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プライマーを用いずシングルセルからでも全ゲノム増幅を行えるキット TruePrime Single Cell WGA Kit

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:63436

合成ランダムプライマーを用いず、シングルセルからでも全ゲノム増幅(WGA)を行えるキットです。ランダムプライマーによる不規則な伸張反応による影響を抑制し、高い再現性で10 kb以上の産物が得られます。得られたDNA産物は、次世代シークエンスの解析にご使用頂けます。

本製品は、溶解プロトコルの一部を変更し、従来のTruePrime Single Cell WGA Kit よりも広い範囲の細胞種にてご使用頂けます。また、ポジティブコントロールとして、human genomic DNAが含まれています。


TruePrime法とは

Phi29 DNA polymeraseを用いたDNA増幅方法はMultiple strand Displacement Amplification (MDA)法と呼ばれ、シングルセルからの均一なDNA増幅が可能な方法として注目されています。しかし、合成ランダムプライマーを使用することから、プライマー由来のバイアスが生じることが知られています。

4basebio社は、Phi29 DNA polymerasと新規のDNAプライマーゼTthPrimPolを組み合わせ、ランダムプライマーによるアーティファクトや、外部DNA汚染の影響を低減したキットを開発しました。


TruePrimeシステムによるDNA増幅の模式図
  1. TthPrimPol (赤四角) が変性DNAの異なる部位に結合する。
  2. TthPrimPolが、短いDNAプライマーを合成する。
  3. Phi29 DNAポリメラーゼ (青丸) がTthPrimPolと置き換わり、合成を開始する。
  4. Phi29 DNAポリメラーゼが、鎖置換を起こす。
  5. TthPrimPolが新生DNAに結合し、新しいDNAプライマーを合成する。
  6. Phi29 DNAポリメラーゼがTthPrimPolと置き換わり、DNAプライマーと結合し、合成を開始する。

参考文献

  • Zafar M. K., et al, Biochemistry, 53 (41), 6584-6594 (2014).
  • Helleday T., Nat. Struct. Mol. Biol., 20, 1348–1350 (2013).
  • Garcia-Gomez S., et al, Mol. cell, 52 (4), 541-553 (2013).

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特長

  • TthPrimPolがプライマーを合成するため、プライマーの添加は不要です。
  • 合成プライマーを用いた従来法に比べ、増幅バイアスが減少しています。
  • 単一哺乳動物細胞から、3時間の反応で約3~4μg/50μl以上のDNA増幅が可能です。
  • 操作は簡便で、信頼性/再現性に優れたキットです。
  • アルカリ性条件下のインキュベーションにより、細胞溶解とDNA変性を行うため、断片化を抑え、サイズの大きい高精度のゲノムDNAが得られます。
  • 非変性のDNAはTruePrimeの系に影響しないため、変性処理後のDNAへの外部DNA汚染の影響は最小限に抑えられています。
  • 次世代シークエンスに適しており、Illumina やIon Torrentでのワークフローで試験済みです。
  • 試料量:1~50 cells、0.4~20 cells/μl

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操作方法概略

プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例1
  1. 細胞懸濁液とLysis buffer (Buffer L2)を加える。
  2. 室温で5分間、95℃で1分インキュベートする。
  3. Neutralization buffer (Buffer N)を加え中和する。
  4. Amplification mixを加える。
  5. 30℃で3時間インキュベーションする。
  6. 65℃で10分加熱し酵素を失活させる。


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使用例

プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例1

HEK293、K562またはHeLa細胞1個から全ゲノム増幅を行い、PicoGreen(R)(左図)またはQubit(R)(右図)を用いてDNA量を測定した。
NTC:No Template Control


プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例2

プライマー由来のアーティファクト産生

1 pgのヒトゲノムDNA(ヒト/哺乳動物細胞1個の含有量の1/6に相当)を、TruePrime法(左図)または従来のランダムプライマーを用いたMDA反応法(右図)で増幅した。塩基配列を確認したところ、従来法で得られたDNAの20%弱は、データベース上のいかなる生物にもマッチしないもの(Unkown)であり、無視できない量の人工産物が生成されることが分かった。一方、TruePrime法では、こうしたアーティファクトの影響は非常に小さいことが示された。


プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例3

外部DNA汚染の影響の比較

MDA反応は極微量のDNAを増幅する反応なので、専用のクリーンボックス内で操作を行い外部からのDNAの混入を防ぐ必要がある。しかし、TruePrime法は変性DNAから出発する増幅反応であることから、変性反応後のコンタミネーションには比較的強いという特長を持っている。変性処理済みの鋳型DNA(1 pgのヒトゲノムDNA)に対して、1,000倍量の酵母DNAを加え、人為的DNA汚染操作を行い、反応させた。左図はTruePrime法での結果で、酵母DNAにマップされるものは7.48%となった。右図は従来法によるもので、酵母由来DNAが53.43%に上った。この結果、TruePrime法はDNA変性反応後の外部からのDNA汚染に影響を受けにくいことが判明した。



プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例4

優れたゲノムカバレッジ性能

酵母ゲノムを、TruePrime法によって増幅し、イルミナ社の次世代シーケンサーで配列決定を行った。250万のリードペアにより、全酵母ゲノムの99.4%をカバーすることができた。分布曲線の幅が狭いことから、増幅に偏りが生じていないことが分かる。


プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例4

優れた再現性

HEK293細胞1個からTruePrimeで全ゲノム増幅を行い、HiSeq(Illumina社)シークエンサーで解析を行った。同様の解析を4回行い、再現性を確認した。Chromosome 3/4についてリードをマッピングした結果から、いずれの解析においてもNon-amplified DNAに忠実な増幅が行われていることが分かる。

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ランダムプライマーおよび他社製品との比較

SampleNon-amplified DNATruePrimeRandom primerCompetitor ACompetitor B
Mapped read99.53%96.86%97.42%99.64%98.62%
Read in pair92.03%86.77%59.07%91.50%37.94%
Fraction human genome covered53%49%28%38%1%
Calculated ideal (Poisson) coverage59%57%44%59%31%
Deviation observed from expected10.2%13.8%35.76%35.4%96.7%

TruePrime、ランダムプライマー、または他社2製品を用いてHEK293細胞1個からゲノム増幅を行い、Non-amplified DNAと併せて配列の解析を行った。
Fraction human genome coveredに着目すると、TruePrimeによる増幅産物は、ヒトゲノム領域の49%をカバーしており、これはNon-amplified DNAの値(53%)と比較することで、TruePrimeの増幅がヒトゲノム中の広い領域において行われたことが分かる。これはランダムプライマーや他社製品と比べても良好な結果である。



プライマーを用いずシングルセルからの全ゲノム増幅を行うキットの使用例4

TruePrime、ランダムプライマー、または他社2製品を用いて全ゲノム増幅を行い、配列解析の結果からChromosome 3に関して、リードのマッピングを行った。TruePrimeでは、Non-amplified DNAと同様の分布を示し、増幅バイアスが少なくゲノム領域が均一にカバーされたことが分かる。ランダムプライマーや他社製品では、Non-amplified DNAとは無関係の位置にピークが生じている。


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TruePrimeキットシリーズ

各製品の詳細は品名をクリックして下さい。

品名用途
TruePrime Necrotic Cell-free / Exosomal DNA Amplification Kitネクローシス細胞やエクソソーム由来の少量の精製cfDNAを増幅するキット
TruePrime Apoptic Amplification Kitアポトーシス由来の長さ160~170 bpの断片化されたcfDNAを増幅するするキット
TruePrime WGA Kit少量の精製DNAから全ゲノム増幅するキット
TruePrime Single Cell WGA Kitシングルセルから全ゲノム増幅するキット
TruePrime RCA Kit 一本鎖または二本鎖環状DNAの増幅を行えるキット
NGS特集へのリンク

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キット内容

  • Buffer L1 (lysis buffer)
  • DTT
  • Buffer N (neutralization buffer)
  • Reaction buffer
  • dNTPs
  • H2O
  • Enzyme 1 (TthPrimPol)
  • Enzyme 2 (Phi29 DNA polymerase)
  • Control 1 (40 pg/μl human genomic DNA)
  • Control 2 (4 pg/μl human genomic DNA)

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4basebio社製品ご購入のご注意

本製品は、ご注文時に専用のMTA(Material Transfer Agreement)が必要です。必要事項をご記入の上、販売店担当者にお渡し下さい。


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価格

[在庫・価格 :2024年03月29日 20時15分現在]

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納期 文献数
TruePrime Single Cell WGA Kit version2 (25reactions)
3~4週間 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
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※MTAが必要です。※輸入諸費用(120,000円)を別途いただく製品です。 合成ランダムプライマーを用いず,シングルセルからでも全ゲノム増幅(WGA)を行えるキットです。ランダムプライマーによる不規則な伸張反応による影響を抑制し,高い再現性で10 kb以上の産物が得られます。得られたDNA産物は,次世代シークエンスの解析にご使用頂けます。
別包装品 別包装品あり
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2022年12月1日号 p.4
ニュース2021年10月1日号 p.10

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TruePrime Single Cell WGA Kit version2 (100reactions)
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TruePrime Single Cell WGA Kit version2 (25reactions)

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別包装品 別包装品あり
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