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CellFluor® GSTP1
生細胞中のGSTP1酵素活性を特異的に可視化する試薬 CellFluor® GSTP1
掲載日情報:2024/06/10 現在Webページ番号:68669
フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]
CellFluor® GSTP1は、Pi-class Glutathione S-Transferase(GSTP1)の酵素活性を生細胞で観察できるプローブです。広範なGSTファミリーのうちGSTP1に特異的で、GSTP1活性によって緑色蛍光が発生するプローブであり、がん化プロセスや薬剤耐性と密接な関係が報告されるGSTP1の機能解析や阻害物質探索などに有用です。
製品名変更のお知らせ
本製品は、以下のとおり製品名を変更いたしました。
※ なお、製品仕様、商品コード、価格、容量に変更はございません。
- 旧品名:GSTP1 Green
- 新品名:CellFluor® GSTP1
追加しました。
GSTファミリーとGSTP1について
GSTについて
Glutathione S-Transferase(GST)ファミリーは、バクテリアから動物、植物まで幅広く保存されている酵素ファミリーで、第Ⅱ相薬物代謝酵素の1つです。第Ⅰ相薬物代謝酵素シトクロムP450により細胞内で産生された求電子代謝物や、細胞外から取り込まれた異物化合物(xenobiotics)をグルタチオン(Glutathione、GSH)に付与し、グルタチオン抱合体(GS抱合体、GS-conjugate)に変換する活性を有しています。グルタチオン抱合体は、多剤耐性関連タンパク質(Multidrug resistance-associated proteins、MRP)トランスポーター群により積極的に細胞外に排出され、毒性を軽減させる機構が存在します。そのため、GSTは細胞毒となりうる代謝物質や異物化合物の排出にかかわる解毒因子として機能すると考えられています。細胞内の主たる抗酸化因子として、酸化ストレスや脂質過酸化反応の抑制にも寄与すると考えられています。
一方、多くの抗がん物質などの医薬品はGSTの基質となりうることから、GSTによりグルタチオン抱合体に変換されて細胞外に排出されるケースが報告されています。また、GSTは薬効を低下させる薬剤耐性効果も示します。特に、がんの悪性化にともない特定のGSTアイソフォーム(GSTP1)の発現量が亢進することが知られ、それによりがん細胞は薬剤耐性を獲得すると考えられています。
GSTの活性測定における問題点とCellFluor® GSTP1について
このように、GSTは第Ⅱ相薬物代謝酵素として抗酸化因子、異物代謝・解毒作用因子、薬剤耐性因子と多機能を有することから、生細胞におけるGST活性の測定技術が求められています。しかし、従来のGST活性の測定は、細胞ライセートを用いたin vitroアッセイによる方法に限られていました。また、多数あるGSTファミリーのうちGSTP1に特異的な活性測定試薬はありませんでした。CellFluor® GSTP1は、GSTP1特異的応答性活性測定プローブで、細胞膜透過性を示すため、生細胞で使用できます。従来技術では困難であった各種細胞のGSTP1活性の定量化や刺激依存的なGSTP1活性のモニタリングに加え、従来難しかった細胞ベースでの阻害物質探索などさまざまなアプリケーションに応用可能です。
Check it out!
CellFluor®シリーズには、生細胞における広範なGST活性を測定できるCellFluor® GSTもあります。
☞ CellFluor® GSTの詳細についてはこちらをご覧下さい。
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原理
プローブの構造
測定原理
CellFluor® GSTP1は色素骨格に付加されたアセチル基の効果により高い細胞膜透過性を示します。細胞内に取り込まれた後、細胞内のエステラーゼにより脱アセチル化され活性体(以下CellFluor® GSTP1(*)と記載)に変換されます。この活性体にGSTP1がGSHを付加しグルタチオン抱合体を形成すると、プローブの分子内の消光機構が解消され、緑色蛍光を発します。
※ CellFluor® GSTP1は生細胞専用にデザインされており、in vitroアッセイには使用できません。
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MRPトランスポーター活性の影響について
GSHが付加した反応生成物はGSTの本来の異物排除機構に沿って、MRPトランスポーターにより細胞外に排出される恐れがあります。そのため、添付の補助試薬(MRPトランスポーター阻害物質MK571)を併用することを推奨しています。細胞種によってMK571の必要性は異なるため、MK571がお客様のアプリケーションに影響を与える可能性もあります。そのため事前にお客様のアッセイ系でMK571の有無条件にてお試し頂くことを推奨します。例えば、蛍光プレートリーダーを用いた生細胞測定系ではMK571の添加不要で測定が可能です(詳しくは☞ アプリケーションデータを参照)。なお、すべての細胞でMK571の補助効果を保証するものではありません。
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特長
- プローブ自体は消光状態にありますが、GSTP1により消光状態が解除され、緑色蛍光を発します。
- 測定波長:励起493 nm/蛍光510 nm
- 生細胞用にデザインされており、培地に添加するだけで、細胞膜を透過し、観察できます。
※ 本試薬は生細胞専用です。in vitroのアッセイ(精製タンパク質やライセート)では使用できません。in vitroでのGSTアッセイには☞ CellFluor® GST(#FDV-0030)を推奨しています。 - 緑色蛍光を発する反応生成物はMRPトランスポーターにより細胞外に排出される可能性がありますが、付属の補助試薬(MRPトランスポーター阻害物質 MK571)を併用することでこれを抑えることができます。
※ 細胞によりMRPトランスポーター阻害物質の必要性や効果が異なります。目的のアッセイ系に応じて事前評価をおすすめします。 - 蛍光プレートリーダーを用いたハイスループットな生細胞測定系に利用できます。洗浄操作は不要で、補助試薬MK571を使用せず測定が可能です。
- GSTP1に高い特異性を示すことが確認されています
