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トランスラトーム/de novoプロテオーム解析用キット AHARIBO Kit

掲載日情報:2024/06/04 現在Webページ番号:68157

AHARIBO(AHA-mediated RIBOsome Isolation)はプロテオゲノム解析のための革新的な手法であり、転写産物とタンパク質の各レベル間での定量的な関係を探索するために効果的なツールです。
Immagina BioTechnology社の独自技術により、翻訳複合体のプルダウンを行い、複合体に結合したRNAおよび新生ペプチドを分離、精製することで、トランスラトームもしくは、de novoプロテオームの解析を行うことができます。
ポリソームプロファイリングやアフィニティ精製をベースとした従来の手法で課題とされている、手間のかかるプロトコルとmRNA/タンパク質レベルの相関の低さを克服するために、AHARIBOは開発されました。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


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トランスラトームおよびde novoプロテオームとそれらの解析について

トランスラトーム(Translatome)は、単一の細胞内である瞬間または条件で翻訳に使用されるRNAの全体を指します。一次転写物全体を指すトランスクリプトーム(Transcriptome)よりも、新規合成されたタンパク質全体(de novoプロテオーム)との相関性が高く、ある遺伝子の発現レベル推定時により正確な値が得られます。
従来のトランスラトーム解析法としてポリソームプロファイリングやアフィニティ精製後のRNA-seqが、de novoプロテオーム解析法としてpSILACやPUNCH-Pなどのアフィニティ精製後のLC-MSがあります。しかしながら、いずれも手間を要する手法であり、また得られた結果もmRNAとタンパク質レベルの相関関係は比較的乏しくなっています。
従来の手法の課題を克服するためにAHARIBOは開発されました。AHARIBO技術は、トランスラトームおよびde novoプロテオーム解析において信頼できる結果をもたらす手法です。

トランスラトーム・de novoプロテオームの解析について

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AHARIBO技術について

本技術は、リボソームに結合した新生ペプチド鎖内にメチオニンアナログであるAHA(L-Azidohomoalanine)を取り込ませた後に、抗体を用いず、磁気ビーズによって翻訳複合体のプルダウンを行う手法です(AHARIBO:AHA-mediated RIBOsome Isolation)。

AHARIBO原理

培養細胞にAHAを添加した後、翻訳中のリボソーム上の新生ペプチドをブロックする独自の小分子(sBlock)を加えて、細胞を溶解します。AHA標識された新生ペプチド鎖と独自のスマートビーズをクリックケミストリーにより結合させることにより、活性リボソーム複合体を分離する際のタグとして使用します。リボソーム複合体に結合したRNAおよび新生ペプチドを分離・精製し、下流の解析に用います。
タグとしてアミノ酸類似体であるAHAを用いるため、培養細胞に安全に供給され、タンパク質合成中に新生ペプチドへ迅速かつ高感度に、非毒性、非放射性の非常に小さなアジド部分からなる標識をもたらします。


AHARIBO技術紹介動画(英語版、約2分)


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特長

システム共通

  • わずか500,000細胞から解析可能です。
  • 細胞溶解から、RNAまたはタンパク質が得られるまで、わずか4時間で行えます。
  • RNAとタンパク質の並列解析が可能です。
  • 超遠心操作は不要です。

AHARIBO RNA System

  • 新生ペプチドへAHAを取り込ませ、リボソーム複合体を結合するRNAも含めてプルダウンにより分離した後、RNA精製を行う製品です。
  • 精製したRNAを対象にRNA-seq解析を行うことで、トランスラトーム解析を行えます(ライブラリー調製のための試薬は含まれません)。また、精製RNAは断片化していないため、qPCRでの解析も可能です。
  • タンパク質をコードしたRNA、リボソーム関連の調節RNA、非コードで翻訳に関連するRNAの3種類を濃縮できることが示されました。
  • マウス胚性幹細胞の神経分化の動的変化において、本キットで同定されたトランスラトームはTotal RNAよりも、それぞれのタンパク質レベルに対して高い相関を示しました。
AHARIBO RNA Systemの操作手順

