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Primary AntibodyとSecondary Antibody(一次抗体と二次抗体)とは Rockland Immunochemicals社 一次抗体と二次抗体について

掲載日情報:2020/07/08 現在Webページ番号:67127

Rockland Immunochemicals社には、優れた特徴を持つ多くの一次抗体と二次抗体があります。二次抗体の様々な標識製品とキット、およびF(ab')2断片とFab断片(Fragment)などの製品の特徴についてご紹介いたします。

抗体の特徴についての目次

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一次抗体とは

一次抗体(Primary Antibody)は、対象とする特定の抗原(Antigen:タンパク質、ペプチド、小分子など)に結合する免疫グロブリン(Immunoglobulin)で、通常は未修飾のものを使います。優れた一次抗体とは、抗原を認識し、高い親和性(Affinity)と特異性(Specificity)をもって結合し、抗原の精製、検出、測定を行うことができるような抗体です。マウス(Mouse)、ウサギ(Rabbit)、ヤギ(Goat)、またはニワトリ(Chicken)のような様々な動物種を用いて作製され、用途に応じてポリクローナル(Polyclonal)またはモノクローナル(Monoclonal)の抗体とします。一次抗体は、リン酸化、メチル化、グリコシル化、またはアセチル化といった翻訳後修飾(Post-Translational Modification, PTM)を認識するためにも開発されており、このような抗体は、タンパク質の活性化、サイレンシング、プロセシング、および/または疾患を引き起こす可能性のある原因の研究や同定の優れたツールとなります。

一次抗体のイメージ

一次抗体の用途により、レポーター分子(酵素、蛍光体など)とのコンジュゲート(Conjugate, 結合/標識)にするか、あるいは非コンジュゲートのままかを決定します。コンジュゲートされた一次抗体は、検出用の二次抗体が不要となるメリットがあります。

■一次抗体が使われる実験例

下記のような多数のタイプのアッセイで抗原を認識するために使用することができます。

  • ウエスタンブロット(Western Blot, WB)
  • ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)
  • 免疫細胞染色(Immunocytochemistry, IC)
  • 免疫沈降(Immunoprecipitation, IP)
  • 免疫組織化学(Immunohistochemistry, IHC)
  • 免疫蛍光染色(Immunofluorescence Staining, IF)
  • フローサイトメトリー(Flow Cytometry, Fluorescence-Activated Cell Sorting, FACS)
  • クロマチン免疫沈降(Chromatin Immunoprecipitation, ChIP)
  • 表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance, SPR)
  • 中和反応(Neutralization Test, NT)など

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二次抗体とは

二次抗体(Secondry Antibody)は、一次抗体に結合し、標的抗原の検出、選別および精製を助けます。標的の検出のため、一次抗体を作製した免疫動物種(Host)およびアイソタイプ(Isotype)に対する特異性が必要で、一般にコンジュゲート/標識された抗体が用いられます。

■二次抗体が使われる実験例

二次抗体は、ELISA、ウエスタンブロット、免疫組織化学、およびフローサイトメトリーといった様々なタイプのアッセイに使用されます。
二次抗体は、一次抗体のクラス(Class:例えば IgGまたはIgMなど)、抗体作製の動物種、および適切な抗体の標識の種類に従って選択されます。ほとんどの一次抗体はIgGクラスであり、ウサギ、マウス、ヤギまたはニワトリといったよく使われる動物種で産生されます。したがって、抗マウスIgG、抗ウサギIgG、抗ヤギIgG、または抗ニワトリポリクローナル抗体がしばしば用いられます。

二次抗体の選択は簡単です。つまり、目的の一次抗体を産生するために用いられた動物種を認識する二次抗体を選択することです。
例えば、一次抗体がマウス・モノクローナル抗体ならば、抗マウス二次抗体を選び検出に用いることになります。しかしながら、最適な二次抗体を決めるには、検出アッセイの知識が必要です。例えば、ウエスタンブロットやELISAは、比色、化学発光および蛍光レポーターシステムで行うことができ、一方、免疫蛍光染色およびフローサイトメトリーは、一般に蛍光レポーター標識法に限定されます。こういった例では、標識二次抗体が必要です。

■二次抗体の様々な標識法と利用法

二次抗体の様々な標識法と利用法

この例では、マイクロタイタープレート上に抗原()を吸着し、抗原に対して特異的な一次抗体(青い輪郭のY字型)、および標識された二次抗体(黒い輪郭のY字型)を反応させ検出を行う模式図を示す。 酵素標識された二次抗体は、上段の酵素免疫測定法(Enzyme Immunoassay: EIA法)、下段の化学発光免疫測定法(Chemiluminescent Immunoassay: CLIA 法)で用いられ、それぞれ発色または化学発光で測定できる。中段の蛍光標識二次抗体は、蛍光イムノアッセイまた(Fluorescence Immunoassay: FIA 法)に使われ、特定の波長で励起される蛍光を発する。

