プレインキュベーション不要!細胞質へ導入するタンパク質トランスフェクション試薬 ProteoCarry <Protein Transfection Reagent>
掲載日情報:2020/10/15 現在Webページ番号:68023
フナコシ /
フナコシ株式会社
タンパク質およびデキストランなどの生体高分子を細胞内,特に細胞質に導入する試薬です。従来のタンパク質トランスフェクション試薬は導入タンパク質がエンドソーム/リソソームで滞留することが問題視されていましたが,本製品はタンパク質を細胞質に高効率に輸送することができるため,導入タンパク質の細胞内機能の評価や,抗体導入による機能阻害誘導など幅広い実験に使用できます。また従来品と異なり,タンパク質とのプレインキュベーション不要で複合体を形成しないため,タンパク質の機能に与える影響を最小限に留められます。
※ 本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
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タンパク質トランスフェクション試薬とその問題点
タンパク質トランスフェクション試薬(プロテオフェクション試薬)は組換え体タンパク質や抗体を直接細胞に導入するツールで,プラスミドなどの遺伝子導入による目的タンパク質の発現誘導に比べ迅速に導入できるため,幅広く注目されています。
すでにペプチドベース,カチオン性脂質ベース,ポリマーベースなど多数のタンパク質トランスフェクション試薬が開発されておりますが,これらは一般的にタンパク質と複合体を形成した後,エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ,エンドソーム膜を破壊して細胞質に輸送される原理に沿っています。しかしながら,既存試薬の多くは,エンドソーム膜の破壊活性が弱く,エンドソームからの脱出が不十分で,導入タンパク質は主にリソソーム分解系に移行することが示唆されています。導入したタンパク質が細胞内で機能を発揮するためには,強力なエンドソームの膜破壊活性を基にした細胞質への効率的な輸送が求められています。
本製品は従来のタンパク質トランスフェクション試薬の欠点を克服する強力なエンドソーム膜選択的な破壊活性により,高効率に細胞質にタンパク質を輸送する新規のペプチド性タンパク質トランスフェクション試薬です。また,従来のタンパク質トランスフェクション試薬と異なり,タンパク質との複合体を必要としないため,タンパク質に限らず生体高分子(デキストランなど)を細胞質に導入することが可能です。

図. 細胞導入原理の比較
下図は蛍光標識IgGを導入した例です。トランスフェクション試薬を添加しない場合,エンドソーム/リソソームの染色がメインで細胞質から蛍光シグナルが得られていないことに対し,本製品ではエンドソームに加え,細胞質が広く染色されていることが分かります。詳細はこちらをご覧下さい。

図. HeLa細胞への蛍光標識IgG導入の比較
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特長
- ペプチド性のタンパク質トランスフェクション試薬で,高い水溶性を示します。
- 優れたエンドソーム膜破壊活性を示し,従来手法に比べ高い細胞質伝達性を示します。なお,本ぺプチドはエンドソーム膜破壊後もエンドソームに結合したまま留まります。詳細はこちらをご覧下さい。
- 導入物質とのプレインキュベーションが不要で,簡便かつ迅速にトランスフェクション可能です。
- タンパク質と複合体を形成しないため,比較的高濃度のタンパク質を添加する必要がありますが,タンパク質の機能への影響が最小限に抑えられます。
- 1時間の処理で十分に細胞質へのトランスフェクションができます。
- 血清の有無(<10% FBS)による導入効率への影響がありません。使用したい細胞に合わせた実験プロトコールの構築が可能です。
- さまざまなタンパク質,生体高分子を細胞質に導入した実績があります。
例:IgG抗体,機能性タンパク質(Cre recombinase, Saporin),多糖(デキストラン) - 推奨使用濃度では細胞毒性がほとんどありません。
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使用方法概略

