酸化ストレスマーカーアクロレインを細胞レベルで検出する試薬 AcroleinRED ®(Cell-based Acrolein Detection Reagent)
掲載日情報:2019/01/29 現在Webページ番号:67942
フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]
強力な毒性を示す不飽和アルデヒド、アクロレイン(acrolein)と特異的に反応し、赤色蛍光で可視化する試薬です。他の不飽和アルデヒドや脂質代謝物等には反応せず、内因性のアクロレインまたは外部刺激依存的に過剰産生されるアクロレインを生細胞で簡便に検出、相対定量することができます。
※ 本製品は理化学研究所 開拓研究本部 田中生体機能合成化学研究室の研究成果をもとに、フナコシ(株)が製品化し、販売しています。
※ 本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
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アクロレインとは?
アクロレインは化学的反応活性が非常に高く、生体内のさまざまな求核基(タンパク質、核酸や脂質など)に付加し、無差別に機能を破壊することから、強力な毒性を示す酸化ストレスマーカーとして認知され始めています。近年の研究では、最も有名な酸化ストレスマーカーである活性化酸素種(Reactive Oxidative species;ROS)よりも毒性が高いことが明らかにされ、アクロレインは基礎生物学のみならず、創薬、環境科学、食品業界、健康産業など幅広いライフサイエンス分野で注目される因子です。しかしながら、アクロレインの単純構造、高い反応活性ゆえに検出が難しく、十分な解析が進められていませんでした。
従来のアクロレインの検出方法
従来法では、アクロレインそのものの検出は難しく、アクロレインのα,β-不飽和アルデヒド構造を利用した化学反応物の検出がメインにおこなわれています。ここでは代表的な2つの方法を示します。
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AcroleinRED®の原理
AcroleinRED®は理化学研究所田中克典主任研究員らが発見したフェニルアジドとアクロレインの特異的な環化反応を利用した試薬です。
フェニルアジドのアクロレイン特異的な反応
フェニルアジド基はアクロレインと特異的かつ迅速に反応し、環状生成物4-formyl-1,2,3-triazolineを生成します。4-formyl-1,2,3-triazolineは、近傍の生体分子と非特異に反応し共有結合を形成します。
AcroleinRED®によるアクロレインの検出原理
AcroleinRED®によるアクロレインの検出原理は細胞内外の2つの経路が考えられています。
⓵、⓶いずれの経路でも反応生成物である4-formyl-1,2,3-triazolineは、細胞内で無作為に生体分子(タンパク質など)と反応し、細胞内に繋留されることで細胞を染色します。 ※ アクロレインと試薬の反応生成物および生体分子に付加した状態が蛍光シグナルとして検出されるため、アクロレインの局在を可視化するものではありません。本試薬では局在観察はできませんのでご留意下さい。
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特長
- AcroleinRED®はフェニルアジドがアクロレインと特異的かつ迅速に反応することを利用した試薬です。細胞から産生されたアクロレインにTAMRAを標識することで、アクロレインを可視化することができます。
- ローダミンのフィルターセットで観察できます(励起/蛍光波長:560 nm/585 nm)
- 他の不飽和アルデヒド(crotonaldehyde、trans-2-octenal、methacrolein)、スチレンには反応しません。
- 前処理不要かつ簡便な操作で検出できます。
- 既存のアクロレイン定量法に比べて高い感度を示します。(アクロレイン検出限界:100 nM)
- 蛍光強度でアクロレイン量を相対定量することができます。
AcroleinRED®の吸収スペクトルと蛍光スペクトル
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アプリケーション
- 定常状態でのアクロレイン産生量の相対定量
- 外部刺激(薬剤処理など)によるアクロレイン産生量の変動を相対定量
※ アクロレインの局在観察には使用できません。詳しくは☞ AcroleinRED®の原理をご覧下さい。
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操作法概略
- フレッシュな培地を用いてAcroleinRED®溶液(終濃度10~30μM)を調製する。
※ 終濃度は細胞種によって異なる可能性がありますので、実験に応じて最適化を推奨いたします。 - 培養細胞の培地を除去し、PBSで2回洗浄する。
- AcroleinRED®含有培地を添加する。
- 30分~1時間培養する。
※ 処理時間を長くすることで、シグナルが蓄積します。反応時間は実験系に応じて最適化して下さい。 - 細胞をPBSで3回洗浄し、新しい培地を添加する。
- 非固定(生細胞)、固定細胞いずれも観察可能です。