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最適な二次抗体の選択方法

以下の選択基準は、どれが最重要なのかに従って考慮する必要があります。

選択基準 説明
動物種 二次抗体は、一次抗体を産生した動物種を特異的に検出する抗体を選ぶ。
ポリクローナルか
モノクローナルか
ほとんどの場合、ポリクローナル抗体で十分である。
モノクローナル抗体は、作製がより困難だが、特異性が高く、また経時変化に強く一貫性が高い。
検出システムと
プロトコル
検出システムは色調(つまり目で見て)、光量(すなわちELISA)、または蛍光(すなわち 免疫蛍光)を用いるかを考察。
その他の詳細 サブクラス特異的抗体やFabまたはF(ab’)2フラグメントの利用は、交差反応を減少させる。


■抗体を作製した動物種による二次抗体選択

一次抗体を産生するために用いた動物種に注意が必要です。例えば、ウサギのポリクローナル抗体を使用する場合、ヤギ(Goat)やロバ(Donkey)などで作製された抗ウサギ二次抗体を選びます。Rockland社では、ほとんどすべての実験プロトコルに対して、幅広い動物種の二次抗体を選ぶことができます。

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検出システム:ウエスタンブロット法/ELISA/免疫沈降法

ウエスタンブロット法やELISAなどの一般的に用いられる技術では、酵素を結合させた二次抗体が最良の選択だと言っても良いでしょう。ペルオキシダーゼ(Peroxydase)やアルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatease)がよい例です。酵素は、特定のシグナルを生成するような基質が必要です。免疫蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー(FACS)の場合、蛍光色素と結合した二次抗体(例えば、FITC、DyLight、またはCyといった蛍光色素で標識された抗体)がよく使われます。

免疫沈降実験では、沈降した抗体とは反応しない特別な試薬製品を使いノイズを低減すべきです。Rockland社のTrueBlot試薬は、免疫沈降に使用される二次抗体に代わるもので、正確なウエスタンブロットの像が得られます。つまり、TrueBlotを用いると、目的タンパク質のバンドの検出の妨げとなる重鎖/軽鎖によるノイズや、免疫沈殿物のノイズを除くことができます。感度の向上、バックグラウンドノイズの低減がなされるため、多数のアプリケーションを精度良く行うことが可能になります。TrueBlotシリーズには、モノクローナル二次抗体、IPビーズ、完全なIP/ウエスタンブロットキットなど、数多くの製品群があります。

■免疫沈降後のウエスタンブロッティング用二次抗体TrueBlot製品ラインナップ

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酵素標識二次抗体

レポーター酵素は分子生物学で広く用いられており、免疫複合体の可視化を行うことができます。西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horseradish Peroxidase, HRP)は広く使用されているレポーター酵素で、基質に依存して発色性または発光性生成物を生成します。アルカリホスファターゼ(AP)もまたよく使用され、発色ウエスタンブロット分析フォーマットにおけるレポーター酵素として利用されます。

■酵素標識二次抗体の動物種別ラインナップ

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蛍光標識二次抗体

Rockland社には、フルオレセイン(Fluorescein, FITC)、テキサスレッド(Texas Red)およびフィコエリスリン(フィコエリトリン、Phycoerythrin)を含む、数多くの蛍光色素標識二次抗体のラインナップがあります。全ての蛍光標識製品は、蛍光ウエスタンブロッティング、免疫蛍光顕微鏡、FLISA(Fluorescence-Linked Immunosorbent Assay)などの様々な免疫蛍光ベースのアッセイに適用可能です。
またRockland社では、多項目解析や多重染色(Multiplex, Multi-color Analysis)用の次世代蛍光色素標識製品を数多く取り揃えています。次世代の蛍光色素複合体(Atto-tec Dye、DyLight Dye といった蛍光色素の標識体)は、高い吸光係数(High Extinction coefficient)、高い量子収率(High Fluorescence Quantum Yield)、および優れた光安定性(High Photostability)を示します。

■蛍光色素波長一覧

蛍光波長色素一覧

■蛍光標識二次抗体の動物種別ラインナップ

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クラスとサブクラス

ウサギ、ヤギ、ロバ、ニワトリで産生されるポリクローナル抗体は通常IgGアイソタイプで、二次抗体は抗IgG(H+L)、すなわち重鎖(Heavy Chain)および軽鎖(Light Chain)の両方に特異的であるような抗体であるべきです。
IgMも使用されますが頻度は低いです。ある実験では、あらかじめ吸収(Pre-Absorbed)操作を行った二次抗体が必要です(下記の「吸収済み抗体」を参照)。

モノクローナル一次抗体は、マウス、ラットおよびハムスター(アルメニアハムスター)で一般的に産生されますが、ウサギおよびヒト由来のモノクローナル抗体もよく使われます。主な抗体クラスには、IgA (α)、IgD (δ)、IgE (ε)、IgG (γ) およびIgM (μ) と名前が付いています。

マウス免疫グロブリンのクラスおよびサブクラス:

