異種細胞間の相互作用を定量的に測定するキット CytoSelect Endotherium Adhesion Assay Kit

ヒト単球THP-1細胞のHUVEC単層への接着

HUVEC（左）またはTHP-1細胞（右）を、50 ng/mL TNF‐αまたは1 μM PMAで12時間処理した。HUVEC単層にLeukoTracker標識THP-1細胞（50,000 cells／well）を1時間接着させた後、接着細胞を溶解して定量した。

血管周囲組織への白血球の血管外溢出は、炎症性疾患において重要な役割を果たしています。この溢出には白血球と血管内皮との相互作用を必要とし、循環白血球の捕獲とそれに続く回転、停止、強固な接着および移行を含む、多様で連続したプロセスから成ります（下図参照）。この多段階反応は、白血球における内皮細胞接着分子とそれらに特異的なリガンドとの一連の活性化依存的な相互作用によって実現されます。一過性接着と回転の第1段階は、白血球または内皮細胞セレクチンと、オリゴ糖を有するそれらのリガンドとの相互作用を介して行われることが知られています。白血球の停止と内皮へ強固な接着は、白血球細胞表面におけるβ2インテグリン様Mac-1またはLFA-1の活性化、そしてそれに続くICAM-1のようなIgスーパーファミリーに属する内皮細胞タンパク質との相互作用に依存しています。

慢性気管支炎、喘息、肺線維症、成人呼吸窮迫症候群（RDS)などの多くの肺疾患は気道炎症を伴います。循環炎症細胞が気道に流入する際には、細胞間接着分子と可溶性メディエーターの両方が関与します。多形核白血球（PMN）は、血管内皮を横断して気道内に蓄積します。PMNが内皮関門を越えると、走化性シグナルによって、しばしば気道の内腔および粘膜上皮細胞の近くにPMNが蓄積します。気道上皮細胞は、適切な刺激条件下では、PMNに作用するケモカインの供給源となり、またPMNの重要な接着リガンドである細胞間接着分子-1（ICAM-1）も発現します。したがって、気道上皮細胞は、PMNの保持と活性化にだけではなく、PMNが上皮細胞を横断して気道へ移動する際にも重要と考えられます。

がんの転移にはいくつかの段階があります。最初に腫瘍細胞が血管内に侵入し（浸潤）、血流に流されて移動し、最後に血管から再び出て（溢出）、体内の新しい場所に移動します。
腫瘍細胞の血管内皮への最初の捕捉と付着は、血流からの血管外溢出より前に起こる腫瘍転移カスケードの重要なステップです。腫瘍細胞の血管外への溢出は、多くの点で炎症組織への白血球の侵入と同様のステップを取ります。白血球の血管外溢出は、循環白血球の捕捉とその後の白血球のローリング、停止、堅固な接着、および移動を含む複数の連続したプロセスから成ります。腫瘍細胞の内皮細胞内層への接着は、内皮細胞の活性化または内皮の組織特異的な違いの影響を受け、特定の細胞表面分子の発現に依存していることが明らかになりつつあります。E-セレクチンと血管細胞接着分子-1（VCAM-1）は、腫瘍とECの相互作用において極めて重要な役割を果たすと考えられています。