HOME> 試薬> 細胞培養> 細胞の解析> Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratio
HOME> 試薬> 生化学一般試薬/その他> 蛍光/標識用試薬> 蛍光および標識試薬> Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratio

細胞内部の温度を蛍光比で測定できる蛍光プローブ Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratio

掲載日情報:2021/04/15 現在Webページ番号:63287

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioは、蛍光プローブを含む5%グルコース溶液で細胞を処理するだけで細胞へ導入でき、2蛍光の比により、細胞内部の温度を測定できる蛍光プローブです。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
マイクロインジェクションで細胞へ蛍光プローブを導入するDiffusive Thermoprobe®についてはこちらをご覧下さい。
蛍光寿命で細胞内部の温度を測定するCellular Thermoprobe® for Fluorescence Lifetimeについてはこちらをご覧下さい。

ラット肩甲骨由来初代培養褐色脂肪細胞の各種刺激による細胞内温度上昇

図をクリックすると拡大します(拡大図

まとめ買いバナー

  ☞ 価格表へ  

ラット肩甲骨由来初代培養褐色脂肪細胞の各種刺激による細胞内温度上昇

共焦点レーザー顕微鏡により473 nm励起における500~520 nmおよび560~610 nmの蛍光像を取得し、蛍光比(蛍光560~610 nm/蛍光500~520 nm)を別途取得した検量線に合わせて疑似カラーで可視化した。

  • 上図:ATP合成阻害物質FCCP添加前後の細胞内温度変化
  • 下図:βアドレナリン受容体アゴニストのノルエピネフリン添加前後の細胞内温度変化

細胞機能と温度について

温度は、細胞内におけるあらゆる化学反応を支配する物理量です。細胞機能を担うために、細胞内の特定の場所において発熱もしくは吸熱反応を伴う化学反応が起きると、局所的な温度変化が引き起こされます。そのため、細胞内の温度分布は細胞内分子の熱力学や機能を反映しています。また、医学的見地からは、がん細胞などの病態細胞では亢進した熱発生があることが報告されています。以上のことから、細胞内の温度分布が分かれば、細胞の機能に関する理解が深まるとともに、新規診断、治療法の開発にも貢献すると期待されています。

  ☞ 価格表へ  



目次に戻る

特長

  • Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioは、5%グルコース溶液との混合液で細胞を処理するだけで細胞に導入できます。
  • 溶液と共培養するだけで導入できるため、接着細胞・浮遊細胞どちらにも導入できます。
  • 10~20分の反応で、細胞へ導入できます。
  • 温度検出限界は、28℃~44℃の間で0.01~0.25℃のわずかな温度差も検出できます。
  • 共焦点レーザー顕微鏡での空間分解能は、240 nmであり、細胞内部の温度差を検出できます。
  • 観察条件の一例:共焦点レーザー顕微鏡 励起光473 nmレーザー、蛍光波長500~520 nm(BODIPY-AA)および560~610 nm(DBThD-AA)
  • Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioによる温度測定は、細胞内のイオン強度、pH、タンパク質含有量および粘性による影響はごくわずかです。
  • 蛍光比により測定を行うため、蛍光プローブの局所濃度に影響されず、正確な温度を測定できます。
  • 可溶性:水溶性
  • 形状:黄色粉末

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

構造と原理

Cellular Thermoprobe<sup>®</sup> for Fluorescence Ratioの化学構造

図をクリックすると拡大します(拡大図

Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioの化学構造

Cellular Thermoprobe<sup>®</sup> for Fluorescence Ratioの原理

図をクリックすると拡大します(拡大図

Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioの原理

Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioは感温性ユニット(NNPAM)、カチオン性ユニット(APTMA)、蛍光性ユニット1(DBThD-AA), 蛍光性ユニット2(BODIPY-AA)から構成されている。プローブの水溶液が低温の際には、構造内の水分子の存在により環境応答性蛍光団である蛍光性ユニット1の蛍光は弱い状態であるが、高温下では感温性ユニットの疎水性相互作用によってプローブは小さく丸まった状態となる。これにより水分子はプローブ外へ排除され、強い蛍光を発する状態となる。またカチオン性ユニットを組み込む事により、短時間で自発的に細胞内に導入される。温度変化により蛍光性ユニット1の蛍光強度は変化するが、蛍光性ユニット2は温度変化に影響されない。よって、DBThD-AAとBODIPY-AAの蛍光強度比から、プローブの導入濃度非依存的に正確な温度計測が可能となる。

