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細胞傷害性薬物が結合された二次抗体 2°ADC(Secondary Antibody-Drug Conjugate)

掲載日情報:2025/05/08 現在Webページ番号:64387

二次抗体に細胞傷害性薬物としてMMAE、MMAF、DM1、デュオカルマイシンなどが結合されており、一次抗体と同時に添加すると抗原が発現している標的細胞に対して選択的に細胞死を誘導することができます。がん細胞に対する抗体医薬品候補のプレスクリーニングにかかる時間とコストを抑えられるツールとして有用です。

2°ADCs操作概略


ADCおよび2°ADCとは

新しい抗がん医薬として期待されている抗体薬物複合体(ADC: Antibody-Drug Conjugate/別名:武装抗体 Armed Antibody)は、細胞傷害性薬物を結合した抗体です。ADCはモノクローナル抗体部が標的細胞に選択的に結合し、細胞内に取り込まれると細胞傷害性薬物を放出することにより細胞にダメージを与えます。この仕組みはがん細胞を選択的に死滅させることができるため、細胞傷害性薬物の全身毒性の影響を低減できます。


Primary ADCsによる細胞死の誘導図 一次抗体 + 2°ADCsによる細胞死の誘導図
Primary ADCsによる細胞死の誘導図
一次抗体 + 2°ADCsによる細胞死の誘導図

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細胞傷害性薬物を結合した抗体による細胞死

2°ADCは、モノクローナル抗体に細胞傷害性薬物と結合させる代わりに、二次抗体に細胞傷害性薬物を結合させた製品です。2°ADCの存在下で、未標識のモノクローナル抗体を細胞に直接添加します。



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特長

  • 一次抗体に対して複数の2°ADCをスクリーニングすることで、標的細胞に効果的な薬物・リンカーの組合せを検討できます。
  • ADC作製に最良な抗体候補を検討する一次抗体のスクリーニング検査の操作時間およびコストを節減することができます。
  • 抗体医薬品に使用されている細胞傷害性薬物と同一の化合物で標識しています。MMAEやMMAF、Dolastatin、Duocarmycin、DM-1、DX8951(Exatecan Mesylate)など、さまざまな細胞傷害性薬物のラインアップがあります。
  • 製品により、開裂可能な(Cleavable)リンカー/開裂不可能な(Non-Cleavable)リンカーを選択できます。
  • 特異性が高く、一次抗体が存在しない場合も細胞に対する毒性は最小限です。
  • 非結合2°ADCが存在しても、一次抗体の活性には明らかな影響を及ぼしません。

開裂可能なリンカーの場合

標的細胞内で酵素によりリンカーの結合が解かれ、細胞傷害性薬物が放出されます。この際、細胞傷害性薬物が標的細胞外にも出られることから隣接する細胞にも細胞死を誘導することができます(bystander killing)。


開裂不可能なリンカーの場合

「抗体」-「リンカー」-「細胞傷害性薬」が標的細胞に取り込まれ、アミノ酸レベルまで抗体が分解されると、「アミノ酸」-「リンカー」-「細胞傷害性薬」が薬物として機能し、細胞死を誘導します。



従来のアプローチ Moradec社の2°ADC
従来のアプローチ
Moradec社の2°ADC

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ADCの機能を細胞を用いた試験前に、モノクローナル抗体の一つ一つに細胞傷害性薬物を直接結合させます。この工程は時間とコストがかかり、ミリグラム量の精製抗体が必要となり、また非結合薬物からADCを精製する必要もあります。従来のアプローチでは ADCの機能を細胞を用いた試験前に、モノクローナル抗体の一つ一つに細胞傷害性薬物を直接結合させます。この工程は時間とコストがかかり、ミリグラム量の精製抗体が必要となり、また非結合薬物からADCを精製する必要もあります。 しかし、2°ADCを使用すればその手間を省くことができます。