- フレッシュな培地(無血清培地,10%以下の含FBS培地またはPBS)に,本製品と導入したいタンパク質などを添加する(以下,トランスフェクション混合液)。
※プレインキュベーション不要。 - 細胞(80%以下のコンフルエント状態)をPBSで2回洗浄した後,トランスフェクション混合液を細胞に添加する。
- トランスフェクション混合液中で細胞を培養する(1時間~)。
- 細胞をPBSで2回洗浄した後,フレッシュな培地を添加する。
- 各アプリケーションに使用できる。
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キット内容
- ProteoCarry(4 mg)
- FITC-dextran(2 mg,ポジティブコントロール用)
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アッセイ回数の目安
プレートのウェルサイズ | ProteoCarry | FITC-dextran |
---|---|---|
6 well | 14 assays | 5 assays |
12 well | 28 assays | 10 assays |
24 well | 56 assays | 20 assays |
48 well | 140 assays | 50 assays |
96 well | 280 assays | 100 assays |
※アッセイ回数はデータシートに記載されたプロトコル例を基にした目安です。実験方法・条件によって変動します。
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導入実績のある細胞
HeLa, SW280, COS7, NIH3T3, HUVEC
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導入量の目安
導入物 | 培地に対する推奨終濃度 | |
---|---|---|
抗体 | 50~250μg/ml | |
タンパク質 | Saporin | 1~10μg/ml |
Cre recombinase | 10~100μg/ml | |
FITC-dextran (ポジティブコントロール) |
200μg/ml |
※導入効率は細胞種,細胞数やタンパク質の種類などさまざまな要因によって変動します。上記は目安であり,実験毎に最適化することをお勧めいたします。
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使用例
蛍光標識Dextranの導入
HeLa細胞へ蛍光標識Dextran(Dextran-FL;平均分子量10kDa, 培地に対する終濃度200μg/ml)を導入した。Dextran-FLのみを細胞に添加した場合(―)はドット状の蛍光シグナルが観察されるものの細胞質ではほとんど蛍光シグナルが観察されなかった。一方,本製品を用いた場合は細胞質全般に蛍光シグナルが観察され,Dextran-FLが細胞質に取り込まれていることが分かる。

プロトコール概要
- 細胞:HeLa
- ProteoCarry濃度:1×
- 導入因子:Dextran-FL(200μg/ml)
- 導入条件:1時間, 37℃
蛍光標識IgGの導入
HeLa細胞へ蛍光標識IgG抗体(IgG-FL,培地に対する終濃度50 or 500μg/ml)を導入した。IgG-FLのみを細胞に添加した場合(―),エンドサイトーシスで取り込まれドット状の蛍光シグナルが観察され,エンドソームおよびリソソームに留まっていることが分かる。一方,本製品を用いた場合は,ドット状のエンドソーム構造も観察されるが,細胞質から蛍光シグナルが観察され,エンドソームから細胞内に拡散していることが分かる。
※ 蛍光シグナルで細胞質の拡散を観察する場合,エンドソームに比べ細胞質の体積が大きいためシグナルが希釈されます。導入する蛍光標識因子の量が少ないと,細胞質まで拡散していてもエンドソーム由来の蛍光シグナルが際立って観察される可能性があります。細胞質での蛍光シグナルの検出には,比較的高濃度の蛍光標識タンパク質を添加することを推奨しています。

プロトコール概要
- 細胞:HeLa
- ProteoCarry濃度:1×
- 導入因子:IgG-FL(50 or 500μg/ml)
- 導入条件:1時間, 37℃
抗核膜孔複合体抗体の導入
HeLa細胞へ蛍光標識した抗核膜孔複合体 (Nucleus pore complex;NPC) 抗体(Anti-NPC-FL;培地に対する終濃度50μg/ml)を導入した。蛍光標識抗体のみを細胞に添加した場合(―),ドット状の蛍光シグナルが観察されるのみだが,本製品を用いた場合は,核膜構造が明瞭に観察されており,抗NPC抗体が細胞質に取り込まれたのち核膜構造に結合していることが分かる。

プロトコール概要
- 細胞:HeLa
- ProteoCarry濃度:1×
- 導入因子:Anti-NPC-FL (50μg/ml)
- 導入条件:1時間, 37℃
- 観察:共焦点レーザー顕微鏡
核局在性EGFPの導入
HeLa細胞へ核局在シグナル(NLS)配列を有するEGFP組換えタンパク質(NLS-EGFP,培地に対する終濃度10μM)を導入した。NLS-EGFPのみを細胞に添加した場合(―),エンドサイトーシスで自発的に取り込まれドット状の蛍光シグナルが観察され,エンドソームおよびリソソームに留まっていることが分かる。一方,本製品を用いた場合は,ドット状のエンドソーム構造も観察されるが,蛍光シグナルは主に核に局在しており,NLS-EGFPが細胞質に取り込まれたのち核に移行していることが分かる。

