HOME> 試薬> 抗体> 一次抗体> 技術情報:免疫療法における二重特異性(Bi-specific)抗体の展望
HOME> 試薬> 創薬研究> 医薬品製造・研究> 技術情報:免疫療法における二重特異性(Bi-specific)抗体の展望

技術情報:免疫療法における二重特異性(Bi-specific)抗体の展望

掲載日情報:2021/03/16 現在Webページ番号:67276

オランダのライデン大学医療センターのグループが行った研究において,腫瘍溶解性レオウイルスと,T 細胞-がん細胞に結合(架橋)する二重特異性抗体を併用することで,腫瘍退縮を効果的に退縮できる可能性が示されました。

概要

オランダのライデン大学医療センター(Leiden University Medical Center:LUMC)のグループは,腫瘍溶解性ウイルスを使用して,がん免疫療法の治療効果を高める方法を研究しています。患者自身の免疫系を利用してがんと闘う免疫療法は,血液がんに対して効果的であることが証明されていますが,固形腫瘍の治療では成功事例が限られています。LUMCからの報告は,腫瘍溶解性ウイルスを使用して,がん免疫療法の有効性を高めることができる可能性を示しています。

  • 腫瘍溶解性ウイルス…
    悪性腫瘍細胞に感染性を持つ,自然変異型あるいは遺伝子改変された良性ウイルスです。がん細胞に選択的に感染して増殖してがん細胞を破壊するだけでなく,がん微小環境内での免疫応答を誘導することができます。この免疫反応により,免疫療法に抵抗性だったがんの感受性を高められる可能性があります。
  • 二重特異性抗体…
    2 つの異なる標的に結合できる抗体。
  • Knobs-into-Holes(KIH)法…
    重鎖の一方に Knob 変異を,もう一方に Hole 変異を導入し,Hole に Knob が挿入されるように設計する二重特異性抗体の作製法。

二重特異性抗体によるT細胞 - がん細胞架橋も,腫瘍溶解性ウイルスも,どちらもがん治療法として有望ですが,新たな研究により,これらの組み合わせが相乗効果を生む可能性が示されました。

LUMCのグループが,2020年10月にJournal for ImmunoTherapy of Cancerに発表した新たな研究では,CD3εを介してT細胞とがん細胞それぞれと結合(架橋)する二重特異性抗体と腫瘍溶解性レオウイルスとを組み合わせ,マウスモデルでのがん治療効果を検討しました。

腫瘍免疫学の教授Dr .Thorbald van Hallと,がんウイルス免疫療法のグループリーダーであるDr. Nadine van Montfoortが主導するこの研究では,Absolute Antibody社のマウスKnob-into-Hole(KIH)二重特異性抗体が使用されました。

目次に戻る

二重特異性抗体の作製

Thorbald van Hall教授は,腫瘍関連マーカーであるチロシナーゼ関連タンパク質-1(TRP-1)を標的とする二重特異性抗体を探していたときに,学会で我々Absolute Antibody社と出会いました。私たちは最近,完全なマウスKnob-into-Hole二重特異性抗体を作製する,初の商用プラットフォームの開発に成功しており,彼らに2種類の二重特異性抗体を供給することができました。

本研究で使用された二重特異性抗体

  • いずれの抗体も「T細胞 - がん細胞架橋性抗体」であり,一つはマウスCD3εとTRP-1(TA99)を標的とし,もう一方はヒトCD3εとHER2(Trastuzumab)を標的としています。
  • 軽鎖のミスペアリングを防ぐために,抗CD3ε結合鎖を一本鎖Fv(scFv)に変換してあります。
  • また抗体にはAbsolute Antibody社独自のFc Silent変異が導入され,FcRnを介したリサイクルに影響を与えることなくFcγレセプターとの結合に起因する非特異的吸着や細胞傷害性が抑えられています。

LUMCのグループは,これらのユニークな二重特異性抗体と腫瘍溶解性ウイルスの組み合わせが,固形腫瘍に対する免疫療法効果を改善できるかどうか検証しました。

二重特異性によるT細胞(CD3ε)-がん細胞の架橋

二重特異性による「T細胞(CD3ε)- がん細胞の架橋」は,T細胞によるがん細胞の特異的認識を必要とせずに,T細胞の細胞傷害性エフェクター機能をがん細胞に直接及ぼす。

Knob-into-hole(KIH)二重特異性抗体

図:Knob-into-Hole(KIH)二重特異性抗体の構造イメージ

目次に戻る

がん微小環境の活性化実験

実験はマウス腫瘍モデルとヒト化腫瘍モデルの両方で行われ,はじめに腫瘍溶解性レオウイルスが投与され,その後二重特異性のT細胞(CD3ε)- がん細胞架橋抗体が投与されました。それぞれの単独群と比較して,併用群では,強い腫瘍退縮と延命効果が認められました。

腫瘍溶解性レオウイルスでがん微小環境を前処理することで,Cold Tumor(非炎症性腫瘍)すなわち生体内の免疫反応に不活性ながんを,Heated Tumor(炎症性腫瘍,免疫学的に活性ながん)に変え,二重特異性抗体がより効果的に作用し,腫瘍細胞死が引き起こされたものと結論付けられました。

