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DNAメチル化解析受託サービス(Zymo Research社) 次世代シークエンシングを用いたエピジェネティクス解析受託サービス

掲載日情報:2024/08/22 現在Webページ番号:5391

エピジェネティクス分野で最先端を進んできたZymoResearch社の次世代シークエンシングを用いたエピジェネティクス解析受託サービスです。

任意の遺伝子配列に対してバイサルファイトシークエンシングを行う受託サービス については、MethylCheck Targeted Sequencing for DNA Methylation Analysisをご覧下さい。
各種メチル化解析受託サービス、創薬支援サービスをまとめてご紹介したカタログについてはエピジェネティクスカタログ<受託サービス>をご覧下さい。

次世代シークエンシングを用いたエピジェネティクス解析受託サービスイメージ

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DNAのメチル化について

 ☞ DNAのメチル化とは  ☞ DNAメチル化のパターン  ☞ DNAメチル化のプロファイリングの方法 
 ☞ 亜硫酸水素塩処理  ☞ 次世代シークエンシング(NGS)に基づく方法  ☞ RRBS  ☞ WGBS 

DNAのメチル化とは

DNAのメチル化は、DNA分子の化学修飾です。ほとんどの場合、DNAのメチル化は、シトシンの5炭素位にメチル基が共有結合して 5-メチルシトシン(5mC)を形成することを指します(図1、左側の2つの構造)。DNAメチルトランスフェラーゼはこの反応を担っており、ゲノム全体でDNAのメチル化パターンを確立および維持します。DNAのメチル化は、ヌクレオチドの配列を変更せずに遺伝子発現を制御します。したがって、DNAのメチル化はエピジェネティックマークの一つであり、「epi」は、この機能がDNA配列を変更することなくその役割を果たす遺伝学の「上」にあることを意味しています。

シトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、チミンの化学構造

図1.シトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、チミンの化学構造
一般的なDNAメチル化は、5-メチルシトシンを指します。

DNAのメチル化は、最も広範に研究されているエピジェネティックマークの1つです1。真核生物では、DNAのメチル化はCpGジヌクレオチドで広く発生します。プロモーター、遺伝子本体、エンハンサーでのDNAメチル化のパターンは、遺伝子発現の調節に重要な役割を果たします2~4

DNAメチル化のパターン

DNAメチル化のパターンのいくつかは広く研究されており、遺伝子発現の調節に関する知見が得られています。

プロモーター領域におけるDNAの過剰メチル化(DNAのメチル化レベルの大幅な増加)は、一般に遺伝子抑制またはサイレンシングと関連しています。例として、DNAの過剰なメチル化はX染色体を不活性化し、反復DNA部位をサイレンシングする働きをします2。ハウスキーピング遺伝子および発達調節遺伝子のプロモーターと関連するCpGアイランド(CGI、GpG サイトが高頻度に存在する領域)のCpG部位は、通常、DNAのメチル化に対して抵抗性があります。ただし、これらのプロモーターのCGIは、腫瘍抑制遺伝子およびDNAミスマッチ修復遺伝子で異常にメチル化されていることが判明しており、これが関連遺伝子の活性化および発現を抑制します。プロモーターCGIにおけるこのような異常なDNAのメチル化パターンは、がんにおいて最も広く研究されているエピジェネティックな変化です3,4。 エンハンサーのCpGには、組織または細胞タイプに特有なDNAのメチル化パターンが含まれていることがわかっています。このような差次的メチル化領域(DMR、Differentially Methylated Region)は、異なる組織および細胞タイプ間において独自の遺伝子発現に寄与している可能性があります5。正確な遺伝子調節は、多くの基本的な生物学的プロセスにとって重要であり、DNAのメチル化は生物の発達と恒常性維持に不可欠です。多様な条件下でさまざまな生物種由来の試料のDNAメチル化パターンを解明し、遺伝子調節機構における役割を調べることで、DNAのメチル化が、人間の病気や老化、および生態系の健全性にどのように影響するかについての理解を深めることができます。

