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クライオスカーレス(CryoScarless®) DMSOフリー

高生存率の細胞凍結保存液
クライオスカーレス(CryoScarless®) DMSOフリー

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:4040

ビーエムジー /
(株)ビーエムジー
[メーカー略称:BVD]

クライオスカーレスDMSOフリーは,タンパク質やDMSOを含まない,各種細胞用の凍結保存液です。解凍後も様々な培養細胞で高い生存性を示し,幹細胞の多分化能(未分化状態)も維持されます。

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DMSOを含む保存液の問題点について

DMSOは一般的に細胞凍結保護成分として保存液に添加されていますが,人体に有害な成分としても知られており,特に皮膚からの吸収性が高くなっています。細胞毒性を有するほか,下記の報告のように,細胞の分化に影響を及ぼす因子の一つであることが明らかとなっています。より正確な実験結果を得るためには,DMSOを含まない条件での保存が必須です。

  • ヒト前骨髄性白血病細胞株HL-60はDMSOにより顆粒球へ分化する1
  • マウスの骨髄間葉系幹細胞はDMSOにより心筋細胞へ分化する2
  • ヒトES細胞をDMSO含有保存液で凍結保存すると,未分化マーカーであるOct-4の発現が低下する3

参考文献

1. Jiang, G., et al., Int. Immunopharmacol., 6 (7), 1204~1213 (2006).
2. Young, D. A., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 322 (3), 759~765 (2004).
3. Katkov, I. I., et al., Cryobiology, 53 (2), 194~205 (2006).


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特長

クライオスカーレス外観
  • 血清およびタンパク質成分は含まれていないため,アルブミンやグロブリンなどのタンパク質による影響を受けません。
  • DMSOによる毒性やタンパク質の影響が無いため,安全かつ高い生存率での細胞の凍結保存が可能です。
  • ほとんどの細胞で,凍結・融解後でも90%以上の生存率を示します。
  • ヒト/マウスの正常細胞,腫瘍細胞株,幹細胞など,様々な細胞で凍結保存効果が示されています。
  • 幹細胞も分化能を維持したまま凍結保存できます。
  • 無血清培養にも適しています。
  • 無菌試験により細菌,真菌,マイコプラズマの混入がないことを確認しています。
  • 本製品は4℃で長期間安定に保存できます(有効期間2年)。

クライオスカーレスで保存した細胞にトリパンブルー処理する際には,必ず細胞を洗浄してください。


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使用例1

クライオスカーレス_ラット間葉系幹細胞の分化能

ラット間葉系幹細胞の分化能

本製品で凍結保存したラット間葉系幹細胞の解凍後の分化能を調べ,非凍結群と10% DMSOの場合と比較した。本製品で凍結した細胞は,いずれの分化能も良く維持されていることがわかる。

クライオスカーレス_ラット間葉系幹細胞の生存率

ラット間葉系幹細胞の生存率

本製品で凍結保存(1週間)したラット間葉系幹細胞の解凍後の生存率と,6時間後の生存率を測定し,10% DMSOの場合と比較した。解凍直後(0 h),接着後(6 h)の生存率も共に本製品で凍結した場合の方が高い生存率を示した。


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使用例2

CryoScarless® DMSO-Freeによる簡易的凍結保存後のマウスES細胞

実験方法:

マウスES細胞(FKHR+/+)をゼラチンコートした96ウェルプレートで37℃,48時間培養した後に,簡易凍結保存を行った。培地を吸引し,PBSで洗浄した後,10% DMSO/培地,またはCryoScarless® DMSO-Freeを添加し,-80℃で保存した。24時間後に速やかに解凍し,37℃に加温した培地を加えて引き続き37℃で培養した。6時間後に光学顕微鏡下で位相差像を観察した。

結果:

マウスES細胞を10% DMSO/培地中で保存した場合には,解凍後生存細胞の減少が観察されたが(写真左),CryoScarless® DMSO-Free中で保存した場合にはこれが改善され,多数の生存細胞が観察された。

所感:

CryoScarless® DMSO-Freeは,遺伝子導入後に多数のクローンを培養プレートごと一括ストック(簡易的凍結保存)する場合に使用しやすい。この保存方法では,CryoScarless® DMSO-Freeの方が生存細胞が多いため,未分化マウスES細胞の継代培養(一定細胞密度で2日毎の継代)に移行しやすく,分化実験がスムーズに開始できる。

データ提供:

熊本大学発生医学研究所 幹細胞部門 組織幹細胞分野 田村潔美先生

クライオスカーレスで簡易的凍結保存後のマウスES細胞 田村潔美先生

小川峰太郎先生(組織幹細胞分野教授:中央),田村潔美先生(右から2番目)と研究室の皆様


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使用例3

in vivoクライオスカーレスDMSO フリーは,ヒト歯髄由来の間葉系幹細胞の凍結保存に優れる

日本歯科大学生命歯学部 発生・再生医科学講座 中原 貴 教授
生命歯科学講座 望月 真衣 助教

Establishment of xenogeneic serum-free culture methods for handling human dental pulp stem cells using clinically oriented in-vitro and in-vivo conditions.

Stem Cell Research & Therapy,, 9:25, (2015).


