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ウイルスフリーでの核酸のドラッグデリバリーシステムに有用な脂質ナノ粒子 NanOZ-LNP Lipid NanoParticlesシリーズ

掲載日情報:2024/07/17 現在Webページ番号:70742

NanOZ-LNPは、様々な核酸(RNA、mRNA、siRNA、gRNA、cRNA、DNA)や低分子化合物などの封入(カプセル化)が可能な脂質ナノ粒子です。4種類の脂質を組み合わせて形成された脂質球状小胞であり、ウイルスフリーで安全かつ効率的なドラッグデリバリーシステム(DDS)を構築することができます。NanOZ-LNPシリーズには、以下の種類がラインナップされています。

NanOZ LNP-mRNA GFP、ホタルルシフェラーゼ(Firefly Luciferase)またはオボアルブミン(OVA)遺伝子をコードしたmRNAをカプセル化したLNPです。
NanOZ Fluo LNP-mRNA 蛍光標識(DiO、DiI、DiR)したLNPで、細胞内やin vivoイメージングにおいてLNPの挙動の観察に有用です。
NanOZ Dual Fluo LNP DiOで標識したLNP中にホタルルシフェラーゼ遺伝子およびCy5遺伝子をコードしたmRNAがカプセル化されています。
NanOZ empty-LNP 内包物がなく、表面が未標識のLNPです。コントロールとして有用です。

さらに、ご希望のmRNAの合成からLNPへのカプセル化まで対応するカスタムmRNA-LNP受託製造や、お手持ちのRNA、DNAまたは低分子化合物などの試料をLNPにカプセル化してご提供するLNPカプセル化受託サービスも承っています。

NanOZ-LNP/mRNA(Luc)(RNA 10 μg相当量)をヌードマウスへ腹腔内投与後25時間にわたる生物発光シグナルの継時変化

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NanOZ-LNP/mRNA(Luc)(RNA 10 μg相当量)をヌードマウスへ腹腔内投与後25時間にわたる生物発光シグナルの継時変化

NanOZ-LNP/mRNA(Luc)(RNA 10 μg相当量)をヌードマウスへ腹腔内投与3時間後の生物発光の生体分布

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NanOZ-LNP/mRNA(Luc)(RNA 10 μg相当量)をヌードマウスへ腹腔内投与3時間後の生物発光の生体分布

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RNA療法の現状と未来について

RNA療法分野では、近年、多くの重要なブレークスルーがもたらされています。数十年にわたる研究開発の結果、RNA治療薬は、タンパク質置換、免疫調節、および遺伝子編集を通じて、これまで不治だった病を治療する大きな可能性を秘めています。新型コロナウイルスによるパンデミックはRNA医学の力を見せつける結果となりました。RNAベースの治療法は、神経変性疾患から感染症、抗がん治療に至るまで、様々な症状の治療に期待されています。

効率的な遺伝子送達の課題

RNA治療薬は、安全性・再現性・汎用性が高いため、ワクチン接種、免疫腫瘍学、慢性および遺伝性疾患の治療などの医療分野に革命を起こす可能性を秘めています。しかし、裸のmRNAは不安定で、負電荷のために細胞に取り込まれにくく、また生体内で急速に分解されます。そのため、in vivoアプリケーションでmRNAを効率的に送達するためのシステムが必要です。非ウイルス遺伝子送達システムは、タンパク質発現の一時的な増強またはノックダウンを目的として、目的の細胞に核酸ペイロード(DNAおよびRNA)を送達するための効率的なアプローチです。この用途のために、OZ Biosciences(OZB)社では、遺伝子導入システムとしての脂質ナノ粒子(LNP)を既製品とカスタム品でご提供しています。現状、LNPを用いた製剤化は、遺伝子治療の最先端の送達プラットフォームであり、様々な疾患を治療するための有望な候補となっています。さらに、LNPは、siRNAによるアミロイドーシス疾患治療薬(Onpattro)が米国FDA(食品医薬品局)の承認を受けたほか、mRNA-LNPベースのSARS-CoV-2ワクチン(ComirnatyおよびSpikeVax)が広く流通しています。

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NanOZ-LNPとは

LNP(Lipid NanoParticles)はリポソームに類似した構造を有しており、様々な核酸(RNA、mRNA、siRNA、gRNA、cRNA、DNA)や低分子化合物などのカプセル化が可能です。LNPは、水性コアをそれぞれ異なる機能を有する4種類の脂質成分を組み合わせた脂質シェルが囲った構造をしています。通常は、LNPの剛性に寄与するコレステロール(図中B)、ステルス性(免疫反応回避)を付与するPEG-脂質(図中C)、核酸との複合体を形成する脂質(図中D)、安定性に寄与するヘルパー脂質(図中E)をあらかじめ定めた比率で複合体化し、核酸の活性を増強します。