DNAメチル化のプロファイリングの方法

亜硫酸水素塩(バイサルファイト)処理

最も標準的なDNAのメチル化分析方法は、亜硫酸水素塩処理によるものです。亜硫酸水素塩試薬は、メチル化されていないシトシン残基をウラシルに変換し(図1、3番目の構造)、メチル化されたシトシンは反応しません。PCR中、DNAポリメラーゼはウラシルをチミンとして認識し、その後の分析ではDNA試料内の「C」をメチル化シトシンとして、「T」(図1、最後の構造)をメチル化されていないシトシンとして扱います。


次世代シークエンシング(NGS)に基づく方法

NGSベースの方法は、ゲノム全体にわたって高い網羅率の結果を生み出し、あらゆる種と互換性があります。そのため、亜硫酸水素塩シークエンシングはDNAメチル化のプロファイリングで一般的に広く用いられています。亜硫酸水素塩処理したDNA試料は、互換性のあるNGS機器でシークエンシングするために、アダプターを含んだライブラリーを構築する必要があります。メチル化されたシトシンは、NGSでは「C」として認識されます。

最も広く使用されているNGS法には、Reduced representation bisulfite sequencing法(RRBS)、Whole-genome bisulfite sequencing法(WGBS)、および標的バイサルファイトシークエンス法があります。これらの方法は、亜硫酸水素塩処理、アダプターライゲーション、PCR増幅などのライブラリー調製の手順は共通していますが、入力DNA試料を準備するワークフローの開始時において若干の違いがあります。


Reduced representation bisulfite sequencing(RRBS)

RRBSは、制限酵素消化を使用して、DNA試料からゲノム全体のCpGに富む領域を濃縮し、次にバイサルファイトシークエンシングライブラリーを調製します。RRBSは、WGBSのように亜硫酸水素塩処理したゲノム全体をシークエンシングする場合と比較して、同様のデータ品質を達成するために必要なシークエンシングリード数を減らし、プロモーター、CpG アイランド、遺伝子本体などの最も重要な調節領域のDNAメチル化情報を明らかにします。RRBSは、WGBSで通常必要なシークエンシングリードの約10~20%で、プロモーター、CpG アイランド、遺伝子本体の70%以上とエンハンサーの約35%をカバーできます。

シークエンシングにおいて、RRBSはWGBSよりもコスト効率が高く、大規模な研究でゲノム全体のDNAのメチル化情報をスクリーニングするのに最適です。

図2.RRBSライブラリー作製のワークフロー例(Zymo-Seq RRBS Library Kit使用の場合)

図2.RRBSライブラリー作製のワークフロー例(☞ Zymo-Seq RRBS Library Kit(#D5460/D5461)使用の場合)

  1. Mspl消化
  2. アダプターライゲーションおよびギャップフィリング
  3. 亜硫酸水素塩処理
  4. インデックスプライマー増幅

Whole-genome bisulfite sequencing(WGBS)

WGBSは、試料内のほぼすべてのシトシンのメチル化状態を検出し、ゲノム全体のDNAメチル化レベルの包括的なプロファイルを得ることができます。WGBSデータを利用すると、de novo発見を通して新しいDNAメチル化パターンを発見できる可能性が高まります6,7

図3.ヒトゲノムにおけるCpG部位の網羅率の比較

図3.ヒトゲノムにおけるCpG部位の網羅率の比較

ゲノムのサイズによっては、正確なメチル化分析に十分な深度を達成するため、WGBSでは数億回のシークエンスリードが必要になる場合がありますが、新しいシークエンス技術の登場により、WGBSに関連するコストは大幅に削減されました。WGBSのコスト効率が向上したことにより、WGBSは標的臨床アプリケーションにおけるマーカー同定のための主要な探索プラットフォームとしての地位を確立しました。

図4.WGBSライブラリー作製のワークフロー例(☞ Zymo-Seq WGBS Library Kit(#D5465)使用の場合)

図4.WGBSライブラリー作製のワークフロー例(Zymo-Seq WGBS Library Kit(#D5465)使用の場合)

