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がんco-therapyのための初期候補物質探索を支援します 免疫療法研究用製品(BPS Bioscience社)

掲載日情報:2022/05/20 現在Webページ番号:70239

BPS Bioscience社では、腫瘍研究に有用な幅広い免疫チェックポイント関連タンパク質に対応したアッセイキットや、阻害因子スクリーニング用キットを取り扱っています。

BPS Bioscience社 免疫チェックポイント研究用製品/受託サービスのご案内

下表の項目をクリックすると、各製品のラインナップがご覧いただけます。


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免疫チェックポイントと免疫療法

がんは、免疫システムの防御と病変細胞の適応の間のバランスが崩れることにより生じ、初期の段階では、がん細胞は免疫システムによりそのほとんどが死滅します1。しかし、免疫調節分子を乗っ取り生き残るがんもあり、このことが免疫を抑制する腫瘍微小環境(TME、tumor microenvironment)に寄与し、そこで腫瘍が限度のない成長が可能になります。長年の研究を重ねることで、免疫を抑制するTMEの克服のための治療法が考案されました。その中でも最良とされるものが、T細胞応答能を増強する治療用抗体です2。この抗体によって、死亡率の高いがん患者の余命の延長が可能になりました。

一方で、こうした治療用抗体は多くのがん患者では反応せず、治療が不可能なままでした3。がん細胞は、治療の選択の圧力下でも耐性を進化させ、その複雑な適応性によって単剤療法だけでの治療は困難となっています。治療用抗体に関連する研究の多くは、この問題を克服するための併用療法の発見を目的にしています。多くの場合、がんは単剤療法や画一的なアプローチが困難です。しかし、HIV治療の「ドラッグカクテル」と同様に、がんの併用療法の組み合わせを改善することにより、病気への対処が可能になります。

免疫チェックポイントタンパク質とレセプター相関表

免疫チェックポイントタンパク質とレセプター相関表



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チェックポイント阻害因子の併用(CTLA4およびPD-1)

最も重要な治療用抗体は、細胞表面に発現する免疫調節受容体を標的とするものです。これは、免疫系細胞とそれ以外の細胞との間の相互作用を調節しています。特に最も効果的な2つの標的因子は、免疫チェックポイントの阻害因子であるCTLA4PD-1です。

T細胞は、通常T細胞受容体(TCR)とペプチド結合したMajor Histocompatibility Complex(MHC)、およびCD28とB7リガンド(CD80またはCD86)との相互作用によって活性化されます(右図)。T細胞のCTLA4の発現は、活性化時に上方制御され、CD28結合においてB7と競合が可能になります。この競合は、さらなるT細胞の活性化を抑制する負のフィードバックループを提供します。活性型T細胞もPD-1を発現しています。末梢において、PD-1は正常細胞で発現するレセプターのPD-L1またはPD-L2に結合します。この相互作用により、SHP-2経路を介するT細胞の免疫抑制のシグナル伝達されます。

CTLA4 とPD-1による免疫チェックポイントの阻害

CTLA4 とPD-1による免疫チェックポイントの阻害

CTLA4およびPD-1免疫チェックポイント経路を標的とする治療用抗体は、現在最も成功している単剤療法です。CTLA4は、最初の臨床的に成功したチェックポイントターゲットであり、B7との相互作用の阻害によってT細胞応答が増加および延長します(右上図)。CTLA4およびPD-1経路を標的化した治療用抗体を組み合わせることで有効性が高まり、転移性黒色腫に対しても有効性が認められています4


免疫チェックポイントの標的化のための細胞ベースアッセイ

免疫チェックポイント阻害因子を標的とした細胞ベースアッセイ

免疫チェックポイント阻害因子を標的とした細胞ベースアッセイ


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PD-1との併用療法のための標的因子としてのLAG3

抗原提示細胞とがん細胞1

抗原提示細胞とがん細胞

LAG-3は、PD-1に関与する免疫抑制性受容体の一つであり、がんのモデルにおいて抗LAG-3中和抗体は有効です(下図)。MHCクラスⅡは、LAG-3に対する最初のリガンドレセプターとされ、この相互作用は免疫療法における有望な標的とされています5。しかし、免疫系のLAG-3の制御におけるMHCⅡの役割には、様々な議論があります5~7

