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トランスフェクション効率確認用のポジティブコントロールに レポーター遺伝子(GFP、mCherry、Tomato、LUC、β-Gal)をコードしたmRNA

掲載日情報:2022/12/29 現在Webページ番号:64375

5'末端にキャップ構造(Cap1)を、3’末端にPoly A tailを有するmRNAです。未修飾品、および自然免疫応答を減少させるためにmoUまたはN1-mΨで修飾した製品があります。
一般的に使用されるレポータータンパク質(GFP、mCherry、Tomato、ホタル/ウミシイタケ由来ルシフェラーゼ、β-Gal)を発現するラインナップがあります。トランスフェクション効率確認用のポジティブコントロールとして有用です。


mRNAによるタンパク質発現について

mRNAによるタンパク質発現のメリット

タンパク質の発現において、mRNAを用いる方法は、プラスミドDNA(pDNA)と比べて、下記に挙げたような利点があります。

  • ①:mRNAからの翻訳は細胞質内で起こるため、発現に際して核への取り込みを必要としません。核送達(核膜の通過)は、分裂速度の遅い細胞や、非分裂細胞へのトランスフェクションにおける主な課題の1つとなります。そのため、これらの細胞へのトランスフェクションにおいて有用です。
  • DNAからタンパク質の翻訳機構

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    DNAからタンパク質の翻訳機構

    mRNAからタンパク質の翻訳機構

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    mRNAからタンパク質の翻訳機構

  • ②:pDNAとは異なり、mRNAは宿主ゲノムへ組み込まれることはありません。
  • ③:初代培養細胞やトランスフェクションが困難な細胞に最適で、より簡単に遺伝子操作することができます。mRNAでは宿主ゲノムへの組み込みのリスクがないことに加え、mRNAによるトランスフェクションは細胞周期にも依存しないため、内皮細胞や樹状細胞などの分裂速度の遅い細胞に特に適しています 1

Jurkat T細胞

初代ヒト脂肪幹細胞(AdSC)
Raw264.7細胞

初代ヒト間葉系幹細胞(hMSC)
DC2.4細胞

マウス胚線維芽細胞(MEF)

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mRNA-GFPをトランスフェクションした各細胞におけるGFPの発現の観察

RmesFectを用いてmRNA-GFPを各細胞にトランスフェクションし、GFPの発現を観察した。

  • Jurkat T細胞
  • 初代ヒト脂肪幹細胞(AdSC)
  • Raw264.7細胞
  • 初代ヒト間葉系幹細胞(hMSC)
  • DC2.4細胞
  • マウス胚線維芽細胞(MEF)

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mRNAの構造

mRNAの構造

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5' Cap キャップ構造は、mRNAを分解から保護し、プロセッシングおよび翻訳因子の動員に関与します。哺乳動物では、リボースにおける2位のOがメチル化された1番目の転写ヌクレオチドと、7-メチルグアノシン3リン酸が5'-5'結合している状態が多く見られます。
5' Untranslated Region (5' UTR) 5' UTRは、開始コドンのすぐ上流にある非コード領域で、mRNAの安定性、輸送、細胞内局在化、および翻訳効率の調節において転写後調節に関与し、タンパク質産物の微調整を可能にします。この領域は、高いGC含有量と複数の二次構造を持っており、翻訳プロセスの開始に重要な役割を果たすKozak配列(GCCGCCRCCAUGG)を含んでいます。
Open Reading Frame (ORF) 真核生物のmRNAにおいて、この領域の配列は実際のタンパク質翻訳に反映されます。ORFはメチオニンコドン(AUG)で始まり、終止コドンで終わります。
3' Untranslated Region (3' UTR) 3' UTRは、翻訳終結コドンの直後にあるmRNAの領域です。この領域は、mRNAの局在化、安定性、輸送、および翻訳効率に影響を与え、遺伝子発現において重要な役割を果たします。
Poly A tail Poly A tailは、mRNA前駆体の3'末端に付加されたアデニンヌクレオチドの長い配列(HeLa および NIH-3T3 細胞では長さのの0~250ヌクレオチド(中央値:50~100))です2。Poly A tailには、Poly A結合タンパク質(PABP)の結合部位が含まれ、核からの運搬、翻訳に関与し、またmRNAの分解から保護します。その長さは、翻訳効率とmRNAの安定性の重要な決定要因であり、欠落または除去されると、多くの場合においてエキソヌクレアーゼを介したmRNAの分解につながります。

参考文献

  1. Yamamoto, A., et al., "Current prospects for mRNA gene delivery", Eur. J. Pharm. Biopharm., 71(3), 484~489 (2009). [PMID:18948192]
  2. Chang, H., et al., "TAIL-seq: genome-wide determination of Poly A tail length and 3' end modifications", Mol. Cell, 53(6), 1044~1052 (2014). [PMID:24582499]

