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VitroGel High Concentrationシリーズの適用例(TheWell Bioscience社) ヒト大腸がん細胞(HCT116)の三次元(3D)細胞培養

掲載日情報:2021/07/12 現在Webページ番号:68816

VitroGel High Concentrationシリーズの適用例として、ヒト大腸がん細胞(HCT116)の三次元細胞培養モデル(創薬アプリケーション)をご紹介します。
VitroGel 3D(浮遊細胞に最適な標準ハイドロゲル)とVitroGel 3D-RGD(接着細胞に適したRGDペプチド修飾ハイドロゲル)を使用して二次元(2D)培養用プレートへのコーティング、三次元(3D)細胞培養、および薬物試験を行い、HCT116細胞の生存率を評価しました。
VitroGelシステムは、HCT116細胞を大腸がんモデルとして用いた医薬品開発研究の実行可能な手法として立証されています。

様々なハイドロゲル濃度でのHCT116細胞の三次元細胞培養のビデオ画像

図をクリックすると拡大図をご覧いただけます。使用例の詳細については、こちらをご覧下さい。

HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像A
HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像B
HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像C
HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像D
HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像E
HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像F
HCT116細胞の3D細胞培養のビデオ画像G

二次元および三次元細胞培養について

in vitroアッセイは、最適化や前臨床検証を実施していく上でハイスループットな機能性と費用対効果を理由に、創薬アプリケーションにおいてますます一般的になっています。三次元培養アッセイは、従来の二次元細胞培養と比較してより生理的に適切な環境を提供するため、特に人気が高まっています。比較研究により、二次元細胞培養では組織固有の構造が失われ、機械的および生化学的シグナルが変化し、細胞間または細胞-マトリックス間の相互作用が妨げられることが示されています。これらの違いは、医薬品開発において非常に重要になります。多くの薬物は二次元細胞培養で成功を収めますが、体内の大多数の細胞の三次元環境下では薬物がすべての細胞を攻撃するのが困難になる可能性があるため、in vivoでそのまま置き換えることはできない場合があります。

VitroGelシステムとは

TheWell Bioscience社のVitroGelシステムは、すぐに使用できる調製可能なハイドロゲルシステムです。二次元および三次元システムの両方で用いることができ、in vitroおよびin vivoの両アプリケーションで使用可能です。ハイドロゲルはVitroGel濃度や細胞密度に基づいて調製可能であり、また細胞のタイプに合わせて調製し、任意の培地と混合して足場(scaffold)を生成できます。VitroGelシステムは、様々な用途向けに多様な細胞型の三次元構造の構築に使用されています。
例えば、新しい抗がんペプチドの有効性を解析した最近の研究では、乳がん細胞が培養中の他の細胞とスフェロイド群を形成することが分かりました。この新規ペプチドの添加はスフェロイドの崩壊をもたらし、このことは二次元環境下では解明されなかった、接着に依存しない細胞増殖を阻害できる可能性を示唆しています。
こちらからVitroGelシリーズ製品の詳細をご覧いただけます。



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使用製品

VitroGel 3D High Concentration

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VitroGel 3D High Concentration(#TWG001

VitroGel RGD High Concentration

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VitroGel RGD High Concentration(#TWG003

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解析データ

二次元および3D VitroGel培養における細胞形態

2Dおよび3D VitroGel培養における細胞形態

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VitroGel 3D(V-3D)とVitroGel 3D-RGD(V-REG)を使用し、播種してから24時間後(Day 1)および7日後(Day 7)のHCT116細胞を評価した。
細胞を播種する前にVitroGelハイドロゲルを固定化する二次元コーティング法を用いると、VitroGelシステムの種類に応じて細胞は異なる形態を示した。VitroGel 3Dでは、細胞は24時間後にスフェロイドを形成し、7日後までサイズが大きくなり続けた。標準的なVitroGel 3Dと同様に、VitroGel 3D-RGD上の細胞も24時間後にスフェロイド細胞群を形成し始めた。しかしVitroGel 3Dハイドロゲルとは異なり、細胞は7日後に広がり、標準的な処理済みプラスチック培養用プレートでの二次元培養を連想させる形態を示した。VitroGel 3D-RGDシステムでゲルの固定化前に細胞をハイドロゲルに播種する三次元細胞培養法を用いると、HCT116細胞はハイドロゲル内を均一に分布することが分かる。この過程はゆっくりと始まり、24時間後の細胞群は非常に小さく(1つの集団あたり2~3個の細胞のみ)なっている。7日目までに集団はより小さくなり、より均一なサイズのスフェロイドに成長した。

様々なハイドロゲル濃度でのHCT116細胞の三次元細胞培養

2Dおよび3D VitroGel培養における細胞形態

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左図-1:0希釈(主にハイドロゲル)、中央図-1:1希釈(ハイドロゲル/PBS)、右図-1:2希釈

ハイドロゲル強度はその機械的特性、ひいてはハイドロゲル内の細胞生存率および細胞応答に影響を与える可能性がある。VitroGel 3D-RGD(V-REG)について、3種類の異なるハイドロゲル強度(濃度)におけるHCT116細胞の成長性および生存率を解析した。
7日後、1:1希釈では大きなコロニーが認められたが、他の希釈率では異常な形態の小さな細胞群/コロニーのみであった。Live/Deadアッセイにより細胞生存率を解析したが、コロニーのサイズは小さくなったにもかかわらず、どの希釈率でも有意な細胞死は見られなかった。
1:0および1:2希釈の細胞は、多くのDeadマーカーを提示してはいないが、その形態は死にかけている可能性があることを示唆している。
1:1希釈ではより多くの細胞が存在し、一般に細胞の健康状態の悪化と関連する平坦な形態はとるものの、足場(scaffold)で可能な増強された細胞-マトリックス間の相互作用が、二次元細胞培養で使用される超低接着プレートで見られるスフェロイドの形態を抑えたと考えられる。
この形態は、in vivo環境を模倣するのに適した良好な細胞-マトリックス間相互作用を示している可能性があり、最適な足場(scaffold)の希釈率は1:1(ハイドロゲル/PBS)であることも示唆している。