抗原提示細胞とがん細胞2

抗LAG-3中和抗体によるLAG-3経路の阻害

LAG3:FGL1生化学的アッセイ

LAG-3のMHCⅡ独自のリガンドであるFGL1の発見は、免疫療法研究における近年の突破口となりました。FGL1は、多くのがんにおいて過剰発現されていることから、免疫療法の標的として期待されています8

免疫チェックポイント阻害因子を標的とした細胞ベースアッセイ

免疫チェックポイント阻害因子を標的とした
細胞ベースアッセイ(抗LAG3抗体の阻害効果の検証)



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Janus Kinase/STAT経路

JAK(Janus Kinase)/STAT翻訳因子経路は、サイトカインレセプターの調節、およびいくつかのがんに関するJakおよびJakとSTATの活性異常はいくつかのがんと関連しています9。PD-L1は、JAK/STAT経路により制御され、JAK阻害因子はNSCLC腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を減少させます。JAK/STAT経路によるPD-L1の制御は、免疫チェックポイント阻害因子とともに共療法の標的となります10

Janus Kinase/STAT経路


STATレポーターアッセイの検証

STATレポーターアッセイの検証

JAK2生化学的アッセイ

下図に単離したJAK2キナーゼドメインを用い、JAK2酵素活性を直接標的化した測定例を示した。

STATレポーターアッセイの検証

JAK2生化学的アッセイの測定例


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PARPとキナーゼの併用

Poly-ADP-Polymerase

PARP阻害因子は、卵巣および乳がん、特にBRCA 1/2変異を伴う腫瘍の治療薬として期待されています。しかし、PARP阻害に関する毒性が、PD-L1の発現とDNA損傷の増加も誘導します11

VEGFR

VEGFRは、腫瘍の血管新生に中心的な役割を果たしています11
血管新生経路は、DNA修復機構に関与しており、PARPとVGFR阻害因子の併用は治療プロファイルの改善を示しています12。毒性の低減を目的としたPARP、VEGFRおよびPD-1の併用を標的としてについても研究されています11

VEGFR

PARPとVEGFR生化学的アッセイの測定例

PARPとVEGFR生化学的アッセイの測定例


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多発性骨髄腫の標的因子としてのBCMA

BCMAは、プラズマ細胞において発現しているレセプターの一つで、多発性骨髄腫において恒常的に発現しています13BCMAは、2つのサイトカインによって活性化されます。BAFFは、MAPK8/JNKシグナル伝達経路の活性化を誘導し、APRILはB細胞の発生に関与しています14

BCMAは、多発性骨髄腫に対するPD-1ベースの薬剤とCAR-T療法との組み合わせにおける標的として研究されています15

BCMA-Reporter-Assay


BCMAに対する生化学的および細胞ベースのアッセイは、CAR構成物とBCMAを基軸としたシグナル伝達の阻害因子のスクリーニングに有用です。

PARPとVEGFR生化学的アッセイの測定例

HEK293レポーター細胞を用いたAPRILによるBCMA経路の活性化の測定例


BCMA:リガンドの生化学的アッセイの測定例

BAFF-BCMA-Assay-C


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CAR-TによるBCMA標的化の最適化方法

CAR-T療法の初期段階では、scFv、細胞毒性のシグナル伝達ドメイン、および膜貫通リンカーの結合の最適化が必要です。BCMAは、第1世代のアプローチを用いた臨床試験の成功後のCAR-T療法の一般的な標的とされています。

CAR-T療法
抗BCMA CAR Jurkat/NFAT-ルシフェラーゼを安定発現するレポーター細胞株

BPS Bioscience社では、CAR-TレンチウイルスとJurkat/NFATルシフェラーゼレポーター細胞株を用いて☞ 抗BCMA CAR Jurkat/NFAT-ルシフェラーゼを安定発現するレポーター細胞株を開発しました。この細胞株は、患者由来のT細胞の形質転換前のCAR構成物の最適化に有用です。



