トランスフェクション効率確認用のポジティブコントロールに レポーター遺伝子(GFP、mCherry、Tomato、LUC、β-Gal)をコードしたmRNA
掲載日情報:2024/06/18 現在Webページ番号:64375
5'末端にキャップ構造(Cap1)を、3’末端にPoly A tailを有するmRNAです。未修飾品、および自然免疫応答を減少させるためにmoUまたはN1-mΨで修飾した製品があります。
一般的に使用されるレポータータンパク質(GFP、mCherry、Tomato、ホタル/ウミシイタケ由来ルシフェラーゼ、β-Gal)を発現するラインナップがあります。トランスフェクション効率確認用のポジティブコントロールとして有用です。
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2022/11/21
試薬 サンプル
mRNAによるタンパク質発現について
mRNAによるタンパク質発現のメリット
タンパク質の発現において、mRNAを用いる方法は、プラスミドDNA(pDNA)と比べて、下記に挙げたような利点があります。
- ①:mRNAからの翻訳は細胞質内で起こるため、発現に際して核への取り込みを必要としません。核送達(核膜の通過)は、分裂速度の遅い細胞や、非分裂細胞へのトランスフェクションにおける主な課題の1つとなります。そのため、これらの細胞へのトランスフェクションにおいて有用です。
- ②:pDNAとは異なり、mRNAは宿主ゲノムへ組み込まれることはありません。
- ③:初代培養細胞やトランスフェクションが困難な細胞に最適で、より簡単に遺伝子操作することができます。mRNAでは宿主ゲノムへの組み込みのリスクがないことに加え、mRNAによるトランスフェクションは細胞周期にも依存しないため、内皮細胞や樹状細胞などの分裂速度の遅い細胞に特に適しています 1。
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mRNA-GFPをトランスフェクションした各細胞におけるGFPの発現の観察
☞ RmesFectを用いてmRNA-GFPを各細胞にトランスフェクションし、GFPの発現を観察した。 |
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mRNAの構造
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5' Cap | キャップ構造は、mRNAを分解から保護し、プロセッシングおよび翻訳因子の動員に関与します。哺乳動物では、リボースにおける2位のOがメチル化された1番目の転写ヌクレオチドと、7-メチルグアノシン3リン酸が5'-5'結合している状態が多く見られます。 |
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5' Untranslated Region (5' UTR) | 5' UTRは、開始コドンのすぐ上流にある非コード領域で、mRNAの安定性、輸送、細胞内局在化、および翻訳効率の調節において転写後調節に関与し、タンパク質産物の微調整を可能にします。この領域は、高いGC含有量と複数の二次構造を持っており、翻訳プロセスの開始に重要な役割を果たすKozak配列(GCCGCCRCCAUGG)を含んでいます。 |
Open Reading Frame (ORF) | 真核生物のmRNAにおいて、この領域の配列は実際のタンパク質翻訳に反映されます。ORFはメチオニンコドン(AUG)で始まり、終止コドンで終わります。 |
3' Untranslated Region (3' UTR) | 3' UTRは、翻訳終結コドンの直後にあるmRNAの領域です。この領域は、mRNAの局在化、安定性、輸送、および翻訳効率に影響を与え、遺伝子発現において重要な役割を果たします。 |
Poly A tail | Poly A tailは、mRNA前駆体の3'末端に付加されたアデニンヌクレオチドの長い配列(HeLa および NIH-3T3 細胞では長さの0~250ヌクレオチド(中央値:50~100))です2。Poly A tailには、Poly A結合タンパク質(PABP)の結合部位が含まれ、核からの運搬、翻訳に関与し、またmRNAの分解から保護します。その長さは、翻訳効率とmRNAの安定性の重要な決定要因であり、欠落または除去されると、多くの場合においてエキソヌクレアーゼを介したmRNAの分解につながります。 |
参考文献
- Yamamoto, A., et al., "Current prospects for mRNA gene delivery", Eur. J. Pharm. Biopharm., 71(3), 484~489 (2009). [PMID:18948192]
- Chang, H., et al., "TAIL-seq: genome-wide determination of Poly A tail length and 3' end modifications", Mol. Cell, 53(6), 1044~1052 (2014). [PMID:24582499]
OZ Biosciences社のmRNA製品群
製品群 | 製品の概要 | 用途 |
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Reporter gene mRNA(本製品) | 3'末端にPoly A修飾mRNA | トランスフェクション効率確認用 ポジティブコントロール |
☞ Genome editing mRNA | Cas9またはCREの3'末端にPoly Aを有する修飾mRNA | CRISPR-Cas9タンパク質または NLS融合CREリコンビナーゼ発現 |
☞ Vaccine mRNA | OVAのmRNAの3'末端にPoly Aを有する、未修飾または安定性の高い非免疫原性のmRNA | アジュバント |
☞ Spike SARS-CoV-2 mRNA | 3'末端にPoly Aを有し、SARS-CoV-2の変異株のスパイクタンパク質を高発現する修飾mRNA | SARS-CoV-2スパイクタンパク質発現 ワクチン研究 |
※ ☞ mRNA合成受託サービスも承ります。
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特長
- mRNAは細胞質内で直接タンパク質を発現するため、核への取り込みは不要です。
- DNAトランスフェクションに比べてタンパク質の発現が迅速です。
- プラスミドDNA導入とは異なり、遺伝子挿入を引き起こしません。
- タンパク質の発現量は、mRNAの量に直接相関します。
- 一過性トランスフェクションで、タンパク質発現は限られた時間持続します。
- プロモーター非依存的にタンパク質を発現します。
- 分裂速度の遅い細胞や非分裂細胞に特に適しています。
※トランスフェクション効率とタンパク質発現量の最適化のため、本製品のトランスフェクションには☞ RmesFectまたは☞ RmesFect Stemのご利用をおすすめします。
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製品ラインナップ
哺乳動物細胞でのトランスフェクション効率と発現を研究するためのコントロールとして使用できるレポーターmRNAです。完全にプロセシングされた成熟mRNAを模倣しています。mRNAはin vitro転写によって生成され、修飾ヌクレオチドキャッピング(Cap1)によって5'末端で安定化されます。また、3'末端にPoly Aテールを含んでおり、安定性と翻訳効率が向上するように最適化されています。自然免疫応答を減少させるために、5moU修飾品は5-メトキシウリジンに、N1-mΨ修飾品はN1-メチルシュードウリジン置換されています。また、未修飾品、5moU/N1-mΨ修飾品いずれについても、そのUTPの15%をUTP-Cy3、UTP-Cy5またはUTP-Alexa488で置換した蛍光標識品もあります(下図参照)。