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がん病理研究に最適なモノクローナル抗体ペア Laminin-332のα3鎖バリアント特異的な2種類の抗体

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:68101

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

がんとの関係で注目されるLaminin-332(Lm332;旧名Laminin-5)のアイソフォームを識別する2種類のマウスモノクローナル抗体、クローンBG5とF7です。
クローンBG5はα3A鎖に反応し、免疫染色法では基底膜に存在するLm3A32やLaminin-3A11(Lm311;旧名Laminin-6)を認識します。
一方、クローンF7はスプライシングバリアントα3B鎖に特異的に反応し、Lm3B32、Lm3B11を認識します。クローンF7はα3B鎖に特異的な世界で唯一の抗体です。
これらの抗体は抗Laminin-γ2鎖抗体とともに、がんの悪性度の診断やLamininのバリアント特異的な機能解明に有用なツールとして期待されています。
本製品は横浜市立大学 木原生物学研究所 宮崎香名誉教授の研究成果を元に製品化されました。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


BG5(抗a3A鎖)

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BG5(抗a3A鎖):上皮基底膜()が染色が観察された。

F7(抗a3B鎖)

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F7(抗a3B鎖):上皮基底膜(→)に加え血管基底膜()の染色が観察された。

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クローンBG5およびF7による皮膚組織の染色例


Laminin-332(Lm332)とがんについて

Laminin(ラミニン)はα鎖、β鎖、γ鎖のヘテロ三量体からなる巨大な細胞外糖タンパク質で、基底膜の基本構成因子として知られています。現在までにα鎖は5種類、β鎖は3種類、γ鎖は3種類が同定されており、15種類以上の組み合わせが報告されています。以前は発見された順に番号が付与されていましたが、現在はα鎖、β鎖、γ鎖の番号を並べる命名法が採用されており、例えば、Lm332はα3, β3, γ2から成るヘテロ三量体を示します。

Lm332(旧名Laminin-5)は、3つの研究グループによって表皮細胞が産生する細胞外マトリックスタンパク質として報告され、一方、横浜市立大学 宮崎香名誉教授らはこの分子をがん細胞が分泌する新規細胞運動促進因子Ladsinとして報告しました1。 そのため、Lm332は特にがんの分野で多くの研究がなされてきました2)。Lm332は正常組織では皮膚、乳腺、呼吸器、消化器などの上皮基底膜の主要成分です。細胞接着活性と細胞運動活性が非常に高い、最も小型のラミニンです。Lm332は他のラミニンと異なり、可溶性増殖因子としても作用するため、間葉系幹細胞やiPS細胞の培養補助剤としても使われています。

また、Lm332のα3鎖には通常の短鎖型(α3A)に加え長鎖型のスプライスバリアント(α3B)が存在することが知られていましたが、宮崎名誉教授らはα3B鎖に特異的な抗体(クローンF7)を作製し、α3B鎖をもつLm3B32およびLm3B11の性質や分布を初めて明らかにしました3,4。Lm3B32はLm3A32に比べて接着活性が高いこと、がんでは両ラミニンとも比較的良性ながんの腫瘍基底膜に存在すること、一方、Lm3B11は正常組織の血管基底膜に含まれるが、がん組織では発現が減弱することなどが明らかになっています。したがって、Lm3A32を検出するクローンBG5抗体とα3B鎖を検出するクローンF7抗体を用いてがんの病理的特徴を判断することができます。また両抗体はそれぞれのバリアントの発現分布や機能を切り分けるツールとしても有用です。