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製品の種類

商品コードをクリックすると製品の価格表をご覧いただけます。品目によって全IgG抗体とFabフラグメント抗体をご選択いただけます(下表参照)。

  • チューブリン阻害物質:DM1、MMAE、MMAF
  • DNA 損傷薬物:デュオカルマイシン(DMDM)、PBD、PNU
  • RNAポリメラーゼⅡ/Ⅲ阻害物質:AAMT
  • トポイソメラーゼⅠ阻害物質:DX8951
標的一次抗体の種類 細胞傷害性薬物 リンカー 商品コード
抗体の種類 認識部位 IgG Fab
Anti-Human IgGFc
(αHFc/Fab-αHFc)
AAMT(α-Amanitin) 非開裂(NC) AH-205AM
DM1 非開裂(NC) AH-103D1 AH-203D1
DMDM(Duocarmycin DM) 開裂可能(CL) AH-102DD AH-202DD
DX8951(Exatecan Mesylate) 開裂可能(CL) AH-107DX AH-207DX
DMSA(Duocarmycin SA) 開裂可能(CL) AH-102DS AH-202DS
MMAE(Monomethyl Auristatin E) 開裂可能(CL) AH-102AE AH-202AE
開裂可能(GA)
(Glucuronic Acid)
AH-209AE
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AH-102AF AH-202AF
非開裂(NC) AH-101AF AH-201AF
PBD(Pyrrolobenzodiazepine) 開裂可能(CL) AH-106PB
PNU(PNU159682) 開裂可能(CL) AH-102PN AH-202PN
Fab
(αHFab)
DM1 非開裂(NC) AH-123D1
MMAE(Monomethyl Auristatin E) 開裂可能(CL) AH-122AE
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AH-122AF
非開裂(NC) AH-121AF
Anti-Mouse IgG Fc
(αMFc/Fab-αMFc)
DM1 非開裂(NC) AM-103D1 AM-203D1
DMDM(Duocarmycin DM) 開裂可能(CL) AM-102DD AM-202DD
DX8951(Exatecan Mesylate) 開裂可能(CL) AM-107DX
MMAE(Monomethyl Auristatin E) 開裂可能(CL) AM-102AE AM-202AE
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AM-102AF AM-202AF
非開裂(NC) AM-101AF AM-201AF
PBD(Pyrrolobenzodiazepine) 開裂可能(CL) AM-106PB
PNU(PNU159682) 開裂可能(CL) AM-102PN
Anti-Rabbit IgG Fc
(αOIgG/Fab-αOIgG)
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AO-202DD
非開裂(NC) AO-101AF AO-201AF
H+L
(αOFc/Fab-αOFc)
MMAE(Monomethyl Auristatin E) 開裂可能(CL) AO-112AE
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AO-112AF AO-212AF
非開裂(NC) AO-111AF AO-211AF
PBD(Pyrrolobenzodiazepine) 開裂可能(CL) AO-116PB
Anti-Rat IgG Fc
(Fab-αRFc)
DMDM(Duocarmycin DM) 開裂可能(CL) AR-202DD
MMAE(Monomethyl Auristatin E) 開裂可能(CL) AR-202AE
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AR-202AF
非開裂(NC) AR-201AF
H+L
(Fab-αRIgG)
MMAF(Monomethyl Auristatin F) 開裂可能(CL) AR-212AF
非開裂(NC) AR-211AF


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使用例

Herceptin-DM1複合体とHerceptin-2°ADCとの細胞毒性プロファイルの比較

Herceptin-DM1複合体の細胞毒性プロファイル Herceptin + 2°ADCsの細胞毒性プロファイル Herceptin-DM1複合体と、Herceptin-2°ADCとの細胞毒性プロファイルの比較
Herceptin-DM1複合体の細胞毒性プロファイル
Herceptin + 2°ADCsの細胞毒性プロファイル

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各種細胞において、Herceptin-DM1複合体と、Herceptinと2°ADC(αHFc-NC-DM1、#AH-103D1)を用いた場合の、Herceptin濃度依存的細胞生存率を比較した。Herceptin/2°ADC複合体の存在は、標的レセプターが高密度で発現している細胞(Her2+++)において、Herceptin-DM1複合体による用量依存的薬物放出と同様に細胞死を引き起こしている。一方、標的レセプターが低密度で発現している細胞(Her2−)には影響を与えていない。


Fab-αHFc-GA-MMAE(#AH-209AE)を用いたHerceptinの細胞毒性プロファイルの比較例

Fab-αHFc-GA-MMAEは、切断可能なグルクロン酸リンカーとチューブリンの重合を阻害して細胞分裂を阻害する細胞毒性低分子であるMonomethyl auristatin E(MMAE)が結合した抗ヒトIgG Fc特異的抗体のFabフラグメントです。MMAEを抗体に結合しているグルクロン酸リンカーは、がんの発生と進行に関与している酵素であるβ-glucuronidaseによって切断できます。Fab 2°ADC の単価性は、特定の用途において全長IgG 2°ADCよりも有利な場合があります。

非結合のαHFc IgG二次抗体の存在下 Herceptin/Fab αHFc-GA-MMAE(1:6)の存在下 Fab αHFc-GA-MMAE単独
非結合のαHFc IgG二次抗体の細胞毒性プロファイル Herceptin/Fab αHFc-GA-MMAE(1:6)の細胞毒性プロファイル Fab αHFc-GA-MMAE単独の細胞毒性プロファイル

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メーカーインタビュー 抗体-薬物複合体の発見に貢献するために


Frontiers_Moradec

Moradec社は「細胞障害性薬物」と「二次抗体」が切断可能/不可の「リンカー」で結合したユニークな製品2°ADC を取り扱うメーカーです。 今回は、Moradec 社の設立者であるMao 博士にお話を伺いました。

Moradec 社の設立者であるMao 博士

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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