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生細胞の膜相状態を定量的に観察できます! LipiORDER <Membrane Lipid Order Imaging Dye>

掲載日情報:2020/12/01 現在Webページ番号:69336

フナコシ /
フナコシ株式会社

LipiORDERロゴ

LipiORDERは環境応答性の蛍光色素で,生体膜の相状態(Lipid order)Lo/Ldをイメージングにより定量的に観察することができます。生細胞中でも高い化学的安定性を示し,細胞膜や細胞内膜など各種膜構造の相状態を観察することができます。

本製品は高知大学 教育研究部総合科学系複合領域科学部門 仁子陽輔博士の研究成果をもとにフナコシ株式会社が製品化し,販売しています。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


LipiORDERのイメージと神経細胞の染色例

LipiORDERのイメージと神経細胞の染色例
生体膜の相状態に依存した本試薬の蛍光特性の変化(左)と神経細胞神経突起部位の染色例(右)



生体膜の相状態(Lipid order)とは

生体膜を構成する脂質には様々な種類があり,その脂質組成により膜の状態が大きく異なると考えられています。例えば飽和脂肪酸だけで構成される脂質膜は密度が高く強固にパッキングされるため秩序相(Lo)と呼ばれ,不飽和脂肪酸を含む脂質で構成される脂質膜は密度が小さく無秩序相(Ld)と呼ばれています。このような脂質の微小環境は相状態(Lipid order)と呼ばれます。単純モデルではLoとLdは分離し明確な相分離がおこりますが(図参照),細胞の生体膜には様々な脂質が含まれるため,図中のモデルのような単純な相分離ではなく総和の性質が反映された相状態となります。
また,相状態は膜タンパク質の存在にも影響を受けると考えられおり,実際の細胞の膜上における相状態はさらに複雑です。細胞の膜上のLoは脂質ラフト(Lipid raft)と呼ばれることもあり,生体膜の機能性ドメインとして注目されています。このような脂質膜相状態の観察は生体膜の流動性や硬さなど膜の生物物理学的性質を理解するうえで重要と考えられ,その解析手法が期待されています。

脂質膜の相状態のイメージ

脂質膜の相状態のイメージ

近年,溶媒の分子極性に応答して色調が変化する蛍光色素(solvatochomic dye)が生体膜の相状態の可視化に利用されており,Laurdanやdi-4-ANEPPDHQ,Nile Redがその一例として挙げられます。これらの分子極性応答性蛍光色素は相状態に応じて蛍光波長が変化することから,特定の励起光における2波長の蛍光を検出し,その蛍光強度比を取得することで相状態を半定量的に分析することが可能です(詳しくは後述の「原理」をご参照ください)。
しかし,これらの試薬は細胞内局在が不均一である点や光に不安定である点などの実用化における課題がありました。本製品LipiORDERは高知大学 仁子陽輔博士,Strasbourg大学 Andrey Kylmchenko博士らのグループが開発した新規ピレン誘導体蛍光プローブ(原著論文名PK)で,LoおよびLd上で蛍光特性が異なる点を利用して生体膜の相状態を定量的に解析することが可能です。Laurdanに比べて極めて高い光安定性を示し,生細胞でも化学的に安定なため生細胞イメージングに優れています。



参考:膜の相状態イメージングの活用例

相状態は脂質膜の流動性を決めるパラメーターと考えられており,Laurdanをはじめ相状態イメージングは様々な生命現象の解析で利用されています。Laurdanは相状態に応じて蛍光波長が青色(Lo)から緑色(Ld)と変化することから,青色および緑色の2波長における蛍光を観察し,その蛍光強度比(緑色蛍光強度/青色蛍光強度)やGP値(generalized polarization;(Fblue-Fgreen/Fblue+Fgreen)と呼ばれる計算値を用いることで相状態の評価に使用されてきました。例えば,外部刺激(薬剤処理や酸化ストレスなど),遺伝子操作(特定遺伝子の過剰発現やノックダウン)による細胞形態構造の変化とその際の相状態の解析が行われています。また,細胞種間の相状態比較も細胞の機能解析の一環として観察されています。


