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マイコプラズマ汚染の早期発見に マイコプラズマ汚染の原因と検出法

掲載日情報:2024/11/22 現在Webページ番号:71795

培養細胞がマイコプラズマ汚染(コンタミネーション、コンタミ)すると生育や実験結果に多大な影響を及ぼすことが知られています。そのため実験データの信頼性・妥当性を保証するためには、マイコプラズマ汚染の確認と培養細胞を汚染から守ることが特に大切です。マイコプラズマ汚染の原因を理解することはリスクを最小限に抑え、早期発見することができます。そして、マイコプラズマ汚染を早期に発見するためには、マイコプラズマの検出は極めて重要な方法です。


マイコプラズマ汚染とは

マイコプラズマは、さまざまな感染経路から培養細胞を汚染します。マイコプラズマ汚染はヒト由来の汚染菌が大きな割合を占め、他にはブタやウシ由来が該当します。培養細胞から検出されるマイコプラズマの多くはM. oraleM. fermentansM. hominisです。これらは、ヒト由来の菌であることから培養作業従事者を介した汚染であると推測されています1,2。くしゃみ、咳、あるいは単に話をするだけでエアロゾルが発生し、細胞を直接汚染したり、実験用試薬(細胞培養培地やサプリメントなど)、実験用消耗品(フラスコ、プレート、シャーレ、コニカルチューブなど)、器具(ピペッター、ウォーターバス、インキュベーターなど)を介して汚染する可能性があるので注意が必要です。

培養作業従事者

培養作業従事者を介した汚染源1,3


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マイコプラズマ汚染の原因について

培養細胞のマイコプラズマ汚染は、細胞培養培地・血清・その他の試薬やインキュベーター・ウォーターバスなどを介したクロスコンタミネーション(Cross-Contamination、交差汚染)が主な原因です。
細胞培養培地のサプリメントとして使用するウシ胎児血清(FBS)や付着細胞を剥離する際に使用するトリプシン溶液は、動物由来のためマイコプラズマの汚染源になりやすいです。また、加湿型インキュベーターやウォーターバスは、微生物の増殖に理想的な環境であることから、多くの種類の細菌が増殖し汚染源となります。インキュベーター内の棚・壁・ドアなどの表面にも、マイコプラズマが付着している可能性があるため、適切な清掃や消毒を行う必要があります。そして、多くの人が共有して使用する場所であることも汚染のリスクを高めます。エアロゾルや浮遊粒子は、同じ研究室内または異なる研究室間で培養細胞を汚染する可能性があるので、研究室の設計・換気システム・気流パターン・外出着・汚れた白衣に注意を払う必要があります。

マイコプラズマの予防製品:WaterShield

CO2インキュベーター内のウォーターリザーバーなど、水に添加して雑菌の繁殖を抑える試薬です。ほとんどのバクテリア、マイコプラズマ、原生動物、藻類、菌類、酵母に対して、約4週間抗菌効果が持続します。
WaterShieldの詳細情報はこちらからご覧いただけます。

WaterShield

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各種マイコプラズマ検出法の比較

方法 メリット デメリット
培養法
  • ゴールドスタンダード
  • 高い特異性
  • 検出に28日を要する
  • ポジティブコントロールとバリデーションに、マイコプラズマ感染した細胞が必要
DNA染色法
  • 早い検出
  • 高い費用対効果
  • 培養細胞の状態で結果が左右される
  • 結果の解釈が難しい
  • 経験が必要
PCR法
  • 迅速性に優れる
  • 広い検出範囲
  • シンプルな操作性
  • 高い感度と特異性
  • ポジティブコントロールとバリデーションに、マイコプラズマ感染した細胞は不要
  • 生細胞と死細胞の区別がつかない

培養法

試料をブロス培地に直接接種し、培養します。増殖した培養液は可視化するために寒天プレート上で複数回、時間差で培養し、顕微鏡でマイコプラズマのコロニーを調べます。陰性と判定されるには少なくとも28日間かかります。また標準培地で増殖しないマイコプラズマ株があるため、従来の培養法ですべてのマイコプラズマ株を培養できるわけではありません。
指標細胞培養法は、指標細胞としてVero細胞を用いて試料を共培養します。3~5日間培養した後、指標細胞を核染色液のHoechstで染色し、顕微鏡で表面の蛍光を調べます。この方法は前述した培養法より速いですが、感度が低く、完了までに数日かかります1,2

培養法

DNA染色法

染色されたマイコプラズマ

染色されたマイコプラズマ

DAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)またはHoechstなどを用いたDNA染色法は一番簡単な方法です。DAPIはDNAにインターカレートし、蛍光顕微鏡を用いてUV励起(460 nm)で可視化させます。マイコプラズマ感染していない培養細胞では細胞核のみが標識され、マイコプラズマが存在すればマイコプラズマDNAも標識されます。DNA染色は簡便で迅速な検査ですが、結果の解釈に難しい場合があり、ある程度の経験が必要です。またマイコプラズマは小さいため、蛍光顕微鏡では検出できず、はっきりと識別できない可能性があります。さらに、培養細胞の状態が良くないと、DNA染色の結果が誤って解釈されることもあります1


PCR法(PCR、qPCR、dPCR)

先端治療医薬品(ATMP)などの開発・製造では、より迅速なマイコプラズマ検出が必要とされます。迅速なマイコプラズマ検出の大部分はPCRに基づく方法であり、従来の培養法に代わる方法として規制当局から認められています。PCR法は、マイコプラズマゲノムの16S rRNA領域を標的とした増幅で特異的に検出します。培養法やDNA染色法に比べて高感度なため、低濃度のごく初期の汚染状態も検出することが可能で、正確な結果を数時間で検出します。

qPCRの増幅プロット

qPCRの増幅プロット


PCR法を用いた製品ラインナップ

品名をクリックすると製品情報をご確認いただけます。

品名 VenorGeM qEP VenorGeM qOneStep VenorGeM Classic VenorGeM OneStep VenorGeM Advance
製品概要 各種薬局方準拠の
検出キット
バッファー添加後
すぐ使える便利な
プレミックスタイプ
各種薬局方準拠の
検出キット
バッファー添加後
すぐ使える便利な
プレミックスタイプ
凍結乾燥プレミックス
8連チューブに分注済み
検出方法 qPCR 電気泳動
第17改正日本薬局方
マイコプラズマ否定試験
欧州薬局方(EP)2.6.7
準拠 × 準拠 × ×
バリデーションレポート 提供可能 × 提供可能 × ×
MB Taq DNA Polymerase(酵素) 不要 不要 必要 不要 不要
バリデーションレポートは当社テクニカルサポート部(試薬担当)へご請求下さい。

参考文献

  1. Nikfarjam, L. and Farzaneh, P., "Prevention and detection of Mycoplasma contamination in cell culture", Cell J., 13(4), 203~212 (2011). [PMID:23508237]
  2. Drexler, H.G. and Uphoff, C.C., "Mycoplasma contamination of cell cultures: Incidence, sources, effects, detection, elimination, prevention", Cytotechnology, 39(2), 75~90 (2002). [PMID:19003295]
  3. "WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care: First Global Patient Safety Challenge Clean Care Is Safer Care", (2009). [PMID:23805438]

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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