卵巣癌の新規腫瘍マーカーHE4の定量キット Quantikine Human HE4 ELISA Kit

HE4（Human Epididymal Protein 4）はWAP（Whey Acidic Protein）ファミリーに属し、WFDC2（WAP Four-Disulfide Core Domain Protein 2）とも呼ばれる分子量約25 kDaの分泌型糖タンパク質です。成熟型ヒトHE4は、2つのWAPドメインが繋がった構造をしていますが、スプライシングにより1番目、または2番目のWAPドメインが欠落し、10個、22個、または28個のアミノ酸で置換された複数のアイソフォームを生成します。

HE4は、正常な男女の生殖管上皮、上気道、唾液腺管、胸部で発現しているほか、遠位曲尿細管、結腸、子宮内膜でも可変的な発現が見られます。

肺腺癌および肺嚢胞性線維症ではHE4が発現しており、その腫瘍の大きさや浸潤性と、1番目のWAPドメインが22個のアミノ酸で置換されたHE4アイソフォームの発現との関連性が示唆されています。またHE4濃度の増加は、Ⅰ型／Ⅱ型子宮体癌の場合は組織および血清中で、移行上皮癌や初期／後期卵巣癌の場合は尿中で見られます。

正常な卵巣上皮ではHE4の発現は見られませんが、卵巣癌では血清中で強く発現し、進行癌では非常に高値を示します。ムチン糖タンパク質であるCA125も、卵巣癌で増加する高感度な腫瘍マーカーとして知られていますが、HE4と比較すると特異性が低くなってます。HE4とCA125の両方を測定し、卵巣癌および子宮内膜癌の悪性度の評価を行う研究が進められています。