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ゲノム編集用Cas9・Cas13d発現mRNA/Creリコンビナーゼ発現mRNA Genome Editing mRNA(OZ Biosciences社)

掲載日情報:2024/01/19 現在Webページ番号:64376

Cas9、Cas13dまたはCREのmRNAの3’末端にpoly(A)tailを有する、安定性の高い非免疫原性の修飾mRNAです。
それぞれ野生型エンドヌクレアーゼCRISPR-Cas9 9タンパク質、Ruminococcus flavefaciens XPD3002由来のclass 2 type VI-D CRISPR-Cas13d、または核局在化配列(nuclear localization sequence, NLS)融合Creリコンビナーゼを高発現します。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。

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sgRNAでプログラムされたCRISPR-Cas9ヌクレアーゼ

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sgRNAでプログラムされたCRISPR-Cas9ヌクレアーゼ

Cas9タンパク質をコードするRNAの送達は、CRISPR-Cas9システムを非ウイルス的に細胞に導入する方法です。遺伝子ベースの送達方法とは異なり、mRNAベースでは機能が一過性のため最終的に細胞からヌクレアーゼが除去されるので、宿主ゲノムへの組み込みに伴うリスクが回避できます。

参考文献

  • Luther, D.C., et al., "Delivery approaches for CRISPR/Cas9 therapeutics in vivo: advances and challenges", Expert Opin. Drug Deliv., 15(9), 905~913 (2018). [PMID:30169977]

CREリコンビナーゼによる欠失/挿入 CREリコンビナーゼによる反転 CREリコンビナーゼによる転移 CREリコンビナーゼによる組換え
欠失/挿入 反転 転移 組換え

Creリコンビナーゼは、4種類の部位特異的なゲノム修飾を誘導します。欠失/挿入—反転—転移—組換え(DNAは2つのDNA分子間で交換されます)。

参考文献

  • Nern, A., et al., "Multiple new site-specific recombinases for use in manipulating animal genomes", Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 108(34), 14198~14203 (2011). [PMID:21831835]

mRNAによるタンパク質発現について

mRNAによるタンパク質発現のメリット

タンパク質の発現において、mRNAを用いる方法は、プラスミドDNA(pDNA)と比べて、下記に挙げたような利点があります。

  • ①:mRNAからの翻訳は細胞質内で起こるため、発現に際して核への取り込みを必要としません。核送達(核膜の通過)は、分裂速度の遅い細胞や、非分裂細胞へのトランスフェクションにおける主な課題の1つとなります。そのため、これらの細胞へのトランスフェクションにおいて有用です。
  • DNAからタンパク質の翻訳機構

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    DNAからタンパク質の翻訳機構

    mRNAからタンパク質の翻訳機構

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    mRNAからタンパク質の翻訳機構

  • ②:pDNAとは異なり、mRNAは宿主ゲノムへ組み込まれることはありません。
  • ③:初代培養細胞やトランスフェクションが困難な細胞に最適で、より簡単に遺伝子操作することができます。mRNAでは宿主ゲノムへの組み込みのリスクがないことに加え、mRNAによるトランスフェクションは細胞周期にも依存しないため、内皮細胞や樹状細胞などの分裂速度の遅い細胞に特に適しています 1

mRNAの構造

mRNAの構造

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5' Cap キャップ構造は、mRNAを分解から保護し、プロセッシングおよび翻訳因子の動員に関与します。哺乳動物では、リボースにおける2位のOがメチル化された1番目の転写ヌクレオチドと、7-メチルグアノシン3リン酸が5'-5'結合している状態が多く見られます。
5' Untranslated Region (5' UTR) 5' UTRは、開始コドンのすぐ上流にある非コード領域で、mRNAの安定性、輸送、細胞内局在化、および翻訳効率の調節において転写後調節に関与し、タンパク質産物の微調整を可能にします。この領域は、高いGC含有量と複数の二次構造を持っており、翻訳プロセスの開始に重要な役割を果たすKozak配列(GCCGCCRCCAUGG)を含んでいます。
Open Reading Frame (ORF) 真核生物のmRNAにおいて、この領域の配列は実際のタンパク質翻訳に反映されます。ORFはメチオニンコドン(AUG)で始まり、終止コドンで終わります。
3' Untranslated Region (3' UTR) 3' UTRは、翻訳終結コドンの直後にあるmRNAの領域です。この領域は、mRNAの局在化、安定性、輸送、および翻訳効率に影響を与え、遺伝子発現において重要な役割を果たします。
Poly A tail Poly A tailは、mRNA前駆体の3'末端に付加されたアデニンヌクレオチドの長い配列(HeLa および NIH-3T3 細胞では長さのの0~250ヌクレオチド(中央値:50~100))です2。Poly A tailには、Poly A結合タンパク質(PABP)の結合部位が含まれ、核からの運搬、翻訳に関与し、またmRNAの分解から保護します。その長さは、翻訳効率とmRNAの安定性の重要な決定要因であり、欠落または除去されると、多くの場合においてエキソヌクレアーゼを介したmRNAの分解につながります。

