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mRNA送達用LNPの調製に用いる新世代カチオン性脂質 LipidBrick IM21.7c

掲載日情報:2023/07/14 現在Webページ番号:70860

DNA、mRNAおよびsiRNAなどの核酸を保護し、標的部位に送達するLNP(Lipid NanoParticles、脂質ナノ粒子)の調製に使用できる新世代のカチオン性脂質です。本製品と各種脂質などを組合せたものから、お手持ちのマイクロ流体システムにより、目的の体内分布に適用させたLNPを調製することができます。

各種送達試薬による各臓器へのmRNA送達の比較

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各種送達試薬による各臓器へのmRNA送達の比較

ルシフェラーゼmRNAを、リポソームベースのin vivo-jetRNA®+(#101000122)または本製品(カチオン性脂質)を用いたLNP、およびイオン化脂質を用いたLNP(Onpattro:RNAi治療薬で使用されているものと類似組成)を使用して静脈内注射(眼窩後)によりマウスに注射した。in vivo-jetRNA®+および各LNPは、マウス1個体あたり7.5 μgのmRNAとともに使用した。注射24時間後にルシフェラーゼの発現量を比較した。イオン化脂質を使用して形成したLNPは主に肝臓に送達され、一方で本製品を使用して形成したLNPは主に肺と脾臓に送達されることがわかる。

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LNPの役割と新世代カチオン性脂質について

LNPの役割

LNP(Lipid NanoParticles、脂質ナノ粒子)は、Pfizer-BioNTech社やModerna社のメッセンジャーRNA(mRNA)ベースの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンなど、DNAおよびRNA治療薬の開発と製造において重要な役割を果たしています。LNPは、mRNAをカプセル化して標的細胞に輸送する非ウイルス送達媒体として機能します。送達先でLNPからmRNAが放出され、細胞内で翻訳されることで、免疫応答を誘発する目的のタンパク質が生成されます。LNPは、カチオン性またはイオン化脂質、構造リン脂質、PEG 脂質、コレステロールなどのさまざまな種類の脂質で構成されています。


LNPの構成成分

LNPは、以下の3種類の分子で構成されています。

活性脂質
(カチオン性/イオン化脂質)
  • 正に帯電した脂質は、負に帯電した核酸と相互作用する。
構造脂質(リン脂質)
  • LNPの剛性を保ち、安定化させる。
モジュレーター
  • PEG-脂質:立体的安定性を提供し、血液中の循環期間を延長する。
  • コレステロール:膜の流動性と安定性を高め、膜との融合を促進する。


mRNAワクチンの製造プロセス

mRNAワクチンの製造プロセスではマイクロ流体システムが使用され、合成したmRNAと脂質混合物が層流内で均質化された後、mRNA-LNPの自己集合(self-assembly)が誘導されます(図1)。得られたLNPは、下流でさらに処理、精製、分析されます。スケールアップが可能で再現性のある、高品質なLNPの生産のためには、調製ステップとマイクロ流体混合を深く理解することが重要となります。

カチオン性/イオン化脂質
カチオン性/イオン化脂質
コレステロール コレステロール
カチオン脂質と核酸の錯体形成 カチオン脂質/核酸錯体との接触によりヘルパー脂質とコレステロールが凝集する。 表面のPEG化脂質が疎水テール部を内部に向けて配向する 高い再現性を持つ、均一な粒子が形成される。
ヘルパー脂質 ヘルパー脂質 カチオン脂質と核酸の錯体形成	カチオン脂質/核酸錯体との接触によりヘルパー脂質とコレステロールが凝集する。 表面のPEG化脂質が疎水テール部を内部に向けて配向する このプロセスにより、均一な粒子と高い再現性を構築される。
LNPの生成
PEG化脂質 PEG化脂質
mRNA mRNA

図1.マイクロ流体システムを使用したLNPの調製


LipidBrickとは

送達(デリバリー)分野の第一人者であるPolyplus社は、LNPに使用される一連のカチオン性脂質を開発し、LipidBrickと名付けました。これらの「活性脂質」は、DNA、mRNAおよびsiRNAなどの核酸を保護し、標的細胞に送達します。LNPの電荷は、mRNA-LNPの生体内分布と発現に影響を与えることが知られています。そのため、LNPに正電荷を付加することで、LipidBrickは効力とターゲティングの点で現在の応用範囲を広げます。LipidBrickは、LNPの全体的な電荷を変化させ、生体内での分布を変化させることができます。

  • イミダゾリウムを極性頭部基に使用することで、低毒性を実現しています。
  • 本製品を用いて調製したLNPが、in vivoで毒性および炎症反応を生じないことを確認済みです。
  • 本製品はjetMESSENGERおよびin vivo-jetRNA®+にもすでに使用されており、効率と安全性を実証済みです。
  • 研究用試薬として知的財産(IP、Intellectual Property)の制約を受けることなく入手することができ、mRNA治療薬市場の需要に応え、よりシンプルでコスト効率の高い製造ルートを提供します。
LipidBrick IM21.7cの構造

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図2.LipidBrick IM21.7cの構造

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ready-to-use(調製済み)のin vitro / in vivoトランスフェクション試薬とLipidBrick

Polyplus社では、LipidBrickと同じカチオン性脂質を含んだready-to-useのトランスフェクション試薬jetMESSENGERおよびin vivo-jetRNA®+を販売しています。jetMESSENGERin vitroin vivo-jetRNA®+in vivoにおいてmRNAの導入に最適化されたready-to-useのトランスフェクション試薬です。