プロトコール概要
- 細胞:HeLa
- ProteoCarry濃度:1×
- 導入因子:NLS-EGFP(10μM)
- 導入条件:1時間, 37℃
- 観察:共焦点レーザー顕微鏡
Cre recombinaseの導入
Cre recombinase非存在時にはDsRedが発現し,Cre recombinase存在時にのみ組換えが起こりGFPを発現するようにデザインされたプラスミド(loxP-DsRed-Stop-loxP-EGFP)をHeLa細胞に遺伝子導入した。プラスミド導入翌日にDsRedを発現しているHeLa細胞に対して,本製品を用いてHisタグ融合タンパク質として発現・精製したCre recombinase(培地に対する終濃度10μM)を導入した。細胞内導入されたCre recombinaseに依存してGFPが発現しており,本製品がCre recombinaseの機能を維持したまま細胞質に導入できることが分かる。

プロトコール概要
- 細胞:HeLa(前日にCre recombinase依存的なDsRed/GFP発現プラスミドをトランスフェクション)
- ProteoCarry濃度:1×
- 導入因子:Cre recombinase(10μM)
- 導入条件:1時間, 37℃
- 観察:共焦点レーザー顕微鏡(Cre recombinase導入の24時間後に観察)
酵素依存的毒素タンパク質Saporinの導入
Saporinは植物由来のタンパク質で,リボソームに直接結合しRNAグリコシダーゼ活性によりリボソームを不活性化することで細胞死を誘導する毒素タンパク質である。
RAW264.7細胞へSaporin(培地に対する終濃度10μg/ml)を導入した。Saporinのみを細胞に添加した場合の細胞生存率は75%程度であったが,本製品を用いた場合は,大部分が死滅していることが分かる。本製品により,Saporinが酵素活性を維持したまま細胞質に輸送され,リボソームに作用していることを示している。

プロトコール概要
- 細胞:RAW264.7
- ProteoCarry濃度:1×
- 導入因子:Saporin (10μg/ml)
- 導入条件:1時間, 37℃
- 測定:MTTアッセイ(Saporin導入の24時間後に測定)
参考データ:ProteoCarryの細胞内局在
ProteoCarryの細胞内局在性を観察するため,蛍光標識したProteoCarryをHeLa細胞に添加し,蛍光シグナルを共焦点レーザー顕微鏡で観察した。蛍光シグナルは原理通りエンドソームから観察されたものの,細胞質からはほとんど観察されなかった。ProteoCarryはエンドソーム膜を傷害後もエンドソーム膜結合したまま留まっていると考えられる。

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価格
[在庫・価格 :2021年04月20日 10時51分現在]
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[在庫・価格 :2021年04月20日 10時51分現在]
ProteoCarry <Protein Transfection Reagent>
文献数:0
- 商品コード:FDV-0015
- メーカー:FNA
- 包装:1set
- 価格:¥40,000
- 在庫:3個以上
- 納期:1週間程度 ※※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。
- 法規制等:
説明文 |
タンパク質などの生体高分子を細胞内,特に細胞質に導入する試薬。タンパク質を細胞質に高効率に輸送することができるため,導入タンパク質の細胞内機能の評価や,抗体導入による機能阻害誘導など幅広い実験に使用できる。キット構成品 A:ProteoCarry 4 mg,B:FITC-dextran(positive control) 2 mg ※6ウェルフォーマットで14反応分相当。 |
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法規制等 | |||
保存条件 | -20℃,暗所保存 | 法規備考 | |
掲載カタログ |
ニュース2020年11月1日号 p.32 ニュース2020年7月15日号 p.9
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製品記事 | |||
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プレインキュベーションが不要な新規タンパク質トランスフェクション試薬 ProteoCarry 販売開始のお知らせ トランスフェクション試薬選択ガイド |

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