強力なγ-tubulin特異的阻害物質 Gatastatin G2 (γ-Tubulin Inhibitor)
掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:69416
フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]
世界初のγ-tubulin特異的阻害物質であるGatastatinの第2世代優位版誘導体です。α/β-tubulinによる微小管重合には影響を及ぼさず、γ-tubulinの微小管核形成活性を特異的に阻害できるため、γ-tubulinの機能解析に優れています。RNAiによるγ-tubulin遺伝子の発現抑制とは異なり、任意のタイミングで阻害できるため、幅広いアプリケーションが構築可能です。
細胞分裂期における微小管核形成の阻害評価
HeLa細胞をS-trityl-L-cysteine (STLC; 20 μM) 添加条件下で6時間処理後、氷上に静置し微小管の脱重合を誘導した。その後、Gatastatin G2を各濃度で添加して15分間インキュベートしたのち、30℃の温培地に交換して3分間培養し、中心体(Centrosome)から新たに形成される微小管の総面積を定量評価した。Gatastatin G2は間期の細胞において濃度依存的に中心体からの微小管伸長を阻害していた。
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γ-tubulinとGatastain
細胞骨格タンパク質tubulinファミリーのうち、α/β-tubulinはヘテロ2量体を形成し、微小管(microtubule)を形成します。一方で、γ-tubulinは微小管の構成成分ではなく、5種類のタンパク質とγ-tubulin環状複合体(γ-tubulin ring complex; γTuRC)を形成し、微小管が伸長する起点としての役割を果たすことが知られています(図1)。

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図1 微小管形成におけるγ-tubulinの役割
γTuRCは細胞の中心体に見られるほか、微小管の分岐起点にも確認され、微小管の伸長調整にも寄与していることが示唆されています(図2)。

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図2 細胞内におけるγ-tubulinの機能概略
しかし、γ-tubulinがどのようにして微小管の伸長に寄与しているか、微小管を制御しているのか、といった分子メカニズムは十分に分かっていません。近年、γ-tubulinの自己集合により形成すると考えられるγ-tubulin filament (γ-string, γ-tubuleなど)が発見されており、オルガネラの形成や構造維持に関わることが示唆されています。さらに、γ-tubulinは転写因子E2Fと共通のDNA配列に競合的に結合することが知られ、E2Fに起因する遺伝子の転写活性制御に関わることも明らかにされており、γ-tubulinの多岐にわたる機能解析が注目されています。 これまでγ-tubulinの機能解析には主にRNAiなど遺伝子発現抑制が利用されてきました。しかし、遺伝子発現抑制では、γ-tubulinのタンパク質発現量が十分に低下するまで時間が掛かることが課題とされています。その理由として、γ-tubulinを含むγTuRCは細胞分裂における不可欠な因子であることから、RNAiで発現量を十分に低下させるまでの間に細胞が分裂期に入ると有糸紡錘体形成が抑制され細胞死が誘導されてしまうため、γ-tubulinの多岐にわたる個々の機能解析には不十分とされてきました。注目する細胞の状態に合わせたγ-tubulinの機能阻害のために阻害物質の開発が期待されてきましたが、長年α/β-tubulinを阻害しないγ-tubulin特異的な阻害物質は得られていませんでした。 Gatastatinは、は、2015年に天然物Glaziovianin Aを基に開発された世界初のγ-tubulin特異的な阻害物質です。GatastatinはRNA干渉に代わるγ-tubulinの機能解析に有用なツールとして注目され、複数の論文で活用されてきました。Gatastatin G2はGatastatinの更なる構造活性相関研究から見出された、第2世代(G2)のGatastatinで、より強力なγ-tubulin阻害能を示します。 Gatastatin G2は初代Gatastatinに比べ約10倍程度阻害活性が向上しており、α/β-tubulinの微小管重合にはほとんど影響を示さないことからγ-tubulinの機能解明に向けたさまざまなアプリケーションへの利用が期待できます。細胞分裂時に処理すると染色体の整列異常や多極化紡錘体が誘導されることが分かっています。
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特長
- γ-tubulin特異的な阻害物質で、γ-tubulin非依存的なα/β-tubulinの微小管重合にはほとんど影響を与えません。
- GTP/GDP結合タンパク質であるγ-tubulinのGTP結合を阻害します。
- Gatastatinプロトタイプに比べ10倍程度高い阻害活性を示します。
- 分裂期の細胞に添加すると染色体配列異常および多極紡錘体形成が観察されます。
- 遺伝子制御によるγ-tubulin発現抑制に比べ、即効性の阻害効果があり、幅広いアプリケーションが構築できます。
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参考データ
in vitro微小管重合への影響評価
細胞内微小管に対する影響評価
HeLa細胞に100 nM colchicine(6時間)、30 μM Gatastatin G2(24時間)を処理したのち、抗α-tubulin抗体を用いた免疫染色法で細胞内の微小管構造を可視化した。α-tubulin重合阻害物質であるcolchicineは細胞内の微小管構造を断片化させていることに対し、Gatastatin G2は微小管の構造を維持していた。この結果は、Gatastatin G2がα/β-tubulinの重合に影響を与えていないことを示している。

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アプリケーションデータ
細胞分裂期におけるγ-tubulin阻害効果の検証
増殖期にあるHeLa細胞に0.3~30 μMのGatastatin G2を24時間処理し、細胞分裂期における紡錘体および染色体の構造を観察した。Gatastatin G2低濃度では染色体異常が優位に観察される一方、高濃度では多極化が優位に観察され、その出現割合はGatastatin G2の濃度依存的であった。γ-tubulinの機能を強く抑制するほど多極化が誘導されることが分かる。Gatastatin G2は、細胞分裂時におけるγ-tubulinの紡錘体形成および中心体形成への寄与の解析に有用である。
※ 上記のデータは筑波大学 臼井教授よりご提供頂きました。
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原著論文
- Shintani, K., et al., " Structure Optimization of Gatastatin for the Development of γ-Tubulin-specific Inhibitor.", ACS Med. Chem. Lett., 11(6), 1125~1129 (2020). [PMID: 32550991]
※ Gatastatinの原著論文は下記をご参照下さい。
- Chinen, T., et al., "The γ-Tubulin-specific inhibitor Gatastatin Reveals Temporal Requirements of Microtubule Nucleation During the Cell Cycle.", Nat. Commun., 6, 8722 (2015). [PMID: 26503935]
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価格
[在庫・価格 :2025年04月25日 19時55分現在]
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[在庫・価格 :2025年04月25日 19時55分現在]
Gatastatin G2 <γ-Tubulin Inhibitor>
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- 商品コード:FDV-0040
- メーカー:FNA
- 包装:0.1mg
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- 法規制等:
説明文 | γ-tubulin特異的阻害剤です。α/β-tubulinによる微小管重合には影響を及ぼさず,γ-tubulinの微小管核形成活性を特異的に阻害できるため,γ-tubulinの機能解析に優れています。 |
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保存条件 | -20℃ | 法規備考 | |
掲載カタログ |
ニュース2022年11月15日号 p.23 ニュース2021年3月1日号 p.28
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製品記事 | 細胞周期・微小管研究用製品特集 |
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