver disease)は、過剰なアルコール摂取に依らずに肝臓に脂肪蓄積が生じる脂肪肝で、(1)非アルコール性脂肪肝(NAFL、Non-alcoholic fatty liver、あるいは単純性脂肪肝)および(2)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH、Non-alcoholic steatohepatitis)に大別されます。NAFLの一部は、何らかの刺激により風船様変性/炎症反応/線維化が起こってNASHが発症し、さらに肝硬変、肝がんへと進行する可能性があります。

NAFLからNASH、肝硬変への進行

参考文献

  1. 日本肝臓学会、「NASH・NAFLDの診療ガイド2021」、文光堂、東京(2021).

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NAFLD / NASH研究のターゲット

インクレチン

NAFLD / NASHとインクレチン

インスリン分泌障害のある非糖尿病性NAFLDおよびNASH患者では、インクレチン(Incretin)であるGLP-1の分泌量の減少が認められています1。インクレチン効果の減少は、インスリン抵抗性および肥満に関連した耐糖能障害の初期徴候であることが示唆されています2。インクレチンをベースとした治療は、ALT(Alanine transaminase、アラニンアミノ基転移酵素)などの肝酵素に効果があり、肝脂質量を減少させ、その他の肝機能マーカーを改善することが示されています3,4

参考文献

  1. Bernsmeier, C., et al., PLoS One, 9(1), e87488(2014). [PMID:24489924]
  2. Junker, A.E., et al., J. Intern. Med., 279(5), 485(2016). [PMID:26728692]
  3. Carbone, L.J., et al., J. Gastroenterol. Hepatol., 31(1), 23(2016). [PMID:26111358]
  4. Fu Z.D., et al., World J. Diabetes, 12(1), 84(2021). [PMID:33520110]

インクレチン測定キット

メーカー略称製品説明
MRDヒト総GLP-1を特異的に定量できるELISAキット
MRDヒト総GIPを特異的に定量できるELISAキット

インクレチン関連製品

メーカー略称製品説明
MRD特異性に優れたサンドイッチ法のグルカゴンELISAキット
CAYGLP-1およびGIPのトリグリセリド誘発性分泌を媒介するFFAR1(GPR40)のアッセイキット

インスリン抵抗性

NAFLD / NASHとインスリン抵抗性

インスリン抵抗性(Insulin resistance, IR)はNAFLD / NASHとの関連性が高く、NAFLDはⅡ型糖尿病患者の数十%に及びます1,2。このインスリン抵抗性はグルコース産生の増加や高血糖症(Hyperglycemia)をもたらし、また、肝臓の脂質やリポタンパク質の代謝にも深刻な影響を及ぼします3。NAFLDにおいて、インスリン抵抗性はde novo lipogenesis(DNL)および白色脂肪組織における脂肪分解の増加を介して、肝臓の脂肪酸の増加に関与します3。肝臓の脂質蓄積はインスリンに対する肝臓の反応性を低下させ、その結果、循環血液中のグルコースの増加、ひいてはインスリンの増加をもたらし、慢性的な高インスリン血症を引き起こします4。また、マクロファージなどの免疫細胞は、NASHの進行に関与します。過度の肝臓の脂肪蓄積はマクロファージ/クッパー細胞の活性化を促進してインスリン抵抗性を悪化させ、肝臓の炎症および線維化をもたらします5

インスリン抵抗性の測定
インスリン抵抗性の指標の1つとして用いられるHOMA-IR(Homeostasis Model Assessment of Insulin Resistance)は、以下の計算式より算出します。

インスリン抵抗性指数の計算式

参考文献

  1. Khan, R.S., et al., Hepatology, 70(2), 711(2019). [PMID:30556145]
  2. Amiri Dash Atan, N., et al., Gastroenterol. Hepatol. Bed Bench, 10(Suppl1), S1(2017). [PMID:29511464]
  3. Reccia, I., et al., Metabolism, 72, 94(2017). [PMID:28641788]
  4. Kitade, H., et al., Nutrients, 9(4), 387(2017). [PMID:28420094]

インスリンおよびグルコースの測定キット

メーカー略称製品説明
MRD【定番】Mercodia社ヒトインスリン測定キット
MRDMercodia社マウスインスリン測定キット
MRDMercodia社ラットインスリン測定キット
ARB簡便かつ迅速、高感度でグルコース(Glucose)を定量するキット

