HOME > 特集 > 制御性T細胞(Treg)研究関連製品

2025年ノーベル生理学・医学賞受賞に関連する研究用製品をご紹介! 制御性T細胞(Treg)研究関連製品

掲載日情報:2025/10/09 現在Webページ番号:72787

2025年のノーベル生理学・医学賞は末梢性免疫寛容に関する発見で、坂口志文博士(大阪大学 特任教授)、メアリー・ブランコウ博士(米国システム生物学研究所)、フレッド・ラムズデル博士(ソノマ・バイオセラピューティクス社)の3名が受賞されました。本ページでは制御性T細胞(Treg)研究に関連した製品をご紹介いたします。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


制御性T細胞(Treg)とは

制御性T細胞(Regulatory T-cells、Treg cell)は、免疫抑制特性を有し、自己寛容の維持において重要な役割を果たすリンパ球の部分集団です。その制御機能は、微生物やアレルゲンに対する免疫応答によって誘発される巻き添え的なダメージから組織を保護し、また妊娠中の同種異系胎児への母性寛容の促進や共生細菌叢との恒常性を維持しています 1)。Tregは、通常フォークヘッドボックス転写因子(FOXP3)を発現するCD4+ CD25high T細胞として特徴づけられます。Tregは、さらに胸腺(tTreg細胞)に由来するいわゆる天然型Tregと末梢誘導されたTreg(pTreg細胞)に分類されます 3)。tTregsとpTregs間の区別に当たってはまだ議論の余地を残しており、ヘリオス転写因子の発現および血管内皮増殖因子ファミリーのNeutropilin-1など数種のマーカーがtTreg独自の特徴であるとの提唱もあります 4)

参考文献

  1. Sakaguchi S., et al., Nat. Rev. Immunol., 10(7), 490-500(2010). [PMID: 20559327]
  2. Churlaud G., et al., Front Immunol., 6, 171(2015). [PMID: 25926835]
  3. Abbas AK., et al., Nat. Immunol., 14(4), 307-308(2013). [PMID: 23507634]
  4. Lin X., et al., Int. J. Clin. Exp. Pathol., 6(2), 116-123(2013). [PMID: 23329997]

目次に戻る

制御性T細胞とTh17細胞について

制御性T(Treg)細胞とTh17細胞は、いずれもCD4リンパ球のサブタイプで、対立する機能を有しています。これらの細胞のバランスが、自己免疫疾患および炎症の発症に関与しています。 Treg細胞ではForkhead box P3 transcription factor(Foxp3、別名scufin)が特異的に発現しており、T細胞の分化がTreg細胞にシフトした場合、免疫寛容が支配的になります。 一方、Th17細胞ではRAR-related orphan receptorγt(RORγt)とIL-17が特異的に発現しており、T細胞の分化がTh17細胞にシフトした場合、炎症が生じます。


目次に戻る

FOXP3とは

FOXP3は、FOXOやFOXM1を含む転写因子のForkhead/winged-helixファミリーに属する、制御性T細胞(Treg)の発生・分化と機能において重要な転写因子です。ARID1A、CHD8、MED15などのさまざまな補因子や、Bcl11b、FOXP1、FOXP4などの他の転写因子と相互作用し、遺伝子発現を選択的に制御する大きなタンパク質複合体を形成します。FOXP3の発現は、多くの場合、抗炎症性サイトカインの産生、抗原提示細胞機能の調節、エフェクター免疫細胞におけるアポトーシスの誘導をもたらします。FOXP3は、免疫寛容の誘導を助け、自己免疫反応を抑制することにより、免疫恒常性の維持に不可欠です。実際、FOXP3は自身の結合パートナーの転写を選択的に制御し、この免疫応答を微調整することができます。FOXP3の変異は重度の免疫調節異常を引き起こし、免疫調節障害、多発性内分泌障害、腸疾患、X連鎖のIPEX症候群を引き起こす可能性があります 5~7)

