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細胞内のポリアミンを検出する蛍光性試薬 PolyamineRED®(Intracellular Polyamine Detection Reagent)

掲載日情報:2023/08/15 現在Webページ番号:67882

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

細胞内のポリアミンを検出する蛍光性試薬PolyamineREDロゴ

PolyamineRED®はポリアミンと特異的に反応し、ポリアミンに赤色蛍光色素TAMRAを付加する試薬です。モノアミンやアミノ酸には反応しません。生細胞で使用できるため、細胞内ポリアミンを簡便に検出、半定量することができます。
本製品は、国立研究開発法人 理化学研究所 開拓研究本部 田中生体機能合成化学研究室の研究成果をもとにフナコシ(株)が製品化し、販売しています。
本製品は、研究用です。臨床用途には使用できません。

PolyamineRED概念図 PolyamineRED概念図

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PolyamineRED®による細胞内のポリアミンの選択的可視化

PolyamineRED®は細胞膜透過性を有し、細胞内でポリアミンと反応し、ポリアミンにTAMRAを付加します。ポリアミンに結合したTAMRAは膜透過性を失うため、洗浄により未反応のPolyamineRED®は除去することができ、細胞内のポリアミンを選択的に可視化することができます。

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ポリアミンとは

ポリアミンはアミノ基を2つ以上含む直鎖アルキルアミン類の総称で、様々な構造のものが生体から同定されていますが、主にプトレシン(putrescine)、スペルミジン(Spermidine)、スペルミン(Spermine)が主要なものとして知られています。哺乳動物、微生物、植物を問わず存在し、細胞内にサブ-mM~mMの高濃度で存在すると考えられています。

生理的pHではポリカチオン性を示し、DNA/RNAやタンパク質との相互作用を通じて様々な生理活性を示すことが報告されています。がん細胞ではポリアミンの合成遺伝子であるornithine decarboxylase (ODC)の発現が向上することによりポリアミンが過剰産生されることが知られるため、ポリアミンはがんマーカーとして期待されています。しかしながら、ポリアミンの簡単な構造ゆえに解析が難しく、HPLCによるスループットの低い分析方法に限定されていました。
また、ポリアミンの分析は細胞を破砕後、タンパク質や他の低分子を除去するため前処理が不可欠で、前処理により生じるバイアスが懸念されています。そのため、前処理なく、生細胞内のポリアミン量を定量できる手法が期待されています。
PolyamineRED®は理化学研究所 田中主任研究員らにより開発された新規ポリアミン検出試薬で、細胞内のポリアミンに特異的にTAMRAを標識し可視化する世界初のポリアミン検出試薬です。

PolyamineRED

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ポリアミンの生体内合成の経路

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原理

PolyamineREDによるポリアミンの標識原理

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PolyamineRED®によるポリアミンの標識原理


PolyamineRED®赤色蛍光色素TAMRAとグリシンプロパギルエステル(glycine propagylester)を有する化合物で、グリシンプロパギルエステルがポリアミンの末端1級アミンと特異的に反応する現象を利用して、ポリアミン特異的にTAMRAを標識する試薬です。


参考:グリシンプロパギルエステルのポリアミン特異性

グリシンプロパギルエステルのモデル分子(Benzyloxycarbonyl glycine propagyl ester)とポリアミン(プトレシン、スペルミジン、スペルミン)、アミノ酸およびモノアミンの反応をHPLCで追跡した。
ポリアミン(スペルミン、スペルミジン、プトレシン)に対してのみ反応が進み、モノアミン(エピネフリン)やアミノ酸(リシン)に対してはほとんど反応が進行しなかった。ポリアミンに対する反応性はアミノ基の数が多いほど高い傾向があった。(引用:原著論文)


物質名 Spermine Spermidine Putrescine Epinephrine Lysine
反応率% 82% 78% 66% <1% 2%

PolyamineRED®は優れた細胞膜透過性を有しており、細胞に添加することで細胞内に可逆的に取り込まれます。細胞内に取り込まれたPolyamineRED®はポリアミンと反応し、細胞内でポリアミンにTAMRAを標識します。未反応のPolyamineRED®は細胞膜透過性により洗浄操作で除去できるのに対し、ポリアミンに結合したTAMRAは細胞膜透過性を失うため細胞内に留まります。そのため、染色後に細胞を洗浄することで細胞内ポリアミンの相対定量・イメージングが可能です。

PolyamineRED®はポリアミンとの反応にかかわらず赤色蛍光を示します。そのため、ポリアミン特異的な検出には必ず細胞の洗浄操作が必要です。蛍光プレートリーダーなど定量目的の実験系ではTAMRAをネガティブコントロールとして使用することで、洗浄操作の十分性を評価することができます。

PolyamineREDによるポリアミンの細胞内標識原理

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PolyamineRED®による細胞内ポリアミンの標識原理

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特長

  • PolyamineRED®はグリシンプロパギルエステルがポリアミンと特異的かつ迅速に反応することを利用した試薬です。ポリアミンにTAMRAを標識することで細胞内ポリアミンを可視化することができます。
  • ローダミンのフィルターセットで観察できます(励起/蛍光波長:560 nm/585 nm)。
  • ポリアミン(プトレシン、スペルミジン、スペルミン)に高い特異性を示し、アミノ酸やモノアミンにはほとんど反応しません。
  • 細胞膜透過性を有し、生細胞のポリアミンの検出に使用できます。未反応の試薬は洗浄により除去でき、ポリアミン-TAMRA付加体はポリアミンのポリカチオン性により、細胞内に滞留します。
  • 前処理不要かつ簡便な操作で細胞内ポリアミンを検出できます。
  • 細胞内蛍光強度で総ポリアミン量を半定量できます*
  • ポリアミンの細胞内局在を観察することができます。