Cold TumorとHeated Tumor

Cold TumorとHeated Tumor
Cold Tumorでは,がん微小環境内に入り込むT細胞が少なく,二重特異性抗体があっても効果が低い。
Heated Tumorでは,腫瘍溶解性レオウイルスに対するT細胞が,がん微小環境内に多数入り込んでおり,それらが二重特異性抗体によりがん細胞に標的替え(retarget)し,細胞障害性が誘導される。

研究グループリーダーである Dr. van Montfoort のコメント

「腫瘍溶解性レオウイルス投与後に腫瘍組織に侵入したT細胞はウイルス特異的なものであり,がん細胞特異的なものではなかったので,それらががん細胞を攻撃する細胞になるように変換する,独自の方法が必要でした。二重特異性抗体はそれを実現し,レオウイルスと二重特異性抗体は,互いが欠くことのできない真の組み合わせとなりました。」

現在,彼らはこの組み合わせを臨床に移すべく,ヒト二重特異性抗体を用いて再現するか否かを検討しています。詳細は,最新の論文を読むか,LUMC研究グループのWebサイトにアクセスして下さい。

Absolute Antibodyの二重特異性抗体の詳細については,こちら「New: Fully Murine Knob-Into-Hole Bispecifics」をご覧下さい。

この研究で使用された抗CD3ε/TRP-1二重特異性抗体(商品コード:bAb0136)および抗CD3ε/HER2二重特異性抗体(商品コード:bAb0183)は,カタログ製品としてご購入いただけます。

[在庫・価格 :2022年08月15日 11時52分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
  • 商品コード
  • メーカー
  • 包装
  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
Anti-TRP-1, gp75, Mouse IgG2a mCD3e KIH bispecific, Fc Silent, Recombinant Monoclonal Antibody, clone TA99
10日程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
別名:Melanoma antigen gp75,5,6-dihydroxyindole-2-carboxylic acid oxidase,DHICA oxidase,Catalase B,Glycoprotein 75,Tyrosinase-related protein 1,TRP,TRP-1,TRP1
クローン:TA99
法規制等
保存条件 4℃ 法規備考
抗原種 免疫動物 クラス IgG 標識 Unlabeled
交差性 Human 適用 ELISA,FCM,IF,IHC(frozen),IP,Western Blot
クロナリティ Recombinant フォーマット 性状 吸収処理
掲載カタログ ニュース2021年9月15日号 p.16

製品記事 Fc Silent組換え抗体 | Fc Silent recombinant antibody
技術情報:抗体のFcドメインのタンパク質工学的改変
関連記事 腫瘍微小環境特集
Anti-erbB-2 (Her-2/neu), Mouse IgG2a hCD3e KIH bispecific, Purified, Fc Silent, Recombinant Monoclonal Antibody, clone 4D5-8 (trastuzumab)
10日程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
別名:CD340,Metastatic lymph node gene 19 protein (MLN 19),Proto-oncogene Neu,Proto-oncogene c-ErbB-2,Tyrosine kinase-type cell surface receptor HER2,p185erbB2,p185HER2,EGFR
クローン:4D5-8
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
抗原種 免疫動物 クラス IgG 標識 Unlabeled
交差性 Human 適用 ELISA,FCM,IHC
クロナリティ Recombinant フォーマット 性状 吸収処理
掲載カタログ ニュース2021年9月15日号 p.16

製品記事 技術情報:抗体のFcドメインのタンパク質工学的改変
関連記事 腫瘍微小環境特集

[在庫・価格 :2022年08月15日 11時52分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。

Anti-TRP-1, gp75, Mouse IgG2a mCD3e KIH bispecific, Fc Silent, Recombinant Monoclonal Antibody, clone TA99

文献数: 0

説明文 別名:Melanoma antigen gp75,5,6-dihydroxyindole-2-carboxylic acid oxidase,DHICA oxidase,Catalase B,Glycoprotein 75,Tyrosinase-related protein 1,TRP,TRP-1,TRP1
クローン:TA99
法規制等
保存条件 4℃ 法規備考
抗原種 免疫動物
交差性 Human 適用 ELISA,FCM,IF,IHC(frozen),IP,Western Blot
標識 Unlabeled 性状
吸収処理 クラス IgG
クロナリティ Recombinant フォーマット
掲載カタログ ニュース2021年9月15日号 p.16

製品記事 Fc Silent組換え抗体 | Fc Silent recombinant antibody
技術情報:抗体のFcドメインのタンパク質工学的改変
関連記事 腫瘍微小環境特集

Anti-erbB-2 (Her-2/neu), Mouse IgG2a hCD3e KIH bispecific, Purified, Fc Silent, Recombinant Monoclonal Antibody, clone 4D5-8 (trastuzumab)

文献数: 0

説明文 別名:CD340,Metastatic lymph node gene 19 protein (MLN 19),Proto-oncogene Neu,Proto-oncogene c-ErbB-2,Tyrosine kinase-type cell surface receptor HER2,p185erbB2,p185HER2,EGFR
クローン:4D5-8
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
抗原種 免疫動物
交差性 Human 適用 ELISA,FCM,IHC
標識 Unlabeled 性状
吸収処理 クラス IgG
クロナリティ Recombinant フォーマット
掲載カタログ ニュース2021年9月15日号 p.16

製品記事 技術情報:抗体のFcドメインのタンパク質工学的改変
関連記事 腫瘍微小環境特集

目次に戻る

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。