導入による細胞ストレスを低減したDNAトランスフェクション試薬 Helix-IN

Helix-INは、以下の特性を持つよう設計された新しいCHAMPです。

また、CHAMPポリマーの構造、ポリアミン組成およびグラフト密度は、長時間でも溶解度に影響しないよう、正確な界面にポリプレックスが配置されるように、きめ細かい調整と最適化を行っています。さらに、効率的な遺伝子キャリアとするため、親水基をポリマー内に配置し、アルブミンなどの負に荷電した血清タンパク質との相互作用を低下させました。結果として、ポリプレックスはインタクトのまま維持され、DNAは分解から保護されます。

この正に荷電した二官能性ポリマーは、DNA結合特性を高め、またDNAを保護します。つまり、正に荷電したDNA／ポリマー電荷比は、ポリマーに結合した状態のDNAを維持し、また核酸を血清酵素による分解から保護します。この結果、このポリマーは、50％ウシ胎児血清中、37℃で24時間インキュベートしてもDNA分解が観察されません。

カチオン性複合体は、主に静電的相互作用によって細胞膜に結合します（図1-①）。ほとんどのポリプレックスは、エンドサイトーシス経路（マクロピノサイトーシス、食作用、エンドサイトーシス）によって細胞に取り込まれます。エンドサイトーシスの最もよく知られた経路の1つは、クラスリンによるものです（図1-②）。一旦カチオン性複合体がエンドサイトーシスで取り込まれると、初期のエンドソームにおいて複合体が内在化され、pHが7.4（細胞表面）から6.0（エンドソームの内腔）に低下します。
後期段階に進むと、エンドソームはpH5に低下します。

ポリプレックスは、エンドソームを回避し、「プロトンスポンジ」効果に関連するカチオンポリマー緩衝能を介して、荷物であるDNAを核に放出します。酸性溶媒中の弱塩基として作用するプロトン化可能なアミンは、エンドソーム内部のpHを不安定にします。エンドソーム内に入ると、特定のATPaseはポリマーによって緩衝されるプロトンの流入を形成します（図1-③）。プロトンの大量かつ連続的な流れは、塩化物イオンの受動的な侵入を伴い、水分の蓄積をもたらし、結果的に小胞はエンドソーム破裂まで膨潤し、その内容物は細胞質ゾルに輸送されます（図1～④）。第1のポリマーブロックがこの役割を果たします。さらに、pH応答性かつ切断可能な疎水性部分は、補足的な特性を示します。実際には、生理学的pH条件下で隠されているリンカーが、酸性pHにおいて露出します。これにより自身が開裂し、エンドソーム膜の融合／不安定化を促進する疎水性部位が露出します。この段階で、トランスフェクション効率を損なう以下の危険性が考えられます。

エンドソームから放出されたポリプレックスは、微小管（図1-5a）または核移行システム（図1-5b）を介して核に移動する必要があります。一般的に、大きなDNA分子（＞ 3,000 bp）およびポリプレックスは、サイズ依存的に拡散するためほとんどが細胞質に残り、多数の細胞質ヌクレアーゼにより核酸は分解されます。Helix-INの二官能性ポリマーの第3の部分はまだ複合体を形成しているため、より小さな正に荷電したポリプレックスは、アニオン性微小管またはモータータンパク質と相互作用するか、または核の取り込みまでステルスモード（分解されず）で拡散できます。これらの全ての過程において、DNAはマスクされ、分解から保護されます。