模式図

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参考文献

  1. Miyazaki, K., et al., "A large cell-adhesive scatter factor secreted by human gastric carcinoma cells.", Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 90 (24), 11767~11771 (1993) . [PMID:8265624]
  2. Miyazaki, K., "Laminin-5 (laminin-332): Unique biological activity and role in tumor growth and invasion.", Cancer Sci., 97 (2), 91~98 (2006) .[PMID: 16441418]
  3. Kariya, Y., et al., "Characterization of laminin-5B (α3Bβ3γ2) and NH2-terminal proteolytic fragment of its α3B chain: Promotion of cellular adhesion, migration and proliferation.", J. Biol. Chem., 279, 24774~24784 (2004) . [PMID:15044476]
  4. Mori, T., et al., "Laminin-3B11, a Novel Vascular-type Laminin Capable of Inducing Prominent Lamellipodial Protrusions in Microvascular Endothelial Cells.", J. Biol. Chem., 285, 35068~35078 (2010). [PMID:20805229]

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特長

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品名
(クローン名)
Anti-Laminin-α3A (BG5) Anti-Laminin-α3B (F7)
商品コード FDV-0024 FDV-0023
抗体種マウスモノクローナル抗体
抗原Recombinant Human Laminin-α3B N-term ~190 kDa fragment
サブタイプ IgG2a IgG1
交差性ヒト
性状マウス腹水(未精製)
適用ELISA, IHC, IP, WB
特異性 Laminin-α3A Laminin-α3B

クローンBG5は、免疫組織染色(IHC)ではα3Aのみに交差します。なお、ELISA, IP、WBにおいてはα3A鎖およびα3B鎖に交差性を示します。詳細は、使用例および原著文献1をご参照下さい。
クローンBG5、F7いずれも、Laminin α1, α2およびα5鎖に交差しません。

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使用例

ウエスタンブロットによる組換え体Laminin-332およびα3鎖の検出

ヒト組換え体Laminin-3A32 およびLaminin-3B32を非還元条件(ヘテロ三量体)および還元条件(個々のサブユニット)下で電気泳動し、それぞれクローンBG5、F7でウエスタンブロットを実施した。BG5, F7ともに非還元でヘテロ三量体を、還元条件でα3鎖を検出した。

BG5_WB

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F7_WB

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結合特異性解析

各組換え体Lamininをプレートにコーティングし、ELISA法によりクローンBG5およびF7の結合特異性を評価した。F7はLaminin-3B32に特異的に反応し、BG5はLaminin-3A32, 3B32に反応した。

特異性

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クローンBG5による各種正常組織の染色例

免疫組織染色(いずれも凍結切片を使用)ではBG5はα3A鎖のみを認識し、各種上皮基底膜を染色した。

正常皮膚組織

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正常皮膚組織

正常乳腺組織

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正常乳腺組織

正常肺胞組織

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正常肺胞組織

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クローンF7による各種正常組織の染色例

A:正常皮膚組織、B:正常食道組織、C:正常乳腺組織、D:正常肺胞組織 (いずれもパラフィン包埋切片)
クローンBG5(α3A鎖)とは異なり、クローンF7(α3B鎖)では各種上皮基底膜(黒矢印)のみならず血管基底膜(黒三角)の染色も観察された。肺胞でも血管基底膜が染色されている可能性もある。

A. 正常皮膚組織

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C. 正常乳腺組織

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B. 正常食道組織

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D. 正常肺胞組織

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クローンBG5(左)およびF7(右)による皮膚がん組織の染色例

いずれの抗体も腫瘍組織周囲に基底膜様の構造の染色が観察された。

BG5_F7基底膜組織染色

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BG5_F7基底膜組織染色

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原著文献・使用文献

  1. Kariya, Y., et al., "Localization of laminin alpha3B chain in vascular and epithelial basement membranes of normal human tissues and its down-regulation in skin cancers.", J. Mol. Histol., 39 (4), 435~446 (2008) 「PMID:18670895]
  2. Mori, T., et al., "Downregulation of a newly identified laminin, laminin-3B11, in vascular basement membranes of invasive human breast cancers.", Cancer Sci., 102 (5), 1095~1100 (2011).(reference
  3. Miyazaki, K., et al., "Highly sensitive detection of invasive lung cancer cells by novel antibody against amino-terminal domain of laminin γ2 chain.", Cancer Sci., 107 (12), 1909~1918 (2016). [PMC5198959]

