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免疫組織化学染色に VECTASTAIN ABC システム

掲載日情報:2006/08/07 現在Webページ番号:627

VECTOR社では、免疫組織化学染色用に最適なABC法の試薬を組み合わせたキットを販売しています。

VECTASTAIN ABCシステム

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Vector Laboratories社 Tutorials(動画による操作方法の説明)

Tissue Staining using Elite ABC Kit

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VECTASTAIN ABCシステム

アビジン-ビオチンシステム

アビジンは卵白中に存在する分子量約68 kDaの塩基性糖タンパク質で、低分子ビタミンであるビオチンに非常に高い親和性(Affinity constant>1015 M-1)を有しています。
この親和力は通常の抗原抗体反応の100 万倍以上も強く、実質上不可逆的に結合します。更に、アビジンには四つのビオチン結合部位があり、一方、酵素を含めてほとんどすべてのタンパク質は数分子のビオチンと結合することができます。それによりアビジンとビオチン標識酵素の間に巨大分子複合体(ABC)が形成され、シグナルの増幅が可能になります。


ABC法

ABC法は組織学的に重要な抗原や、他のマーカーの局在性を検出する方法として、Su-Ming Hsuらにより開発されました。
この方法は一次抗体、ビオチン標識二次抗体、およびあらかじめ調製したアビジン-ビオチン標識酵素複合体(Avidin-Biotinylated enzyme Complex)を用いることから、“ABC法”と名付けられています。
VECTOR社では、ABC法に必要な試薬を組み合わせたキットを販売しています。


VECTASTAIN ABCキット

VECTASTAIN ABCキットは、アビジンDHとビオチン標識酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼの2種類があります)から成り、免疫組織化学染色用に最適な複合体を形成するよう、特別に調製されています。

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VECTASTAIN ABC法の特長

高感度

VECTASTAIN ABCペルオキシダーゼ法は、他の免疫ペルオキシダーゼ法に比べて、40倍も感度が高いと報告されています。ABC法は一次抗体を高い希釈率で用いますが、高濃度の抗体を必要とする他の方法よりも高い染色強度を得ることができます。

低バックグラウンド

VECTASTAIN ABC法では、高度に希釈した抗体、および特別に調製したアビジンDHとビオチン標識酵素を用いるため、低バックグラウンドで染色できます。

簡便かつ短時間

VECTASTAIN ABC法は通常3時間以内で全操作が完了します。

経済的

従来の酵素-抗酵素抗体法(PAP法等)では、二次抗体を調製した動物とは異なった動物種から調製した、酵素-抗酵素抗体複合体を用いる必要がありますが、VECTASTAIN ABC法ではどのビオチン標識二次抗体に対しても、共通のアビジン-ビオチン標識酵素複合体を使用できます。
また、感度が高いため、ごく少量の一次抗体で抗原を検出でき、一次抗体にかかる費用を節約できます。更に反応時間も短縮できるため、切片当たりの試薬コストを約90%も節約できます。

用途の多様性

VECTASTAIN ABC法は、免疫組織化学染色 (IHC)、in situハイブリダイゼーション(ISH)、トランスファーブロッティング、ELISA、電子顕微鏡観察等に有用です。

キットの選択

VECTASTAIN ABCシステムでは、用いる一次抗体を作製した動物種を基にしてABCキットの種類をお選び下さい。例えばウサギで作製した一次抗体を用いる場合は、VECTASTAIN ABC“Rabbit IgG”Kitを使用します。
一次抗体の動物種に対応するABCキットがない場合、またはキットに含まれる抗体の特異性が使用目的に適さない場合は、使用目的に合ったビオチン標識アフィニティ精製抗体を別に購入し、ABC Standardキット(試薬A、Bのみ)と組み合わせてお使い下さい。例えば、一次抗体(または抗原)がヒトIgAの場合、ビオチン標識抗ヒトIgA抗体とABCStandardキットを組み合わせて用います。別途必要なブロッキング用血清も単品で販売しています。

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VECTASTAIN ABCキットの選択例


  選択
ウサギで作製した一次抗体を用いる場合 VECTASTAIN ABC“Rabbit IgG”を使用
用いる一次抗体の動物種のABCキットがない場合
例:一次抗体の由来(または抗原)がヒトIgAの場合*1
キットに含まれるビオチン標識二次抗体の特異性が使用目的に適さない場合
使用目的に合ったビオチン標識アフィニティ精製二次抗体(別売り)、
VECTASTAIN ABCスタンダードキット、
ブロッキング用血清(二次抗体の由来動物を選択)の組み合わせで使用
染色する切片が一次抗体を作製した動物種と同じ場合*2 一次抗体をビオチン標識する(別売り)、
VECTASTAIN ABCスタンダードキットの組み合わせで使用
マウス組織の抗原をマウス由来の一次抗体を用いて染色したい場合 Mouse on Mouse(M.O.M.®)Immunodetectionキット
切片の動物種と二次抗体の抗原動物種が近い場合*3
例:切片がマウスで、二次抗体がAnti-Rat IgGの場合
切片の動物種の血清で吸収処理されたビオチン標識アフィニティ精製二次抗体(この場合は#BA-4001)、VECTASTAIN ABCスタンダードキット、ブロッキング用血清(二次抗体の由来動物を選択)の組み合わせで使用。#BA-4000は使用しないこと。

*1 ビオチン標識抗ヒトIgA抗体とVECTASTAIN ABCスタンダードキットを組み合わせて使用。
*2 ビオチン標識二次抗体が組織に内在するイムノグロブリンと結合し、バックグラウンドが高くなる可能性が有るため。
*3 ビオチン標識二次抗体が一次抗体に交差反応を示し、バックグラウンドが高くなる可能性があるため。
ブロッキング用血清の別売りがあります。



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ご注意

アビジンDHは、VECTASTAIN ABCキット用に特別に調製された製品です。単品での販売はしていません。

各種ビオチン標識酵素Hは、VECTASTAIN ABCキット用に特別に調製された製品で、単品での販売はしていません。各StandardKit(アビジンDHとビオチン標識酵素Hのみを含む)をご使用下さい。
次の単品売りの各種ビオチン標識酵素はABCキットには使用できませんのでご注意下さい。
商品コード:#B-2004(Horseradish Peroxidase, Biotin)、#B-2005(Alkaline Phosphatase, Biotin)

ABC Standardキット(#PK-4000、#PK-6100、#OK-3000、#AK-5000)には、アビジンDHと、それぞれビオチン標識ペルオキシダーゼH、ビオチン標識アルカリホスファターゼHのみが含まれ、ブロッキング用正常血清とビオチン標識二次抗体は含まれていません。ビオチン標識二次抗体とブロッキング用正常血清(二次抗体の免疫動物とブロッキング用正常血清の動物種を合わせる必要があります)は、単品で販売しています。

VECTASTAIN ABCシステムのキットならびに試薬は、剖検例および動物組織等の免疫組織化学染色を主な目的とした研究用のもので、生検試料等による疾病診断の目的には使用できません。


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(テクニカルサポート 試薬担当)

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