高効率かつ高精度にRNA結合タンパク質の標的RNA配列を同定! RBP-eCLIP解析サービス
掲載日情報:2024/01/30 現在Webページ番号:71299
高効率かつ高精度にRNA結合タンパク質(RNA-binding protein、RBP)の標的RNAを同定する受託サービスです。タンパク質-RNA間の相互作用をトランスクリプトームワイドかつ正確に解析することが可能です。
※ Eclipse BioInnovations社の、in vitro転写されたRNAのflexibilityを高解像度で予測できるeSHAPE RNA解析受託サービスはこちらをご参照下さい。
※ 本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

追加しました。
背景および既存手法との比較
RNA結合タンパク質(RBP)は、標的RNAの配列や構造モチーフを認識することによってRNAに結合し、細胞型や環境条件特異的に、または一時的にRNAの機能を制御します。最近の研究では、ヒトゲノムには1,500種以上のRBPが存在し、これらのRBPはRNAのライフサイクルを通してRNAの安定性と機能を調節する不可欠な役割を果たしていると推定されています。RBPはmRNAのスプライシング、安定性、局在化、翻訳など、転写後の遺伝子制御において重要な役割を果たしており、その変異は、がん、神経変性疾患、筋ジストロフィー、心疾患、代謝異常、自己免疫疾患、その他多くの疾患と関連づけられてきました。しかし、これらのRBPが無数にあるRNAのうちどのRNAを標的としているかは、多くが未解明のままです。
RBPの標的RNAを同定する手法は複数開発されていますが、その中でもCrosslinking and Immunoprecipitation(CLIP)法とその派生プロトコルが高精度に標的RNAを同定できる手法としてこれまで用いられてきました。この方法では、試料に含まれるRBP-RNA複合体を紫外線処理によって架橋してから、抗RBP抗体による免疫沈降を行うことで標的RNAを回収し、次世代シークエンスに用いるライブラリー調製を行います。しかし、反応効率が不十分なためPCRによる大幅なライブラリー増幅が必要となり、PCRで生じた重複(PCR duplicate)配列が調製したライブラリーの大半を占めてしまう(=効率的なシークエンシングができない)点が問題となっていました。

eCLIP法(本手法)と他のCLIP法(別々のプロトコル)で調製したライブラリー中におけるPCR duplicateの比較
本手法で調製したライブラリーではPCR duplicateが占める割合は低いが、一方従来のCLIP法(①、②)ではライブラリーの大部分がPCR duplicateで占められていることが分かる。
Eclipse BioInnovations社が開発したeCLIP(enhanced Crosslinking and Immunoprecipitation sequencing)法ではCLIP法を改良しさらに最適化することで、CLIP法と比較して1,000倍効率的なライブラリー調製を実現しました(ライブラリー増幅時のPCRサイクルが約10回少なくなります)。その結果、実験の成功率を高め、PCR duplicateによるシークエンスの無駄を減らすことが可能になりました。RBP-eCLIP解析サービスは、eCLIP法を用いることでトランスクリプトームワイドでのRBP-RNA相互作用を高効率かつ高精度に同定します。
追加しました。
特長
- 標準的なCLIP法と比較してライブラリー調製効率が1,000倍向上します。
- 実験の成功率が向上し、無駄なシークエンスデータが減少します。
- シグナル/ノイズ比の大幅な改善により、真のin vivoターゲットを同定できます。
追加しました。
サービス内容
解析可能な試料
- UVクロスリンク処理済み*1の細胞(2,000万個以上)
- 急速冷凍した組織(80 mg以上、UVクロスリンク処理は不要)
*1 UVクロスリンク処理の条件など詳細は、当社受託・特注品担当までお問い合わせ下さい。
解析の手順
- 紫外線によって細胞内のRBP-RNA複合体を架橋する(細胞試料の場合はお客様自身で実施)。
- 試料からRBP-RNA複合体を抽出し、RNAの断片化処理を行う
- RBP-RNA複合体を抗RBP抗体*2によって免疫沈降する。
- RBP-RNA複合体中のRNA末端を修復しアダプター配列を付加する。
- RBP-RNA複合体をSDS-PAGEで分離した後、メンブレンへ転写する。
- RBPを除去し、RNA断片のみを回収する。
- 逆転写およびアダプター配列の付加を経て、ライブラリー化する。
- 次世代シークエンサーによって解析する。
*2 抗RBP抗体はEclipse BioInnovations社にて別途購入(費用はお客様のご負担となります)、またはお客様ご自身でご用意いただきます。
※ Eclipse BioInnovations社において使用実績のある抗体のリストはこちらをご覧下さい(Eclipse BioInnovations社へリンクしています)。
※ その他の抗体をご利用の場合は、オプションの抗体バリデーションサービスもあります。

ライブラリー調製の流れ
納品データの例
データの種類 | フォーマット | 概要 |
---|---|---|
シークエンス生データ | FASTQ | シークエンサーから直接読み込んで、試料ごとに単離したデータです。 |
ゲノムアラインメントデータ | BAM | 下流の解析のために、反復エレメントのフィルタリング、アラインメント、PCR duplicateの除去を行ったリードのデータです。 |
カバレッジトラック | BIGWIG | IGVのようなゲノムビューアで可視化するための、ポジティブ鎖とネガティブ鎖上において正規化されたリードカバレッジです。 |
スコア化されたピーク | BED | ターゲット探索のための推定結合部位(ピークとして知られています)として入力データの正規化の後にスコア化されたゲノム領域です。ピークごとのlog2 enrichment scoreとp値を含みます。 |
結合部位サマリーレポート | HTML | インタラクティブな表とプロットによるエンリッチされたピークのレポートです。Go terms、KEGGパスウェイ、モチーフ、および反復エレメント解析を含みます。 |
追加しました。
オプションサービス
抗体バリデーションサービス
RBP-RNA複合体の免疫沈降に用いる抗RBP抗体としてEclipse BioInnovations社で検証済みのもの以外の抗体を用いる場合に、事前に抗体が機能するか検証するサービスです。
※ 詳細は当社受託・特注品担当までお問い合わせ下さい。
追加しました。
解析実施例
1. 既知のRNA結合モチーフの検証例

RNA結合タンパク質として知られているRBFOX2が結合するRNAを解析した例。RBFOX2の既知の結合モチーフであるUGCAUGを含むNADSYN1遺伝子上に顕著なピークが検出された。
2. トランスクリプトーム全体にわたる標的RNA配列の同定

4種類のRBP(IGF2BP1、PRPF8、PTBP1、U2AF2)について、IL1R1遺伝子転写産物上の結合部位を同定した例。RBPの種類によって異なる部位にピークが検出された。エクソン、イントロン、非翻訳領域(UTR)を含むコードRNAおよびlincRNA、マイクロRNA、レトロトランスポゾンを含む非コードRNAの両方の、全ての遺伝子領域にわたってRBP標的結合部位を同定することができる。
追加しました。
参考文献
・Van Nostrand, E.L., et al., "Robust transcriptome-wide discovery of RNA-binding protein binding sites with enhanced CLIP (eCLIP) ", Nat. Methods. 13(6), 508~514 (2016). [PMID: 27018577]
追加しました。
ご注文方法/価格
※ 詳細は当社受託・特注品業務担当までお問い合わせ下さい。
追加しました。
関連した特集記事
追加しました。
製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。