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in vivo専用のmRNAトランスフェクション試薬 in vivo-jetRNA®+

掲載日情報:2022/11/25 現在Webページ番号:65887

様々なインジェクション方法、標的器官に対応したin vivo導入専用のmRNAトランスフェクション試薬です。Ready-to-useのリポソームベースの試薬で、脂質ナノ粒子(LNP)の調製に必要な装置などは不要です。

従来品のin vivo-jetRNA®の取り扱いは2022年で終了となります(従来品のWeb記事はこちらをご覧下さい)。
旧製品との比較データはこちらをご覧ください。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

in vivo-jetPEI+の製品外観
トランスフェクション試薬ガイドはこちら

in vivoでのmRNA導入について

個体へのmRNA導入は、核酸医薬において有望な手法として期待されています。mRNAの導入は、DNA導入に対する利点として❶高発現(核移行が不要)、❷ゲノムへのインテグレーションが無い、❸免疫への応答性が高いこと(mRNAが自己アジュバント活性を持つことと、十分な免疫反応に必要な抗原量が少なくて済むこと)が挙げられます。また、ウイルスを使用しないため、免疫療法や悪性細胞(malignant cells)を直接標的とする抗がん研究にも効果的な手法です。


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カチオン性脂質を用いたRNA医薬の導入とその問題点について

イオン性脂質ナノ粒子(LNP)はRNA医薬のin vivo導入に広く使用されており、主に肝臓を標的としています(Patisiran, BNTech162b, mRNA-1273など)。現在の課題は、市販の脂質を使用し全身投与されたRNAの生体内分布を適切にコントロールし、標的とする臓器や細胞に効果的に送達することです。LNPに使用される古典的なカチオン性脂質(DOTMAおよびDOTAP)は、毒性を誘発するトリメチルアンモニウム基が含まれています。そのほか、イオン化可能な脂質(DLin-MC3-DMA、SM-102、ALC-0315)も使用されていますが、生体内分布と安定性に制限があります。Polyplus社が開発したin vivo jetRNA®+はイミダゾリウムである極性頭部(Polar head)と正電荷を隠すR1官能基(R1 Functional Group)を有する独自のカオチン性構造の存在により、毒性が低減されています。

カチオン性脂質・イオン性脂質・in vivo-jetRNA+の構造

Basmah N.A., et al., Pharmaceutics, 13(2):206(2021). [PMID:33540942]
LNPの調製に使用できる新世代のカオチン性脂質LipidBrick IM21.7cについてはこちらをご参照下さい。



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特長

  • 適応性 :静脈、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮下など様々なインジェクション方法、標的器官で使用できます。本製品でカプセル化したmRNAを腹腔内投与すると、脾臓やリンパ節のほか、肝臓や肺、膵臓、子宮などにも輸送されます。
  • 安全性 :毒性が低く、動物の個体および器官の健康を維持します。
  • 時間短縮:インジェクション溶液は2段階で調製することができ、15分で動物に注射する準備が整います。
  • アプリケーション例:免疫応答誘発、抗腫瘍研究、CRISPR / Cas9システムを使用したin vivoでのゲノム編集、タンパク製剤の補給
  • マウスへの使用回数の目安(in vivo-jetRNA®+ 1 mlあたり):静脈内注射50回、筋肉内注射100回

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操作方法概略

in vivo-jetRNA+のインジェクション方法

キット付属のmRNA bufferで調製したmRNA(μg)と本試薬(μl)を1:2で混合し、インジェクションするだけのシンプルなプロトコルです。特殊な装置は必要なく、インジェクション用試薬の調製は15分で完了します。


マウスへインジェクションする際の推奨条件

インジェクション部位 出発条件 最適化範囲 インジェクション量
mRNA in vivo-jetRNA®+
尾静脈/眼窩後 10 μg mRNA
20 μl in vivo-jetRNA®+
10~20 μg 20~40 μl 200 μl
腹腔内 20 μg mRNA
40 μl in vivo-jetRNA®+
10~20 μg 20~40 μl 500 μl
皮下 5 μg mRNA
10 μl in vivo-jetRNA®+
5~10 μg 10~20 μl 100 μl
皮内 2 μg mRNA
4 μl in vivo-jetRNA®+
2~5 μg 4~10 μl 50 μl
筋肉内 5 μg mRNA
10 μl in vivo-jetRNA®+
5~10 μg 10~20 μl 100 μl