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Laminin-γ2 N末端部位に対する抗体:Anti-γ2 N-terminal Fragment (クローンP2H)(Web記事番号:68102

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価格

[在庫・価格 :2024年04月25日 20時55分現在]

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詳細 商品名
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納期 文献数
Anti-Laminin α3A, Human, Mouse-Mono(BG5)
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
免疫染色においてLaminin α3Aを特異的に認識する抗体。2種類のスプライシングバリアントが存在するLaminin α3鎖のうち,免疫染色ではα3A鎖を特異的に検出できるため,Laminin α3B特異的な抗体(クローンF7;商品コード#FDV-0023)と併用することで,バリアント特異的な局在解析に有用。
別名:Lm3A32
クローン:BG5
法規制等
保存条件 -80℃ 法規備考
抗原種 Human 免疫動物 Mouse クラス IgG 標識 Unlabeled
交差性 Human 適用 ELISA,IHC,IP,Western Blot
クロナリティ Monoclonal フォーマット 性状 Acsites 吸収処理
掲載カタログ ニュース2022年8月合併号 p.21
ニュース2021年11月15日号 p.20

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Anti-Laminin α3B, Human, Mouse-Mono(F7)
1週間程度 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
Laminin α3Bを特異的に認識するマウスモノクローナル抗体。2種類のスプライシングバリアントが存在するLaminin α3鎖のうちα3B鎖を特異的に検出できるため,Laminin α3A特異的な抗体(クローンBG5;商品コード#FDV-0024)と併用することで,バリアント特異的な局在解析に有用。
別名:Lm3B32
クローン:F7
法規制等
保存条件 -80℃ 法規備考
抗原種 Human 免疫動物 Mouse クラス IgG 標識 Unlabeled
交差性 Human 適用 ELISA,IHC,IP,Western Blot
クロナリティ Monoclonal フォーマット 性状 Acsites 吸収処理
掲載カタログ ニュース2022年8月合併号 p.21
ニュース2021年11月15日号 p.20

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Anti-Laminin α3A, Human, Mouse-Mono(BG5)

文献数: 0

説明文 免疫染色においてLaminin α3Aを特異的に認識する抗体。2種類のスプライシングバリアントが存在するLaminin α3鎖のうち,免疫染色ではα3A鎖を特異的に検出できるため,Laminin α3B特異的な抗体(クローンF7;商品コード#FDV-0023)と併用することで,バリアント特異的な局在解析に有用。
別名:Lm3A32
クローン:BG5
法規制等
保存条件 -80℃ 法規備考
抗原種 Human 免疫動物 Mouse
交差性 Human 適用 ELISA,IHC,IP,Western Blot
標識 Unlabeled 性状 Acsites
吸収処理 クラス IgG
クロナリティ Monoclonal フォーマット
掲載カタログ ニュース2022年8月合併号 p.21
ニュース2021年11月15日号 p.20

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Anti-Laminin α3B, Human, Mouse-Mono(F7)

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説明文 Laminin α3Bを特異的に認識するマウスモノクローナル抗体。2種類のスプライシングバリアントが存在するLaminin α3鎖のうちα3B鎖を特異的に検出できるため,Laminin α3A特異的な抗体(クローンBG5;商品コード#FDV-0024)と併用することで,バリアント特異的な局在解析に有用。
別名:Lm3B32
クローン:F7
法規制等
保存条件 -80℃ 法規備考
抗原種 Human 免疫動物 Mouse
交差性 Human 適用 ELISA,IHC,IP,Western Blot
標識 Unlabeled 性状 Acsites
吸収処理 クラス IgG
クロナリティ Monoclonal フォーマット
掲載カタログ ニュース2022年8月合併号 p.21
ニュース2021年11月15日号 p.20

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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