  • A:亜硫酸水素塩処理したDNA
  • B:単一チューブ反応
  • C:Ready-to-Sequenceライブラリー

参考文献

  1. Smith, Z.D. and Meissner, A., "DNA methylation: roles in mammalian development", Nat. Rev. Genet., 14(3), 204~220 (2013). [PMID:23400093]
  2. Greenberg, M.V.C. and Bourc'his, D., "The diverse roles of DNA methylation in mammalian development and disease", Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 20(10), 590~607 (2019). [PMID:31399642]
  3. Flavahan, W.A., et al., "Epigenetic plasticity and the hallmarks of cancer", Science, 357(6348) (2017) . [PMID:28729483]
  4. Ehrlich, M., "DNA hypermethylation in disease: mechanisms and clinical relevance", Epigenetics, 14 (12), 1141~1163 (2019). [PMID:31284823]
  5. Song, Y., et al., "Dynamic Enhancer DNA Methylation as Basis for Transcriptional and Cellular Heterogeneity of ESCs", Mol. Cell, 75(5), 905~920.e6 (2019). [PMID:31422875]
  6. Zhou, L., et al., "Systematic evaluation of library preparation methods and sequencing platforms for high-throughput whole genome bisulfite sequencing", Sci. Rep., 9(1), 10383 (2019). [PMID:31316107]
  7. Sun, Z., et al., "Base resolution methylome profiling: considerations in platform selection, data preprocessing and analysis", Epigenomics, 7(5), 813~828 (2015). [PMID:26366945]

 ☞ 受託サービスの種類と内容 



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特長

少量の試料、FFPE試料、あらゆる生物(哺乳類、植物、細菌など)に対応 検証済みの手法により偏りのない遺伝子発現プロファイリングを実現 包括的で論文化に対応したバイオインフォマティクス遺伝子発現解析レポートをご提供
包括的で論文化に対応したバイオインフォマティクス遺伝子発現解析レポートをご提供します。 Spike-In controlにより、全試料においてデータの品質が保証されています。
少量のリファレンスゲノムで、あらゆる生物種に対応します。

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用途の一例

  • エピジェネティックバイオマーカーの発見と検証
  • がん研究、神経科学、免疫学、老化などの調節機構の研究
  • タンパク質とDNAの結合部位の発見

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受託サービスの種類と内容

QCデータおよび基本的なシークエンシング結果をご提供するBasic Serviceと、それらに加えてバイオインフォマティクス解析を加えたFull Serviceからご選択いただけます。
DNA抽出はサービスパッケージには含まれていません。必要な場合は、「標準的QCにおけるDNA抽出」の追加オプションサービスをご利用下さい。

Classic RRBS(Reduced Representation Bisulfite Sequencing)受託サービス

ほぼすべてのCpGアイランドと遺伝子プロモーターを効率的に検出するゲノムワイドな解析です。平均最小網羅率の5~10倍に相当する1,500,000~2,000,000部位(ヒトゲノムの場合)を効率的に解析します。

Classic RRBS受託サービスに対してCpG部位の網羅率を約2倍に引き上げて平均3,000,000~4,000,000部位(ヒトゲノムの場合)としたMethyl-MiniSeq受託サービスもご選択いただけます。より多くのバイオマーカーの探索に有用です。


WGBS(Whole Genome Bisulfite Sequencing)受託サービス

あまり一般的ではないCHGおよびCHH配列部位(HはA、T、Cを示す)を含む全ゲノムにわたるDNAメチル化のパターンや状態(Methylome)を解析します。


サービス項目 Classic RRBS
Service Package
WGBS
Service Package
Whole Genome
Service Package
Basic Service Full Service Basic Service Full Service Basic Service
サービスコード Q1001 Q1011 Q1005 Q1013 Q1004
試料の調製とQC評価
亜硫酸水素塩処理
ライブラリーの調製およびQC評価
データ作成  ●*1  ●*1  ●*2  ●*2
生データのアライメント、メチル化コーリングおよびゲノムブラウザートラック  ● *3  ● *3  ● *3  ●*3
統計比較  ●*4  ●*4
バイオリンプロット
DNAメチル化概要プロット
注釈付き差次的メチル化領域 (DMR) 分析
クラスタリング ヒートマップ解析