  • クラス:IgG、IgM
  • サブクラス: IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3
  • タイプ:κ軽鎖、λ軽鎖

ラット免疫グロブリンのクラスおよびサブクラス:

  • クラス:IgG、IgM
  • サブクラス: IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c
  • タイプ:κ軽鎖、λ軽鎖

ヒト免疫グロブリンのクラスおよびサブクラス:

  • クラス:IgG、IgM、IgA、IgD
  • サブクラス: IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2
  • タイプ:κ軽鎖、λ軽鎖

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酵素で消化して得られる抗体の断片(フラグメント)

プロテアーゼにより断片化された抗体は、抗体のFc部分(Fragment Crystallizable Region)と細胞上のFcレセプターとの非特異的結合を除くことができます。IgG抗体全体をペプシン(Pepsin)またはパパイン(Papain)で消化し断片化すると、F(ab')2またはFab(Fragment antigen binding)断片をそれぞれ生じます。

ペプシンとパパインによる抗体の切断図

ペプシンとパパインによる抗体の切断図

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F(ab')2断片とは

F(ab')2(Fab prime)断片は、IgG抗体全体をペプシン消化することにより、Fc領域の大部分が除去されながら、完全なヒンジ領域(Hinge Region)を残す形で生成されます。F(ab')2断片は、ジスルフィド結合(Disulfide Bond)により連結された2つの抗原結合F(ab') 部分を有し、約110 kDaの分子量となります。

F(ab')2断片イメージ

F(ab')2断片の模式図
H鎖とL鎖はHとLで示し、ジスルフィド結合はオレンジ色で示した。

F(ab')2断片では、抗体のFc部分と細胞上のFcレセプター間の非特異的結合がありません。Fcレセプターを有する組織または細胞(脾臓、血液、造血細胞、白血球など)を用いる場合には、Fcレセプターへの非特異的結合を除くためにF(ab')2断片を選択するのが良いでしょう。標識F(ab')2断片二次抗体は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、および免疫蛍光法に適用可能です。

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Fab断片(Fragment)とは

抗体をパパイン(Papain)で消化して精製することにより、分子約50 kDaの一価Fab断片を得ることができます。この断片は、抗体のFc部分を欠いており、細胞のFc結合機構とは相互作用しません。相対的に分子量が低くin situ研究に用いれば最大透過性を得ることができます。

Fab断片イメージ

Fab断片(2個)の模式図
H鎖とL鎖はHとLで、ジスルフィド結合はオレンジ色で示した。

Fab断片は、2つのIgG型マウスモノクローナル抗体を使用する実験など、同じ免疫動物(Host)の一次抗体を2種類使用する場合に役立ちます。標識Fab断片化抗マウスIgG抗体を用いれば、この分子は、マウスIgG分子の表面に結合し、抗マウスIgGが結合するすべての部位を完全にマスキングします。

さらに、Fab断片は、その一価の特性のために、前処理用として実験系に加えれば、その後に加えるマウスIgG抗体には結合せず、マウスIgG抗体の染色性を上げることができます。例えば、マウス組織をマウスの一次抗体で染色する必要がある場合、抗マウスIgG由来のFab断片で前処理を行い内因性のIgGを十分にブロックしておけば、以降に加える抗体は内因性のIgGとは理論的には反応しないことになります。

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アフィニティー精製(Affinity Purified)および吸収処理(Pre-Adsorbed)済み抗体

二次抗体は、一般的に IgG全体あるいは IgGの任意の断片を認識することができ、また一次抗体タンパク質を作った一つの動物種のみを特異的に認識することができるはずです。しかし、実際にはこれ以外の動物種とも反応する、すなわち交差反応性(Cross-reactivity)を持つことがあります。このため、Rockland社は、アフィニティー精製および高度吸収処理済みの二次抗体を開発しました。

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二次抗体の吸収処理

交差吸収(Cross absorption)も含めた二次抗体の吸収処理を行い、不要な抗体作製動物種または抗体断片由来のIgGに対する反応性を除きます。交差反応性の程度はELISAによって判断することができ、通常は目的のシグナルの1%未満とします。二次抗体は、別の種由来の血清抗体タンパク質に対して交差吸収を行うか、または複数の動物種由来の血清抗体タンパク質の混合物で吸収処理を行い、「吸収処理済み」と称します。このような交差吸収処理済み抗体は多重標識実験において交差反応性が低減されます。吸収処理済み二次抗体の交差反応性は、ELISAまたはウエスタンブロット検出によって計測できます。

多くの抗体は、他の種由来の血清タンパク質に対して予め吸収処理されて提供されるか、またはいくつかの種由来の血清タンパク質の混合物で吸収処理されており、カタログ中では、例えば、X to Ch(ニワトリ)、GP(モルモット)、Ham(ハムスター)、Hs(ウマ)、Ms(マウス)、Rb(ウサギ)、およびRt(ラット)のように表記されています。繰り返しになりますが、このような高度に交差吸収された抗体は、多重標識実験において交差反応性レベルが非常に低くなり有用です。

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