背 景

再生医療が身近になった昨今,患者から得られる間葉系幹細胞をより安全に培養する手法の確立が急務である。近年,歯科治療で抜歯された歯の組織(歯髄)から得られた間葉系幹細胞は,骨髄の幹細胞よりも3~4 倍の高い増殖を示し,染色体異常を伴う細胞変化を認めないことが明らかになっている。さらに歯髄幹細胞は,骨髄幹細胞と同等の多分化能を有する。体外培養で大量に増やすことができて,がん化や腫瘍化のリスクが低い歯髄幹細胞の活用は,医療の安全が担保された再生医療の魅力的な選択肢といえる。
このたび筆者らは,再生医療において必須となる「細胞凍結保存」にあたり,クライオスカーレスDMSO フリー(BioVerde 社)が優れた細胞凍結保存液であることを明らかにした。すなわち,同細胞保存液で凍結保存したヒト歯髄幹細胞は,凍結保存を行わずに培養した歯髄幹細胞と同等の増殖能と多分化能を有し,さらに染色体異常も認めなかった。
本レビューは,歯髄幹細胞の活発な増殖能に着目し,クライオスカーレスDMSO フリーが細胞増殖能に影響を及ぼさないことを報告する。


方法および結果

成人20~37 歳の抜歯した智歯から歯髄細胞を分離して無血清培養を行い,継代数1 でクライオスカーレスDMSO フリーを用いて凍結保存した。3 か月後に凍結保存した細胞をふたたび培養し,継代数3 で以下の細胞評価を行った。あわせて,凍結保存を行わない歯髄細胞も同様に評価した。
位相差顕微鏡で細胞の形状を観察したところ,紡錘形の線維芽細胞様形態に変化は認められなかった( 図-1 )。増殖曲線解析の結果,培養12日間を通じて,同様の細胞増殖パターンを示し,両者に統計学的有意差は認められなかった( 図-2 )。さらに,Bromodeoxyuridine(BrdU)による細胞分裂能解析を行った結果,対数増殖期において多くのBrdU陽性細胞が観察され,それらの細胞数に統計学的有意差は認められなかった( 図-3 )。


まとめ

本レビューで報告した細胞増殖能評価のほか,クライオスカーレスDMSO フリーで凍結保存された歯髄幹細胞は,骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨芽細胞への多分化能に加えて,免疫不全マウスの皮下移植による硬組織形成能も維持されており,同製品は幹細胞特性に影響を与えることはなかった。
さらに特筆すべきは,クライオスカーレスDMSO フリーで凍結保存した歯髄幹細胞は,継代数10 まで長期培養した後も染色体の二倍体性と正常な核型を保持しており,大量培養した細胞においても染色体異常が見られないことが確認された。
再生医療では不可欠となる細胞の凍結保存にあたり,凍結保護剤として使用されるDimethyl sulfoxide(DMSO)は,細胞毒性や予期せぬ細胞分化の恐れがある。そのため,同製品のようにDMSO を使用しない細胞凍結保存システムの確立が望ましい。
本レビューでは,容易に得られる歯髄由来の間葉系幹細胞を用いて,クライオスカーレスDMSO フリーの幹細胞特性に対する影響を検討し,未凍結の歯髄幹細胞と同等の細胞特性を有することを報告した。したがって,クライオスカーレスDMSO フリーは,間葉系幹細胞を用いた基礎研究および前臨床研究,さらに将来の再生医療において,安全で予知性の高い研究データや治療成績が期待できる細胞凍結保存液である。



図-1 ヒト歯髄幹細胞の位相差顕微鏡像

図1
クライオスカーレスDMSO フリー凍結保存(左)および未凍結(右)のいずれも同様な線維芽細胞様形態を呈する。

図-2 ヒト歯髄幹細胞の増殖曲線解析

図2
培養期間を通じて,両者に統計学的有意差は認められなかった。

図-3 ヒト歯髄幹細胞の対数増殖期におけるBrdU 解析

図3
多くの細胞にBrdU の取り込み(緑)が観察され(左),両者のBrdU 陽性細胞数に統計学的有意差は認められなかった(右)。

研究室の皆様

中原 貴 教授(前列右),望月 真衣 助教(前列左)と研究室の皆様


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使用実績のある細胞と凍結保存効果

細胞株生存率(%)
L929マウス線維芽細胞97.5 ± 1.2
MG63ヒト骨肉腫細胞93.1 ± 2.3
HT1080ヒト線維肉腫細胞90.2 ± 4.3
Colon26マウス結腸癌細胞92.3 ± 2.3
B16F1マウスメラノーマ細胞94.2 ± 0.6
KBヒト口腔癌細胞91.8 ± 0.9
Caco2ヒト結腸癌細胞93.7 ± 1.9
MC3T3マウス骨芽細胞94.4 ± 0.5
Jurkat E6-1ヒト白血病細胞88.4 ± 2.5
HUVECヒト臍帯静脈内皮細胞89.9 ± 0.4
HCAECヒト冠状動脈内皮細胞90.1 ± 1.6
MEFマウス胎児線維芽細胞94.4 ± 0.8
hAChヒト軟骨細胞93.5 ± 0.7

-80℃で3か月凍結保存・融解後24時間目

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操作方法概略

1. 培養細胞をチューブに入れ,遠心分離し,上清を除去する。

2. 本製品を加えて5×105~5×106 cells/mlになるように細胞を懸濁し,1 mlずつ保存用チューブに分注する。

3. -80℃のディープフリーザーに入れて凍結させる。

4. 3.の状態で保存された細胞を,37℃の恒温槽中で振とうしながら速やかに解凍し,適切な培地(10 ml程度)で遠心洗浄する。

長期保存の場合には液体窒素中で保存する。

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サンプルあります!

本製品は,小包装のサンプル品をご用意しています。ご希望の方は専用申込みフォームに必要事項をご記入の上,ご利用の販売店ご担当者へお渡し下さい。

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価格

[在庫・価格 :2023年12月01日 11時51分現在]

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CryoScarless DMSO-Free

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説明文 タンパク質やDMSOを含まない,各種細胞用の凍結保存液。
法規制等
保存条件 4℃ 法規備考
掲載カタログ 再生医療研究細胞培養カタログ2017-2018 p.72
ニュース2023年2月15日号 p.20
ニュース2022年3月15日号 p.20

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