  • *1 約30,000,000 reads/sample
  • *2 約400,000,000 reads/sample
  • *3 メチル化トラックとリードトラックを含む。
  • *4 対応する染色体位置、遺伝子名、プロモーター領域、およびCpGアイランドの注釈、および最も差のあるメチル化シトシンをリストアップした表を含む。

オプション受託サービスパッケージ

サービス項目 標準的QCにおけるDNA抽出 各試料におけるIn-situ Spike-in Control
サービスコード Q1008
サービスの内容
  • DNAの抽出
  • Nano-dropまたはQubitを用いた定量/品質評価
  • Tapestationを用いた定性評価
  • 試料のQC
  • 亜硫酸水素塩処理
  • プライマー設計とqPCRによる検証
  • 標的の増幅
  • NGS(ライブラリーの調製とシークエンシング)
  • バイオインフォマティクス分析(アライメント、メチル化コーリング、試料・グループの比較)

結果報告書

結果報告書(Full Serviceの場合)

結果報告書には、以下の内容が含まれます。

サービスの分類 Basic service Full service
結果報告書の内容
  • QCの詳細なシークンスデータ
  • 統計解析結果の概要
  • M-biasプロット
  • ゲノム領域の概要の棒グラフ
  • DNAメチル化スパイクインコントロールの概要と図
  • 差異メチル化部位 (DMS)
  • 差異メチル化領域 (DMR)
  • 遺伝子の内容
  • ヒートマップクラスタリング
  • メチル化値のバイオリンプロット
サンプルレポート Basic serviceのサンプルレポート Full serviceのサンプルレポート

 ☞ 受託サービスの種類と内容 


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解析例

さまざまな試料に添加したIn situ Spike-in Controlの回収率

さまざまな試料に添加した<i>In situ</i> Spike-in Controlの回収率

図をクリックすると拡大します(🔍)

0~100%の特定のDNAメチル化レベルを有する6種類の二本鎖合成アンプリコンで構成されるスパイクインコントロールのメチル化率を測定したところ、従来のWGBSを用いて予測したメチル化率と高い相関関係が見られた。

■ 亜硫酸水素塩処理率

生物種 Non-CpG context Spike-in control
Cotton 81% 99%
Soybean 89% 99%
Arabidopsis thaliana 97% 99%
Human 99% 99%
Cattle 99% 99%

ゲノムDNAからのNon-CpG contextとin situ Splie-in controlを用いて算出。さまざまな種の亜硫酸水素塩処理変換効率を測定した。Non-CpG contextでメチル化されている非伝統的な生物を扱う場合では、Splie-in controlが亜硫酸水素塩処理変換効率の測定においてより良好な結果が得られた。


ヒト肝臓ゲノムDNAで調製したRRBSライブラリーのメチル化プロファイリング

10 ngおよび100 ngのヒト肝臓ゲノムDNAを用いて作製したRRBSライブラリーを用いて、それぞれCpG部位のオーバラップ(左図)およびメチル化率(右図)を測定し、相関性について検証した。

RRBSライブラリーのCpG部位のオーバーラップ

図をクリックすると拡大します(🔍)

RRBSライブラリーのCpG部位のオーバーラップ

異なる試料量間におけるメチル化率の比較

図をクリックすると拡大します(🔍)

メチル化率の比較


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ウェビナー動画

ヒトの健康と疾病におけるエピジェネティクス

  • 演者:Dr. Peter Jones
  • 概要:がんのエピゲノムにおけるDNAのメチル化の役割と、がん患者の転帰の改善のためのエピジェネティック療法の活用、および正常なヒト胎盤機能におけるエピゲノムと、妊娠合併症におけるその調節不全について解説します。


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ご注文方法/価格

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