BCMA CAR/Jurkat NFAT共培養レポーターアッセイの測定例

BCMA CAR/Jurkat NFAT共培養レポーターアッセイの測定例

BCMA CHO Cell LineのフローサイトメトリーによるBCMA発現の検証例

BCMA CHO Cell Line(#79500 -H/-L)のフローサイトメトリーによるBCMA発現の検証例

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資料 IMMUNOTHERAPY

下の画像をクリックすると、☞ IMMUNOTHERAPY(Brochure))をご覧いただけます。

IMMUNOTHERAPY(Brochure)

☞ IMMUNOTHERAPY(Brochure)

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参考文献

  1. Chen, D.S. and Mellman, I., "Oncology meets immunology:the cancer-immunity cycle.", Immunity, 39(1), 1~10 (2013). [PMID:23890059]
  2. Li, J. et al., "Immune checkpoint receptors in cancer: redundant by design?", Curr. Opin. Immunol., 45, 37~42 (2017). [PMID:28189879]
  3. Marshall, H.T. and Djamgoz, M.B.A, "Immuno-Oncology: Emerging Targets and Combination Therapies.", Front Oncol., 8, 315 (2018). [PMID:30191140]
  4. Khair, D.O, et al., "Combining Immune Checkpoint Inhibitors: Established and Emerging Targets and Strategies to Improve Outcomes in Melanoma.", Front Immunol., 10, 453 (2019). [PMID:30941125]
  5. Andrews, L.P., et al., "LAG3 (CD223) as a cancer immunotherapy target.", Immunol. Rev., 276(1), 80~96 (2017). [PMID:28258692]
  6. Baumeister, S.H., et al., "Coinhibitory Pathways in Immunotherapy for Cancer.", Annu. Rev. Immunol., 34, 539~573 (2016). [PMID:26927206]
  7. Huard, B., et al., "Characterization of the major histocompatibility complex class Ⅱ binding site on LAG-3 protein.", Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 94(11), 5744~5749 (1997). [PMID:9159144]
  8. Wang, J., et al., "Fibrinogen-like Protein 1 Is a Major Immune Inhibitory Ligand of LAG-3.", Cell, 176(1~2), 334~347 (2019). [PMID:30580966]
  9. Vainchenker, W. and Constantinescu, S.N., "JAK/STAT signaling in hematological malignancies.", Oncogene, 32(21), 2601~2613 (2013). [PMID:22869151]
  10. Pitroda, S.P., et al., "JAK2 Inhibitor SAR302503 Abrogates PD-L1 Expression and Targets Therapy-Resistant Non-small Cell Lung Cancers.", Mol. Cancer Ther., 17(4), 732~739 (2018). [PMID:29467274]
  11. Jiao, S., et al., "PARP Inhibitor Upregulates PD-L1 Expression and Enhances Cancer-Associated Immunosuppression.", Clin. Cancer Res., 23(14), 3711~3720 (2017). [PMID:28167507]
  12. Zimmer, A.S., et al., "A phase I study of the PD-L1 inhibitor, durvalumab, in combination with a PARP inhibitor, olaparib, and a VEGFR1-3 inhibitor, cediranib, in recurrent women's cancers with biomarker analyses.", J. Immunother. Cancer, 7(1), 197 (2019). [PMID:31345267]
  13. Zarnegar, S., et al., "Novel activating BRAF fusion identifies a recurrent alternative mechanism for ERK activation in pediatric Langerhans cell histiocytosis.", Pediatr. Blood Cancer, 65(1), (2018). [PMID:28748614]
  14. Mackay, F. and Schneider, P., "TACI, an enigmatic BAFF/APRIL receptor, with new unappreciated biochemical and biological properties.", Cytokine Growth Factor, Rev 19(3~4), 263~276 (2008). [PMID:18514565]
  15. Wang, H., et al., "Immune checkpoint blockade and CAR-T cell therapy in hematologic malignancies.", J. Hematol Oncol., 12(1), 59 (2019). [PMID:31186046]

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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