FOXP3とは

参考文献

  1. Lu, L., et al., “The regulation of immune tolerance by FOXP3”, Nat. Rev. Immunol., 17(11), 703-717(2017). [PMID: 28757603]
  2. Rudensky, A.Y., “Regulatory T cells and Foxp3”, Immunol. Rev., 241(1), 260-268(2011). [PMID: 21488902]
  3. Rudra, D., et al., “Transcription factor Foxp3 and its protein partners form a complex regulatory network”, Nat. Immunol., 13(10), 1010-1019(2012). [PMID: 22922362]


目次に戻る

関連した総説

下記の画像をクリックすると総説記事をご覧になれます。

がんに対する免疫反応の仕組みバナー

目次に戻る

製品ラインナップ

項目名をクリックすると該当箇所にページ内ジャンプします。


その他関連製品

項目名をクリックすると該当製品についてご覧になれます。

Treg細胞の検出

フローサイトメトリー(FCM)による検出

RSDロゴ

R&D Systems, Inc.
[メーカー略称:RSD]

フローサイトメトリーによるT細胞解析キット

制御性T細胞(Regulatory T cell、Treg)のフローサイトメトリー解析に有用な、蛍光標識マーカー抗体、アイソタイプコントロールおよび染色バッファーのセットです。
関連製品にFOXP3発現細胞のフローサイトメトリー解析に有用な細胞固定/透過処理用バッファーセットもあります。

PBMC中のTreg染色

ヒト末梢血単核細胞(PBMC)中の自然制御性T細胞(Treg)を細胞表面染色した



EXBロゴ

Exbio Praha a.s.
[メーカー略称:EXB]

フローサイトメトリーによる制御性T細胞測定キット

フローサイトメトリーを用いて、ヒト末梢血中またはヒト臍帯血の制御性T細胞(CD4+、CD25+、FOXP3+細胞)を測定するキットです。キットには、フローサイトメトリーを用いて制御性T細胞(Treg細胞)を測定するために必要な試薬がすべて含まれています。

ヒトリンパ球試料の解析

ヒトリンパ球試料の解析


免疫組織染色(IHC)による検出

BETロゴ

Bethyl Laboratories, Inc.
[メーカー略称:BET]

マルチプレックス免疫蛍光に最適な抗体パネル

免疫蛍光染色(IF)で検証済みの抗体が3~6種類セットになっています。チラミドシグナル増幅(Tyramide Signal Amplification、TSA)ベースのマルチプレックス免疫蛍光染色(mIF)に最適です。Panel 4(#A810-004)は、上皮性腫瘍組織+制御性T細胞検出用です。

FFPE扁桃腺組織の蛍光染色像

FFPE扁桃腺組織の
蛍光染色像



ARIロゴ

Arigo Biolaboratories Corp.
[メーカー略称:ARI]

腫瘍浸潤リンパ球抗体セット

  • 腫瘍組織のリンパ球を識別するのに最適です。
  • 一般的なT細胞マーカーである抗CD3抗体、細胞傷害性T細胞マーカーである抗CD8抗体、制御性T細胞マーカーである抗CD4抗体、およびB細胞マーカーである抗CD20抗体がセットになっています。
  • 免疫組織染色(IHC)において特に優れた性能を示します。
TILパネル使用例

ELISAによるT細胞産生サイトカインの同時測定

ARIロゴ

Arigo Biolaboratories Corp.
[メーカー略称:ARI]

Th1/Th2/Th17/Treg Multiplex ELISA Kit

試料中のヘルパーT細胞分化サイトカインを、比色により定量または半定量できるマルチプレックスなサンドイッチ法のELISAキットです。下記の3種類のキットがあります。
#ARG83516、ヒト用、測定因子:IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-10、IL-13、IL-17、IL-22
#ARG83388、ヒト用、測定因子:IFN-γ、IL-4、IL-10、IL-17
#ARG82914、マウス用、測定因子:IFN-γ、IL-4、IL-10、IL-17