相状態イメージングの活用例

Laurdanは2波長蛍光を観察後,観察像から蛍光比(またはGP値)を算出し,疑似カラーによるレシオ型の画像解析を行う。



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原理

LipiORDERは溶媒の分子極性に応じて蛍光特性が変化する溶媒極性応答性蛍光色素(Solvatochromic fluorescent dye)です(図1)。また,本試薬は脂質膜に対する親和性が高く,細胞の膜構造に濃縮します。この2つの特長により,本試薬は膜内部の極性に応じて蛍光が緑色から赤色に変化します。相状態は脂質のパッキング密度を反映しており,疎らなパッキングであるLdでは極性が高く,密なパッキングであるLoでは極性が低いことが知られており,膜構造の極性を観察することで相状態を定量的に観察することができます(図2上)。実際に,モデルLo相(sphingomyelin/Cholesterol; SM/Chol)においては,緑色蛍光(蛍光極大~510 nm)を示すのに対し,モデルLd相(dioleylphosphatidylcholine;DOPC)においては長波長シフトが起こり赤色蛍光(蛍光極大~575 nm)を示します(図2下)。また,SM/CholとDOPCの中間モデルと考えられるDOPC/Cholでは,SM/CholとDOPCの中間の蛍光スペクトルが観察されることから,本試薬で得られる緑色蛍光強度FG(蛍光顕微鏡での検出波長域の目安500~550 nm)と赤色蛍光強度FR(検出波長域の目安550~650 nm)の蛍光強度比 FR/FG を観察することで膜相状態を相対定量することができます。


溶媒の分子極性依存的な蛍光応答性

図1 溶媒の分子極性依存的な蛍光応答性



相状態に応じた蛍光特性の変化イメージ
モデルリポソームでの蛍光スペクトル

図2 溶媒の分子極性依存的な蛍光応答性
上:相状態に応じた蛍光特性の変化イメージ 下:モデルリポソームでの蛍光スペクトル

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特長

  • 405 nm励起により生じる緑色蛍光強度FG(500~550 nm)と赤色蛍光強度FR(550~650 nm)の蛍光強度比FR/FGと相状態に相関があります。

    本試薬は488 nmレーザーによる吸収がほとんどありません。488 nm以上の光で励起可能な蛍光色素を別途使用できます。

  • 蛍光比FR/FGの値が大きいほど無秩序相Ld状態に近い性質を示し,FR/FGが小さいほど秩序相Lo状態に近い性質を示します。
  • 極性応答型の蛍光色素で,極性の小さい環境において蛍光を生じます。水溶液中では蛍光を発しないため,膜構造および脂肪滴を高いSN比で観察することができます。
  • 本試薬は生細胞に添加するだけで細胞膜,細胞内膜,脂肪滴に取り込まれ,膜の相状態に応じて異なる蛍光特性を示します。
  • リポソームモデル,培養細胞及びゼブラフィッシュでの染色実績があります。
    ゼブラフィッシュの染色については原著論文をご参照ください。
  • 本試薬の蛍光特性にタンパク質や多糖の影響がほとんどないことが確認されています。
  • 既存の分子極性応答型蛍光色素 Laurdanに比べ高い光安定性を示します。

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原著論文

Valanciunaite et al., Anal. Chem., 92, 6512-6520 (2020) Polarity Mapping of Cells and Embryos by Improved Fluorescent Solvatochromic Pyrene Probe.