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データ例
フェニルアジドのアクロレイン特異性検証
検出試薬 | phenylazide |
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ターゲット | acrolein |
methacrolein |
crotonaldehyde |
trans-2-octenal |
styrene |
反応効率 | 47% | <1% | <1% | <1% | <1% |
酸化ストレス依存的なアクロレイン産生量の増加
酸化ストレスモデルとして、HUVEC細胞に過酸化水素(H2O2)を0~1,000μMの各濃度で添加し2時間プレインキュベートした後、AcroleinRED®を添加して30分後に非固定で観察した。H2O2を無添加時は定常状態のアクロレイン産生量を観察できる。また、H2O2の濃度に依存して、アクロレイン産生量が増加していることがわかる。
ROS産生促進試薬によるアクロレイン産生量の増加
HUVEC細胞を細胞内の活性化酸素(ROS)産生を促進する物質Menadioneで0、10、30、60分間処理した後、それぞれROS検出試薬およびAcroleinRED®で共染色した。Menadione処理によりROSは迅速に増加したのに対し、アクロレインは遅れて増加することが観察された。
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細胞種ごとのアクロレイン産生量の比較
ヒト正常細胞3種類およびヒトがん細胞株8種類について、AcroleinRED®によりアクロレイン産生量の相対比較を行った。正常細胞に比べ、がん細胞でアクロレイン産生量が有意に増加していることが分かる。また、本試薬を用いることで、がん細胞の種類ごとにアクロレイン産生量に差があることが明らかになった。
組織中のアクロレインの可視化
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原著論文
- A. R. Pradipta, M. Taichi, I. Nakase, E. Saigitbatalova, A. Kurbangalieva, S. Kitazume, N. Taniguchi, K. Tanaka, ACS Sens., 1, 623~632 (2016).
Uncatalyzed Click Reaction between Phenyl Azides and Acrolein: 4-Formyl-1,2,3-Triazolines as “Clicked” Markers for Visualizations of Extracellular Acrolein Released from Oxidatively Stressed Cells. - T. Tanei, A. R. Pradipta, K. Morimoto, M. Fujii, M. Arata, A. Ito, M. Yoshida, E. Saigitbatalova, A. Kurbangalieva, J. Ikeda, E. Morii, S. Noguchi, and K. Tanaka, Adv. Sci., 1801479 (2018)
Cascade reaction in human live tissue allows clinically applicable diagnosis of breast cancer morphology. [PMID:30693189]
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価格
[在庫・価格 :2025年01月24日 20時15分現在]
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[在庫・価格 :2025年01月24日 20時15分現在]
AcroleinRED <Cell-based Acrolein Detection Reagent>
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- 商品コード:FDV-0022
- メーカー:FNA
- 包装:0.5mg
- 価格:¥40,000
- 在庫:3個以上
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- 法規制等:
説明文 | 強力な毒性を示す不飽和アルデヒド,アクロレイン(acrolein)と特異的に反応し,赤色蛍光で可視化する試薬。他の不飽和アルデヒドや脂質代謝物等には反応せず,内因性のアクロレインまたは外部刺激依存的に過剰産生されるアクロレインを生細胞で簡便に検出,相対定量することができる。 |
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法規制等 | |||
保存条件 | -20℃ | 法規備考 | |
掲載カタログ |
ニュース2022年11月15日号 p.19 ニュース2024年7月15日号 p.31
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製品記事 | 脂質過酸化研究用製品特集 |
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