Treg細胞マーカー抗体

マーカー名をクリックすると抗体が表示されます。

マーカー名発現
CD3ET細胞全般
CD4ヘルパーT細胞
CD25Treg細胞
FOXP3Treg細胞
BET社抗FOXP3抗体

扁桃腺のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片の免疫組織染色像
一次抗体:ウサギ抗FOXP3組換えモノクローナル抗体 [BLR281L](Bethyl社#A700-281)
二次抗体:HRP標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(Bethyl社#A120-501P

EXB社抗FOXP3抗体

ヒト末梢血試料のフローサイトメトリー解析
APC標識抗FOXP3抗体(Exbio社#1A-601)とPE標識抗CD25抗体で細胞内染色した。


Treg細胞関連タンパク質

組換え体、抗体、ELISA Kitをクリックするとそれぞれ該当製品が表示されます。

タンパク質名概要組換え体抗体ELISA Kit
CTLA-4 CTLA-4 / CD152(細胞傷害性Tリンパ球抗原4)は、共有結合ホモダイマーとして発現する膜貫通型T細胞阻害分子。T細胞の活性化から1~2日後に細胞内小胞から免疫シナプスに動員され、APC上のB7-1と線形格子を形成し、負の調節シグナルを誘導し、CD28依存性T細胞の活性化を終了させる。CTLA-4欠損マウスは、T細胞の継続的な活性化、およびCTLA-4を恒常発現する制御性T細胞による制御不良によって致死的な自己免疫反応を起こす。 組換え体 抗体 ELISA Kit
FOXP3 詳細はこちらをご覧下さい。 組換え体 抗体 ELISA Kit
IFN-γ 炎症状態にある様々な免疫細胞、特にT細胞やNK細胞によって産生される。Th1細胞の発生と活性化、単球とマクロファージの化学誘引と活性化、抗原提示分子のアップレギュレーション、B細胞の免疫グロブリンクラススイッチングを促進することで、宿主防御に重要な役割を果たしている。制御性T細胞の発達を促進し、Th17細胞の分化を抑制することで、抗炎症メディエーターとして機能する。 組換え体 抗体 ELISA Kit
IL-10 免疫調節においてIL-10は、抑制的作用と刺激的作用の両面で関与する。抗炎症性サイトカインとして機能し、Th1細胞とTh17細胞の増殖および活性化を抑制し、M2マクロファージの活性化を促進する。また免疫抑制細胞である制御性T細胞(Treg)と制御性B細胞によるIL-10の発現はTreg増殖において重要だが、腫瘍微小環境下では、IL-10はTregや骨髄由来抑制細胞の増殖を抑制する。 組換え体 抗体 ELISA Kit
IL-33 IL-1ファミリーの一員で、炎症性刺激を受けた多種類の細胞で発現し、細胞溶解時に放出されると考えられている。Th2様細胞、マスト細胞およびB1細胞などの多くの免疫細胞を標的とし、サイトカインやケモカインを産生させる。また、in vitroin vivoにおいて制御性T細胞(Treg)の増殖を促進し、脂肪細胞分化に関わることも分かってきた。 組換え体 抗体 ELISA Kit
IL-35 休止または活性化したエフェクターT細胞(Teff)ではなく、制御性T細胞(Treg)によって産生される新規のIL-12ファミリーのサイトカイン。IL-35は、EBI3およびIL-12a(p35)からなるヘテロ二量体タンパク質。EBI3はTreg細胞の発達と機能に必要な転写因子であるFoxp3の下流標的であり、結果としてTreg細胞のIL-35制限が起こる。制御性T細胞は、自己寛容を維持し、自己免疫を抑えるためには不可欠であり、IL-35はTreg細胞の免疫抑制機能を媒介する分子として同定された。抑制性サイトカインとして、IL-35はTreg細胞集団の増殖を誘導し、Th17細胞の発達を抑制する。 組換え体 抗体 ELISA Kit
LAG-3 活性化T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞およびAPC細胞上に発現する。MHC classⅡとの相互作用で、細胞の増殖、活性化およびホメオスタシスにおいて負の制御を行い、制御性T細胞(Treg)の機能において重要な役割を担うことが報告されている。 組換え体 抗体 ELISA Kit

Treg細胞への分化誘導

RSDロゴ

R&D Systems, Inc.
[メーカー略称:RSD]