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OZ Biosciences社のmRNA製品群

製品群 製品の概要 用途
Reporter gene mRNA(本製品) 3'末端にPoly A修飾mRNA トランスフェクション効率確認用
ポジティブコントロール
Genome editing mRNA Cas9またはCREの3'末端にPoly Aを有する修飾mRNA CRISPR-Cas9タンパク質または
NLS融合CREリコンビナーゼ発現
Vaccine mRNA OVAのmRNAの3'末端にPoly Aを有する、未修飾または安定性の高い非免疫原性のmRNA アジュバント
Spike SARS-CoV-2 mRNA 3'末端にPoly Aを有し、SARS-CoV-2の変異株のスパイクタンパク質を高発現する修飾mRNA SARS-CoV-2スパイクタンパク質発現
ワクチン研究

mRNA合成受託サービスも承ります。

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特長

  • mRNAは細胞質内で直接タンパク質を発現するため、核への取り込みは不要です。
  • DNAトランスフェクションよりタンパク質の発現が迅速です。
  • プラスミドDNA導入とは異なり、遺伝子挿入を引き起こしません。
  • タンパク質の発現量は、はmRNAの量に直接相関します。
  • 一過性トランスフェクションで、タンパク質発現は限られた時間持続します。
  • プロモーター非依存的にタンパク質を発現します。
  • 分裂速度の遅い細胞や非分裂細胞に特に適しています。

トランスフェクション効率とタンパク質発現量の最適化のため、本製品のトランスフェクションにはRmesFectまたはRmesFect Stemのご利用をおすすめします。

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製品ラインナップ

哺乳動物細胞でのトランスフェクション効率と発現を研究するためのコントロールとして使用できるレポーターmRNAです。完全にプロセシングされた成熟 mRNAを模倣しています。mRNAはin vitro転写によって生成され、修飾ヌクレオチドキャッピング(Cap1)によって5'末端で安定化されます。また、3'末端にPoly Aテールを含んでおり、安定性と翻訳効率が向上するように最適化されています。自然免疫応答を減少させるために、5moU修飾品5-メトキシウリジンに、N1-mΨ修飾品はN1-メチルシュードウリジン置換されています。

Mature mRNA(fully modified moU) with cap1 and polyA tail

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5moU修飾 mRNA

Mature mRNA(fully modified N1-mΨ) with cap1 and polyA tail

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N1-mΨ修飾 mRNA

Mature mRNA(unmodified nucleotides) with cap1 and polyA tail

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未修飾mRNA

商品コードをクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

レポーター遺伝子 修飾 蛍光標識 商品コード 製品概要
GFP 5moU MRNA11 GFPを高発現するように設計されています。哺乳動物細胞培養で一般的に使用される直接検出レポーターであり、励起488 nm/蛍光507 nmで発光する明るい緑色の蛍光を発します。
Cy5 MRNA11c
N1-mΨ MRNA22
未修飾 MRNA15
Cy5 MRNA15c
mCherry 5moU MRNA13 造礁サンゴDiscosoma sp.で見られるタンパク質であるDsRedに由来する蛍光タンパク質をコードします。mCherryは、励起587 nm/蛍光610 nmで発光する単量体蛍光タンパク質です。光安定性であり、光退色に耐性があります。
N1-mΨ MRNA1
未修飾 MRNA8
Tomato 5moU MRNA10 オレンジ色の蛍光タンパク質をコードします。励起551~557 nm/蛍光579~583 nmで、蛍光顕微鏡または共焦点顕微鏡、蛍光活性化セルソーティング(FACS)で検出できます。
N1-mΨ MRNA2
未修飾 MRNA9
F-Luc 5moU MRNA12 ホタルルシフェラーゼを高発現するように設計されています。哺乳動物の細胞培養では、遺伝子発現と細胞生存率の両方を測定するために一般的に使用されます。基質であるルシフェリンの存在下で生物発光を発します。
Cy5 MRNA12c
N1-mΨ MRNA24
未修飾 MRNA16
Cy5 MRNA16c
R-Luc 5moU MRNA21 ウミシイタケルシフェラーゼを高発現するように設計されています。R-Luc mRNAは、レポーター遺伝子としてトランスフェクション効率のコントロールとして使用できます。
N1-mΨ MRNA7
未修飾 MRNA20
β-Gal 5moU MRNA14 細菌のLacZ遺伝子の発現産物であるβ-Galはβ-ガラクトシドの単糖への分解を触媒します。トランスフェクション効率を評価するために使用される一般的なマーカー遺伝子です。
N1-mΨ MRNA3
未修飾 MRNA17


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使用例

GFP、mCherry、TomatoのmRNAを各種細胞に導入した例

RmesFectを用いて各種細胞に導入した。

GFP mRNAを導入したHeLa細胞

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GFP mRNAを導入したHeLa細胞

mCherry mRNAを導入したSK6細胞でのmCherryの発現

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mCherry mRNAを導入したSK6細胞

Tomato mRNAを導入したHEK細胞

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Tomato mRNAを導入したHEK細胞

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メーカーカタログ(アプリケーションノート)

下の図をクリックすると、OZ Biosciences社のmRNA:Definition, Delivery & Applications(カタログ・アプリケーションノート)をご覧いただけます。

mRNA:Definition, Delivery & Applications

Index

  • RNA therapeutics is booming and the mRNA field is generating huge expectations.
  • RNAs STRUCTURE AND SYNTHESIS
  • RNA DELIVERY VEHICLES
  • RNA APPLICATIONS
  • R&D

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使用文献

  1. Nakamura, Y., Sato, Y., Inaba, H., T. Iwasaki, K. Matsuura, "Encapsulation of mRNA into Artificial Viral Capsids via Hybridization of a β-Annulus-dT20 Conjugate and the Poly(A) Tail of mRNA", Appl. Sci., 10(20), 8004 (2020). [Citation本製品の使用文献]

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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