インスリン抵抗性関連因子の測定キット

メーカー略称製品説明
KOMヒト、マウス、ラットのアディポネクチン測定キット
RSDヒト、マウス、ラットのTNF-α測定キット

インスリン抵抗性改善のターゲットと研究用試薬
品名をクリックすると商品の詳細、商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

ターゲットメーカー略称品名商品コード
MPC(Mitochondrial Pyruvate Carrier)阻害KOM抗MPC-2マウスモノクローナル抗体(クローン:JCM-1)AG-20B-0071-C100
阻害物質、UK 5099AG-CR1-3691
CAY16980
阻害物質、7ACC223445
Insulin感受性増感、CAY10415(別名:MSDC-0160)71748
チアゾリジン誘導体CAYRosiglitazone71742
KOMAG-CR1-3570
CAYPioglitazone71745
KOMAG-CR1-0067
PPARγアゴニストCAYPPARγ-LBD Ligand Screening Assay Kit 600616
FXR(Farnesoid X receptor)アゴニスト/リガンドCAYGW 406410006611
Fexaramine17369
Tropifexor25748
XL33523350
PEPFGF19100-32
PEPFGF21100-42
KOMCHI-MF-102FGF21
AG-40A-0091
GLP-1レセプターアゴニストKOMLiraglutideAG-CP3-0034
DNL阻害CAYFASN阻害物質、(±)-C7510005270
トリグリセリド合成阻害CAYDGAT-1、A-92250010012708
DGAT-2、PF-0642443917680
DGAT-1/2、Amidepsine A17774
脂肪滴測定FNA脂肪滴イメージング試薬、LipiDye®FDV-0027

酸化ストレス

NAFLD / NASHと酸化ストレス

酸化ストレスは、NAFLDからNASHへの進行において重要な要因の1つです1。この酸化ストレスの程度は、NASHの重症度との関連性が明らかになっています2。NASHにおける酸化ストレスの主な要因は、動物モデルでは肥満とインスリン抵抗性(IR)に起因する過剰な遊離脂肪酸(FFA)負荷です3。FFA負荷条件下では、ミトコンドリアのβ酸化が過剰になり活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)の産生が増加します4。酸化ストレス存在下では、ROSと細胞の抗酸化能のバランスが崩れて脂質過酸化(Lipid Hydroperoxide, LPO)が生じます5。また、NASHではOxLDL(Oxidized Low-Density Lipoprotein)レベルが増加し6、食後のOxLDLの増加はNADLD患者の組織学的重症度の予測を可能にします7。肝臓において、OxLDLはクッパー細胞のリソソーム内に捕捉され、肝炎症や炎症性遺伝子発現の増加をもたらします8。また、OxLDL投与した高脂肪食(High Fat Diet, HFD)マウスモデルでは、脂肪肝、線維化が悪化し、NASHの典型的な極めて強い炎症と重度の肝障害が生じます。HFDによる細胞内脂質酸化や細胞外からのoxLDLによる酸化の亢進が、肝脂肪性肝炎の発症に重要な役割を果たしていることが示唆されています9

参考文献

  1. Walenbergh, S.M., et al., J. Hepatol., 58(4), 801(2013). [PMID:23183522]
  2. Delli Bovi, A.P., et al., Front. Med. (Lausanne), 8, 595371(2021). [PMID:33718398]
  3. Petta, S., et al., Dig. Liver Dis., 41(9), 615(2009). [PMID:19223251]
  4. Lau、J.K., et al., J. Pathol., 241(1), 36(2017). [PMID:27757953]
  5. Chen, Z., et al., Free Radic. Biol. Med., 152, 116(2020). [PMID:32156524]
  6. Hendrikx, T. and Binder C.J., et al., Front. Endocrinol. (Lausanne), 11, 607011(2020). [PMID:33362721]
  7. Musso, G., et al., Ann. Med., 40(5), 383(2008). [PMID:18484349]
  8. Bieghs, V., et al., Liver Int., 33(7), 1056(2013). [PMID:23617943]
  9. YiMin, et al., Lab. Invest., 92(2), 265(2012). [PMID:22064320]

ピックアップ製品:FAOBlue®

FAOBlueを解説するコシオ先生と染色画像

図. FAO活性の抑制されたNASHモデルマウス由来細胞(中央図)と脂質代謝を亢進するbezafibrateを投与したNASHモデルマウス由来細胞(右図)

脂肪酸β酸化(FAO)はNASHやがんなどの疾患において大きく変動することが示唆されています。FAOBlue®は生細胞での脂肪酸β酸化の活性を青色蛍光によって可視化および測定を可能にします。


