SeVベクターの調製には、SeVのRNAゲノムと構成タンパク質が必須であり、ヘルパープラスミドや産生細胞からの供給が必要です。産生細胞内にこれらを遺伝子導入することでSeVが再構成されます。しかしながら、SeVが属するパラミクソウイルスは再構成の効率が低いことが知られており、十分な感染力価を得るためには時間を要します。
この点が、SeVベクター技術の普及を妨げている課題の一つでした。(株)レプリテックでは、SeVベクターの再構成効率を向上させ、簡便にSeVベクターが得られるシステムの開発に成功しました。再構成効率は従来のSeVベクター技術と比較すると1,000倍以上向上しています。また、再構成開始3日目の培養上清を標的細胞に感染させた場合においても、従来技術をはるかに上回る高力価のベクター上清が得られています。再構成効率の向上により、手間と時間を短縮でき、これまで使用のハードルが高かったSeVベクターの安定的な提供が可能となりました。
F遺伝子を欠失させたSeVゲノムプラスミドとパッケージングプラスミドを、F遺伝子を発現する産生細胞に導入することでF欠失型SeVベクターが得られる。F欠失型SeVベクターは標的細胞に感染するが、F遺伝子を欠失しているため、一度は感染できるがその後の二次感染はない。