FFPE組織で免疫組織染色を検証済みの樹状細胞マーカー抗体 抗マウスCD11c抗体（HistoSure抗体シリーズ）

CD11cは、補体レセプター4（CR4）の一部を形成する約150 kDaのI型膜貫通型糖タンパク質です。CR4は、CR3（Mac-1、CD11b/CD18）とともに、β2インテグリンファミリーの接着分子に属しています。CR3とCR4は、それぞれ1本のCD18β鎖（β2）と1本のインテグリンαM鎖（ITGAM、CD11b）またはインテグリンαX鎖（ITGAX、CD11c）からなるヘテロダイマーの膜貫通タンパク質です。このCR3とCR4は、リガンド結合特異性が重複しており、細胞外ドメインに87％の配列相同性を有しています¹。補体レセプターは、細胞機能と可溶性成分、因子、その他の関連タンパク質との間の重要な橋渡し役を担っています。CR3およびCR4は、フィブリノーゲンやヘパリンのように複数のリガンドを結合することができます²。CR3とCR4はともに、細胞接着、移動、貪食に関与しています。CR3がiC3bオプソニン化細菌の貪食に関与するのに対し、CR4はヒト単球由来マクロファージおよびヒト単球由来樹状細胞のフィブリノーゲンへの細胞接着を支配します^3、4。また、ストレス下の造血幹細胞および前駆細胞（HSPS）の制御におけるCD11cの役割が示唆されています⁵。

CD11cは、マウスの樹状細胞（Dendritic cell、DC）マーカーとして一般的に使用されていますが、CD11cはDCに限らず、肺胞のマクロファージ⁶や脂肪組織⁷など、他の免疫細胞でも発現しています。ヒトでは、単球と樹状細胞の両方がCD11cを発現しています⁸。CD11cの発現は、腸管マクロファージ⁹、炎症における好中球亜集団¹⁰、主に関節リウマチや多発性硬化症などの自己免疫疾患におけるB細胞の小さなサブセット¹¹、さらにNK細胞やT細胞亜集団でも検出されます。脳疾患では、活性化ミクログリアがCD11cを発現し¹²、またマウスの短期造血幹細胞および前駆細胞でもCD11cは発現しています⁵。腫瘍学においては、CD11cは毛様細胞白血病¹³、急性骨髄性白血病¹⁴および一部の慢性リンパ性白血病¹⁵の診断に重要なマーカーです。

樹状細胞は、血液、上皮、リンパ系組織に存在する骨髄由来の異種細胞集団です。病原体の認識に関与し、免疫反応の特異性、大きさ、極性を導きます⁸。表現型、サイトカイン分泌、組織分布、機能により、ヒトとマウスの樹状細胞は異なるサブセットに分類されます。マウスでは、ヒト樹状細胞には存在しないマーカーが発現しており、当初はヒト樹状細胞よりもサブタイプが明瞭でした。成熟したマウス樹状細胞は、CD11cと共刺激分子CD80、CD86およびCD40を発現し、また中程度から高いレベルのMHCクラスⅡを表面に持っています¹⁶。そのため、CD11cはマウス樹状細胞マーカーとして一般的に使用されていますが、CD11cは樹状細胞に限定されないため、他のマーカーとの共染色が有効です。