フナコシニュース連載企画 「FRONTIERS」3Helix 社の紹介

掲載日情報:2018/10/12 現在Webページ番号:65168

Frontiers

Vol.39 変性コラーゲンに結合し,三重らせん構造を形成するプローブ

3Helix 社は米国ユタ州のソルトレイクシティに拠点を置き,コラゲナーゼや機械的な損傷などにより変性したコラーゲン鎖を特異的に検出するプローブ(CHP)を取り扱っています。
今回は創立者の一人で,現CEO を務めるDr. Yang Li(ユタ大学 特任助教)にお話を伺いました。

3Helix 社の紹介


予想外だった…変性コラーゲンにのみ結合するペプチド(CHP)の発見

私は,ジョンズ・ホプキンズ大学のDr. Michael Yu のもとで,生物工学や医療分野で役立つ新しいタンパク質/ペプチド材料の設計を目指して研究していました。コラーゲンと特異的に結合する性質があるペプチド(CHP)を見つけたのは,2012年です。実は,この発見には私たち自身も少々驚きました。もともと,CHP は「インタクトなコラーゲンに結合する」と予想していたのですが,実際には変性コラーゲンにのみ結合したのです。
これまでの手法では変性・分解コラーゲンの検出が困難だったということを知り,このプローブの価値に気づいたのは,CHPを開発した後でした。



CHP(Collagen Hybridizing Peptide)の検出原理

ここがスゴイ!
CHP(Collagen Hybridizing Peptide)の検出原理

生体内などで見られるコラーゲンのほとんどは,そのタイプに関わらず三重らせん構造を形成しています。コラーゲンは,コラゲナーゼによる消化や機械的損傷などによって変性することが知られています。
CHP(別名:CMP,Collagen mimetic peptide)は,この変性コラーゲンに特異的に結合 して三重らせんを形成するプローブです。コラーゲンマトリックスの構造を分子レベルで評価することができ,また脱細胞化組織作製プロトコルの最適化などに応用することができます。




論文の反響に手ごたえを感じ,製品化へ

2012 年,私たちの論文がPNAS に掲載された[PMID:22927373]のですが,以来「CHP を提供してもらえないか」というリクエストを他の研究者からたびたび受けるようになりました。
私たちはこのテクノロジーがとても重要なものになりうると感じました。コラーゲンはほとんどすべてのタイプの組織を構築する成分であり,コラーゲンの変性と損傷はその部位に健康上の問題があることを示唆しているからです。
やがて2015 年,CHP を商品として広く提供するため,3Helix 社の設立にいたりました。製品化にあたっては,CHP のIHC(免疫組織染色)における適用についてバリデーションを行いました。それには様々な病理学上の条件を満たす組織試料を入手しなければならず,およそ2 年という時間を費やしましたが,幸いにもNIH(アメリカ国立衛生研究所)の資金サポートを得て,やり遂げることができました。その結果については論文として発表しています。
ACS Nano, 11(10), 9825~9835(2017).[PMID:28877431]

現在,製品としては5-FAM 標識のF-CHP と,ビオチン標識のB-CHP があり, 蛍光検出などの様々な適用に対応できます。使用・測定に特別な機器や技術は不要です。



加熱変性したブタ靭帯中コラーゲンの,CHP による解析
(左):F-CHP による検出
(右):B-CHP およびHRP-NeutrAvidin による検出

CHP(Collagen Hybridizing Peptide)




アカデミックユーザー様多数,特に医学系研究に有用

たくさんのユーザー様から「CHP は満足いく結果を出せる唯一の試薬だ」とのお声をいただいています。2018 年8 月現在,5 報以上の使用文献が発表されています。また,米国をはじめとする各大学のユーザー様に多くご使用いただいており,約26% のユーザー様から2 回目以降のご注文をいただいています。

CHP で
できること
✓ 分子レベルでコラーゲン組織の機械的損傷とその局在を検出できます
✓ SDS-PAGE ゲル中および加熱処理した組織試料中の,全タイプのコラーゲンを可視化できます
(熱などでコラーゲンを変性後,抗コラーゲン抗体や従来のコラーゲン染色試薬の代わりとして使用)
✓ 変性コラーゲンとの結合により,多様な疾患による組織損傷やリモデリングを検出できます
✓ 脱細胞化した細胞外マトリックス中のコラーゲンの変性評価を行えます



現在の
CHP ユーザーの
内訳
CHP(Collagen Hybridizing Peptide)




このような
ユーザー様にも
オススメです
✓ コラーゲン組織の病理学や心筋梗塞,骨関節炎,線維症といったECM 分解疾患を研究している
✓ 腱,靱帯,皮膚,角膜,心臓弁などの支持組織の損傷や機械的挙動を研究している
✓ 再生医療のための脱細胞化組織スキャフォールドや脱細胞化手法を研究している
✓ 線維症,傷の治癒,骨疾患などのコラーゲン関連疾患に対する新しい治療の効能をテストしている
✓ スキンケア製品開発で新製品の安全性と効能をテストしている


臨床診断への応用を目指して

3Helix 社は社員数5 名のスタートアップ企業ですが,たくさんのユーザー様のご支持を受けて成長を続けています。
将来的な臨床用途での利用を目指し,既に臨床医と協力して製品テストやイメージング試薬の開発を行っています。
CHP ユーザーによる研究が,様々な疾患分野におけるバイオマーカー利用の科学的基盤となり,将来的な臨床利用への道を切り開いていくと期待しています。

使用例

  • 組織中コラーゲンの損傷・変性の,程度と局在を検出できます。


CHP(Collagen Hybridizing Peptide)の使用例 検出試薬:F-CHP(緑)
核対比染色:Hoechst 33342(青)
変性した軟骨(左図)には高度に分解されたⅡ型コラーゲンによる5-FAM 蛍光が見られる。
CHP(Collagen Hybridizing Peptide)の使用例 検出試薬:B-CHP およびAlexaFluor 647-streptavidin
心筋梗塞後7 日目のマウス心臓(左図)には変性コラーゲンにB-CHP が結合しており, 結合量に応じたAlexaFluor 蛍光(青~黄)が見られる。

特長

  • 動物種を問わずすべてのタイプのコラーゲンに適用できます。
  • 抗原賦活化の必要はなく,パラフィン包埋切片・凍結切片の いずれでも使用できます。
  • 分子量がIgG の2% 程度と小さく組織透過性が高いため,薄切していない試料全体の染色に使用できます。

製品記事,使用例紹介記事はこちら

CHP(Collagen Hybridizing Peptide)68060

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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