遺伝子治療研究の発展に貢献するアデノ随伴ウイルス(AAV)製品(PROGEN 社)
掲載日情報:2020/10/15 現在Webページ番号:69452

Vol. 64 アデノ随伴ウイルス(AAV)製品のパイオニア
今回は、アデノ随伴ウイルス(AAV)関連製品のパイオニアであるPROGEN Biotechnik 社(以下、PROGEN 社)にお話を伺いました。
PROGEN 社取締役 Ms. Katja Betts(左)、Mr. Maik Lander(右)
追加しました。
- PROGEN 社の成り立ちについて教えて下さい
- 他の追随を許さないAAV 関連製品におけるPROGEN 社の強みを教えて下さい
- 主力製品のAAV Xpress ELISA について、AAV 粒子をELISA で測定する重要性について詳しく教えて下さい
- PROGEN 社AAV 製品は、どのように遺伝子治療研究の発展に貢献してきたのでしょうか
- AAV を利用したCOVID-19 のワクチン開発も進んでいますが、今後AAV はどのようにライフサイエンスに応用されると期待していますか
- AAV Titration ELISA Kit / AAV Xpress ELISA Kit
PROGEN 社の成り立ちについて教えて下さい
PROGEN社は、ドイツがん研究センター(Deutsches Krebsforschungszentrum:DKFZ)とハイデルベルク分子生物学センター(Zentrum für Molekulare Biologieder Universität Heidelberg:ZMBH)からのスピンオフ企業です。自らの研究グループで抗体を数多く作製してきた研究者4 人が集まり、1983 年にハイデルベルグで創業しました。創業者たちが作製した抗体を出発点として研究開発を進め、 PROGEN 社は優れた抗体やAAV ELISA Kit などの抗体関連製品を製造、供給する企業となりました。
アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus:AAV)とは?
AAV は、エンベロープのない一本鎖DNA をゲノムとして有するパルボウイルス属の非病原性ウイルスです。25 nm ほどの小さな粒子で、ヘルペスウイルスやアデノウイルスの助けを借りて感染し、ヒトにおいて弱い免疫応答を引き起こします。ヒトAAV では12 種類、ヒト以外のAAV では100 種類以上のセロタイプが存在します。AAV は様々な分裂細胞および非分裂細胞に形質導入でき、細胞性免疫応答が低い長期的な遺伝子発現を示します。そのため、遺伝子導入用のウイルスベクターとして熱心な研究の対象となっており、いくつかの臨床試験(FIX、CFTR、パーキンソン病、カナバン病など)で使用されています。
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他の追随を許さないAAV 関連製品におけるPROGEN 社の強みを教えて下さい
①PROGEN 社が保有するAAV 製品の独占的権利
過去数年間でPROGEN 社は最先端の研究機関とのつながりを強め、特に、抗体開発の重要なパートナーであるドイツがん研究
センター(DKFZ)と密接な関係を維持してきました。2019 年にはDKFZ と抗AAV 抗体とELISA システムの独占契約を締結し、現在、PROGEN 社はAAV 製品を世界的に独占して開発・製造、販売するライセンスを保有しています。
②製品の品質
PROGEN 社では、強固で信頼性の高いAAV カプシド力価データを保証するため、AAV 分野で現在最も信頼され利用可能な方法に基づきELISA のキャリブレーション過程を最適化しました。AAV2 とAAV8 はATCC® の標準物質をキャリブレーションに使用しています。そのほかのAAV には自社の標準物質を使用していますが、純度分析、力価(qPCR およびddPCR)の確認や、ネガティブ染色の電子顕微鏡/クライオ電子顕微鏡観察を別の施設に委託し、徹底した品質管理に努めています。
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主力製品のAAV Xpress ELISA について、AAV 粒子をELISA で測定する重要性について詳しく教えて下さい
AAV ベースの遺伝子治療は希少遺伝性疾患を治療する有望なツールへと発展し、一般的な疾患の治療にも同様に応用されつつあります。
その多くは臨床試験段階であり、その数は増え続けています。意図しない副作用や障害を回避するためには、純度解析、ウイルス
ゲノムの決定、患者に導入されるAAV カプシドの総数などのウイルスベクターの特性を包括的に評価することが不可欠です。AAV カプシド力価を評価するには、いくつかの手法と技術があります。ほとんどの手法は、装置や試料あたりのコストが非常に高価であったり、特別なトレーニングを受けた人が必要であったり、その両方を要求されたりします。一方で、PROGEN 社のAAV ELISA Kit は確立されたサンドイッチELISA 法に基づいているため、操作が簡便で、高価な機器や特別なトレーニングを必要とせず、信頼性の高いAAV カプシドの総力価データが得られます。また、市場に存在する他の手法と比較して、アッセイ間およびアッセイ内のばらつきが非常に少なくなっています。
手法 | ELISA | qPCR | ddPCR | Dot Blot |
---|---|---|---|---|
測定対象 | ウイルス粒子 | ウイルスDNA | ウイルスDNA | ウイルス粒子(非変性) |
正確さ | 高 | 中 | 中~高 | 中 |
アッセイ間のばらつき | 低 | 高 | 中 | 中 |
測定時間 | 数時間 | 数時間 | 数時間 | 数時間 |
装置の費用 | 安い | 中 | 高い | 安い |
サンプル当たりのコスト | 安い | 安い | 安い | 安い |
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PROGEN 社AAV 製品は、どのように遺伝子治療研究の発展に貢献してきたのでしょうか
PROGEN 社のAAV 製品は、AAV 遺伝子治療の研究分野とともに進歩してきました。私たちはAAV 遺伝子治療研究が始まった当初から、同研究分野に取り組み、お客様のニーズに合わせてAAV 製品の開発を行うことで企業として発展を遂げてきました。慎重か つ厳密に開発・管理された私たちの製品は、遺伝子治療の研究分野において信頼性の高いデータの取得に貢献しています。
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AAV を利用したCOVID-19 のワクチン開発も進んでいますが、今後AAV はどのようにライフサイエンスに応用されると期待していますか
AAV は患者の体内に遺伝物質を送り届けるための優れたツールであり、さまざまな疾患の治療に使用される可能性が大いにありま
す。AAV に病原性が無いこと、セロタイプごとに異なる臓器を標的とする可能性(下図)により、幅広いアプリケーションへの応用
が期待されています。治療のためにワクチンや遺伝物質の導入手段としてAAV を利用する最近の研究は、まだスタート地点にすぎ
ません。ほかのアプリケーションについて考える前に、まずは現在のアプローチが成功し、安全性が証明されることが重要です。
しかし、見込みのある治療法を基礎研究から臨床研究へ移行させるためには、依然として課題があります。特に、遺伝物質を治療へ
適用することは容易ではなく、それぞれのアプローチには細心の注意を払う必要があります。
この課題におけるPROGEN 社の役割は大きいと考えており、現在そして将来の課題にも対応しうる高品質なAAV 製品の提供を通
して、AAV 研究の発展に貢献するよう努めています。
AAV のセロタイプによる標的器官の違い
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AAV Titration ELISA Kit / AAV Xpress ELISA Kit
ヒトAAV(アデノ随伴ウイルス:Adeno Associated Virus)調製物中のウイルス力価を、サンドイッチ法により比色定量するELISA キットです。
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