試薬の日
掲載日情報:2024/03/08 現在Webページ番号:71300
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3月9日は「試薬の日」です。
この日は「試薬」という言葉を作った、美作国津山藩(岡山県津山市)藩医で蘭学者の「宇田川 榕菴」(うだがわ ようあん、1798年~1846年)の生誕日です。
フナコシ株式会社も会員である一般社団法人日本試薬協会は、発足15 周年を記念して平成27年(2015年)に、榕菴先生の生まれた日にちなみ、3月9日を「試薬の日」と制定しました。
宇田川 榕菴は津山藩のお抱えである一方、その学殖を買われ、当時江戸御府内浅草にあった幕府天文方の「蛮書和解御用」の一員として蘭学書の翻訳にあたりました。
彼は34歳の頃、1832 年(天保3年)に「舎密(せいみ=化学)試薬編」を刊行し、39歳(1837年、天保8 年)から47歳(1846年、弘化4年)で亡くなるまで、「ヘンリーの法則」で有名な英国人ウイリアム・ヘンリーの原著の和訳を試みました。この書物は、 "Elements of Experimental Chemistry" (英)/"Chemie für Dilettanten" (独)/"Leidread der Chemie voor Beginnende Liefhebbers Aarleidirg"(蘭)という、英語 → ドイツ語 → オランダ語訳の重訳によるものでした。宇田川 榕菴は何冊かの蘭学書を参考にし、さらに自身の実験と考察も加え「舎密開宗(せいみかいそう)」という全21巻の大冊の刊行物にまとめ上げました。
「舎密開宗」は、日本で初めての近代化学を体系的に紹介した書物で、死の翌年の1847年(弘化4年)に最終巻が刊行されました。
彼は「試薬」の他にも、「酸素」「水素」「窒素」などの元素名や「元素」という言葉自体、「細胞」「属」などの生物学の用語、「圧力」「温度」「分析」「成分」「酸化」「還元」「煮沸」「蒸留」「気化」「昇華」「凝固」「金属」など数多くの学術用語を造りだしています。
これらの概念や物の捉え方は当時の日本には存在せず、翻訳時に単に言葉の置き換えや片仮名表記を行ったわけでもなく、物理や化学の学問的な体系の下に造語できたのは、榕菴先生のオランダ語や漢語の知識が豊富であったことはもとより、ラヴォアジエ以降の近代化学への理解度の深さ、言葉に対する感覚の豊かさといったいくつかの条件が彼の中で偶然に重なり合ったということもあったのでしょう。
榕庵先生にちなんだ4つの記事をご紹介します。
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【画像の出典】
- 葛飾北斎 著 ほか『富嶽百景』3編,芸艸堂出版部,昭和23. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1068939 (参照 2024-02-19)。浅草鳥越の天文台から富士山を見た図柄です。
- 歌川広重 著 ほか『江戸の今昔』,湯島写真場,昭和7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1170711 (参照 2024-02-19)より。この画像は千代田区の霞ヶ関にあった大名屋敷跡の門で、津山藩のものではありません。
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