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世界で初めてナイーブ型iPS細胞を作製(Minerva Biotechnologies 社)

掲載日情報:2018/03/01 現在Webページ番号:81002

Frontiers

Vol. 25 ナイーブ型iPS細胞作製システム

既存の手法で作製した多能性幹細胞(iPS / ES 細胞)は、異常な核型を有し真にナイーブ型ではない可能性がありました。Minerva Biotechnologies 社は、天然型のヒト幹細胞成長因子NME7AB を用いて、世界で初めてナイーブ型iPS 細胞を作製しました。今回は、同社CEO のDr. Cynthia Bamdad にナイーブ型iPS 細胞作製システムについてお話を伺いました。

ナイーブ型iPS細胞

左: FGF-2 を含む培地中で、MEF(マウス胎仔線維芽細胞)をフィーダー細胞として培養したプライム型iPS 細胞。
右: AlphaSTEMTM Culture Substrate をコートしたプレート上で、AlphaSTEMTMNaive hPSC Medium を用いて培養したナイーブ型iPS 細胞。

ナイーブ型iPS細胞

左: FGF-2 で維持したプライム型iPS 細胞。Anti-H3K27me3(赤点)の陽性により、X 染色体の不活性化(XaXi)を確認した。
右: 本法で作製したナイーブ型iPS 細胞。Anti-H3K27me3(赤点)の陰性により、ナイーブ型の特長であるX 染色体の活性化(XaXa)を確認した。



始まり-がんの成長/生存メカニズムの研究

Minerva Biotechnologies 社は、がんの成長/生存メカニズムの研究から始まりました。私は母を乳がんで亡くしたため、がんの治療法を見つけることが個人的な使命と感じていました。その研究の過程で、がん細胞が幹細胞様の状態に戻ってリプログラムされている細胞であることを発見しました。それは自己複製を制限する幹細胞とは異なり、がん細胞は自己複製能が制限されずに、自己複製能を永続的に保っているということです。 Dr. Cynthia Bamdad


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発見-がん細胞と幹細胞の増殖は同じ2 つの分子で調節される

その後、がん細胞と幹細胞の増殖が成長因子NME7AB および成長因子受容体MUC1 によって調節されるということを発見しました。MUC1 が、がん組織の75% 以上で異常に発現することは数十年前から知られていましたが、MUC1 とがんとの間の機能的な関係は解明されていませんでした。 しかし、我々の研究により、「がん細胞と幹細胞のいずれにおいてもMUC1 が切断され細胞外ドメインの大半が細胞表面から放出されること」と、「この状態のMUC1 はNME7AB により活性化されること」が明らかになりました。我々はこの状態のMUC1をMUC1(マックワンスター)と名付けました。

NME7AB は、胚形成の最も初期において内部細胞塊のナイーブ細胞で発現しますが、数日経ち発達した胚では発現と分泌が停止します。しかし、がんでは再び発現することが確認されています。



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開発-NME7AB およびMUC1 をON またはOFF にする技術

ON - 幹細胞をナイーブな状態にリセットし、維持する:AlphaSTEMTM Culture System
OFF - がん細胞の増殖を停止する(がん免疫療法:開発中)



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AlphaSTEMTM Culture System の可能性

本システムは、疾患研究や幹細胞治療開発の促進に役立つと考えています。患者由来細胞から作製したiPS 細胞は、疾患モデル、再生医療および治療法開発において大きな可能性を秘めています。

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Minerva Biotechnologies社の製品

天然型ヒト幹細胞成長因子を用いたナイーブ型iPS細胞作製システム AlphaSTEMTM Culture System

従来のプライム型iPS 細胞よりも、より原初の状態にリセットされたナイーブ型ヒトiPS 細胞を作製および維持するシステムです。

原理

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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