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細胞内リン酸化タンパク質検出キット(BioAuxilium 社)

掲載日情報:2021/03/01 現在Webページ番号:69462

Frontiers

Vol. 69 細胞内リン酸化タンパク質検出キット

BioAuxilium社は、改良型Time-Resolved Förster Resonance Energy Transfer(TR-FRET)アッセイキットを提供しているカナダのメーカーで、PerkinElmer社出身の研究者によって2013年に設立されました。
今回は、BioAuxilium社が提供するTR-FRET法を用いたリン酸化タンパク質検出キットTHUNDER TR-FRET Cell Signaling Assay Kitについてお話を伺いました。

BioAuxilium社の皆さん

BioAuxilium社では、医学生物学研究のためのTR-FRETアッセイキットおよび試薬の開発、製造に注力しています。最近では、改良型TR-FRET法THUNDERを開発し、68種類の細胞シグナル伝達アッセイキットを発売しました。本キットは、細胞ライセート中の内因性リン酸化タンパク質や総タンパク質を、簡便・迅速・高感度に測定でき、基礎研究からハイスループットスクリーニングまで幅広くご利用いただけます。

TR-FRET法とは?

TR-FRET法は、Time-Resolved Fluorescence:TRF法(時間分解蛍光測定法)とFRET法(蛍光共鳴エネルギー移動法)を組み合わせた測定方法で、タンパク質間相互作用の解析に用いられます。短時間かつ高感度で、洗浄・分離操作が不要であることから、ハイスループットの実験や基礎研究・薬理研究分野においてELISAやWestern Blottingから代替可能な検出法として使用され始めています。

TRF法の原理

蛍光寿命が非常に長い蛍光物質ユウロピウムを用いて、化合物やタンパク質、アクセプターの蛍光が消光した後に、バックグラウンドを抑えて高感度に蛍光を測定できる手法。

FRET法の原理

FRETとは、2つの蛍光体の間でエネルギーが転移する現象。ドナーの蛍光波長がアクセプターの励起波長に近く、両者が近接する場合(1~10 nm)に起こるため、分子間の相互作用や距離の研究に利用される。

THUNDER TR-FRET Cell Signaling Assay Kitの利点

最適なキットコンポーネント

  • 慎重に検証された抗体ペア
  • 最適なドナー/アクセプター蛍光色素分子
  • 最適化された溶解バッファーを使用して標識抗体を検証

厳格な検証

  • すべての製品は、パスウェイ特異的な活性/阻害物質で処理した細胞のライセートで検証されており、実際のアッセイ条件下で最適な性能を実証しています。
  • テクニカルデータシートには検証データが含まれています。
THUNDER TR-FRET Cell Signaling Assay Kitの検証データ
EGF刺激によるHEK293細胞内のリン酸化ERK1/2の測定

従来のTR-FRETとTHUNDERの比較

方 法 従来のTR-FERT法 THUNDER
S/B比 低い 高い
バリデーション 不完全 厳密
適切なポジティブコントロール なし あり
ロット間のばらつき あり 前ロットと比較して検証
価格 高価 安価

Singal/Background比=アッセイ系の精度を表す指標

特長

  • バックグラウンドが低く、高S/B比、高感度
  • 洗浄や分離操作不要
  • 細胞ライセートに試薬を添加するのみの簡便な操作
  • 費用対効果が高い
  • シグナルが長時間安定
  • 高い再現性
  • 小規模スケール(100 assay)用もあり

原理

THUNDER TR-FRET法の原理

標的タンパク質に対するエピトープの異なる2種類の抗体に、蛍光寿命が非常に長い蛍光物質ユウロピウム(Eu)と近赤外の蛍光物質(far-red fluorophore:FR)がそれぞれ標識されている。2種類の抗体は標的に結合することで近接し、ドナーの蛍光波長がアクセプターの励起波長に近い場合、ドナーからの光エネルギーを利用してアクセプターが蛍光を発するFRET現象が生じるため、ドナーとアクセプターが近接した状態にあるかどうか判定できる。

製品の詳細はこちら

今後の展望

THUNDER TR-FRET Cell Signaling Assay Kitは、すべての研究者がTR-FRET技術を手軽に利用できる、手頃な価格のアッセイキットです。また、ELISAや他のTR-FRETアッセイキットに代わる費用対効果の高い製品です。細胞シグナル、分泌バイオマーカー、GPCR(cAMP)、タンパク質間相互作用のアッセイキットもラインナップに追加する予定です。
必要なアッセイキットが見つからない場合は、独自の試薬やアッセイの開発をBioAuxilium 社がお手伝いします。抗体やタンパク質のカスタムラベル化や、お客様の仕様に合わせたアッセイ開発を行うことで、お客様の研究室で行える実験の幅を広げることができます。BioAuxilium社ではどこよりも迅速なスピードで開発を行っています

BioAuxilium社の共同設立者のJaime Padros 氏とMireille Caron 氏

共同設立者のJaime Padros 氏(左)とMireille Caron 氏(右)

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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