培養細胞へのグルコース取り込みを測定するキット Glucose Uptake Cell-Based Assay Kit

グルコース代謝とはグルコースからアデノシン3リン酸（ATP）を生成させる過程を指し、細胞がホメオスタシスを保つために必要なエネルギーや生体材料となります¹。ヒトではグルコースは小腸にて吸収されて血中に移行しますが、余剰分は筋肉や肝臓内にグリコーゲンとして貯蔵され、必要に応じてグルコースに加水分解されて血中に放出されます。細胞が正常に機能して生存するために、血糖値は常に一定の濃度に保たれる必要があります。グルコースは濃度勾配に沿ってグルコーストランスポーターを介して細胞内に取り込まれるのに対し、小腸や腎臓ではエネルギー依存的に取り込まれます。細胞内へのグルコース取り込み速度は、インスリンをはじめとする種々のホルモンや成長因子による調節を受けて動的に変化します。グルコース取り込みは、成長や増殖によりエネルギー需要が増した場合に増加し、細胞の萎縮に伴って減少します²。

がん細胞の代謝は正常細胞とは異なります。例えば、増殖を維持するために、グルコース取り込みや好気的解糖による代謝が亢進しています^{3, 4}。癌細胞において、グルコース取り込みを阻害する化合物は抗癌作用を示すことがわかっており⁵、近年開発された蛍光標識グルコースアナログである2-deoxy-2-[(7-nitro-benz-2-oxa-1, 3-diazol-4-yl)amino]-D-glucose (2-NBDG)は、解糖やグルコース取り込みを標的とした創薬研究に役立つと期待されています。また、フラボノイドであるApigeninはグルコーストランスポーターに阻害作用を示すことが報告されています^6。