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

操作方法概略

  1. 粉末200μgに20μlの超純水を加え、溶解する。
  2. 5%グルコース溶液にて希釈する。
  3. Cellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioを含む5%グルコース溶液を細胞へ加える。
  4. 細胞を10~20分、25℃で静置する。
  5. 細胞をPBSで洗浄し、適切な培地を加える。
  6. 蛍光顕微鏡で観察する。

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

蛍光ユニット1(DBThD-AA)と蛍光ユニット2(BODIPY-AA)の吸光度と蛍光波長

蛍光ユニット1(DBThD-AA)

図をクリックすると拡大します(拡大図

蛍光ユニット1(DBThD-AA)

蛍光ユニット2(BODIPY-AA)

図をクリックすると拡大します(拡大図

蛍光ユニット2(BODIPY-AA)

  • :アセトニトリル溶媒中での吸収スペクトル
  • :エチルアセトン溶媒中での458 nm励起波長時の蛍光スペクトル
  • :アセトニトリル溶媒中での458 nm励起波長時の蛍光スペクトル
  • :メタノール溶媒中での458 nm励起波長時の蛍光スペクトル

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

MOLT-4細胞での蛍光波長と温度分解能

MOLT-4細胞での蛍光波長と温度分解能

図をクリックすると拡大します(拡大図

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

HEK293T細胞での蛍光波長と蛍光顕微鏡観察

HEK293T細胞の温度プローブ蛍光顕微鏡観察

図をクリックすると拡大します(拡大図

  • :顕微鏡像 
  • 真中:蛍光像 
  • :重ね合わせ像
HEK293T細胞の温度プローブ蛍光波長

図をクリックすると拡大します(拡大図

  • :37℃ 
  • :32℃ 
  • :27℃

HEK293T細胞へのCellular Thermoprobe® for Fluorescence Ratioの導入と各温度での蛍光スペクトル

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

FAQ

Q-1:温度の変化は蛍光像を見ても明らかにわかるものですか?

A-1:データシートの図にもありますように、適切なフィルターを使った場合はDBThD-AA由来の蛍光強度は目視でも強くなったように見えると思います。ただ、実際の温度変化は2波長の像の比を取ることにより、より大きな変化として見えることが多いです。



Q-2:どんな細胞に使用した実績がありますか?

A-2:接着性細胞のHEK293T、HeLa、C2C12、A431、RAW264.7には導入できることを確認済みです。また浮遊性細胞MOLT-4にも導入できることを確認しています。初代培養細胞ではラットもしくはマウスの肩甲骨組織由来の間質血管細胞群(SVF)から誘導した褐色脂肪細胞にも適用できることを確認しています。



Q-3:蛍光強度比像を取得したときにノイズが多くて、うまく見えません。

A-3:比を取る前に、average filterなどのノイズ除去処理をすることとバックグラウンド処理をすることで、蛍光強度比像のノイズが少なくなります。



Q-4:退色の影響はありますか。

A-4:ご使用になられている顕微鏡装置の性能によっても大きく変わると思いますが、一般的な共焦点レーザー顕微鏡では退色が気になったことはありません。もし退色が気になるようでしたら、細胞へのプローブ導入量が少ないか、もしくは適切なフィルターを使えていない可能性もございます。



Q-5:Thermoprobe®の細胞への導入ができません。

A-5:幾つかの可能性があると考えられます。1つは波長が合っていないなどの光学系の問題。もう1つは培地の自家蛍光が高いことやThermoprobe®処理後の洗浄が足りずバックグラウンドが高くなっているケースも考えられます。例えば、Thermoprobe®を0.01- 0.1 w/v%に溶解した150 mM KCl水溶液などで、顕微鏡観察ができるかどうか、そして温度に応答して蛍光強度比が変わるかを確認されると良いと思います。溶液では見えるのに、細胞では見えない場合は、その細胞には利用できない可能性もございます。



Q-6. :顕微鏡上で温度をコントロールできる設備がなくても観察できますか?

