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HCP検出のグローバルゴールドスタンダード(Cygnus Technologies社)

掲載日情報:2021/10/15 現在Webページ番号:65944

Frontiers

Vol.75 HCP検出のグローバルゴールドスタンダード

Cygnus Technologies 社(1997 年創業、本社:アメリカ)は、宿主細胞由来タンパク質(HCP:Host Cell Protein)やその他のバイオプロセスに関連する混入物質の検出と分析を行う製品とサービスを提供しています。

Cygnus Technologies

バイオ医薬品開発における混入物分析の重要性

遺伝子組換えにより細胞で発現させたタンパク質(最終産物)には、混入物としてHCP や宿主細胞由来のDNA、製造工程由来の不純物であるBSA などの血清成分、培地成分、添加物、精製用レジン(担体)の成分が含まれます。
HCP は、組換え抗体、タンパク質、ワクチン、遺伝子治療や細胞治療のためのウイルスベクターなどを産生する時に、宿主細胞から分泌されたり、製造工程で細胞が溶解したりすることで生成されます。
多くのHCP は無害ですが、中には免疫原性を持つものや、原薬と相互作用するもの、原薬に直接作用することで有効成分を減少させるもの、製剤のバッファーに干渉することでその安定性を低下させるものが存在します。
こうした成分の最終産物への残存は、医薬品の安全性、有効性および安定性に影響を及ぼす可能性があるため、可能な限り最小限のレベルまで削減・除去する必要があります。そのためHCPの測定は、バイオ医薬品開発におけるリスクマネジメントにおける重要項目の一つです。

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HCP 検出の難しさ

HCP を正確に測定できるELISA を構築することは容易ではありません。HCP 測定用のELISA は単一の標的因子を検出・定量するのではなく、数百から数千種類の個々のタンパク質をひとつのアッセイで定量するものだからです。
これらのタンパク質は、サイズ、免疫原性、生物活性などの点で非常に異なっており、これらが複雑に入り混じっている試料の中からより多くのHCP を測定できる広範な反応性を持った抗体を作製しなければなりません。また、各プロセス段階や原薬中のHCPの組成が全く異なる場合もあり、HCP を等しく検出するELISA 系の構築は困難です。
Cygnus 社では独自の技術により、試料中のHCP を幅広く検出できる抗体プールを開発し、汎用HCP ELISA キットとして販売しています。

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HCP/タンパク質産生過程で混入する異物の検出キット

ELISA

精製の各段階でのHCP 検出・半定量に適しています。 ウェスタンブロッティングよりも高感度な検出が可能です。

DNA検出試薬

試料中に混在する宿主細胞由来DNA を高感度に検出します。 CHO 細胞由来/E. coli 由来/NS/0 細胞由来DNA 用の、チューブまたはウェルフォーマットの製品があります。

定量的PCR

CHO 細胞由来/E. coli 由来DNA 用の、チューブまたはウェルフォーマットの製品があります。

ウェスタンブロッティング

精製初期段階でのHCP 検出に適しています。バンド当たり1 ng 程度の感度で検出が可能です。

Cygnus Technologies

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ウイルスクリアランスの評価

バイオ医薬品の製造において、ウイルスの混入リスクは避けて通れません。細胞バンク由来(内因)か、製造工程由来(外因)かに関わらず、ウイルス汚染が起こると深刻な健康被害のリスクが生じます。そのため、各国の規制当局はバイオ医薬品企業に対し、臨床試験の前や市販薬として認可される前に、製造プロセスにおけるウイルス除去の有効性の検証を求めています。
現在、ウイルス除去効率の検証は小規模なスパイク試験によって行われています。 これは各工程の出発材料に一定量のウイルス(MVM やXMuLV)をスパイク(人為的に混入)し、精製(クロマトグラフィー、ナノ濾過など)を経た後のウイルス量をウイルス力価測定(TCID 法など)やqPCR 法により測定することで、対数減少値(LRV)が算出されます。しかし、これにはスパイク試験に特化したバイオセーフティレベルの実験室と十分な訓練を受けた人材が必要であり、その結果、バイオ医薬品の開発コストが高騰する要因にもなっています。

2020 年、Cygnus 社は、バイオ医薬品業界が求めるプロセス開発の初期段階でのウイルスクリアランス評価のニーズに応えるため、MockV MVM アッセイキットを発表しました。非感染性の疑似ウイルス粒子(MVP、Mock Viral Particle)を使用するユニークな手法で、ウイルスクリアランス研究に伴うコストとリスクを軽減することができます。経済的かつ実用的で、正確にウイルスクリアランスの有効性を評価できる唯一の市販キットです。

ウイルス除去プロセスの検証を行うことができる唯一の市販キット

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Cygnus Technologies 社のミッション、ビジョン

Cygnus 社が初の汎用CHO 細胞HCP ELISA キットを開発・商品化したのは20 年以上前のことです。業界のパイオニアとして、現在ではバイオ医薬品の開発・製造に使用されるほぼすべての細胞培養系のHCP ELISA キットのほか、精製レジン由来の浸出物(プロテインA、AAV リガンド)、増殖培地の添加物(インスリン、BSA など)、下流工程の酵素(エンドヌクレアーゼ、ベンゾナーゼなど)の混入を検出するELISA キットなど、数多くの製品をご提供しています。
Cygnus 社は、医薬品業界と各国の規制当局からその高度な技術を高く評価されています。新技術である抗体アフィニティ抽出法(AAE 法)と質量分析を組み合わせたAAE-MS を、これまでノウハウを培ってきたHCP ELISA と組み合わせることで、バイオプロセスにおける混入物検出技術をさらに発展させていきます。また、数多くの世界的なバイオ医薬品企業の医薬品製造プロセスに特化した、カスタムHCP ELISA の開発も行っています。
当社の目標は、規制当局からの要求の早期解決や、医薬品候補の安全性を高めることによる臨床試験移行パイプラインの増加など、プロセス開発初期から最終製品上市に至るまでをお手伝いすることで、よりスムーズなバイオ医薬品の上市に貢献することです。

メーカー名、ロゴのご紹介

Cygnus(シグナス)という名前は、英語で白鳥のヒナを意味する「cygnet」に由来しています。創業者のKen(Dr. Kenneth Hoffman)が鳥好きで、「みにくいアヒルの子」の物語が好きだったことも影響していると言われています。また、はくちょう座(Cygnus)はギリシャ神話にエピソードがあり、重要な星座でもあります。このロゴは、Ken の娘であるMelissa がデザインしました。 尾が抗体の形をしているのがポイントです。
この20 年間で、Cygnus 社製品はHCP 検出のグローバルゴールドスタンダードへと成長を遂げました。今日、Cygnus社の真価はバイオ医薬品業界において発揮されています。

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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