様々な濃度の5-FUで処理後のHCT116細胞の細胞生存率

様々なハイドロゲル濃度でのHCT116細胞の3D細胞培養

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様々な濃度の5-FUで処理後のHCT116細胞の細胞生存率グラフ

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5-fluorouracil(5-FU)は、大腸がんを含む数種類のがんの治療で使用される一般的な抗がん物質。結腸がんである程度の成功を示した人もいたが、最近のいくつかの研究では多くの患者が5-FUに対する耐性を生じることが指摘されており、他の研究では5-FUはミスマッチ修復遺伝子変異を有する結腸がんの小さなサブセットにのみ作用することが分かっている。
三次元細胞培養システムと並列した従来の二次元細胞培養システムを用いたHCT116細胞での5-FU試験では、5-FUのわずかな効果が示された。
二次元細胞培養では、薬物濃度が10μMから50μMに増加すると薬効が高まることが分かる。しかし三次元細胞培養システムでは、どの段階でも有意な薬物効果はなかった。50μMの場合でのみ顕著な効果があり、細胞コロニーのサイズが小さくなっていることがはっきりと観察できる。
Live/Deadアッセイによる細胞死の定量化により、二次元細胞培養での死細胞レベルの増加が示された。これは、がん細胞の死滅における5-FUの有効性を示唆している。しかし三次元細胞培養では、どの段階でも有意なレベルの死細胞は見られなかった。50 μMまでほとんど存在しない。
生細胞の定量化は、薬物濃度の増加につれて着実な減少を示した。しかし三次元細胞培養では、この減少は見られなかった。
5-FUを添加したHTC116細胞のVitroGel培養では、有意な反応は示されなかった。
0.05未満のp値は有意(*)、0.005未満のp値は非常に統計的に有意(**)、0.001未満の値は極めて統計的に有意(***)と見なす。

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アプリケーションノート

操作方法や必要な試薬等の詳しい情報は、下の画像をクリックしてアプリケーションノート「3D Cell Culture of Human Colon Cancer Cells (HCT116) on VitroGel Systempdf)」をご覧下さい。

アプリケーションノート

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関連製品

VitroGel用希釈/回収溶液

Dilution Solutionは、培地を混合する前にVitroGelを希釈する際に使用するReady-to-useの別売り品です。VitroGel 3D High ConcentrationおよびVitroGel RGD High Concentrationには1本添付されますので、ご注文の際に、TYPE 1かTYPE 2(各50 ml)のいずれかをご選択下さい。VitroGel Organoid Recovery Solutionは、VitroGelまたは動物由来の細胞外マトリックス(ECM)で培養したオルガノイドや三次元培養細胞を、酵素を使用せずに迅速かつ効率的に回収できる溶液(別売)です。商品コードをクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

品名 製品外観 説明 包装 商品コード
Dilution Solution TYPE 1 Dilution Solution TYPE 1 VitroGel ハイドロゲルの希釈溶液。最適な浸透圧を維持できるスクロースを含む。 50 ml MS01-50
Dilution Solution TYPE 2 Dilution Solution TYPE 2 VitroGel ハイドロゲルの希釈溶液。スクロースを含まない。 50 ml MS02-50
VitroGel Organoid Recovery Solution VitroGel Organoid Recovery Solution VitroGelまたは動物由来の細胞外マトリックス(ECM)で培養したオルガノイドや三次元培養細胞を、酵素を使用せずに迅速かつ効率的に回収できる溶液。 100 ml
500 ml
MS04-100
MS04-500


HCT116細胞

ATCCロゴ

品名をクリックすると製品の詳細、ATCC® No.をクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

品名 包装 ATCC® No.
HCT 116-Luc2; Colon Carcinoma; Human (Homo sapiens) 1 ml CCL-247-LUC2™
HCT116 Vimentin RFP reporter; Colorectal Carcinoma; Human (Homo sapiens) 1 ml CCL-247EMT2™


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価格

VitroGel 3D

[在庫・価格 :2024年04月27日 10時55分現在]

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詳細 商品名
  • 商品コード
  • メーカー
  • 包装
  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
VitroGel 3D High Concentration & Dilution Solution TYPE1
10日程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 50
説明文
使用前に希釈することで,ゲル強度の調節が可能なタイプのハイドロゲル。修飾:なし。TYPE I Dilution Solution付属(スクロース含有,50 ml)。
法規制等
保存条件 室温,4℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年3月1日号 p.12
ニュース2022年3月15日号 p.7

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VitroGel 3D High Concentration & Dilution Solution TYPE1

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説明文 使用前に希釈することで,ゲル強度の調節が可能なタイプのハイドロゲル。修飾:なし。TYPE I Dilution Solution付属(スクロース含有,50 ml)。
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VitroGel RGD High Concentration

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VitroGel RGD High Concentration & Dilution Solution TYPE1
10日程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 37
説明文
使用前に希釈することで,ゲル強度の調節が可能なタイプのハイドロゲル。修飾:RGD。TYPE I Dilution Solution付属(スクロース含有,50 ml)。
法規制等
保存条件 室温,4℃ 法規備考
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VitroGel RGD High Concentration & Dilution Solution TYPE1

文献数: 37

説明文 使用前に希釈することで,ゲル強度の調節が可能なタイプのハイドロゲル。修飾:RGD。TYPE I Dilution Solution付属(スクロース含有,50 ml)。
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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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