参考文献

  1. Yamamoto, A., et al., "Current prospects for mRNA gene delivery", Eur. J. Pharm. Biopharm., 71(3), 484~489 (2009). [PMID:18948192]
  2. Chang, H., et al., "TAIL-seq: genome-wide determination of Poly A tail length and 3' end modifications", Mol. Cell, 53(6), 1044~1052 (2014). [PMID:24582499]

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特長

  • 本製品とgRNAを混合し、トランスフェクション試薬とインキュベートした後、細胞へ添加して導入します。
  • 細胞質内で直接タンパク質を発現するため、核への取り込みは不要です。
  • DNAトランスフェクションよりタンパク質の発現が迅速です。
  • ゲノムへの組込みはありません。
  • トランスフェクションの遅い細胞や非分裂細胞に用いることができます。
  • プロモーター非依存的にタンパク質を発現します。

トランスフェクション効率とタンパク質発現量の最適化のため、本製品のトランスフェクションにはRmesFectまたはRmesFect Stemのご利用をおすすめします。


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製品ラインナップ

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Mature mRNA(fully modified moU) with cap1 and polyA tail

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5moU修飾 mRNA

Mature mRNA(fully modified N1-mΨ) with cap1 and polyA tail

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N1-mΨ修飾 mRNA

Mature mRNA(unmodified nucleotides) with cap1 and polyA tail

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未修飾mRNA

商品コードをクリックすると各製品の価格表をご覧いただけます。

発現タンパク質 修飾 包装 商品コード 製品概要
Cas9 5 moU 20 μg MRNA31-20 部位特異的二本鎖切断を引き起こすことで、ゲノム編集に有用な非相同末端結合による遺伝子の不活性、または相同組換えによる異種遺伝子の導入を誘導できます。
100 μg MRNA31-100
1,000 μg MRNA31-1000
N1-mψ 20 μg MRNA25-20
100 μg MRNA25-100
1,000 μg MRNA25-1000
未修飾 20 μg MRNA30-20
100 μg MRNA30-100
1,000 μg MRNA30-1000
Cas13d 5 moU 20 μg MRNA28-20 Cas13 mRNAは、最近発見されたRNA誘導性RNAエンドヌクレアーゼであるRuminococcus flavefaciens XPD3002に由来するクラス2タイプ VI-D CRISPR-Cas13dシステムを高発現するように設計されています。
100 μg MRNA28-100
1,000 μg MRNA28-1000
N1-mψ 20 μg MRNA29-20
100 μg MRNA29-100
1,000 μg MRNA29-1000
未修飾 20 μg MRNA27-20
100 μg MRNA27-100
1,000 μg MRNA27-1000
CRE recombinase 5 moU 20 μg MRNA32-20

loxP部位間のDNAの組換えを触媒します。組換え産物はloxP部位の場所と相対配向に依存します。

  • 2つのloxP部位間のDNAの欠失
  • loxP部位を含むDNA分子の融合
  • loxP部位間のDNAの反転
100 μg MRNA32-100
1,000 μg MRNA32-1000
N1-mψ 20 μg MRNA26-20
100 μg MRNA26-100
1,000 μg MRNA26-1000
未修飾 20 μg MRNA33-20
100 μg MRNA33-100
1,000 μg MRNA33-1000


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OZ Biosciences社のmRNA製品群

製品群 製品の概要 用途
Reporter gene mRNA 3'末端にPolyAを有する修飾mRNA
  • トランスフェクション効率確認用
    ポジティブコントロール
Genome editing mRNA(本製品) Cas9またはCREの3'末端にPoly Aを有する修飾mRNA
  • CRISPR-Cas9タンパク質または
    NLS融合CREリコンビナーゼ発現
Vaccine mRNA OvalbuminA(OVA)mRNA OVAのmRNAの3'末端にPoly Aを有する、未修飾または安定性の高い非免疫原性のmRNA
  • アジュバント
Spike SARS-CoV-2 mRNA 3'末端にPoly Aを有し、SARS-CoV-2の変異株のスパイクタンパク質を高発現する修飾mRNA
  • SARS-CoV-2スパイクタンパク質発現
  • ワクチン研究
HA-H1N1、HA-H3N2 mRNA 3'末端にPoly Aを有し、インフルエンザ抗原タンパク質を高発現する修飾mRNA
  • インフルエンザ抗原タンパク質発現
  • ワクチン研究

mRNA合成受託サービスも承ります。

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関連製品:RNAトランスフェクション試薬

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品名 RmesFect RmesFect Stem
製品概要 mRNAを迅速かつ高効率で細胞に導入することができるトランスフェクション試薬。多種類の細胞株および初代培養細胞に適用可能。 幹細胞や初代培養細胞に高効率かつ低毒性でmRNAを導入できるトランスフェクション試薬。低毒性で複数のmRNAを導入可能のため、mRNAを用いたiPS細胞の作製に有用。
包装 500 μl 1 ml 500 μl 1 ml
商品コード RM20500 RM21000 RS30500 RS31000

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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