AHARIBO Protein System

  • 新生ペプチドへAHAを取り込ませ、リボソーム複合体および新生ペプチド鎖をプルダウンにより分離し、ペプチド鎖をビーズに結合した状態で回収する製品です。
  • 回収したペプチド鎖を消化し、LC-MS解析を行うことで、de novoプロテオーム解析を行えます。
  • マウス胚性幹細胞の神経分化の動的変化において、本キットで同定されたde novoプロテオームは総タンパク質よりも、それぞれのmRNAレベルに対して高い相関を示しました。
AHARIBO Protein Systemの操作手順

AHARIBO RNA and Protein System

  • 翻訳RNAのqPCRやRNA-seqなどのRNA解析とde novoタンパク質合成解析を並行して行うことができます。
AHARIBO RNA and Protein Systemの操作手順

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使用例

再現性の確認①

AHARIBO-RNA-Reproducible-Analysis
AHARIBO-Protein-Reproducible-Analysis

AHARIBO Kitの再現性および信頼性を確認するために、2つのマウス胚性幹細胞(mESCs)試料(Replicate A、B)について、RNAおよびタンパク質をプルダウンし、それぞれRNA-seq(左)およびLC-MS(右)で解析した。
その結果、R2≧0.98という極めて高い再現性が示された。


再現性の確認②

AHARIBO Translatome RNA-seqの高い再現性

AHARIBO Translatome RNA-seqは、すべての反復実験(Replicate1~3)間で優れた再現性と相関性を示した。


AHARIBOと既存法との比較

AHARIBOと既存法との比較

既存法(ショ糖密度勾配遠心法を用いたポリソームプロファイリング)またはAHARIBOで得られたRNAをNGSで解析し、プロテオーム解析結果との相関度(最大値=1)について比較した。AHARIBOの方が相関性が高いことが分かる。


AHARIBO Translatome RNA-seqによる正確なタンパク質レベルの予測

AHARIBO Translatome RNA-seqの高い再現性

グローバルな遺伝子発現変化を誘導する処理を行った条件下で本法を実施し、実際のプロテオームとの類似性を確認した。図に示した3種のターゲットについて、total RNA-seqとAHARIBO Translatome RNA-seqで得られたFold Change(WT vs Treated)を比較した(図A)。
またウェスタンブロット解析により、AHARIBO Translatome RNA-seqはtotal RNA-seqと比較してタンパク質レベルを予測する能力が高いことが明らかになった(図B)。


AHARIBO Translatome RNA-seqの高い再現性

上記の結果をまとめると、3種のターゲットにおいて本法とウエスタンブロット法とは同等のレベルを示したが、Total RNA-seqで得られた値は有意に低値であった(図C)。


トランスラトーム/de novoプロテオームの解析

AHARIBO-Ribosomal-Protein-Analysis

AHARIBOにより単離したタンパク質とプルダウン処理前のライセート(AHAを含む)について、P値(統計的優位性、縦軸、-log)とタンパク質の相対的存在量(横軸)でボルケーノプロットを作製した。
オレンジ色および青色のドットは、それぞれリボソームのlargeおよびsmall subunitを示す。

IBT-68157-13-AHARIBO-Total-RNA-Analysis

亜ヒ酸塩(Ar)処理、熱ショック(HS)処理、未処理(NT)の細胞ライセートを試料として、プルダウン処理前から抽出およびAHARIBOにより単離したtotal RNAをアガロースゲル電気泳動した。

マウス胚性幹細胞(mESCs)および分化させた初期ニューロン(EN)からAHARIBOにより単離したタンパク質の比較

マウス胚性幹細胞および分化させた初期ニューロンからAHARIBOにより単離したタンパク質についてボルケーノプロット

マウス胚性幹細胞(mESCs)および分化させた初期ニューロン(EN)からAHARIBOにより単離したタンパク質についてボルケーノプロットを作製した。
オレンジ色および紫色のドットは、それぞれ細胞骨格および神経発生関連タンパク質で、発現が上方制御されているもの。
青色、緑色、赤紫色ドットは、それぞれRNAプロセシング、タンパク質合成、マウスの多能性に関連したタンパク質で、発現が下方制御されているもの。
神経発生の初期ステージで発現するタンパク質(Map1b、Tubb3、Dync1h1など)が、EN細胞において濃縮されており、AHARIBOによりタンパク質新生のモニタリングが行えること示された。


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AHARIBO KitのFAQ

AHARIBO KitのFAQ(クリックで展開します)

Q-1. AHARIBOをモデル動物に使用できますか?

