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小胞体(ER)局在タンパク質を特異的に標識し抽出・精製するキット ER-Protein Capture Kit

掲載日情報:2020/05/18 現在Webページ番号:69314

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

ER-Protein Capture kitは小胞体(ER)局在タンパク質を特異的に蛍光タグで標識し、そのタグキャプチャー抗体により標識タンパク質を免疫沈降法で抽出・精製できるキットです。ER関連タンパク質の網羅的同定やERストレスなど刺激有無での標的タンパク質のER局在量の定量解析に有用です。

本製品は京都大学工学研究科浜地格教授・田村朋則講師の研究成果をもとにフナコシ株式会社が製品化・販売しています。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

キット原理概要

原理とアッセイフロー

まとめ買いバナー

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ER局在性タンパク質標識試薬ERMはER局在性緑色蛍光色素(Rhodol誘導体)にタンパク質標識基が付与された化合物です。

  • Step-1:ERMは生細胞に添加すると色素部分の特性により高い小胞体局在性を示し、速やかに小胞体に濃縮されたのち、タンパク質標識基を介して小胞体タンパク質に蛍光タグを標識します。
  • Step-2:標識反応後に細胞を破砕して細胞ライセートを調製します。
  • Step-3:タグキャプチャー抗体(抗Rhodol抗体)を用いて免疫沈降法を行うことで、ERMで標識された小胞体タンパク質を選択的に回収することが可能です。
  • Step-4:回収したタンパク質は蛍光基がついているため、SDS-PAGEで分離後、CBB/銀染色または蛍光イメージャーで検出が可能です。
  • Step-5:SDS-PAGEで分離後は、LC/MSによる網羅的なプロテオミクス解析、又は任意の抗体にてウェスタンブロット法(WB)で小胞体タンパク質の同定が可能です。

小胞体タンパク質の回収方法と問題点

小胞体 (ER;Endoplasmic Reticulum)は細胞内で一般的に約20%程度の体積を占めるオルガネラで、非常に複雑な構造を有し細胞全体に広がることが知られています。小胞体は細胞内でタンパク質の生合成を担う中心的なオルガネラで、ポリペプチド鎖の合成、シャペロンタンパク質による適切な折りたたみ、異常タンパク質の排除など生合成から品質管理まで重要な役割を担うと考えられています。小胞体は分泌経路の一部を担い、細胞膜タンパク質や細胞外分泌タンパク質が通過するオルガネラでもあります。また、脂質代謝や脂肪滴形成においても重要と考えられており、小胞体タンパク質を単離・同定し、定量解析できる手法の開発が期待されています。しかし、他のオルガネラとは異なり小胞体を特異的に精製する技術は乏しく、小胞体タンパク質を選択的に回収することは簡単ではありません。

ER Protein Capture Kit は京都大学の浜地格教授、田村朋則講師らにより開発された小胞体局在性タンパク質標識技術をもとに製品化された小胞体タンパク質の選択的標識・精製キットです。小胞体局在性タンパク質標識試薬ERMER-localizable Reactive Molecule)を用いることで、小胞体局在タンパク質に蛍光性タグを標識でき、そのタグに対する特異的抗体で精製することにより小胞体タンパク質を選択的に回収できます。超遠心分離機など特殊な機器は不要で、簡便な操作だけで小胞体タンパク質を精製できます。プロテオミクスによる網羅的な同定が可能なほか、各種刺激処理における小胞体局在量の相対定量解析に優れています。

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キット内容

本キットには2つのコンポーネントが含まれています。

  • A:小胞体(ER)局在性タンパク質標識試薬 ERM
    (本試薬は、品名ERseeing(#FDV-0038)と同じ試薬になります。単品購入も可能で、小胞体イメージング試薬としてもご使用いただけます)
  • B:タグキャプチャー抗体(精製ウサギポリクローナルIgG抗体)
    (コンポーネントBのみの単品購入可能です。品名 ER-Protein Capture Kit component B, 商品コード#FDV-0039B)
    細胞のライセート調製用の溶解バッファーや免疫沈降に必要なProtein A/G樹脂などは含まれていません。別途ご用意ください。

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実験参考データ

ERMの励起・蛍光スペクトル

一般的な緑色蛍光色素FITC観察条件が適用可能です。

ERMの励起・蛍光スペクトル

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  • 青色:励起スペクトル
  • 赤色:蛍光スペクトル

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小胞体特異性の検証

各種オルガネラマーカーとの共染色により本試薬の小胞体特異性を評価した。ERM(100 nM)は小胞体標識試薬と高い共局在が観察された(ピアソン相関係数 >0.9)。一方、リソソームマーカー、ミトコンドリアマーカーとの共局在は観察されなかった。ゴルジ体マーカーとは一部で共局在が観察され、本試薬により標識されたタンパク質が小胞体からGolgi輸送で移動し分泌経路に移行していると考えられる。なお、ER-Golgi輸送阻害剤を添加するとゴルジ体との共局在が減少することが分かっている(詳しくは原著論文をご参照下さい)。