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観察上の注意点

蛍光比で生体膜の相状態を定量しますので,405 nm励起における2波長の蛍光検出が必要です。Greenチャネルとして500-550 nm,Redチャネルとして550~650 nmを目安に蛍光を同時に取得したのち,各種解析ソフトで蛍光比を算出してください。蛍光比を取得するため,各蛍光観察ではシグナルが飽和しないように注意が必要です。 本色素は488 nm,560 nmでの吸収がないため,一般的な緑色,赤色および近赤外蛍光との共染色が可能です。キャリブレーションコントロールとして,下記溶液の蛍光像を取得することを推奨しています。

オイル(Labrafac oil) 脂肪滴の検出目安
Sphingomielyne/Cholesterol Loマーカー
DOPC Ldマーカー


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アプリケーションデータ

生細胞イメージング

COS7細胞にLipiORDER(300 nM in HBSS)を添加し10分培養後,共焦点レーザー顕微鏡で2波長の蛍光画像(励起光:405 nm,蛍光Green:470~550 nm, Red:550 nm~)を取得した。緑色蛍光画像および赤色蛍光画像をImageJによりレシオメトリック解析(蛍光比FR/FG)し,相状態を疑似カラー(LoLd)で可視化した。細胞膜は蛍光強度比が小さく,ERなどの細胞内膜で蛍光強度比が高く見積もられた。

生細胞イメージング



神経細胞における膜の相構造の観察

E17.5マウス由来の海馬初代神経細胞(DIV3またはDIV12)にLipiORDER(300 nM in HBSS)を添加し,10分間培養後,共焦点レーザー顕微鏡で2波長の蛍光画像(励起光:405 nm,蛍光Green:470~550 nm, Red:550 nm~)を取得した。緑色蛍光画像および赤色蛍光画像をImageJによりレシオメトリック解析(蛍光比FR/FG)し,相状態を疑似カラー(LoLd)で可視化した。レシオメトリック解析によりいずれの膜構造においても,細胞膜で蛍光比は小さくLoに近い環境,内膜構造で蛍光比が大きくLdに近い環境が観察された。

神経細胞における膜の相構造の観察


細胞外刺激に依存した膜相状態変化の観察

COS7細胞にコレステロール除去試薬であるβ-cyclodextrin (β-CD; 15 mM) で4時間処理したのち,細胞を洗浄し,LipiORDER(300 nM in HBSS)を添加し10分培養後,共焦点レーザー顕微鏡で2波長の蛍光画像(励起光:405 nm,蛍光Green:470~550 nm, Red:550 nm~)を取得した。緑色蛍光画像および赤色蛍光画像をImageJによりレシオメトリック解析(蛍光比FR/FG)し,相状態を疑似カラー(LoLd)で可視化した。β-CD処理により顕著な細胞構造の変化が見られ,ヒートマップの濃緑層(蛍光比0.06-0.34)を抽出したところ,分布が大きく変化していた。

細胞外刺激に依存した膜相状態変化の観察

上記の細胞染色データは名古屋市立大学大学院 薬学研究科 服部光治教授よりご提供頂きました。



光安定性

既存の分子極性検出試薬LaurdanとLipiORDERの光安定性を比較。Laurdanは顕著な光減衰が見られたのに対し,1時間の露光に対しても安定であった。本試薬は長期イメージングにも有用である。

光安定性

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価格表

[在庫・価格 :2021年02月27日 00時13分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
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納期 文献数
LipiORDER <Membrane Lipid Order Imaging Dye>
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説明文
生体膜の相状態(Lipid order;Lo/Ld)をレシオメトリックイメージングにより定量的に観察することができる環境応答性蛍光色素(solvatochromic dye)です。Loでは緑色,Ldでは赤色を示します。生細胞中でも高い化学的安定性を示し,細胞膜や細胞内膜など各種膜構造の相状態を観察できます。(レシオメトリックイメージングとして1励起405 nm,2蛍光検出(500-550nmおよび550-650 nm)が必要です。)。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ

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LipiORDER <Membrane Lipid Order Imaging Dye>

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説明文 生体膜の相状態(Lipid order;Lo/Ld)をレシオメトリックイメージングにより定量的に観察することができる環境応答性蛍光色素(solvatochromic dye)です。Loでは緑色,Ldでは赤色を示します。生細胞中でも高い化学的安定性を示し,細胞膜や細胞内膜など各種膜構造の相状態を観察できます。(レシオメトリックイメージングとして1励起405 nm,2蛍光検出(500-550nmおよび550-650 nm)が必要です。)。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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