A-1. いいえ、AHARIBOは培養細胞に特化しています。AHAを新生ペプチドに組み込むことは、このプロトコルにとって非常に重要です。原理的には生きている動物にAHAを組み込むことは可能ですが(Calve, S., et al., Sci. Rep., 6, 32377 (2016).[PMID:27572480])、現段階では動物や生体での研究にAHARIBOはお勧めしません。



Q-2. ビーズを誤って凍らせてしまったのですが、まだ使えますか?

A-2. 一般的に、ビーズの凍結は推奨されていませんが、ビーズの特性を妨げるものではありません。



Q-3. 溶解を進める前に、細胞をsBlockで処理する必要がありますか?

A-3. はい。sBlockは、翻訳をブロックし、新生ペプチドをリボソーム上に固定するために細胞に添加する必要があり、AHARIBOにとって必須のステップです。sBlockは、キットに含まれるLysis buffer(LB)やWash buffer(WB)にも含まれています。誤ってsBlockとのインキュベーションをスキップした場合、Lysis buffer中のsBlockがリボソーム上の新生ペプチドを安定化させる働きをします。



Q-4. AHARIBO実験用のライセートはどのように保存すれば良いですか?

A-4. 細胞ライセートは、-80℃で1~2か月程度の保存をお勧めしています。



Q-5. RNase阻害物質を結合させたビーズ(プロトコルのStep B1の後)を保存しておいて、後で操作を続けることはできますか?

A-5. はい、Step B1で中断することができます。ビーズを+4℃で一晩保存することをお勧めします。ビーズを冷凍しないで下さい。



Q-6. 試料としてどのくらいの量のライセートを使用しますか?

A-6. 0.2 a.u.(260 nm)に相当するライセート量から始めることをお勧めします。なお、AHARIBO RNAは、0.002 a.u.のHeLaライセートでの使用実績があります。



Q-7. 吸光度はどのように計算すれば良いですか?

A-7. Lysis bufferをブランクとして、260 nmでライセートを測定し、この吸光度値を使って必要量を算出します。例えば、ライセートの吸光度(A260)が10に相当する場合、これは10 a.u./ml(= 0.01 a.u./μl)に相当します。つまり、0.2 a.u.から始めたい場合は、20 μlのライセートが必要となります。



Q-8. AHARIBO Kitで処理する前に、試料を改善する方法はありますか?

A-8. 試料の洗浄は、細胞ライセートをショ糖密度勾配遠心する標準的なプロトコルの使用により可能です。これにより、合成された全長のタンパク質が除去され、新生鎖を含むリボソームの画分が濃縮されます。



Q-9. どのような生物種にAHARIBOを使用することができますか?

A-9. AHARIBOは、理論上は真核生物のリボソームで使用できますが、現時点では、哺乳類細胞とマウス個体で検証されています。sBlockは真核生物に特異的な翻訳阻害物質であるため、原核生物には作用しません。





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Immagina BioTechnology社のリボソーム解析用製品について

Immagina BioTechnology社のリボソーム解析用製品について

RiboLace Kitについてはこちらをご覧下さい。


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NGS特集へのリンク

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キット内容

キット名 RNA
System
Protein
System
RNA and
Protein
System
商品コード AHA-RM12 AHA-PM12 AHA-R6P6
Lysis buffer (LB)
sBlock
L-Azidohomoalanine (AHA)
L-Leucine (LL)
Ligand (G)
Wash buffer (WB)
Washing solution (WSS)
Urea washing solution (UWS)
sBeads
dBeads

マグネットスタンドや各種酵素類はキットに含まれていません。製品マニュアルをご確認の上、別途ご用意下さい。


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[在庫・価格 :2024年07月27日 14時35分現在]

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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