NanOZ-LNP模式図A

NanOZ-LNPの模式図

NanOZ-LNPの模式図B
  • A:核酸/低分子化合物
    DNA、RNA(siRNA、mRNA、saRNA)、低分子化合物、タンパク質など
  • B:コレステロール
    剛性と完全性を付与し、エンドソームの放出を助ける。
  • C:PEG-脂質
    ステルス性(免疫反応回避)の付与および生体内循環を向上させる。
  • D:核酸との複合体を形成する脂質
    核酸と複合体を形成し、膜との融合、エンドソーム脱出を助ける。
  • E:ヘルパー脂質:安定性と構造に寄与する。

NanOZ-LNPの製造プロセス

マイクロ流体技術の使用により、目的分子をカプセル化したLNPを、希望の粒径で迅速かつ再現性高く作製できます。

NanOZ-LNPは、マイクロ流体技術を用いた高速混合により、正確な粒径で再現性高く製造される

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NanOZ-LNPは、マイクロ流体技術を用いた高速混合により、正確な粒径で再現性高く製造される

NanOZ-LNPによるDDSの原理

LNPは、内部コア内に目的の送達物(ペイロード)を保持する脂質ベースのドラッグデリバリーシステム(DDS、Drug Delivery System)です(下図参照)。核酸の場合、カチオン性脂質が主に静電的相互作用により遺伝物質を保持することにより、核酸はヌクレアーゼの分解から保護されます。LNPが生体内に投与されると、主にエンドサイトーシス現象の後に細胞内にペイロードを輸送できます。エンドソームでは、pHスポンジ効果によってLNPの完全性が損なわれて、核酸が細胞質へ放出されます。最終的には、細胞内の機構により輸送された遺伝物質が細胞内での反応に使用されます。LNPは、タンパク質の置換、免疫調節、および遺伝子編集などへの関与による数多くの医療用途に適用されています。

LNPカプセル化mRNAの細胞への取り込みと細胞内輸送

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LNPカプセル化mRNAの細胞への取り込みと細胞内輸送

NanOZ-LNPの動画解説

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特長

  • 脂質ナノ粒子(LNP)は、核酸を導入し翻訳させるための最も効果的で安全な送達システムです。
  • マイクロ流体技術により、サイズ分布のばらつきを抑え、高いカプセル化効率(>85%)を有しています。
  • RNA分解からの保護に加えて、細胞への取り込みを促進し、有効性が強化されています。
  • 内包するmRNAは、5'Cap 1構造と3'polyA tailを有し、ウリジン(U)が5 moUに置換されています。
  • 導入物がmRNAのため、プラスミドDNAとは異なり突然変異をもたらす遺伝子挿入は起こりません。
  • mRNAからのタンパク質発現はプロモーターに依存しないため、DNAからのタンパク質発現よりも迅速に発現します。
  • LNP-RNA濃度:100 μg/ml of 5moU(メトキシウリジン修飾) mRNA

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製品ラインナップ

  ☞ NanOZ LNP-mRNA    ☞ NanOZ Fluo LNP-mRNA    ☞ NanOZ Dual Fluo LNP    ☞ NanOZ empty-LNP  

商品コードをクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

品名 mRNA LNP 包装 商品コード
検出方法 コードしたmRNA 検出波長 検出方法 標識 検出波長
NanOZ LNP-mRNA(GFP
-NanOZ_LNP-mRNA(GFP)模式図
蛍光 GFP 励起 470~480 nm/蛍光 510 nm 2×250 μl LNP10500mRNA11
4×250 μl LNP11000mRNA11
10×500 μl LNP15000mRNA11
NanOZ LNP-mRNA(Luc
NanOZ_LNP-mRNA(Luc)模式図
生物発光* Firefly Luciferase 2×250 μl LNP10500mRNA12
4×250 μl LNP11000mRNA12
10×500 μl LNP15000mRNA12
NanOZ OVA-mRNA(OVA
NanOZ_LNP-mRNA(OVA)模式図
OVA 2×250 μl LNP10500MRNA41
4×250 μl LNP11000MRNA41
10×500 μl LNP15000MRNA41
NanOZ Fluo LNP-DiO
NanOZ Fluo LNP-DiO模式図🔍
蛍光 DiO 励起 487 nm
/蛍光 501 nm
2×250 μl LFO10500
4×250 μl LFO11000
10×500 μl LFO15000
NanOZ Fluo LNP-DiI
NanOZ Fluo LNP-DiI模式図🔍
蛍光 DiI 励起 549 nm
/蛍光 565 nm
2×250 μl LFL10500
4×250 μl LFL11000
10×500 μl LFL15000
NanOZ Fluo LNP-DiR
NanOZ Fluo LNP-DiR模式図🔍
蛍光 DiR 励起 748 nm
/蛍光 780 nm
2×250 μl LFR10500
4×250 μl LFR11000
10×500 μl LFR15000
NanOZ Dual Fluo LNP
(DiO/Cy5-mRNAFLuc)