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使用例

in vivo-jetRNA+とDLin-MC3-DMA(LNPを形成)のmRNAカプセル化の比較

本製品またはDLin-MC3-DMA(LNPを形成)によるmRNAカプセル化の比較
A:mRNAのみ(lane 1)または本製品でカプセル化したmRNA(lane 2)のアガロースゲル電気泳動結果。本製品によりmRNAが完全にカプセル化されていることが分かる。
B:本製品(リポソームを形成)またはDLin-MC3-DMA(pH応答性カチオン性脂質、LNPを形成)を用いて、ルシフェラーゼをコードするmRNAをマウスへ静脈注射した。本製品では10 μgのmRNAを用い、mRNA buffer中でmRNA/本製品の比率が1:2(μg mRNA:μl試薬)となるようにリポソームを形成させた。注射から24時間後にルシフェラーゼの発現を確認したところ、本製品を使用した条件は、ワクチン用のゴールドスタンダードとして使用されている​LNPに匹敵する効率で遺伝子発現が観察された。


in vivo-jetRNA+でmRNAを導入したリポソームの安定性

本製品を用いて形成したmRNAカプセル化リポソームの安定性
A:本製品で形成させたmRNAカプセル化リポソーム(50 μg/ml)を、室温または4℃でグラフ中に記載の期間保存後、動的光散乱法(DLS)でリポソームのサイズを測定した。いずれの条件でも、リポソームのサイズは1か月後も安定していることが分かる。
B:本製品と小さいmRNA(1929 base;50、100、200、300 μg)を用いてリポソームを形成させ、グラフ中に記載の時間が経過した後にDLSでリポソームのサイズを測定した。mRNA濃度はリポソームのサイズに影響を及ぼすが、低濃度/高濃度のいずれにおいてもリポソームのサイズが安定していることが分かる。


in vivo-jetRNA+を用いた各種臓器・組織へのmRNAの導入

投入経路による各器官におけるmRNAの分布
ルシフェラーゼをコードするmRNA(μg)と本製品(μl)が1:2の比率となるよう混合し、腹腔内(A:20 μg mRNA)または筋肉内(B:5 μg mRNA)へインジェクションした。24時間後に、ルシフェラーゼの発現を測定した。腹腔内投与した場合、免疫応答に関わる脾臓やリンパ節を含め、肺や肝臓、脾臓、子宮など様々な臓器で発現が見られた。


in vivo-jetRNA+を用いてmRNAを導入した実験動物・臓器の健康状態

本製品による実験動物への安全性の評価(炎症性サイトカイン量の測定)
ルシフェラーゼをコードするmRNAと本製品を混合してmRNAカプセル化リポソームを形成し、マウスに静脈注射 (眼窩後注射) した。2~24時間後に血液を採取し、IL-6、IL-12、GM-CSF、IFN-γ、TNF-α量をELISA(IL-6)またはMACSPlexキットを用いて測定した。その際にポジティブコントロールとして、LPSを使用した。
本製品を導入した場合、炎症性サイトカインの発現が誘導されていないことが分かる。


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キット内容

  • in vivo-jetRNA®+ transfection reagent(1 ml)
  • mRNA buffer(60 ml)

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メーカーポスター

How cationic lipids offer new possibilities in the delivery of RNA therapeutics

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in vivo-jetRNA®(旧製品)との違いについて

in vivo-jetRNA®+(本製品)は旧製品と同じ陽イオン性脂質を含むリポソームベースの試薬になりますが、試薬の組成を改良することで安定性を高めています。本製品は旧製品を用いた場合と比較して、マウスの各臓器に対し同等以上のmRNA導入効率を示すことが確認されています。

in vivo-jetRNA+と旧製品の比較

マウスの各臓器に対する本製品および旧製品のmRNA導入効率の比較
本製品および旧製品を用いて、ルシフェラーゼをコードするmRNAを腹腔内注射により導入し、導入効率を比較した。mRNA(ug)と本製品(ul)が1:1(旧製品)または1:2(本製品)になるように混合した。
1 ugのmRNAあたりの推奨使用量が旧製品よりも増えています。in vivo-jetRNA®+のプロトコルをご参照のうえ、実験条件のご検討をお願いいたします。



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価格

[在庫・価格 :2024年04月18日 20時55分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
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納期 文献数
in vivo-jetRNA+
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説明文
mRNAの導入に特化したin vivo導入専用のトランスフェクション試薬。毒性が低く,様々なインジェクション方法,標的器官に対応する。シンプルかつ簡単なプロトコルで,15分で試薬が調製できる。
法規制等
保存条件 4℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年6月15日号 p.8

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mRNAワクチン研究・開発関連製品
トランスフェクション手法の紹介・比較

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in vivo-jetRNA+

文献数: 0

説明文 mRNAの導入に特化したin vivo導入専用のトランスフェクション試薬。毒性が低く,様々なインジェクション方法,標的器官に対応する。シンプルかつ簡単なプロトコルで,15分で試薬が調製できる。
法規制等
保存条件 4℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年6月15日号 p.8

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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