記憶の分子「ドレブリン」の発見者が設立した創薬ベンチャー企業(アルメッド株式会社)

掲載日情報:2026/02/09 現在Webページ番号:69399

Frontiers

Vol. 108 記憶の分子「ドレブリン」の発見者が設立した創薬ベンチャー企業

アルメッド株式会社(以下、アルメッド社)は、シナプス可塑性の成立に不可欠なアクチン制御因子「ドレブリン」に着目し、血液で認知症の早期変化をとらえ、失われたシナプス機能を回復させる治療薬の開発を目指す創薬ベンチャー企業です。
アルメッド社のCEO である白尾智明 博士がドレブリンを発見し、命名しました。白尾博士らを中心とする研究グループは、ドレブリンがシナプス可塑性を制御する仕組みを解明してきました。そして、記憶形成と樹状突起スパイン形態変化の因果関係を明らかにしたのです。
白尾博士らはこの発見を認知症の診断と創薬に応用するために、アルメッド社を設立しました。

OUR MISSION

認知症高齢者が安心して暮らせる社会の実現
早期診断・根本治療によって、認知症高齢者が安心して暮らせる社会をAlzMed は目指します。

ドレブリンってどんなタンパク分子?

ドレブリンはアクチン結合タンパク質であり、筋肉におけるトロポミオシンと類似した働きを担います。言い換えれば、ドレブリンが局在する樹状突起スパインのアクチンは、脳の筋肉といえるでしょう。
ドレブリンには2つのアイソフォームがあり(ドレブリンEとドレブリンA)、どちらも1つの遺伝子から作られます。ドレブリンEは神経細胞以外にも発現しますが、ドレブリンAは神経細胞にのみ発現します。
この2つのドレブリンの違いは、ドレブリンAに特異的な46アミノ酸残基です。これがドレブリンEよりもアクチンの安定化作用を強くする役目を果たしています。中枢神経細胞の発達期から成熟期にかけて、オルタナティブスプライシングによりドレブリンEからドレブリンAにアイソフォーム変換が起こります。神経細胞内でのドレブリン局在を抗ドレブリン抗体M2F6で調べると、神経細胞の成熟度を評価できます。シナプス結合ができるまでの神経細胞では、ドレブリンEの発現がドミナントで、軸索や樹状突起先端の成長円錐に局在します。神経回路が形成された後では、ドレブリンAの発現がドミナントになり、樹状突起スパインに局在します。つまり、ドレブリンは神経細胞の中で動きのあるところに局在して、アクチン動態を制御しているのです。
シナプス後部の樹状突起スパインに局在するドレブリンは、アクチン線維に結合してスパイン形態の安定性を保ちます。一方、神経活動に反応してNMDA受容体が活性化すると、樹状突起スパインからドレブリンの移動が起こります(ドレブリンエクソダス)。
ドレブリンエクソダスは、シナプス可塑性が始まる際に必ず起こる現象で、記憶形成と忘却の双方に重要な役目を果たします。長期増強(LTP)では、ドレブリンエクソダス後にドレブリンが樹状突起スパインに戻ります。そして、受容体数などが増えたシナプス後部の状態を安定化します(下図左)。長期抑圧(LTD)ではドレブリンはスパイン内に戻りません。その結果、受容体のエンドサイトーシスが亢進した状態が続き、シナプス伝達効率は低下してスパインは退縮し、最終的にスパイン消失へとつながります(下図右)。この可逆的変化は、学習や記憶の基盤となるスパイン構造のリモデリングを司る重要な仕組みです。

記憶形成におけるドレブリンの重要な役割

認知機能障害のバイオマーカーとしてのドレブリン

ドレブリンは記憶形成に重要なタンパク質です。では、どのように病気と関わっているのでしょうか? 記憶障害に端を発するアルツハイマー病では、軽度認知障害(MCI)の段階ですでにドレブリン減少が観察されており、最も早期に変化するシナプスタンパク質として注目されています。ドレブリンはシナプス可塑性に深く関わっていることから、単なる「構造タンパク質」ではなく、記憶機能の変化そのものを映し出すバイオマーカーです。
ドレブリン量の変動はシナプス可塑性やスパイン密度、さらには記憶形成能力と密接に関係しています。したがって、ドレブリン量をモニターすることによって、記憶力の衰えを分子レベルで可視化することが可能になります。すなわちドレブリンは「記憶の健康状態を測る分子指標」という新しい概念を切り拓いた分子なのです。

アルメッド社の神経科学研究支援ツール

アルメッド社は、これまでのドレブリン研究で開発した高品質な研究用ツールを、フナコシ株式会社から販売することとしました。
従来はゴルジ染色が必要だった樹状突起スパインの数の評価を、抗ドレブリン抗体を用いた、より簡便で再現性の高い手法で実施できるようになりました。また、実験動物の解剖が不可欠だった神経細胞培養も、海馬由来凍結神経細胞を用いることで可能になり、誰でも容易に再現性高く初代培養神経細胞を使った研究ができるようになりました。
高品質モノクローナル抗ドレブリン抗体-M2F6-Shirao®
凍結神経細胞-SKY Neuron®

研究から創薬へ-アルメッド社が目指す未来

MCI は治療可能な可逆的ステージであることが知られています。したがって、MCI をいかに早く検出し、早期に介入できるかが、認知症克服の鍵を握ります。アルメッド社は現在、血液検査によるMCI診断技術の開発を進めています。
近年、アルメッド社はヒト血漿中にドレブリンが存在することを発見し、独自開発のELISA 法によって血漿中ドレブリン量の定量を実現しました。その結果、MCI 患者では血漿ドレブリン濃度が有意に低下し、さらにその値が認知機能スコアと有意に相関することを突き止めました。この成果はドレブリンを用いた非侵襲的な認知症早期診断マーカーの実用化へ向けた重要な一歩です。アルメッド社が新たに開発したキット(SyncheckTM)は研究用試薬として使用可能です。ご興味のある方はぜひお問い合わせ下さい。

OUR SOLUTION

記憶のメカニズムの解明と社会実装
脳内で記憶を司るシナプスの形成を制御する分子ドレブリンの発見者が記憶のメカニズムをさらに追究し、研究成果を社会に還元する取り組みを推進する。
アルツハイマー病MCI 期を早期発見できる血液診断
血中ドレブリン量を測定する革新的な血液診断法を開発。身体的負担の少ない検査で、早期発見と進行ステージに応じた最適な医療を実現する。
アルツハイマー病の根本治療への挑戦
病気の進行とともに失われていく脳内ドレブリンを正常レベルへ回復させる治療薬を開発。不可能とされてきたアルツハイマー病の根本治療に挑み、実現を目指す。

クリーンベンチ アルメッド社メンバー

お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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