まだ存在していない製品を市場に(Anatomic社)
掲載日情報:2024/07/12 現在Webページ番号:71137
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Vol. 97 まだ存在していない製品を市場に
Anatomic 社は、幹細胞から神経細胞を効率的に分化誘導するツールを開発している、米国ミネソタ大学発のベンチャー企業です。多様な生命を生み出す複雑なプロセスをひも解く研究を後押しするような、神経細胞関連の製品を開発・製造しています。
Patrick Walsh 氏(CEO)
Vincent Truong 氏(COO)
まだ存在していない製品を市場に
私たち(CEOのPatrick Walsh氏とCOOのVincent Truong氏)はミネソタ大学で幹細胞と発生生物学の研究を行っていました。その当時はヒトiPS細胞を高効率に、かつ高品質な目的の成体細胞へ分化させることはとても難しく、品質基準を満たす細胞の作製は長年困難を極めていました。科学だけでなくビジネスにも興味があった私たちは、今まで培ってきた知識と成果がこの分野で大いに役立てられると感じ、起業を決意しました。
Anatomic社では、細胞作製・分化の早さと効率に重点を置き、まったく新しい分化プロトコルをゼロから作り出しました。従来のシュワン細胞作製プロトコルでは、培養に60日以上を要し、その上細胞タイプが不均一な状態でした。当社の分化キットを用いたプロトコルで培養に必要な日数はわずか9日で、非常に均質性の高い細胞を得ることができます。このプロトコル開発にかかった期間はわずか1年未満です!
「簡単」にこだわる
幹細胞から分化細胞を作製するプロセスは複雑です。そのため、研究者に当社の製品を採用してもらうには、キットが使いやすく確実に細胞が分化する必要があると考えています。そして、キットを使って研究者自らが細胞を作製できるようにすることで、当社の細胞製品に対する信頼も高まることを期待しています。
新製品「RealDRGx」
既存品である「RealDRG」は、疼痛治療研究に有用なiPS細胞由来の感覚神経細胞です。この細胞はいわゆるインタクトな状態のため、多くの研究者から痛み刺激を受容する侵害受容器の「傷害」状態を作り出す方法について問い合わせを受けていました。そこで私たちは、「傷害」状態を模倣するため、細胞が過剰興奮状態となる培地条件を検討しました。この条件で培養した細胞をトランスクリプトーム解析したところ、炎症と神経細胞傷害を引き起こしていることが示されました。これが新製品「RealDRGx」です。
RealDRGxの詳細はこちら 「痛みのモデリングや末梢神経の再生研究に!|ヒトiPS細胞由来の感覚神経細胞と成熟化培地」
今後の展望“Completing the Circuit”
病気というものは複雑で、様々な細胞に影響を与えます。したがって、様々な細胞を用いて研究を行うことで、病気の状態をより詳細に理解できるようになると考えており、私たちはこれを“Completing the Circuit”と呼んでいます。
当社の歴史は、特定の疾患研究に有用なたったひとつの細胞製品から始まりました。「RealDRG」は確立済みですが、新たにシュワン前駆細胞と脊髄後角ニューロンを開発中です。これら3種類の細胞を使用することで、疾患や疼痛の生物学的理解を深めることができ、新しい治療標的を見つけられる可能性があります。これは“Completing the Circuit”のほんの一例にすぎません。研究者の皆様にはぜひ当社の製品をご使用いただき、新たな発見をしていただきたいと思っています。
開発中のシュワン前駆細胞とRealDRG の共培養
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