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ATCC®の細菌を使用するための準備

掲載日情報:2025/12/24 現在Webページ番号:71085

本記事では、ATCC®細菌株の製品情報の入手方法、バイアルの安全な開封方法、細菌の起眠の手順についてご紹介します。

細菌の増殖、保存、応用に関する一般的な技術情報のまとめは、「細菌の培養方法をご紹介します(ATCC® Bacteriology Culture Guide)」をご覧下さい。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
商用利用については、ATCC® Webサイトをご確認下さい。

細菌の増殖と培養

ATCC®の細菌株は、プラスチック製の凍結保存用バイアル中でグリセロールストック(ドライアイス梱包)にした状態、ガラス製アンプルまたはセラムバイアルに凍結乾燥された状態で充填、寒天スラントやブロス(液体)培地に生菌状態で充填など、さまざまな形状で出荷されます。凍結保存された細菌を受領後は、すぐに解凍し、適切な培地に移して培養を開始して下さい。すぐに培養が行えない場合は、凍結保存用バイアルを液体窒素気相中(-130℃以下)で保管して下さい。凍結保存された細菌の場合は、短期間(1日から5日)ならば-70~-80℃の間で保存することもできますが、-130℃より高温では生存率が低下します。凍結乾燥された細菌の場合は受領後、指定された培地と培養条件で細菌を再懸濁、または希釈して復元させます。すぐに培養が行えない場合は、4℃以下で保存できます。生菌の場合、受領後すぐに適切な培地に移し、指定された条件下で培養して下さい。

※ ご注意下さい。
納品されたATCC®の細菌株は、ATCC®推奨の培養条件下で速やかに培養し、生育をご確認下さい。万一、生育不良などの問題がある場合には、到着後20日以内に当社テクニカルサポート(試薬担当)までご連絡下さい。製品到着後20日以内にお知らせいただいた場合でかつ、ATCC®が推奨する培地や試薬を用いられており、ATCC®推奨の培養条件下で生育しなかった場合のみ補償の対象となります。 Patent DepositsおよびSafe Depositsとして、ATCC®に寄託されている細胞・微生物株は、ATCC®で調製されたものではないためtechnical informationはありません。Patent Deposits商品は生育するか否かviabilityのみ保証、Safe Deposits商品は一切保証がございません。あらかじめご了承下さい。
製品の注文や納品、保証に関する詳細は、ATCC®製品ご依頼方法をご確認下さい。

二重バイアル
バイアル
バイアル

ATCC®細菌株のProduct Sheet(データシート)

通常、ATCC®の細菌株のProduct Sheet(データシート)には、その菌株の理想的な培養や増殖条件だけでなく、培養を開始し、増殖・維持するために必要な情報を掲載しています。これらの情報は、ATCC®ウェブサイトの各製品ページ「Detailed product information」にも掲載されています。Certificate of Analysis(CoA)、Product Sheetは、ATCC® ウェブサイトよりダウンロード可能です。ダウンロードの手順については、「ATCC®製品 CoA・Product Sheetダウンロード方法」からご確認下さい。

原則、CoAはご注文前にはご提供していません。

培地の調製

細菌を起眠させる前に、あらかじめ必要な培地と添加物を用意し、適切な培養条件が整っていることを確認して下さい。培養に必要な培地などの情報は、ATCC®ウェブサイトの各製品ページ「Detailed product information」から確認できます。

ガラスアンプルの開封( 開封時の注意点)

すべての培養物は潜在的に危険であると見なし、培養物のバイオセーフティ・レベルに適した封じ込め要件を備えた施設で、微生物の扱いに習熟した方が開封することが望まれます。ガラスアンプルを開封するなど、細菌を取り扱う際には、生物安全キャビネット内で行うことを推奨しています。生物安全キャビネット内で作業できない場合は、防護服、手袋、フェイスシールド、または安全メガネを着用し、バイアルを体から離して開封して下さい。また、作業後、空になったバイアルはすべて滅菌したことを確認してから廃棄して下さい。

二重バイアル(Double-Vial)の開封方法

二重バイアル(Double-Vial)の開封方法

一重バイアル(Single-Vial)の開封方法

一重バイアル(Single-Vial)の開封方法

凍結保存からの細菌の起眠

  1. その細菌に適切な培地と、滅菌済み試験管を用意します。試験管に培地を入れ、必要な試薬をすべて培地に添加したことを確認し、温度とpHに対して平衡化されていることを確認して下さい。
  2. その細菌の一般的な増殖温度に設定したウォーターバスにバイアルを浸し、軽く揺らしながら解凍します。解凍は素早く行い、おおよそ2分、もしくは氷の結晶がすべて溶けるまで解凍して下さい。
  3. バイアルをウォーターバスから取り出し、70%エタノールでバイアル表面を除菌します。以降の操作についてはラミナーフローのクリーンベンチ内で厳密な無菌環境のもと行います。
  4. バイアルのフタを外し、適切な培地が入った滅菌済み試験管に全量を移します。0.5 mlの一次培養物を追加の試験管に接種すると、二次培養に用いることができます。
  5. 推奨温度と大気条件下(嫌気、好気など)で培養します。
  6. 推奨培養期間後に実験を開始します。培養期間は菌株によって異なります(下記NOTE参照)。

凍結乾燥された細菌の起眠

  1. 滅菌したパスツールピペットを使用して、推奨の増殖培地0.5 mlを無菌条件下で添加し、よく混合させます。
  2. 懸濁液を5~6 mlの推奨培地が入った試験管に移します。この懸濁液を寒天スラントに数滴添加します。
  3. 推奨温度と大気条件下(嫌気、好気など)で培養します。0.5 mlの一次培養物を追加の試験管に播種すると、二次培養に用いることができます。
  4. 推奨の培養期間後に実験を開始します。培養期間は菌株によって異なります(下記NOTE参照)。

NOTE
凍結保存、または凍結乾燥された状態から起眠させる際、一部の細菌は、一般的な増殖速度より遅くなることがあります。これらの菌株では、通常より培養期間を長く設定する必要があります。

試験管での培養方法(生菌の培養)

  1. 製品受領後、その細菌の推奨温度と大気条件下(嫌気、好気など)で培養します。冷蔵庫では保存しないで下さい。
  2. 新たに調製した推奨培地に培養物を移します。液体培養で培養した細菌を移す場合は、培養物から約1.0 mlを無菌条件で分取し、新しい液体培地5 mlに移します。または、懸濁液数滴を寒天スラントや平板寒天培地に滴下します。寒天スラントから培養物を移す場合は、単一のコロニーを取り、無菌条件で新しい液体培地5 ml、または寒天スラントや寒天平板培地に移します。
  3. 推奨温度と大気条件下(嫌気、好気など)で培養します。

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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