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hTERT不死化細胞株の腎細胞モデル ATCC® hTERT-immortalized Primary Cell-Kidney models

掲載日情報:2019/12/10 現在Webページ番号:69192

ヒトテロメア逆転写酵素(hTERT; Human Telomerase Reverse Transcriptase)遺伝子を腎近位尿細管上皮初代培養細胞に導入して作製したRPTEC/TERT1細胞株を親株として、溶質キャリア(SLC, Solute carrier)トランスポーターであるOAT1、OCT2、またはOAT3を遺伝子組換えにより導入した細胞株です。それぞれの細胞株は、クローン製、腎トランスポーター(SLC)の安定発現、テロメアーゼ活性について検証されています。ヒトの腎臓毒性モデル、トランスポーター機能研究、初期薬物相互作用研究におけるin vitroモデル、および腎生理学的研究関連の細胞モデルとして有用です。

RPTEC/TERT1 OAT1/OCT2/OAT3の作製

図1;RPTEC/TERT1 OAT1/OCT2/OAT3の作製

RPTEC/TERT1(ATCC® CRL-4031™) にOAT1、OCT2、またはOAT3のいずれかを含むプラスミドDNAコンストラクトをトランスフェクションした。24時間後、細胞を抗生物質を含む培地中で7日間増殖した。生残細胞をクローンにより分離し、その後で増殖させた。分離されたクローンは、クローン製、腎トランスポーターの発現および活性について検証を行った(→検証結果)。

ATCC®の遺伝子組み換え腎近位尿細管上皮細胞とは

ATCC®の遺伝子組み換え腎近位尿細管上皮細胞とは (クリックで開閉します)

溶質キャリア(SLC, Solute Carrier)腎トランスポータータンパク質モデルにおける問題点

溶質キャリア(SLC、Solute Carrier)腎トランスポータータンパク質モデルは、薬物、環境化合物、内因性分子の腎クリアランスの決定に不可欠です。しかし、初代腎上皮細胞は、一度培養するとすぐにOAT1、OCT2、およびOAT3トランスポーターの発現を失うことから、これまでの多くのモデルはそれらの重要なSLCタンパク質を発現しなかったり、成熟した腎組織由来ではなくMDCK、CHO、U2OSなどのがん細胞であったりします。そのため、臨床的予測可能性を損なう可能性があり、適切な前臨床細胞ベースのモデルが欠如していました。

ATCC®の取り組み

腎臓による薬物のクリアランスと除去は、溶質キャリアまたはSLCタンパク質1,3として総称される膜輸送ポンプの特徴的な部分に大きく依存しています。SLCトランスポーターは、様々なエネルギーカップリング機構を用いて、イオン、代謝物、ペプチド、薬物などの溶質を生体膜全体に輸送する膜タンパク質です。SLCファミリーのタンパク質の中で、OAT1(SLC22A6)、OCT2(SLC22A2)、およびOAT3(SLC22A8)は腎臓組織の最も重要なトランスポーターです。これらのポンプの活動は、しばしば腎臓からの溶質除去を制限するため、米国食品医薬品局1(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)の両方から薬物相互作用研究のターゲットとして推奨されています。したがって、腎臓毒性モデル、特にヒト腎臓起源、機能するトランスポーター、正確な臨床的予測可能性、および初期薬物相互作用研究のための一貫したデータ出力を有するin vitroモデルが求められています。

そこで、ATCC®は、OAT1、OCT2、およびOAT3タンパク質を安定発現する3つの異なるhTERT不死化ヒト初代腎近位尿細管上皮細胞(RPTEC)を作製しました。次に、これらの細胞が既知のSLCタンパク質基質を細胞内に運ぶ能力をテストしました(→図1参照)。

参考文献

  1. Guidance for Industry: Drug Interaction Studies-Study Design, Data Analysis, Implications for Dosing, and Labeling Recommendations
    US Food and Drug Administration, Feb (2012).
  2. hTERT alone immortalizes epithelial cells of renal proximal tubules without changing their functional characteristics
    Wieser M., et al., Am. J. Physiol-Renal. Physiol., 295, F1365~F1375, (2008).
  3. The International Transporter Consortium Membrane transporters in drug development Nat. Rev. Drug Disc., 9, 215~235, (2010).

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製品の種類

細胞名をクリックするとメーカーサイトの製品情報、ATCC® No.をクリックすると価格表をご覧いただけます。

細胞の種類 Genetically Modified hTERT-Immortalized Cells hTERT-immortalized (Parental) Cells
細胞名 RPTEC/TERT1 OAT1™ RPTEC/TERT1 OAT3™ RPTEC/TERT1 OCT2™ RPTEC/TERT1
由来組織 腎臓(腎皮質)、近位尿細管、上皮 腎皮質、近位尿細管、上皮
動物種 Human Human
形態 上皮様細胞 上皮細胞
細胞数/包装 約1×106 cells/1 ml /1 ml
ATCC® No.(商品コード) CRL-4031-OAT1™ CRL-4031-OAT3™ CRL-4031-OCT2™ CRL-4031™
価格* 非営利団体
のお客様
営利団体
のお客様
発現
タンパク質
hOAT1
hOAT3
hOCT2
CD13
E-cadherin