NanOZ Dual Fluo LNP(DiO/Cy5-mRNAFLuc)模式図🔍
生物発光*
蛍光
Firefly Luciferase

励起 651 nm/蛍光 670 nm(mRNAをCy5で標識)
蛍光 DiO 励起 487 nm
/蛍光 501 nm
2×250 μl LDFO10500
4×250 μl LDFO11000
10×500 μl LDFO15000
NanOZ empty-LNP
NanOZ_empty-LNP模式図🔍
2×250 μl LNP10500
4×250 μl LNP11000
10×500 μl LNP15000

生物発光アッセイには、高純度かつエンドトキシンフリーでin vitro / in vivoにおける生物発光アッセイに有用なD-ルシフェリンカリウム塩・D-ルシフェリンナトリウム塩のご使用をお勧めします。
測定には蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡または蛍光イメージングシステム(NanOZ LNP-mRNA(蛍光色素による検出の場合))、生物発光対応の顕微鏡またはイメージングシステム(NanOZ LNP-mRNA(ホタルルシフェラーゼ(Luc)をコードしたmRNAの検出の場合))が別途必要です。


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推奨投与量

静脈(i.v.)
(ml/kg)
腹腔内(i.p.)
(ml/kg)
皮下(s.c.)
(ml/kg)
筋肉内(i.m.)
総量(ml)
マウス、ラット 5~20 5~20 5~20
(2~3 sites)
0.05~0.1
2 sites/day
モルモット、ハムスター 1~5 10~20 5~10
(2~3 sites)
0.1~0.2
2 sites/day
ウサギ 1~10 3~10 2.5~10
(2~3 sites)
0.25~0.5
2 sites/day
ブタ 1~10 1~20 1~3
(2~3 sites)
0.25~0.5
(最大 5 ml)

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使用例

3種類のLNPでLuc-mRNAを導入したヌードマウスの生物発光シグナル画像

ルシフェラーゼmRNA(Luc-mRNA)をDLinMC3DMA-LNP、DOTAP、およびNanOZ-LNPをベースとしたLNPに封入し、これをヌードマウスに腹腔内(i.p.)投与(投与量:RNA 10 μg相当量×1回)した3時間後に、Luc-RNAの局在化と生物発光シグナルをIVIS画像システム(PerkinElmer社)によりモニタリングおよび比較を行った。

DLinMC3DMA-LNP

DLinMC3DMA-LNP

DOTAP-LNP

DOTAP-LNP

NanOZ-LNP

NanOZ-LNP

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LNPによりLuc-mRNAを導入したヌードマウスの25時間にわたる経時的な生物発光の測定

マイクロ流体技術により製造されたNanOZ-LNPベースのLuc-LNPを使用した場合、導入後、少なくとも25時間は臓器周辺で高い生物発光シグナルが観察され、ルシフェラーゼの発現が確認できた。このことから、NanOZ-LNPは、幅広い核酸(DNA、ssDNA、mRNA、saRNA、siRNA)への適用の検討や、核酸送達試薬に用いる脂質について大規模ライブラリーからの迅速なスクリーニングへの使用が可能となった。

LNPによりLuc-mRNAを導入したヌードマウスの25時間にわたる経時的な生物発光の測定

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Check it out! NanOZ-LNP技術を利用した受託サービスのご案内

OZ Biosciences社では、NanOZ-LNP技術を利用した以下の受託サービスもご提供しています。詳細はカスタムNanOZ-LNP Lipid NanoParticles受託サービスをご覧下さい。

NanOZ-LNP Lipid NanoParticles Custom Service

Custom Lipid Nanoparticle Synthesis Workflow

  • カスタムmRNA-LNP受託製造:ご希望のmRNAの合成からLNPの作製に至るまで、全行程に渡る受託製造をご提供いたします。
  • LNPカプセル化受託サービス:お手持ちのRNA、DNAまたは低分子化合物などの試料をご提供いただき、メーカーにおいてLNPにカプセル化を行い、製品をご提供するサービスです。

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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