ヒトB7-H3定量ELISAキット Human B7-H3 Quantikine ELISA Kit

B7-H3は分子量約100 kDaの単量体糖タンパク質で、Igスーパーファミリー分子のB7ファミリーグループⅢに属します。B7-H3は様々な細胞で発現していますが、レセプターがCD28ファミリーでないという点において、B7ファミリーの中でも変則的なメンバーであると考えられています。B7-H3は骨芽細胞や線維芽細胞、繊毛気道上皮細胞、下垂体前葉前駆細胞、妊娠初期の絨毛外栄養膜、腫瘍細胞など様々な初代細胞で発現します。また、樹上細胞や骨格筋細胞、単球でも発現します。注目すべきことに、B7-H3のmRNAは幅広い細胞種で発現していますがタンパク質の発現は制限されており、転写後の段階で厳密に制御されていることが示唆されます。

B7-H3は免疫応答の調節分子として機能し、状況に応じてリンパ球活性の共刺激および共阻害の両方に関与すると報告されています。
共刺激分子としてB7-H3は、TLR依存的にマクロファージにおけるLPS誘導性のNFκB活性化を増大させます。抗CD3抗体と組み合わせることで、IFN-γの分泌やCD4+/CD8+T細胞の増殖を誘導するという報告もあります。
共阻害分子としてがん細胞膜上に発現したB7-H3は、NK細胞の細胞傷害活性を阻害し、活性化T細胞によるサイトカイン産生を抑制し、抗原提示に関与する樹上細胞を免疫抑制表現型にすると報告されています。線維芽細胞上のB7-H3は、T細胞を休止状態にすることでIFN-γやTNF-α産生を促進し、活性化T細胞によるサイトカイン産生を抑制することが明らかになっています。

このような相反するB7-H3活性は、B7-H3レセプターに関連があるようです。共刺激関連レセプターの一つTREML2/TLT-2はCD8+/CD4+ T細胞に存在し、B7-H3と結合することでリンパ球の増殖やIFN-γ産生を誘導します。また、がん細胞に発現するB7-H3はTREML2発現CD8+ T細胞の細胞溶解活性を誘導します。しかし、それ以外のB7-H3とTREML2の物理的結合は見られず、B7-H3による共阻害活性に関与するレセプターは発見されていません。