本製品の価格は、お客様のご所属機関が非営利団体、営利団体かによって異なります。価格等の詳細については、こちらにお問い合わせ下さい。

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特長

  • 既知薬物に対して適切な反応を示します。
  • in vitroにおいて、in vivoシステムに相当するトランスポーター機能が得られます。
  • 尿細管分泌関連経路の研究および解明に有用です。
  • 遺伝的に改変された細胞は親株と同じ増殖パラメーターを示し、かつin vitroトランスポーター機能も維持します。

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品質管理

以下の項目について検証を行っています。

  • 凍結後の細胞生残率
  • 細胞増殖
  • 形態
  • マイコプラズマを含む無菌性
  • STR分析
  • E-カドヘリン、CD13(アミノペプチダーゼ N)の発現

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検証結果

図2:RPTEC/TERT1 SLCトランスポーター細胞の特性評価

OAT1 OCT2 OAT3
mRNAの発現
(RT-PCR)
mRNAの発現

OAT1、OCT2、およびOAT3細胞株において、それぞれ対応するSLCトランスポーターのmRNAの存在を確認できる。



OAT1 OCT2
タンパク質の発現
(ウェスタンブロッティング)
タンパク質の発現

OAT1およびOCT2細胞株において、それぞれ対応するSLCトランスポーターのタンパク質発現を確認できる。



OAT1 OCT2 OAT3
細胞株と原形質膜
における発現(倍率:×20)
(免疫蛍光法)
細胞株と原形質膜における発現

OAT1、OCT2、およびOAT3細胞株において、それぞれ対応するSLCトランスポーターのタンパク質発現および細胞膜局在性
を確認できる。しかし、親株であるRPTEC/TERT1細胞株ではSLCトランスポータータンパク質の発現は確認できない。

図3:RPTEC/TERT1 SLCトランスポーター細胞における親株の特性の保持の検証

RPTEC / TERT1 SLCトランスポーター細胞を免疫染色およびドーム形成アッセイを行った。

細胞の形態

細胞の形態の比較

OAT1、OCT2、およびOAT3クローンは、親株であるRPTEC/TERT1細胞と同じ腎上皮成長パターンを示した。

マーカーの発現

腎上皮マーカーCD13およびE-カドヘリンの発現

親株であるRPTEC/TERT1細胞株とOAT1、OCT2、およびOAT3細胞株の全てで腎上皮マーカーCD13およびE-カドヘリンの発現が認められた。

マーカーの発現

ドーム様構造(矢印)の形成

OAT1-、OCT2-、およびOAT3-発現細胞では、インタクトの上皮バリアを通過する溶質輸送によって起こるドーム様構造(矢印)の形成が認められた。

図4:SLCトランスポーター発現細胞の基質取り込み活性測定

RPTEC/TERT1 OAT1/OCT2/OAT3の作製

RPTEC/TERT1 OAT1(ATCC® CRL-4031-OAT1™) (A)およびRPTEC/TERT1 OAT3(ATCC® CRL-4031-OAT3™)(C)は基質として6-CFを用い、RPTEC/TERT1 OCT-2(ATCC® CRL-4031-OCT2™)(B)はEAM-1を基質として、それぞれの細胞における基質の濃度依存的な取り込み量を測定した。

取り込み量は遺伝子組み換えを行った3つの細胞株では増加したが、親株であるRPTEC/TERT1細胞株では見られなかった(n=3、エラーバーは標準偏差を示す)。この実験結果により、それぞれの基質の輸送が、OAT-1、OAT-3またはOCT-2によるものであると確認できた。

図5:親RPTEC細胞との膜輸送体発現プロファイルの比較

タンパク質の発現

RPTEC / TERT1が、親RPTEC細胞と同様の膜輸送体発現プロファイルを持っていることを検証した。

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使用例

OAT1、OCT2、およびOAT3細胞株を、既知のSLC-トランスポーター阻害物質を用いてそれぞれのSLC-トランスポーターに特異的な基質の取り込み阻害を測定した(n=3)。OAT1、OCT2、およびOAT3それぞれの阻害曲線から、RPTEC/TERT1細胞でOAT1、OCT-2またはOAT-3を過剰発現させた場合、それぞれの輸送活性がいずれも基質特異的であることがわかる。

細胞 OAT1
基質(濃度/処理時間) 6-CF(3μM/20分)
阻害物質 Probenecid Novobiocin
OAT-1阻害曲線 OAT-1阻害活性

細胞 OCT-2
基質(濃度/処理時間) EAM-1(5μM/20分)
阻害物質 Cimetidine Quinitin
OCT-2阻害曲線 OCT-2阻害活性

細胞 OAT-3
基質(濃度/処理時間) 6-CF(3μM/20分)
阻害物質 Probenecid Novobiocin
OAT-3阻害曲線 OAT-3阻害活性

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参考資料

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タンパク質の発現

Apprication Note:
Genetically modified renal proximal tubule epithelial cells

タンパク質の発現

The Application of hTERT-immortalized Primary Cells in Toxicological Assays

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関連製品

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品名 ATCC® No.(商品コード) 包装 価格 在庫
DMEM:F12 Medium 30-2006™
hTERT Immortalized RPTEC Growth Kit ACS-4007™

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