小胞体特異性の検証

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アプリケーションデータ

プロテオミクスによる回収タンパク質の網羅的解析

HeLa細胞にERM (100 nM) を処理し、細胞を破砕しライセートを調製した。そこにキャプチャー抗体を添加し、Protein Aビーズを用いて免疫沈降して標識タンパク質を回収した。回収したタンパク質はSDS-PAGEで分離後、各バンドを切り出しゲル内トリプシン/Lys-C消化にてLC/MS試料を調製した。計146タンパク質がMS分析により同定され、うち63タンパク質がデータベース上の小胞体タンパク質または個々の論文にて小胞体局在が確認されているものであった。73タンパク質は細胞膜、細胞外分泌タンパク質及びゴルジ体タンパク質として知見があるものでいずれも細胞外分泌経路にあるタンパク質であった。細胞外分泌経路にあるタンパク質は小胞体を経由するため、これらのタンパク質が小胞体に存在する際に標識されていると考えられる。そのため、検出されたタンパク質のうち、小胞体タンパク質または小胞体を経由するタンパク質は約93%を占めていた。本実験で検出された小胞体に無関係と推定されるタンパク質は10点で約7%程度であった。

プロテオミクスによる回収タンパク質の網羅的解析

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小胞体(ER)ストレスによる小胞体局在タンパク質の変動量の定量的評価

小胞体ストレスが誘導する小胞体局在タンパク質の変動量をSILAC定量質量分析法により解析した。2つ細胞を準備し、片方はSILAC Heavy標識培地、もう片方はLight標識培地で培養した。Heavy標識培地の細胞に、小胞体ストレス誘導試薬として知られるTunicamycinを添加し4時間培養した。一方、Light標識培地は未処理で4時間培養した。その後、ERM(100 nM)を1時間処理し、それぞれ細胞ライセートを調製し、1:1で混合した。混合ライセート中の標識タンパク質を免疫沈降法で回収し、上記の実験同様にLC/MS用試料を調製した。87タンパク質が相対定量可能なタンパク質として検出され、小胞体ストレスによる変動量をSILAC法で算出した。うち6つのタンパク質が小胞体ストレス刺激により2倍以上小胞体での存在量が増加していることが分かった。

小胞体ストレス定量解析(キット専用)

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原著論文

  • Fujisawa, A., et al., "Chemical Profiling of the Endoplasmic Reticulum Proteome Using Designer Labeling Reagents.", J. Am. Chem. Soc., 140, 17060~17070 (2018). [PMID:30433779]

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価格

ER-Protein Capture Kit

[在庫・価格 :2024年04月25日 19時55分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
  • 商品コード
  • メーカー
  • 包装
  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
ER-Protein Capture Kit
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
ER局在性タンパク質蛍光標識試薬とその特異的抗体のセットです。ER関連タンパク質を選択的に蛍光タグで標識し、セット品の抗体で免疫沈降することで精製することができます。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年10月15日号 p.14
ニュース2022年3月1日号 p.9

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[在庫・価格 :2024年04月25日 19時55分現在]

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ER-Protein Capture Kit

文献数: 0

説明文 ER局在性タンパク質蛍光標識試薬とその特異的抗体のセットです。ER関連タンパク質を選択的に蛍光タグで標識し、セット品の抗体で免疫沈降することで精製することができます。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年10月15日号 p.14
ニュース2022年3月1日号 p.9

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キット別売品

[在庫・価格 :2024年04月25日 19時55分現在]

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納期 文献数
ERseeing <Endoplasmic Reticulum Green>
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
生細胞イメージング用の不可逆的小胞体(ER)染色試薬。従来のER染色試薬に比べ,細胞機能への薬理作用が小さく,不可逆的のため培地交換後も観察が可能。染色後は血清培地に交換できるため,より生理的な条件でERの動的挙動を観察することができる。励起/蛍光波長:509 nm/524 nm。
法規制等
保存条件 -20℃,暗所保存 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年10月15日号 p.10
ニュース2022年10月1日号 p.3

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生細胞用オルガネライメージング試薬
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ER-Protein Capture Kit component B
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
ER-Protein Capture Kit(商品コードFDV-0039)のコンポーネントBの単体販売品です。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ

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[在庫・価格 :2024年04月25日 19時55分現在]

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ERseeing <Endoplasmic Reticulum Green>

文献数: 0

説明文 生細胞イメージング用の不可逆的小胞体(ER)染色試薬。従来のER染色試薬に比べ,細胞機能への薬理作用が小さく,不可逆的のため培地交換後も観察が可能。染色後は血清培地に交換できるため,より生理的な条件でERの動的挙動を観察することができる。励起/蛍光波長:509 nm/524 nm。
法規制等
保存条件 -20℃,暗所保存 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年10月15日号 p.10
ニュース2022年10月1日号 p.3

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ER-Protein Capture Kit component B

文献数: 0

説明文 ER-Protein Capture Kit(商品コードFDV-0039)のコンポーネントBの単体販売品です。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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