A-6 :細胞内の温度変化をモニターする上では、顕微鏡ステージ上の温度をコントロールできる状態でないとご活用頂くのは難しいと思います。

  ☞ 価格表へ  



目次に戻る

参考文献

  1. Uchiyama, S., et. al., Analyst, 140, 4498~4506 (2015).
  2. Uchiyama, S. & Gota, C. Reviews in Analytical Chemistry, 36.1, from doi:10.1515/revac-2016-0021 (2016).
  3. Tsuji, T., et. al., Sci Rep., 7(1), 12889. doi: 10.1038/s41598-017-12634-7 (2017).
  4. Uchiyama S., et. al., Chem Commun (Camb)., 53(80):10976~10992. doi: 10.1039/c7cc06203f (2017).

  ☞ 価格表へ  


目次に戻る

製品の使用文献

  1. Senthivinayagam, S., et. al., Mol. Matab., 101130. doi: 10.1016/j.molmet.2020.101130 (2021).
  2. Kimura, H., et. al., Sci Rep., 7(1), 12978. doi: 10.1038/s41598-017-13563-1 (2017).

目次に戻る

価格

[在庫・価格 :2024年04月26日 14時15分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
  • 商品コード
  • メーカー
  • 包装
  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
Cellular Thermoprobe for Fluorescence Ratio
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 2
説明文
膜透過型の温度感受性の蛍光性プローブ。細胞内の温度分布を計測できる。2波長の蛍光比で計測。
別包装品 別包装品あり
法規制等
保存条件 室温 法規備考
掲載カタログ ニュース2021年11月1日号 p.16
ニュース2020年12月1日号 p.14

製品記事 Thermoprobe®特集
イメージング解析用プローブ(細胞用)特集
関連記事
Cellular Thermoprobe for Fluorescence Ratio
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 2
説明文
膜透過型の温度感受性の蛍光性プローブ。細胞内の温度分布を計測できる。2波長の蛍光比で計測。
別包装品 別包装品あり
法規制等
保存条件 室温 法規備考
掲載カタログ ニュース2021年11月1日号 p.16
ニュース2020年12月1日号 p.14

製品記事 Thermoprobe®特集
イメージング解析用プローブ(細胞用)特集
関連記事

[在庫・価格 :2024年04月26日 14時15分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。

Cellular Thermoprobe for Fluorescence Ratio

文献数: 2

説明文 膜透過型の温度感受性の蛍光性プローブ。細胞内の温度分布を計測できる。2波長の蛍光比で計測。
別包装品 別包装品あり
法規制等
保存条件 室温 法規備考
掲載カタログ ニュース2021年11月1日号 p.16
ニュース2020年12月1日号 p.14

製品記事 Thermoprobe®特集
イメージング解析用プローブ(細胞用)特集
関連記事

Cellular Thermoprobe for Fluorescence Ratio

文献数: 2

説明文 膜透過型の温度感受性の蛍光性プローブ。細胞内の温度分布を計測できる。2波長の蛍光比で計測。
別包装品 別包装品あり
法規制等
保存条件 室温 法規備考
掲載カタログ ニュース2021年11月1日号 p.16
ニュース2020年12月1日号 p.14

製品記事 Thermoprobe®特集
イメージング解析用プローブ(細胞用)特集
関連記事


目次に戻る

関連製品:イメージングディッシュ/チャンバー/プレート

zell-kontakt社(ZEL)では、顕微鏡での蛍光イメージングに適した各種ディッシュ・チャンバー・プレートを取扱っております。詳細は下記をご覧下さい。

目次に戻る

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。