品名をクリックすると、製品の詳細をご覧いただけます。

品名 使用条件 製品概略
jetMESSENGER in vitro 穏和な条件下で、幅広い細胞に高効率でmRNAを導入できるトランスフェクション試薬です。神経細胞、幹細胞、免疫細胞、線維芽細胞など、特にトランスフェクションが困難な種々の細胞にも高い効率で導入可能です。mRNAのトランスフェクションがDNAと同じくらい容易で、mRNAが発現のために細胞核に到達する必要がなく、また効率的な遺伝子発現のために細胞分裂も必要としません。そのため特別な機構を持つ細胞の遺伝子発現に有用です。
in vivo-jetRNA®+ in vivo さまざまなインジェクション方法、標的器官に対応したin vivo導入専用のmRNAトランスフェクション試薬です。Ready-to-useのリポソームベースの試薬で、脂質ナノ粒子(LNP)の調製に必要な装置などは不要です。



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特長

  • 効率的LNPの特性を調整して、目的に応じて体内分布を適応させることができます。
  • 安全性:炎症誘発性が低く抑えられています。
  • プロジェクトの促進in vitroおよびin vivoにおいて実証済みです。
  • 特性:カチオン脂質
  • 形状:粉末
  • 化学式:C59H117ClN2
  • M.W.(分子量):890.03
  • CAS番号:2416939-42-7

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比較例

本製品を用いて調製したLNPの特性評価

本製品(カチオン性脂質)を使用して活性脂質、構造脂質、モジュレーター比率を変更することにより、許容範囲の粒子サイズ(<200 nm)、カチオン電荷(約20 mV)、およびmRNAカプセル化効率(100%)を兼ね備えるLNPを得ることができた(図3-A~C)。

比較実験に用いた試料

  • 水色:リポソームベースのin vivo mRNAトランスフェクション試薬in vivo-jetRNA®+(#101000122
  • 黄色:本製品(カチオン性脂質)を使用して調製したcLNP
  • 濃紺色:Dlin-MC3-DMAイオン化脂質を使用し、Onpattro(RNAi治療薬)で使用されているものと類似組成の市販LNP
粒子径の比較

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図3-A.粒子径の比較

推奨プロトコルでin vivo-jetRNA®+を使用して形成したリポソーム、およびmRNA 250 μg/mlを使用し室温で1時間複合体を形成させた各LNPの粒子径を動的光散乱(DLS、Dynamic Light Scattering)で測定した。

ゼータ電位の比較

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図3-B.ゼータ電位の比較

推奨プロトコルでin vivo-jetRNA®+を使用して形成したリポソーム、およびmRNA 250 μg/mlを使用し室温で1時間複合体を形成した各LNPのゼータ電位を電気泳動光散乱(ELS、Electrophoretic Light Scattering)で測定した。

カプセル化効率の比較

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図3-C.カプセル化効率の比較

in vivo-jetRNA®+または各LNPを使用したルシフェラーゼmRNAのカプセル化効率をを、RiboGreenキットを用いて比較した。

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本製品を用いて調製したLNPの安定性の比較

本製品を用いて調製したルシフェラーゼmRNAを含むLNPを3か月にわたり4℃で保存し、経時的にCaCO-2細胞に導入して、ルシフェラーゼ発現量により、その安定性を確認した(図4)。
mRNAを含有するLNPを4℃で保存した場合、LNPの非常に高い安定性と良好な発現との相関関係が示された。本製品を用いて調製したLNPは3か月以上非常に安定していることが示された。

ルシフェラーゼの発現によるLNPの安定性の比較

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図4.ルシフェラーゼの発現によるLNPの安定性の比較

本製品を用いて調製したルシフェラーゼmRNAを含むLNPを4℃で、5、10、13週間保存し、それぞれをCaCo-2細胞に導入した後、ルシフェラーゼ発現を測定した。リポソームは、ルシフェラーゼmRNAを使用し、推奨プロトコルでリポソームベースのin vivo-jetRNA®+(#101000122)を使用し、新たに調製したものを用いた。

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本製品を用いて調製したLNPの安全性の比較

イオン化脂質(Dlin-MC3-DMA)を用いたLNPとの比較により、本製品(カチオン性脂質)を用いたLNPが炎症促進反応に及ぼす影響を評価した。in vivo毒性の予測バイオマーカーの包括的な評価を行うことを目的として、病理学的反応による発現量の変化と関連する血中のサイトカイン量を測定した。
本製品がイオン化脂質を使用したLNPと同等のサイトカインプロファイルを有し(図5)、また炎症誘発性反応をほとんど引き起こさないことが示された。

カチオン性脂質を用いたLNPの炎症促進反応に及ぼす影響の評価

図5.本製品(カチオン性脂質)を用いたLNPの炎症促進反応に及ぼす影響の評価

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ルシフェラーゼmRNA 10 μgを使用したmRNA-LNP 200 μlをマウスに静脈内注射(眼窩後注射)した。注射後2~24時間後に血液を採取し、MACSPlexによってIFN-γ、TNF-α、GM-CSF、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、IL-17A、IL-23の量を測定し、ELISAによってIL-1α、IL-1β、IL-6の量を測定した。ポジティブコントロールとネガティブコントロールとしてLPS(200 μg)とPBSをそれぞれマウスに投与した。サイトカインの機能ごとの分類についてはTurnerらの報文1を参照した。


参考文献

  1. Turner, M.D., et al., "Cytokines and chemokines: At the crossroads of cell signalling and inflammatory disease", Biochem. Biophys. Acta., 1843(11), 2563~2582 (2014). [PMID:24892271]

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メーカ-ポスター

下の画像をクリックすると、本製品のさまざまな使用例を紹介しているメーカーのポスターをご覧いただけます。

Novel generation of cationic LNP offer new possibilities in the delivery of RNA therapeutics

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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