ヒト制御性T細胞分化誘導用キット

  • ヒトのナイーブCD4+ T細胞を分離した後、サイトカインカクテル中でインキュベートすることにより、効率的にTreg細胞への分化が行えます。
  • 一貫性のある信頼性の高い結果が得られます。
  • 特別な機器は必要ありません。
分化ヒトTreg細胞によるIL-5、IFN-γおよびIL-17の検出<

分化ヒトTreg細胞によるIL-5、IFN-γおよびIL-17の検出


Treg細胞の機能解析

SBIロゴ

System Biosciences, LLC
[メーカー略称:SBI]

T細胞の動態解析用製品

制御性T細胞に特異的な因子(Foxp3)とTh17細胞に特異的な因子(IL-17、RORγt)の動態を解析する製品です。自己免疫疾患、炎症、がんなどにおける、これらの細胞の動態研究に有用です。Foxp3について、以下の製品があります。

  • Foxp3を恒常的発現(ヒト、マウス)または誘導発現(マウス)させるベクター(レンチウイルスベクターまたはPiggyBacシステム)
  • マウスFoxp3安定発現細胞株
  • マウスFoxp3のプロモーターの下流にGFPとルシフェラーゼの遺伝子を組み込んだレンチウイルスベクター
マウスのFoxp3

マウス細胞にFoxp3遺伝子を導入した後、誘導発現させた

レポーター細胞株

BPSロゴ

BPS Bioscience Inc.
[メーカー略称:BPS]

レポーター細胞株

プロモーター/
発現タンパク質
由来細胞株製品概要適用
Foxp3Jurkat ヒトFoxp3ルシフェラーゼレポーター構築物がJurkat T細胞のゲノムに安定的に組み込まれており、ヒトFoxp3プロモーターおよびFoxp3プロモーターの上流のエンハンサー様の保存された非コード配列によってホタルルシフェラーゼ遺伝子が制御される。
  • 刺激物質に対するFoxp3転写活性のモニター
  • Foxp3刺激分子を特異的に標的とする阻害物質の細胞ベーススクリーニングの確立
LAG3Jurkat ヒトLAG3を恒常発現し、NFAT応答因子制御下でホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現する組換えJurkat T細胞。
  • LAG3シグナル伝達の活性化物質または阻害物質のスクリーニング
  • LAG3の生物学的活性およびリガンドとの相互作用の評価



ABEロゴ

Abeomics, Inc..
[メーカー略称:ABE]

ルシフェラーゼレポーター細胞株

プロモーター由来細胞株レポーター遺伝子試験誘導物質関連シグナル伝達経路
FOXP3JurkatRenilla luciferasePMAFOXP3

Treg細胞

IGNロゴ

Ignyte Bio Inc
[メーカー略称:IGN]

特性が明確で高品質なヒト血液由来免疫細胞

制御性T細胞のほかにも、放射線照射済みPBMCや患者由来PBMC、抗原特異的T細胞なども提供しています。製品のメーカー在庫数やHLAタイプを含む多様なドナーの詳細情報は、メーカーのウェブサイトで常時確認できます。Ignyte Bio社の製品はロットごとに無菌試験が実施され、最も優れた生存率を得るために、常に新鮮な状態で採取・処理されています。


Treg細胞関連化合物

FNAロゴ

フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

新規免疫抑制物質PQA-18

in vitroおよびin vivoのいずれにおいても使用できる新規の免疫抑制物質です。IL-2、IL-4、IL-6、TNF-αの産生に関与するp21-activated kinase 2(PAK2)を強力に抑制します。
マウスの腹腔内注射において、制御性T細胞の細胞数を減少させ、Igの産生を抑制することが確認されています。

PQA-18の化学構造式

Treg細胞関連バイオシミラー

テプリズマブ(Teplizumab)はCD3Eを標的とするヒト化モノクローナル抗体です。Teplizumabのバイオシミラー、および坑Teplizumab抗体について、それぞれ下記をクリックするとご覧になれます。


目次に戻る

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。