- GSHとの非特異的な反応はほとんど観察されていません。
参考データ
吸収・蛍光スペクトル
※ 下記データは化学合成した脱アセチル化体CellFluor® GSTP1(*)の物性に関するものです。CellFluor® GSTP1そのもののデータではありませんのでご注意下さい。
PBS中に溶解した脱アセチル化体CellFluor® GSTP1(*)(2 μM)に、1 mM GSHおよび組換えGSTP1(1 μg/ml)を添加する前後の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。
- 青:反応前
- 赤:反応後
各種反応活性種に対する脱アセチル化体の安定性
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操作方法概略
- CellFluor® GSTP1(+MK571)溶液の調製
CellFluor® GSTP1およびMK571(必要に応じて)をHBSS*1 (Hanks' Buffer with 20 mM HEPES)またはHEPES-buffered saline(HBS; eg. 20 mM HEPES(pH 7.4)、107 mM NaCl、6 mM KCl、1.2 mM MgSO4、2 mM CaCl2))*1に添加
*1 CellFluor® GSTP1は生細胞用にデザインされており、DMSO溶液では安定ですが、水溶液中では加水分解による脱アセチル化が進む場合があります。反応溶液は必ず実験直前に調製して下さい。また、培地はHBSSやHBSが必須ではありませんが、CellFluor® GSTP1の安定化のため、HEPESなどを含む緩衝液を推奨しています。FBSは本試薬の吸着や脱アセチル化反応を促進し、悪影響を及ぼす恐れがあるため、推奨していません。 - 培養細胞の培地除去
- 1で調製した試薬溶液を細胞に加える
- 5分以上*2培養する
*2 反応時間は細胞のGSTP1活性や使用濃度により異なります。ご使用の細胞系で最適な反応時間をご検討下さい。 - オプション:培地交換および細胞洗浄*3
*3 洗浄有無や観察培地は実験系に応じてご検討下さい。フェノールレッドは測定に影響を及ぼす可能性がありますので、フェノールレッドフリーのイメージング用培地を用いた観察を推奨しています。 - 蛍光顕微鏡や蛍光プレートリーダーなど各種蛍光検出系による観察*4
*4 本試薬は固定試薬により固定することができません。観察は未固定状態(生細胞)で行って下さい。
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アプリケーションデータ
GSTP1特異性の検証(各種GSTファミリーの比較)
GSTP1特異性の検証(ノックダウンによる評価)
GST阻害物質の効果
各種細胞株におけるGSTP1活性の可視化
蛍光イメージングによる経時的観察
蛍光プレートリーダーによる経時的観察
エピジェネティック制御剤によるGSTP1発現誘導の可視化
図をクリックすると拡大します(🔍)
GSTP1低発現細胞であるMCF7細胞は、GSTP1のプロモーター領域に存在するCpGアイランドが高度にメチル化されていることで、遺伝子発現が抑制されていることが知られている。DNAメチル化阻害物質decitabine(1.25 μM)を2~6日間処理後にCellFluor® GSTP1(2.5 μM)を添加し、20分後に蛍光強度の観察を行った。GSTP1活性が認められなかったMCF7において、decitabine処理により5日目頃から徐々にGSTP1活性が認められた。
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参考文献
- Mori, M., et al., "A highly selective fluorogenic substrate for imaging glutathione S-transferase P1: development and cellular applicability in epigenetic studies.", Chem. Commun., 55(56), 8122~8125 (2019). [PMID:31237279]
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キット内容
- CellFluor® GSTP1 0.1 mg
- 補助試薬(MK571; MRPトランスポーター阻害物質) 0.5 mg
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価格
[在庫・価格 :2024年09月19日 00時01分現在]
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CellFluor GSTP1 <Cell-based GSTP1 Activity Assay Reagent> |
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[在庫・価格 :2024年09月19日 00時01分現在]
CellFluor GSTP1 <Cell-based GSTP1 Activity Assay Reagent>
文献数: 0
- 商品コード:FDV-0034
- メーカー:FNA
- 包装:1kit
- 価格:¥40,000
- 在庫:3個以上
- 納期:1週間程度 ※※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。
- 法規制等:
説明文 | がん細胞で高発現するGSTP1 (Pi-class Glutathione S-Transferase)の酵素活性を生細胞で観察できる蛍光プローブです(励起 493 nm/蛍光 510 nm)。広範なGSTファミリーのうちGSTP1に特異的で、GSTP1の機能解析や阻害剤探索などに有用です。※本製品にはプローブ 0.1 mgと補助試薬(MRPトランスポーター阻害剤 MK571) 0.5 mgが含まれます。 |
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法規制等 | |||
保存条件 | -20℃ | 法規備考 | |
掲載カタログ |
ニュース2022年3月1日号 p.10
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製品記事 | 脂質過酸化研究用製品特集 |
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