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ChIP法よりも高感度にエピゲノム解析を行えます! 新規エピゲノム解析法(ChIL法)用プローブ

掲載日情報:2022/02/09 現在Webページ番号:69777

ChILプローブは新規エピゲノム解析手法であるクロマチン挿入標識(Chromatin Integration Labeling, ChIL)法に用いるプローブです。ChIL法は専用機器を必要とせず、ChIP法よりも高感度なエピゲノム解析が可能です。抗マウスIgG抗体または抗ウサギIgG抗体ベースの製品から、ご使用の一次抗体にあわせてお選びいただけます。

既存手法(ChIP法)の問題について

ゲノム上の特定部位におけるヒストンや転写因子などのDNA結合性タンパク質とDNAの相互作用を解析する既存の手法としては、クロマチン免疫沈降(Chromatin Immunoprecipitation、ChIP)法が広く用いられています。ChIP法はDNA-タンパク質複合体を標的タンパク質に特異的な抗体によって免疫沈降し、DNAのみを回収する手法であり、クロマチンに含まれるゲノム全体から標的タンパク質の結合部位近傍のDNAのみを回収することができます。このChIP法では抗原抗体反応を利用することで標的DNAの特異的な回収を可能にしていますが、DNAの増幅工程を含まないため、試料に元から存在する量以上のDNAは得られません。そのため、ごく少量の試料に対しては感度が不十分であり、より高感度な解析手法が望まれていました。
クロマチン挿入標識(Chromatin Integration Labeling、ChIL)法は専用のChILプローブを用いることによって、標的配列の増幅を行ってから解析を行う手法です。増幅過程を経ることによって、ChIP法では難しかった少量の試料からの、標的配列の検出が可能になりました。


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ChIL法の原理

ChIL法での標的配列の増幅は、試料ゲノムDNA上の標的DNA配列近傍にT7プロモーター配列を挿入し、T7プロモーターを起点としたin vitro転写によって行います。ChILプローブは抗体をオリゴDNAと蛍光色素(TAMRA)で標識した構造をしており、このオリゴDNAにはT7プロモーター配列およびTn5トランスポザーゼ結合領域の配列が含まれています。

ChIL-Probeの構造

図1. ChILプローブの構造


ChIL法による標的DNA配列の増幅・解析フロー概略

詳細な操作手順および別途必要となる試薬についてはプロトコルをご参照下さい。

  1. 細胞・組織試料を固定した後、透過処理およびブロッキングを行う。
  2. ブロッキング済みの試料に目的に応じた一次抗体を添加し、標的DNA結合タンパク質に結合させる。
  3. 一次抗体に適合するChILプローブを添加し、染色像を確認する。
  4. Tn5トランスポザーゼを試料に加える(トランスポザーゼの活性によって、一次抗体に結合したChILプローブの近傍のゲノムDNA上にChILプローブのオリゴDNAが挿入される)。
  5. T7 RNAポリメラーゼを反応させ、挿入されたオリゴDNAに含まれるT7プロモーターを起点としてin vitro転写することで目的の配列(一次抗体が結合するDNA結合タンパク質の標的配列)が増幅される。
  6. 転写されたRNAを精製して、ライブラリー調製、シークエンシングを行い解析する。

Tn5トランスポザーゼ、T7 RNAポリメラーゼおよびNGSライブラリー調製キットなどが別途必要です。詳細は、プロトコルをご覧下さい。

ChIL法の概要

図2. ChIL法による解析の流れ



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特長

  • ChIP法より高い検出感度を有し、少量の試料でもエピゲノム解析ができます。
  • クロマチンの断片化が不要なため、専用機器は必要ありません。
  • 蛍光色素(TAMRA)で標識されており、蛍光顕微鏡で観察後、解析に移ることができます。
  • 抗マウスIgG抗体および抗ウサギIgG抗体をベースとした製品があり、様々な抗体に対応が可能です。

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ChIL-seq法とChIP-seq法の比較

手法必要な細胞数クロマチンの断片化
ChIP-seq法最低1,000個の細胞
(通常100,000個以上)
必要
ChIL-seq法最低1個の細胞
(通常1,000個程度を推奨)
不要

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使用例

抗ヒストン抗体(一次抗体)とChILプローブ(二次抗体)を用いて、C2C12細胞を染色した。一次抗体を用いた試料(左図)では核が染色されているが、一次抗体を使用しなかった試料(右図)では核の染色は見られなかった。

ChILプローブによる免疫細胞染色像

図3. ChILプローブによるC2C12細胞の免疫細胞染色像
一次抗体:抗ヒストン抗体(左図のみ)
二次抗体:ChILプローブ
対比染色:DAPI


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参考文献

  1. Harada, A., et al., Nat. Cell Biol., 21(2), 287(2019). PMID:30532068
    “A chromatin integration labelling method enables epigenomic profiling with lower input”
  2. Handa, T., et al., Nat. Protoc., 15(10), 3334(2020). PMID:32807906
    “Chromatin integration labeling for mapping DNA-binding proteins and modifications with low input”
  3. Maehara, K., et al., Mol. Syst. Biol., 17(11), e10323(2021). PMID:34730297
    “Modeling population size independent tissue epigenomes by ChIL-seq with single thin sections”

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価格

抗マウスIgG抗体ベース

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詳細は当社受託・特注品担当(jutaku@funakoshi.co.jp)までお問合せ下さい。


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