* 総ポリアミンを検出するため、個々のポリアミン類の定量はできません。


参考データ:PolyamineRED®の吸収スペクトルと蛍光スペクトル

PBS中におけるPolyamineRED®のみ()およびPolyamineRED®+spermine()の吸収スペクトル(点線)と蛍光スペクトル(実線)。ポリアミンの有無で蛍光スペクトルに変化がないことが分かる。

PolyamineREDの吸収スペクトルと蛍光スペクトル

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アプリケーション

  • 細胞内ポリアミンの半定量
  • 細胞内ポリアミンの局在評価

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操作法概略

PolyamineREDの操作法概略

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PolyamineRED®の操作法概略

  1. 新しく作製した培地にPolyamineRED®を終濃度10~30μMで添加する。
  2. 培養細胞の培地を除去し、PBSで2回洗浄する。
  3. PolyamineRED®含有培地を添加する。
  4. 10分以上培養する。
  5. 細胞をPBSで3回洗浄する。
  6. ホルムアルデヒド固定後、任意の染色を行ない、観察する。

メタノール固定はポリアミン成分が細胞外に漏出する恐れがあるため、お勧めいたしません。

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アプリケーションデータ

がん細胞と非がん細胞のポリアミンの検出

3種類のがん細胞(MCF7、MDA-MB-231、SK-BR-3)と2種類の非がん細胞(MCF10A, リンパ球)に30μMのPolyamineRED®を10分間処理し、PBSで3回洗浄し、DAPI染色後に細胞をホルマリン固定した。がん細胞で有意にTAMRAのシグナルが見られた。一方、非がん細胞にはポリアミン量が少ないため、MCF10やリンパ球ではTAMRAのシグナルがほとんど検出されなかった。

がん細胞と非がん細胞のポリアミンの検出

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ポリアミンの細胞内局在

MDA-MB-231に30μMのPolyamineRED®を10分間処理後、DAPI染色し、細胞を固定した。MDA-MB-231では、ポリアミンは細胞質よりも核内から強く検出された。PolyamineRED®を用いることで、細胞内ポリアミンの局在を評価できる。

ポリアミンの細胞内局在

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細胞ライセートにおける検出

786-O細胞を24ウェルプレートに播種し、1日培養したのち、コンフルエント条件下で無血清DMEM培地中にオルニチン合成酵素阻害物質DFMO(1 mM)を添加し16時間処理した。そこに終濃度20 μM PolyamineRED®またはTAMRA(ネガティブコントロール)を追添加し、4時間反応させた。細胞をPBSで3回洗浄後、1% SDSを含むPBSを添加し、細胞ライセートを調製した。各細胞ライセートを蛍光分光光度計で蛍光強度(Ex 540±10 nm/Em 585±20 nm)を測定した。PolyamineRED®を処理した細胞ライセートの蛍光強度はネガティブコントロールとして実施したTAMRA処理細胞ライセートに比べて顕著に優位であり、細胞ライセートでも十分な特異的シグナルが検出できた。また、DFMOにより大きくシグナルが減衰したため、ポリアミンの生合成が抑えられたことがわかる。

細胞ライセートにおける検出

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蛍光プレートリーダーによるハイスループット検出系

786-O細胞を96ウェルプレートに播種し、1日培養したのち、コンフルエント条件下で各種薬剤をフェノールレッド不含DMEM培地中に添加し16時間処理した。そこに終濃度10 μM PolyamineRED®またはTAMRA(ネガティブコントロール)を追添加し、4時間反応させた。細胞をPBSで3回洗浄後、新しいPBSを添加し、蛍光プレートリーダー(透過型測定)で蛍光強度(Ex 545±5 nm/Em 585±10 nm)を測定した。PolyamineRED®を処理した細胞の蛍光強度はネガティブコントロールとして実施したTAMRA色素に比べて顕著に優位であり、蛍光プレートリーダーでも十分な特異的シグナルが検出できた。

蛍光プレートリーダーによるハイスループット検出系操作概要

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蛍光プレートリーダーによるハイスループット検出系測定結果

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原著論文

  • K. Vong, K. Tsubokura, Y. Nakao, T. Tanei, S. Noguchi, S. Kitazume, N. Taniguchi, K. Tanaka, "Cancer cell targeting driven by selective polyamine reactivity with glycine propargyl esters.", Chem. Commun., 53, 8403~8406 (2017). [PMID : 28589196]

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PolyamineRED <Intracellular Polyamine Detection Reagent>
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説明文
ポリアミンと特異的に反応し,ポリアミンに赤色蛍光色素TAMRAを付加する試薬。モノアミンやアミノ酸にはほとんど反応しない。生細胞で使用できるため,細胞内ポリアミンを簡便に検出,半定量することができる。
法規制等
保存条件 -20℃ 法規備考
掲載カタログ ニュース2023年8月合併号 p.30
ニュース2022年11月15日号 p.18

製品記事 脂質過酸化研究用製品特集
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PolyamineRED <Intracellular Polyamine Detection Reagent>

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説明文 ポリアミンと特異的に反応し,ポリアミンに赤色蛍光色素TAMRAを付加する試薬。モノアミンやアミノ酸にはほとんど反応しない。生細胞で使用できるため,細胞内ポリアミンを簡便に検出,半定量することができる。
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掲載カタログ ニュース2023年8月合併号 p.30
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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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