酸化ストレスのターゲットと製品ラインナップ

ターゲットメーカー略称製品説明
トリグリセリドCAYトリグリセリドを比色法により測定するキット(#10010303)
遊離脂肪酸CAY遊離脂肪酸を蛍光法により高感度に測定するキット
β酸化FNA生細胞の脂肪酸β酸化(FAO)活性の蛍光定量試薬、FAOBlue®
活性酸素種CAYDHEを用いた生細胞中の活性酸素種(ROS)測定キット
DCFDAを用いた生細胞中の活性酸素種(ROS)測定キット
ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)測定キット
LKT天然物由来Nrf2活性物質
酸化ストレスSTQ8-OHdGを競合法により測定するELISAキット
脂質過酸化CAY鉄イオンの酸化還元反応を用いて過酸化脂質(LPO)を測定するキット

フェロトーシス

NAFLD / NASHとフェロトーシス

フェロトーシス(Ferroptosis)は鉄依存的な脂質の過酸化によって引き起こされる細胞死です1。脂肪肝において、フェロトーシスはNASH発症時に炎症を誘発する最初の細胞死であることが明らかにされ、炎症を引き起こすきっかけとして重要な役割を担っていることが示唆されました2。このフェロトーシスの阻害によって、肝炎の発症が抑制されることも示されており2、NASHの予防・治療のターゲットとして期待されています。

参考文献

  1. Mao, L., et al., Cell Death Dis., 11(7), 518(2020). [PMID:32647111]
  2. Tsurusaki, S., et al., Cell Death Dis., 10(6), 449(2019). [PMID:31209199]

フェロトーシス関連製品

メーカー略称製品説明
CAYCayman Chemical社 フェロトーシス研究用試薬とキット(誘導物質、阻害物質、アッセイキット)
CAYGPx4阻害によるフェロトーシスを誘導する化合物
CAYメバロン酸経路関連フェロトーシス誘導化合物
CAYPUFA鉄酸化によるフェロトーシス誘導物質
CAYSystem XC-およびその下流の阻害によってフェロトーシスを誘導する化合物
ARIArigo Biolaboratories社 過酸化脂質/フェロトーシス研究用ELISAキット・抗体

肝線維化進行マーカー

肝線維化の指標:FIB-4 index

NAFLDにおける線維化のステージは予後を予測する重要な因子とされ1、正確な評価が重要です。肝線維化の指標として広く普及しているFIB-4 indexは、以下の計算式より算出します。

NASH-69743-FIB4-indexの計算式

参考文献

  1. Ekstedt, M., et al., Hepatology, 61(5), 1547(2015). [PMID:25125077]

ALTおよびAST活性の測定キット

メーカー略称製品説明
CAYアラニンアミノ基転移酵素(ALT)活性の測定キット
CAYアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)活性の測定キット

関連:NASHにおけるケラチン18の測定について

NASHにおける肝細胞の炎症は、主にアポトーシスによる肝細胞の細胞死によって引き起こされます。肝細胞のアポトーシスの初期段階で、カスパーゼが活性化され、ケラチン18(K18)が切断され、その結果生じた断片が血液中に放出されます。カスパーゼによって切断されたK18(ccK18)断片の定量とFIB-4を組み合わせることで進行性NAFLDのリスクの特定が期待できます。


関連製品(K18断片の測定キット、脂肪滴染色試薬、コラーゲン染色試薬)

メーカー略称製品説明
PVVカスパーゼにより切断されたK18断片をM30およびM5抗体を用いて測定するキット
FNA高感度な脂肪滴長時間イメージング試薬、LipiDye®
POL組織切片試料中のコラーゲン染色キット

NASHモデル


ピックアップ製品:ヒト肝マイクロアレイ

ヒト肝マイクロアレイと染色例

図. ヒト肝マイクロアレイ(左図:未染色)と染色例(中央図、右図)

ヒト肝組織のマイクロアレイ製品です。NASH、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪肝(NAS)およびアルコール性脂肪肝(AS)のマイクロアレイがあります。一度のアッセイで複数のドナー(最大20ドナー)を比較できます。


NASHモデルの製品および受託サービス

メーカー略称製品説明
SXTヒト肝組織(肝プレライセート製品、肝マイクロアレイ製品および肝ミクロソーム製品)
YNKNASHモデル動物(マウス、ラット)作製受託サービス

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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